2020年もまもなく終わりを迎えようとしています。昨年末終値に対する騰落率(12/22現在)は、東証マザーズ指数が25.8%上昇、東証ジャスダック市場が5.0%下落と、同じ新興市場でも明暗が分かれることになりました。
年間を通じ、終始新型コロナウイルスの感染拡大に悩まされる史上まれにみる年になり、株式市場全般が3月に急落する場面がありましたが、その分金融緩和の長期化に対する期待が強まったうえ、社会のあらゆる場面でデジタル化に対する需要が高まりました。その結果、情報・通信産業のウェイトが比較的高い東証マザーズ指数は東証1部銘柄を上回るパフォーマンスとなり、株価が大きく上昇する銘柄が多くみられました。
株式市場に参加する投資家としては、10倍化するような“テンバガー”または、それに近い上昇率の銘柄に巡り合いたいものですが、来年はどうなるのでしょうか。
2020年の新興市場を振り返りつつ、ヒントを探ってみたいと思います。
なお、2020年の新興株ウィークリーは今回が最後で、2021年は1/6(水)掲載予定です。
2020年はご愛読いただき、まことにありがとうございました。
2021年もよろしくお願い申し上げます。
2019年末終値に対する騰落率(12/22現在)は、東証マザーズ指数が25.8%上昇、東証ジャスダック市場が5.0%下落と、同じ新興市場でも明暗が分かれることになりました。ご参考までに日経平均株価は11.9%の上昇となっています。
1月末に中国において1万人にも満たなかった新型コロナウイルス感染者は同国で2月末にはおよそ7万8千人になり、以降欧州、アジアへと拡大し、年間を通じ、終始新型コロナウイルスの感染拡大に悩まされる史上まれにみる年になりました。なお、12/22(火)現在、世界の新型コロナウイルスの感染者数は7,736万人、死亡者は170万人にも達しています。
この未知の伝染病の拡大を防ぐべく、多くの国や地域が人の移動や経済活動を制限しはじめたことから、世界経済は不透明感が覆う形となり、3月には株式市場全般が急落する場面がありました。国内の主要株価指数は3/19(木)に安値となり、前年末終値からの下落は、日経平均株価が30%に対し、東証マザーズ指数37.8%、東証ジャスダック市場平均27.4%などとなりました。
ただ、経済への不透明感が強かった分、各国政府が大掛かりな財政出動に打って出たことに加え、金融緩和の長期化に対する期待や社会のあらゆる場面でデジタル化に対する需要が高まりました。その結果、情報・通信産業のウェイトが比較的高い東証マザーズ指数は東証1部銘柄を上回るパフォーマンスで反発に転じ、個別には大きく上昇する銘柄が多くみられました。
図表1 東証マザーズ指数(日足)
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
図表2 主要株価指数(日経平均、日経ジャスダック平均、東証マザーズ指数)の推移(2019年末を1として指数化)
- ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。2019/12/30終値を1として、指数化した数値をグラフ化しています。
前項で簡単にご説明し、図表2でグラフ化しましたように、2020年は東証マザーズ市場が上昇し、東証ジャスダック市場は下落と明暗が分かれることになりました。下の図表3は2020年の新興市場で値上がり率が大きく、時価総額を大きく増やした銘柄の上位10社を羅列したものです。
東証マザーズ市場はここ数年、新規上場した情報・通信産業のウェイトが高い市場になっています。新型コロナウイルスの感染拡大を経て、テレワークの拡大に象徴されるデジタル技術を用いた新しい働き方や、ネットを駆使した巣ごもり消費など、情報・通信産業がスポットをあびることになりました。世界的な超低金利を背景にした過剰流動性の追い風もあり、東証マザーズ上場の情報・通信銘柄の多くが大幅高になり、東証マザーズ指数の大幅高にもつながりました。
一方、東証ジャスダック市場は、外食や小売など、新型コロナウイルスの感染拡大が逆風になる業種のウェイトが高く、東証マザーズや東証1部と比較し、劣後する展開となりました。ただ、年の後半は景気回復期待の高まりから、景気敏感セクターへの関心が高まり、東証ジャスダック市場の銘柄の出遅れも多少修正される展開になりました。
では、2021年に10倍化するような“テンバガー”または、株価が何倍以上となるような高い上昇率が期待できる銘柄はどういった業種になるのでしょうか。
2020年に活躍した情報・通信銘柄は、予想PERで数百倍まで買われた銘柄も多く、図表3にもあるように、大きく値上がりした銘柄も多いため、注意が必要だと思います。ただ、2019年に新規上場した銘柄が多く含まれているように、2020年に新規上場した若い銘柄の中からも“テンバガー”または、株価が何倍以上となるような高い上昇率の期待できる銘柄が出てくる可能性がありそうです。また、情報・通信産業の中には成長余地のある出遅れ銘柄も多くあるように思います。
次回の新興株ウィークリーは2021/1/6(水)掲載予定です。
そこでは、2021年の“テンバガー”または、株価が何倍以上となるような高い上昇率に期待したい銘柄について、抽出を試みますので引き続き、よろしくお願いいたします。
2020年もご愛読いただき、まことにありがとうございました。
図表3 新興市場(ジャスダック・マザーズ)の年間上昇率上位銘柄
コード | 銘柄名 | 東証33業種名 | 株価(12/22) | 年初来騰落 | 上場年月日 |
4772 | ストリームメディアコーポレーション | 情報・通信業 | 302 | 652.2% | 2000/07/27 |
4308 | Jストリーム(M) | 情報・通信業 | 5,190 | 604.2% | 2001/09/21 |
2150 | ケアネット(M) | サービス業 | 5,080 | 564.1% | 2007/04/20 |
2484 | 出前館 | 情報・通信業 | 3,775 | 545.1% | 2006/06/05 |
4488 | AIinside(M) | 情報・通信業 | 69,800 | 503.0% | 2019/12/25 |
3998 | すららネット(M) | 情報・通信業 | 5,170 | 459.4% | 2017/12/18 |
4477 | BASE(M) | 情報・通信業 | 9,080 | 456.2% | 2019/10/25 |
4475 | HENNGE(M) | 情報・通信業 | 7,800 | 316.4% | 2019/10/08 |
4480 | メドレー(M) | 情報・通信業 | 4,500 | 283.2% | 2019/12/12 |
4478 | フリー(M) | 情報・通信業 | 9,760 | 215.6% | 2019/12/17 |
- ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。「騰落」は時価総額変化率。年初来騰落は12/22時価総額を2019/12/30終値と比較したものです。銘柄名右に(M)とあるのが東証マザーズ上場銘柄で、他は東証ジャスダック上場銘柄。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
図表4 新興市場(ジャスダック・マザーズ)の時価総額上位銘柄
コード | 銘柄名 | 東証33業種名 | 株価(12/22) | 時価総額 | 12月騰落 | 年初来騰落 |
6324 | ハーモニック・ドライブ・システムズ | 機械 | 8,680 | 836,018 | 4.2% | 64.7% |
7564 | ワークマン | 小売業 | 8,510 | 696,516 | -8.2% | -16.5% |
4385 | メルカリ(M) | 情報・通信業 | 4,415 | 692,703 | -7.6% | 101.5% |
2702 | 日本マクドナルドホールディングス | 小売業 | 5,110 | 679,426 | 0.8% | -2.5% |
4478 | フリー(M) | 情報・通信業 | 9,760 | 474,776 | 6.1% | 215.6% |
3923 | ラクス(M) | 情報・通信業 | 2,180 | 395,051 | -10.5% | 117.9% |
2484 | 出前館 | 情報・通信業 | 3,775 | 322,712 | 15.6% | 545.1% |
4816 | 東映アニメーション | 情報・通信業 | 7,320 | 307,440 | -3.7% | 30.7% |
2782 | セリア | 小売業 | 3,590 | 272,266 | -2.3% | 20.9% |
4483 | JMDC(M) | 情報・通信業 | 4,900 | 268,676 | -7.5% | 130.1% |
- ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。「騰落」は時価総額変化率。年初来騰落は12/22時価総額を2019/12/30終値と比較したものです。銘柄名右に(M)とあるのが東証マザーズ上場銘柄で、他は東証ジャスダック上場銘柄。時価総額の単位は百万円となっています。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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