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【PICK UP!】好調な新興市場をけん引する銘柄〜その強みとリスクは〜

2020/9/2
投資情報部 鈴木 英之

国内新興株式市場が好調で、特に東証マザーズ市場の勢いが強くなっています。8月の主要株価指数の騰落率は日経平均株価が+6.6%、日経ジャスダック平均が+4.6%でしたが、東証マザーズ指数は17.1%も上昇しました。現在はほぼ、2018年5月以来の高値水準に回復しています。

今後はどのような銘柄が新興市場をけん引するのでしょうか。そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、時価総額ランキング上位企業から、連続で営業増益を果たしている銘柄をピックアップしてみました。成長を続け、株価も大きく「化ける」ような銘柄は、往々にして景気循環にも負けず、独自の競争力(強み)を武器に、利益成長を続けるケースが多いようです。

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1東証マザーズ指数は8月大幅に上昇し、2018年5月以来の高値水準を回復

国内新興株式市場が好調で、特に東証マザーズの勢いが強くなっています。8月の主要株価指数の騰落率は日経平均株価が+6.6%、日経ジャスダック平均が+4.6%でしたが、東証マザーズ指数は17.1%も上昇しました。現在はほぼ、2018年5月以来の高値水準に回復しています。

逆に7月の騰落率は日経平均株価や日経ジャスダック平均が2%台の下落にとどまっていたのに対し、東証マザーズは5.3%も下げており、大きく下げた後の反動という面があったのは確かだと思います。ただ、東証マザーズの主力銘柄が以前はバイオやゲームなどであったのに対し、現在は情報通信銘柄が主力であり、ウィズ・コロナで注目されているDX(デジタルトランスフォーメーション)やテレワーク、SaaS(サース)等、時流に乗った銘柄が多かったことも理由であると考えられます。

同じ新興市場でも、ジャスダックの場合は時価総額上位を占める主力企業が外食や小売、設備投資関連銘柄であり、新型コロナウイルス感染拡大の影響、あるいは景気循環の影響を受けやすかったと考えられます。一般的に、東証マザーズとジャスダックを合わせて新興市場と呼びますが、ジャスダックには上場して古い銘柄も多いため、最新の情報を収集するなど注意が必要であると考えられます。

東証1部の1日当たり売買代金は、8月第2週までは2兆円を超える日が多かったですが、第3週以降は2兆円を割り込む日が増えています。例年通り、夏休みの投資家が増え、市場参加者が減ったことが理由とみられます。これに対し、東証マザーズの売買代金は、第2週から第3週にかけて逆に増加しており、個人投資家を中心に短期資金が流入したことがうかがえます。こうした背景には、決算発表終了で投資家のリスク許容度が向上し、その分新興銘柄が買われやすくなったことが考えられます。

図1 東証マザーズ指数(週足)

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。

2「強い新興市場銘柄」を探る

上述したように東証マザーズ指数が2018/5以来の高値水準を回復するなど、新興市場銘柄が堅調です。今後もこの市場をリードし、けん引するのはどのような銘柄でしょうか。そこで、新興市場を対象に銘柄をスクリーニングしてみました。条件は以下の通りです。

(1)東証マザーズまたはジャスダック市場に属していること。

(2)両市場を合わせた時価総額ランキングで上位50社に属していること。

(3)過去5期連続で、営業利益が増加(赤字縮小も含む)を続けている銘柄であること(※創業5年未満の場合は創業以来の連続増益)。

(4)市場コンセンサスで今期・来期ともに営業増益が見込まれる銘柄であること。

上記のすべての条件を満たした銘柄を、時価総額(9/1現在)の大きい順に並べたものが表1となります。この中には、さらに成長を続け、将来は東証1部に格上げとなり、株価が大きく上昇する銘柄も含まれていると「新興株ウィークリー」では考えています。

ここで(3)について、創業以来5年以上を経ている銘柄については、過去5期連続増益となっている銘柄となっています。創業以来の経過年数がそれ以下の場合は、創業以降の全年数を対象としました。

現在、東証1部の代表的なグロース(成長)銘柄であり、株価が年初来2倍となったエムスリー(2413)は、近年、毎年営業利益を増やし続けています。成長を続け、株価も大きく「化ける」ような銘柄は、往々にして、景気循環にも負けず、独自の競争力(強み)を武器に、利益成長を続けるケースが多いようです。

逆に、時価総額がまだ小さくて若い企業が、景気の悪さを理由に減益に陥っているようでは、成長企業としての魅力は不十分かもしれません。むろん、減益局面や成長の踊り場を乗り越えて大きくなる企業もありますが、連続増益を達成できる銘柄には、それを可能とする競争力(強み)を持っていることが多いように思われます。

例えば、ジャスダック市場時価総額トップの座を日本マクドナルド(2702)より奪ったワークマン(7564)は、インフルエンサーやブロガーの声を商品開発に生かす柔軟力が強みのひとつとされます。過去5年の平均売上高成長率は14%、同営業増益率は19%弱となっています。またセリア(2782)は100円ショップ大手であり、一見薄利多売な商売にみえますが、その売上高営業利益率は小売最大手のセブン&アイ・ホールディングス(3382)よりも高くなっています。商品の9割がメーカーと共同開発とされ、高品質な商品を安価に提供できる仕組みになっています。

また、AI inside(4488)は手書き文字を簡単にデータ化できる技術で成長を続け、前期から黒字転換し、今期も第1四半期は黒字で好調なスタートです。学習プログラムやAI開発のEduLab(4427)は過去3年の平均営業増益率が63%と高く、今期も20%以上の営業増益が期待されます。

なお、予想PERでみると、AI insideが264倍、メドレーが329倍、メドピアが158倍、ニューラルポケットが886倍など、特に東証マザーズの情報通信銘柄は3桁を超える評価になっています。足元では、これらの銘柄の株価は堅調ですが、PERが上昇してくると、業績不透明感が生じた場合に、株価下落リスクが一気に膨らむ傾向にあるため、注意が必要です。

表1 創業以来営業増益が続く主要新興銘柄

取引 チャート ポート
フォリオ
コード 銘柄 株価
9/2
前期
営業利益
今期予想
営業利益
来期予想
営業利益
7564 7564 7564 7564 ワークマン 9,350 19,170 23,477 27,639
2782 2782 2782 2782 セリア 4,825 17,604 19,762 20,718
4488 4488 4488 4488 AI inside 52,500 432 662 1,359
4480 4480 4480 4480 メドレー 5,140 153 640 1,746
9436 9436 9436 9436 沖縄セルラー 4,110 13,966 14,220 14,876
6095 6095 6095 6095 メドピア 4,805 558 1,125 1,760
4056 4056 4056 4056 ニューラルポケット 7,390 -133 180 695
3993 3993 3993 3993 PKSHA Technology 2,730 720 850 1,000
4427 4427 4427 4427 EduLab 7,940 1,462 1,867 2,406
4449 4449 4449 4449 ギフティ 2,791 538 963 1,559
  • ※各社株価データおよびBloombergデータを用いてSBI証券が作成。営業利益の単位は百万円。
  • ※予想営業利益は市場コンセンサス。
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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