上昇基調が続いてきた国内株式市場ですが、上昇一服状態になっています。
足元で上昇スピードが加速気味であったため、それに対する警戒感が強まったことが大きいとみられますが、米国で景気回復期待を背景に金利が上昇し、グロース株を中心に利益確定売りが増えたことも要因と考えられます。米グロース株の動きと連動しやすい東証マザーズ市場でも売りが目立ってきました。
ただ、逆に現在は投資戦略を落ち着いて見直すのに、好機と言えるかもしれません。そこで今回は、投資家に何かと注目されやすい「新規上場銘柄」の中から、高成長・株高が期待される10銘柄をピックアップしました。
2/16(火)〜2/22(月)までの約1週間、図表1に示したように、日経平均株価が1.0%下げるなど、国内株式市場は上昇一服の場面になっています。国内新興市場も同様に軟調で、特に東証マザーズ市場は下落率が3.5%に達しています。理由は冒頭でご説明した通りです。
図表1にありますように、新興株式市場の時価総額上位銘柄は総じて下落し、特に東証マザーズ市場の情報通信関連株の下げが目立っています。ただ、メール管理で国内最大手のラクス(3923)は東証1部への指定替えを発表し、2/22(月)に200円高したことで、下落率が抑えられています。
今後はどうなるのでしょうか。
図表2は東証マザーズ指数の一目均衡表(日足)ですが、日々線が転換線および基準線を下抜けており、強気形状から後退しつつあります。遅行スパンが日々線に接近していることや、2つの先行スパンがクロスする、一目均衡表上の要注意日が形成されており、目先は波乱の可能性にも注意したいところです。
休み明けの2/24(水)は全般的にさらに下げる展開になっており、図表3でご紹介する直近上昇した銘柄でも、反落が目立ちます。当面は、業績等による銘柄への選別が進むと考えられます。
図表1 おもな新興市場銘柄(時価総額上位10社)の値動き
コード | 銘柄名 | 市場 | 株価(2/22) | 2/16比 | 昨年末比 |
4385 | メルカリ | 東証 | 5,490 | -8.0% | 20.0% |
6324 | ハーモニック・ドライブ・システムズ | ジャスダックS | 8,510 | -8.5% | -7.7% |
2702 | 日本マクドナルドホールディングス | ジャスダックS | 5,170 | 1.0% | 3.4% |
7564 | ワークマン | ジャスダックS | 8,270 | -2.2% | -6.0% |
4478 | フリー | 東証マザーズ | 11,970 | -6.1% | 18.5% |
4816 | 東映アニメーション | ジャスダックS | 11,540 | 2.9% | 42.6% |
3923 | ラクス | 東証マザーズ | 1,850 | -3.4% | -22.7% |
4483 | JMDC | 東証マザーズ | 5,160 | -13.3% | -11.6% |
2782 | セリア | ジャスダックS | 3,555 | -2.1% | -6.2% |
4477 | BASE | 東証マザーズ | 13,290 | -3.6% | 36.2% |
【ご参考】 | 日経平均株価 | 30,156.03 | -1.0% | 9.9% |
日経ジャスダック平均 | 3,849.55 | -0.3% | 3.5% | |
東証マザーズ指数 | 1,274.62 | -3.5% | 6.5% |
- ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。新興市場(東証マザーズ市場およびジャスダック市場)の時価総額上位10銘柄について、2/16(火)からの騰落率を掲載しました。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
図表2 東証マザーズ指数(日足)・一目均衡表
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2/24(水)現在。
図表3 株価上昇が大きかったおもな新興銘柄(時価総額300億円以上)
コード | 銘柄名 | 市場 | 株価(2/22) | 2/16比 | 昨年末比 |
7177 | GMOフィナンシャルホールディングス | ジャスダックS | 1,010 | 24.1% | 41.7% |
7068 | フィードフォース | 東証マザーズ | 1,305 | 22.2% | 13.9% |
6787 | メイコー | ジャスダックS | 2,374 | 20.9% | 23.3% |
6890 | フェローテックホールディングス | ジャスダックS | 2,343 | 18.6% | 33.2% |
4497 | ロコガイド | 東証マザーズ | 3,955 | 18.2% | 26.0% |
4582 | シンバイオ製薬 | ジャスダックG | 1,380 | 17.0% | 264.1% |
4170 | Kaizen Platform | 東証マザーズ | 1,910 | 12.2% | 36.1% |
2362 | 夢真ホールディングス | ジャスダックS | 881 | 10.3% | 26.4% |
4431 | スマレジ | 東証マザーズ | 5,100 | 9.8% | -7.9% |
4933 | I−ne | 東証マザーズ | 3,520 | 7.3% | 9.8% |
- ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。新興市場(東証マザーズ市場およびジャスダック市場)の時価総額上位300億円以上の銘柄について、2/16(火)からの騰落率が大きい順に掲載しました。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
改めて、東証マザーズ市場やジャスダック市場など、国内新興市場に投資する魅力は何でしょうか。
株式投資で、株価が10倍化するなど、大きく値上がりした銘柄を“テンバガー”といいますが、そうした銘柄に出会うためには、上場して間もない銘柄が多い新興市場に狙いを定めることは有効な戦略のひとつであると考えられます。
さらに、上場間もない新規上場上銘柄に的を絞ることにより、効率的に「高成長・株高」の期待が大きい銘柄を発掘できる可能性もあると考えます。
そこで今回は、2020年に新規上場した新興銘柄を業績により、選別してみたいと考えます。
新興市場に新規上場し、将来東証1部銘柄(2022年春以降は「プレミアム市場」に再編の予定)に成長していくような銘柄は、この段階でも成長が続いていることが望ましいと考えられます。
そこで、母集団としては、2020年に新規上場し、会社予想で営業利益が20%超の増益となっている新興銘柄(東証マザーズ市場またはジャスダック市場)としました。
無論、会社予想の収益計画が必ずしも実現される訳ではないのが現実です。そこで、上記母集団を2つのルートから、実際に会社予想を上回るような大幅増益が達成できそうな銘柄を絞り込みました。
(1)直近四半期累計、または前期の決算で営業増益率(前年同期比または前期比)が高い順に5銘柄を抽出。
(2)直近四半期累計の営業利益進捗率が標準を大きく上回っている順に5銘柄を抽出。
(1)については、3月決算銘柄の場合、2020/4〜12期の前年同期比増益率を、12月決算の場合は直近発表の決算が本決算であるため、2020/12期(通期)の前期比増益率を調べました。結果的に、抽出銘柄はすべてが12月決算銘柄となり、結果を図表4に掲載しました。2020年は年全般が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたとみられ、そこを大幅営業増益でクリアすることができたことで、今期も営業増益を達成できる確度は上昇しているとみられます。
(2)については、カラダノート(4014)の場合、現在は2021/7期で、第1四半期(2020/8〜10期)が直近の四半期であり、その営業利益は115百万円でした。ここで、進捗率は通期予想の205百万円に対し56.1%(115÷205)で、標準の進捗率は12ヵ月のうち、3ヵ月が通過したので25%とします。「超過進捗率」は「56.1%-25%=31.1%」から、31.1%と導き出します。この「超過進捗率」が大きいと、会社予想を上回るペースで業績が進捗していると考えられます。
新規上場銘柄にとって、上場直後を大幅増益でスタートすることは、将来の「高成長・株高」につながる要因というよりも、最低条件に近いのかもしれません。言い方を変えると、足元の業績でつまずくようであれば、その新規上場銘柄が株高を維持することは難しいかもしれないといえるでしょう。
図表4 新規上場の2020年を大幅営業増益でスタートした新規上場銘柄
取引 | チャート | ポートフォリオ | コード | 銘柄 | 株価(2/24) | 前期営業増益率 | 今期予想営業増益率 | 新規上場年月日 |
4060 | 4060 | 4060 | 4060 | rakumo | 2,063 | 458.3% | 58.2% | 2020/9/28 |
4058 | 4058 | 4058 | 4058 | トヨクモ | 2,284 | 153.6% | 26.0% | 2020/9/24 |
4935 | 4935 | 4935 | 4935 | リベルタ(J) | 1,191 | 120.1% | 25.4% | 2020/12/17 |
4020 | 4020 | 4020 | 4020 | ビートレンド | 5,190 | 115.7% | 32.7% | 2020/12/17 |
4053 | 4053 | 4053 | 4053 | Sun Asterisk | 2,495 | 86.9% | 24.2% | 2020/7/31 |
- ※会社公表データ、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。銘柄名横に(J)とある銘柄はジャスダック銘柄で、他は東証マザーズ銘柄です。※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
図表5 今期「業績上方修正」でスタートできそうな新規上場銘柄
取引 | チャート | ポートフォリオ | コード | 銘柄 | 株価(2/24) | 営業利益超過進捗率 | 今期予想営業増益率 | 新規上場年月日 |
4014 | 4014 | 4014 | 4014 | カラダノート(7) | 1,674 | 31.1% | 66.7% | 2020/10/27 |
4930 | 4930 | 4930 | 4930 | グラフィコ(J)(6) | 4,610 | 26.6% | 36.8% | 2020/9/24 |
7694 | 7694 | 7694 | 7694 | いつも(3) | 3,740 | 18.2% | 210.0% | 2020/12/21 |
7695 | 7695 | 7695 | 7695 | 交換できるくん(3) | 3,300 | 17.7% | 37.5% | 2020/12/23 |
7351 | 7351 | 7351 | 7351 | グッドパッチ(8) | 2,666 | 14.5% | 37.0% | 2020/6/30 |
- ※会社公表データ、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。銘柄名横に(J)と記載された銘柄はジャスダック銘柄で、他は東証マザーズ銘柄です。また、銘柄名横の数字は決算月を示しています。 ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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