新興株式市場も、転換期を迎えつつあるのかもしれません。米国株式市場では、ハイテク株の組み入れ比率が高いナスダック指数が続落となり、高値からの下落率が10%を超えてきました。IT関連業種を中心に、グロース銘柄の株価上昇が続いてきましたが過熱感や割高感が強まり、その反動局面が本格化しつつあるようです。
そうした中、新興市場も9月を迎え、株主優待や配当の権利確定を意識した動きが本格化しつつあります。株主優待や配当は雑誌や書籍などのメディアで取り上げられることも多く、個人投資家の関心も年々強まってきているように思われます。ただ、株主優待や配当の権利確保を狙う投資は、銘柄の保有期間が長めになりやすい分、一層の注意が必要であると考えられます。特に、新興市場の株主優待については、間違った判断をすると大きな損失につながる場合があり、十分な注意が必要です。
「新興株ウィークリー」では、9月に株主優待の権利が確定する銘柄について、業績や財務に不安が少ない銘柄を中心に選んでみました。
新興株式市場は、転換期を迎えつつあるのかもしれません。米国株式市場では、ハイテク株の組み入れ比率が高いナスダック指数が9/3(木)から9/8(火)にかけて3営業日続落(9/7はレイバーデーのため休場)となり、高値からの下落率が10%を超えてきました。IT関連業種を中心にグロース銘柄の株価上昇が続いてきましたが、過熱感や割高感が強まり、その反動局面が本格化しつつあるようです。
仮に、米グロース銘柄の調整が本格化した場合、日本でもグロース銘柄の下落基調が強まってくることが考えられます。9/9(水)の東京株式市場は売りが先行する展開となり、日経平均株価は早々に23,000円台を割り込みました。今後、時価総額ランキング上位が、情報通信分野などのグロース銘柄で占められる東証マザーズ市場にも逆風が強まるかもしれません。なお、現在の東証マザーズ指数は9/2(水)の1,172.95を年初来高値とし、9/9(水)はそこから4%程度下落した水準にあります。
一方、同じ新興市場でも、日経ジャスダック平均の下落率は9/2(水)に付けた目先の高値から1%を超えた程度であり、限定的なものにとどまっています。同市場の時価総額ランキング上位は、小売・外食など景気変動の影響を受けやすい銘柄が多く、新型コロナウイルスの感染拡大がピークアウトする中、景気回復期待が追い風になっているとみられます。
東証マザーズ指数(日足)
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
以下の表は(1)から(6)まですべての条件を満たす9月に権利が確定する株主優待銘柄です。
当社WEBサイトの株主優待検索ペーシにおいて、閲覧回数の多い順に並べています。
(1)ナスダック市場または東証マザーズ市場に上場する銘柄であること。
(2)9月に株主優待の権利が確定する銘柄(権利付最終日は9/28)であること。
(3)投資金額30万円未満(諸コスト未考慮)で株主優待の権利を獲得できる銘柄であること。
(4)直近四半期累計の営業利益が前年同期比増益の銘柄であること。
(5)「継続企業の前提」に疑義が生じている銘柄ではないこと。
(6)株主優待の権利確保のために最低投資期間の条件が付けられた銘柄ではないこと。
ナスダック市場または東証マザーズ市場に上場する銘柄の場合、投資家への知名度という点では東証1部上場銘柄に劣る銘柄が多いことが現実であると思われます。こうした背景から知名度をあげたい上場企業の中には、より魅力的な株主優待を提供している銘柄が多いように思われます。
半面、業績や財務面での問題が多く、投資家の買い需要を喚起できないため、株主優待制度を創設しているのではないかと疑われる企業が存在していることも確かです。それらの企業については、株主優待の資金負担を財務の安定に使うべきと思われる銘柄も散見されます。それでも、東証1部上場企業や大型銘柄であれば、一定の信用度を期待することも可能ですが、新興市場銘柄で業績や財務面に不安が多い場合、投資自体に多大なリスクが生じる可能性があります。
なお、(3)に記載した通り、投資金額30万円未満で株主優待の権利を確保できることを想定しているので、例えば100万円程度の資金がある場合、複数銘柄への分散投資が可能になります。分散投資を行うことで、個別銘柄の業績変動の影響を分散させることに期待できますが、業績や財務安定性でさらに条件を付け、より安定的な運用が期待できる銘柄を選定しています。
ちなみに、直近四半期累計の営業利益は、3月決算銘柄の場合2020/4〜6期、9月決算銘柄の場合、2019/10〜2020/6期の営業利益を分析対象としています。
小売銘柄の株主優待で、買い物料金の割引などが優待内容になっている場合、投資家によっては当該小売店との距離により、投資家ごとに魅力度が異なる場合があります。こうしたケースを含め、株主優待について投資家が感じる魅力度は、投資家により異なるため、それぞれ投資家にあった優待銘柄を発掘する必要があります。
好業績の9月株主優待銘柄はコチラ!?
取引 | チャート | ポートフォリオ | コード | 銘柄 | 株価 9/9(水) |
株主優待の権利を確保できる最低投資単位(原則100株)の株主優待内容概要 | ||
1789 | 1789 | 1789 | 1789 | ETSホールディングス | 790 | クオカード1,000円相当 | ||
3058 | 3058 | 3058 | 3058 | 三洋堂ホールディングス | 904 | 株主優待カード(レンタル料金20%割引他) | ||
7539 | 7539 | 7539 | 7539 | アイナボホールディングス | 942 | クオカード1,000円相当 | ||
7643 | 7643 | 7643 | 7643 | ダイイチ | 814 | VJAギフトカード1,000円相当 | ||
2454 | 2454 | 2454 | 2454 | オールアバウト(300株) | 931 | 株主優待ポイント1,000ポイント | ||
3359 | 3359 | 3359 | 3359 | cotta | 1,039 | 自社通販サイト掲載商品10%割引 | ||
4304 | 4304 | 4304 | 4304 | Eストアー | 1,560 | クオカード1,000円相当 | ||
4659 | 4659 | 4659 | 4659 | エイジス | 2,945 | お米券3Kg分 | ||
3096 | 3096 | 3096 | 3096 | オーシャンシステム(200株) | 1,332 | 新潟県魚沼産お米または株主優待券 | ||
9823 | 9823 | 9823 | 9823 | マミーマート | 2,460 | 買物優待券(100円)20枚または商品 | ||
9890 | 9890 | 9890 | 9890 | マキヤ | 1,196 | 買物優待券(100円)12枚 |
- ※各社株価データ、各社公表データ、およびSBI証券株主優待検索ページなどをもとにSBI証券が作成。株主優待の権利が発生する最低投資単位は原則100株で、2020/9/28(月)時点で100株を保有する株主に、株主優待の権利が発生します。なお、株主優待の権利が発生する最低投資単位について、オールアバウトは300株、オーシャンシステムは200株となっています。株主優待の内容は、レポート作成時点のものであり、今後変更される可能性があります。また、表に記載の「株主優待内容概要」は、株主優待内容のすべてを示したものではありませんので、正確な内容は各社WEBサイトでご確認ください。また、保有期間や保有株数により、株主優待の内容が異なるケースも多いので、ご確認ください。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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