東京株式市場では日経平均株価が高値保ち合いの展開になり、ジャスダック市場や東証マザーズ市場において株価は、堅調に推移しています。こうした中、政府・与党が2021年度の税制改正で、「デジタルトランスフォーメーション(DX)を進める企業への税制優遇策を検討」と報道されたことにより、“DX関連”の新興市場銘柄が買われる展開になりました。
そうした中、東京株式市場ではいよいよ決算発表のシーズンが本格化します。
新興市場銘柄では株価が大きく上昇し、予想PERが何百倍にも高まっている銘柄が増え、主力銘柄の中には利益確定売りが厳しくなる銘柄も出てきました。業績動向への投資家の関心は今まで以上に高まると思われることから、今回の新興株ウィークリーでは、業績好調が期待できる銘柄をスクリーニングにより、抽出してみました。
東京株式市場では日経平均株価が高値保ち合いの展開になっています。世界的な過剰流動性を背景に、国内外の株式市場で底固い動きが続く中、海外投資家の資金も流入しています。
株式市場全般的には上昇基調とみられており、大型株市場においては上値が重くなっているようにも感じられます。
しかし、そんな局面こそ、「新興株式市場の出番」と言えるかもしれません。実際に、ジャスダック市場や東証マザーズ市場の株価は堅調に推移しています。
10/20(火)には、政府・与党が2021年度の税制改正で、「デジタルトランスフォーメーション(DX)を進める企業への税制優遇策を検討」との報道があり、すでに株式市場での注目度が高まっている「DX関連」の新興市場銘柄が買われる展開になりました。たとえば、クラウドで会計システムを提供するフリー(4478)は、10/20(火)に一時10,000円(前日終値は9,620円)を大きく上回る急騰となり、同社の過去1ヵ月の上昇率は5割を超えてきました。
そうした中、東京株式市場ではいよいよ決算発表シーズンが本格化します。
新興市場銘柄では株価が大きく、予想PERが何百倍にも高まっている銘柄が増え、主力銘柄の中には利益確定売りが厳しくなる銘柄も出てきました。業績動向への投資家の関心は今まで以上に高まるものと思われます。
表1は新興市場(ジャスダック市場・東証マザーズ市場)の時価総額1千億円以上で、決算期が3月、6月、9月、12月の銘柄について決算発表予定日と最近1ヵ月の株価騰落率を示したもの(表の順番は時価総額順)となっています。これらの銘柄の決算は新興市場全体にも影響を与える可能性があるため、注意深く見守る必要がありそうです。
図1 東証マザーズ指数(週足)
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
表1 新興市場(東証マザーズ・ジャスダック)主要銘柄の決算発表予定日と値動き
コード | 銘柄名 | 決算期 | 決算発表 予定日 |
株価 (10/20) |
過去1ヵ月株価騰落率 |
4385 | メルカリ | 6月 | 10/30/2020 | 5,610 | 18.0% |
7564 | ワークマン | 3月 | 11/09/2020 | 9,400 | 6.2% |
2702 | 日本マクドナルドホールディングス | 12月 | 11/12/2020 | 5,080 | -1.7% |
6324 | ハーモニック・ドライブ・システムズ | 3月 | 11/11/2020 | 6,790 | 1.0% |
4478 | フリー | 6月 | 11/11/2020 | 9,820 | 55.4% |
3923 | ラクス | 3月 | 11/12/2020 | 2,432 | 43.5% |
6027 | 弁護士ドットコム | 3月 | 10/26/2020 | 15,350 | 54.1% |
2782 | セリア | 3月 | 10/30/2020 | 4,395 | 0.7% |
4477 | BASE | 12月 | 11/13/2020 | 14,160 | 32.2% |
4816 | 東映アニメーション | 3月 | 10/30/2020 | 7,050 | 7.6% |
4483 | JMDC | 3月 | 11/05/2020 | 5,450 | 27.0% |
4488 | AIinside | 3月 | 11/11/2020 | 62,500 | 43.3% |
4480 | メドレー | 12月 | 11/13/2020 | 7,120 | 54.3% |
7716 | ナカニシ | 12月 | 11/06/2020 | 1,917 | 1.2% |
4485 | JTOWER | 3月 | 11/10/2020 | 7,270 | 46.6% |
6425 | ユニバーサルエンターテインメント | 12月 | 11/12/2020 | 1,821 | -11.2% |
4475 | HENNGE | 9月 | 11/13/2020 | 9,010 | 54.3% |
3966 | ユーザベース | 12月 | 11/12/2020 | 3,920 | 9.5% |
6960 | フクダ電子 | 3月 | 10/30/2020 | 7,170 | -3.2% |
7779 | CYBERDYNE | 3月 | 11/13/2020 | 647 | 23.7% |
4563 | アンジェス | 12月 | 10/26/2020 | 1,122 | -28.6% |
4479 | マクアケ | 9月 | 10/27/2020 | 11,000 | 3.5% |
4628 | エスケー化研 | 3月 | 11/11/2020 | 39,100 | 2.8% |
4053 | Sun Asterisk | 12月 | 11/11/2020 | 3,100 | -5.9% |
9436 | 沖縄セルラー電話 | 3月 | 10/23/2020 | 4,110 | 1.0% |
2160 | ジーエヌアイグループ | 12月 | 11/13/2020 | 2,490 | -26.8% |
7157 | ライフネット生命保険 | 3月 | 11/11/2020 | 1,767 | 23.0% |
4565 | そーせいグループ | 12月 | 11/11/2020 | 1,301 | -5.7% |
4593 | ヘリオス | 12月 | 11/13/2020 | 1,999 | 0.9% |
- ※Bloomberg、当社Webサイトの個別銘柄情報ををもとにSBI証券が作成。新興市場(ジャスダック市場・東証マザーズ市場)の時価総額1千億円以上で、決算期が3月、6月、9月、12月の銘柄について決算発表予定日と最近1ヵ月(9/18〜10/20)の株価騰落率を示しています。表の順番は時価総額順となっています。
一般的に株式投資においては、中長期的スタンスでの投資が勧めらることが多いようです。確かに、投機的・短期的な投資を刹那に繰り返していては、高いパフォーマンスをあまり期待できません。
ただ、新興市場は“玉石混合”が特徴的な市場だと思われます。
先週ご紹介したように、14年前の東証マザーズ市場において、時価総額上位グループ(現在も存在している銘柄だけについて遡っている点も注意)の銘柄のうち、成長を続けて東証1部に格上げされる銘柄は限定的で、大半の銘柄は時価総額が大きく減少してしまうという厳しい現実があります。したがって、中長期的な投資でさえ、慎重なスタンスが求められることになります。
すなわち、業績見通しに自信がない、または十分な分析が少ないと思われるような場合、個別の新興市場銘柄を決算発表日をまたいで保有することはリスクが大きいと考えるべきでしょう。成長を期待していた銘柄の決算発表で、期待を裏切られ、短期間で株価が大幅に下落するようなケースも、今後増えてくると危惧されます。
将来、何年も利益成長を継続し、時価総額が増え、東証1部の主力銘柄に育っていくような企業は多くの場合、成長の初期段階で大きく躓くケースは少ないと思います。成長への先行投資により、利益が圧迫されるケースもあるでしょうが、利益が伸びなくなった理由に投資を言い訳にするケースも少なくありません。
現在、新興市場、特に東証マザーズ銘柄の時価総額上位の多くが予想PER何百倍にも買われていますが、成長を期待され過ぎている銘柄こそ、業績予想の下方修正には“もろい”と思われますので、ご注意ください。
決算発表シーズンが近づく中、「新興株ウィークリー」では、業績好調が期待できる銘柄をスクリーニングにより抽出してみました。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、基本的には2020/4〜6期と2020/7〜9期の投資環境に大きな変化は少ないとみられます。ただ、前者では経済活動がほとんど動いていない時期もありましたが、後者では復活の動きがでてきました。とはいえ、「アゲインスト・コロナ」が「ウィズ・コロナ」になったわけであり、いまだ「アフター・コロナ」にはなっていないと考えられます。
それでは、銘柄の抽出に移りたいと思います。
(1)ジャスダック市場または東証マザーズ市場に上場する銘柄であること。
(2)時価総額100億円以上の銘柄であること。
(3)3月決算企業であること。
(4)第1四半期(2020/4〜6期)の営業利益が前年同期比20%以上の増益となっている銘柄であること。
(5)上の(4)での増益率が通期(2021/3期)の会社予想営業増益率を上回っている銘柄であること。
(6)第1四半期の営業利益が通期会社予想営業利益に占める比率(いわゆる進捗率)が25%以上の銘柄であること。
上記のすべての条件を満たす銘柄を(4)の第1四半期営業増益率が高い順に並べたものが表2となっています。これらの銘柄は、2021/3期・第2四半期の決算発表が接近する中で好業績が期待できる銘柄であると予想します。
表2 好決算が期待される3月決算新興市場銘柄
取引 | チャート | ポート フォリオ |
コード | 銘柄 | 株価 (10/20) |
第1四半期営業増益率 | 決算発表予定日 |
3542 | 3542 | 3542 | 3542 | ベガコーポレーション | 2,355 | 10126.6% | 10/30 |
9890 | 9890 | 9890 | 9890 | マキヤ | 1,297 | 701.9% | 11/6 |
4644 | 4644 | 4644 | 4644 | イマジニア | 1,429 | 507.5% | 10/30 |
3020 | 3020 | 3020 | 3020 | アプライド | 4,645 | 235.4% | 11/13 |
6626 | 6626 | 6626 | 6626 | SEMITEC | 3,575 | 148.8% | 11/11 |
2790 | 2790 | 2790 | 2790 | ナフコ | 2,240 | 138.5% | 10/30 |
6777 | 6777 | 6777 | 6777 | santec | 2,411 | 131.0% | 10/30 |
3641 | 3641 | 3641 | 3641 | パピレス | 2,833 | 108.7% | 11/10 |
1799 | 1799 | 1799 | 1799 | 第一建設工業 | 1,800 | 82.7% | 11/5 |
6484 | 6484 | 6484 | 6484 | KVK | 1,663 | 71.5% | 10/30 |
4972 | 4972 | 4972 | 4972 | 綜研化学 | 1,450 | 58.0% | 11/5 |
5217 | 5217 | 5217 | 5217 | テクノクオーツ | 24,500 | 48.0% | 11/2 |
6918 | 6918 | 6918 | 6918 | アバールデータ | 3,730 | 45.9% | 11/12 |
3096 | 3096 | 3096 | 3096 | オーシャンシステム | 1,221 | 42.4% | 11/13 |
7895 | 7895 | 7895 | 7895 | 中央化学 | 627 | 41.4% | 11/10 |
2782 | 2782 | 2782 | 2782 | セリア | 4,395 | 28.2% | 10/30 |
4970 | 4970 | 4970 | 4970 | 東洋合成工業 | 8,680 | 28.0% | 11/6 |
- ※※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成。
- ※第1四半期は2020/4〜6期で、営業増益率は前年同期比。今期予想営業増益率は会社発表値。
- ※ベガコーポレーション(3542)の今期予想営業利益(会社発表値)は1,700〜2,100百万円であり、計算はその中央値を対象にしました。
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