東京株式市場は波乱の展開となり、4/20（火）と4/21（水）の2営業日で日経平均株価は1,000円超下落しました。
株式市場全般の下落については、4/20（火）付の「225の『ココがPOINT!』」でご説明したように、（1）新型コロナウイルスの感染拡大が加速、（2）投資マネーの流れに変化の兆し、（3）チャート的に下放れの様相、（4）次期の業績予想に関する不透明感が拡大などが原因と考えられます。

東証一部市場で大型株を中心に株価が下落した際、投資マネーが値動きの少ない新興市場に流れるケースが時折あります。しかし、大型株を“大型船”、新興市場の株を“小型船”に例えた場合、荒れた海で大型船は船の揺れが多少大きくなる程度であることに対し、小型船は波間に隠れて見えなくなり、浮かんでいること自体難しくなってしまいます。
この様に大型株に波乱があった場合は流動性に乏しい分、新興市場の株の方が波乱になりやすいと考えられ、暗号資産や大型株の変調が新興株の動きを変えてしまう可能性は大きいと言えるでしょう。
このため、目先の波乱には十分注意が必要です。

さて、今後はどうなるのでしょうか。

イギリスでは昨年12月に新型コロナウイルス向けワクチンの接種を開始して以降、新型コロナウイルスの新規感染者数、死者数が大幅に減少。終息に向け、今月から段階的に制限が解除されています。景気回復期待から年明け以降ポンド相場は堅調に推移し、失業率も改善傾向にあります。
一方、日本では3度目となる緊急事態宣言の発令に向けた検討がされており、依然として予断を許さない状況にあります。こうした中、ワクチンについては、政府が9月末までに接種対象者全員分を確保できる見通しを示唆し、ぼんやりながらも“トンネルの出口”が見えてきたようにも思われます。
このため、年後半にかけては景気回復期待から新興市場も上昇するというシナリオも考えられます。

ただ、目先で本格化する決算発表は、株価下落に特に注意です。
3月決算銘柄の場合、2021/3期の決算が強い内容であっても、2022/3期の予想で慎重な見通しを公表し、株価が下がる場合があることも想定されます。
この場合、仮に決算発表前に業績予想の上方修正があれば、そこが“好材料出尽くし”のタイミングになる可能性があります。
逆に、中期的な見通しが強い企業について、決算発表直後に“慎重な予想”を織り込んで株価が下がるようであれば、そこが買い場になる可能性が大きいと思われます。
こうしたことからも、業績予想の上方修正や、好業績・好決算が見込まれるような銘柄をある程度、絞っておくことも重要なポイントの1つです。

今回は、3月決算銘柄の新興市場銘柄（時価総額100億円以上）のうち、決算発表前に2021/3期会社予想営業利益が上方修正されるか、または発表時に同期の営業利益が予想を上回って終わる可能性が大きい銘柄を抽出しました。

条件は以下の通りです。
（1）東証マザーズ市場またはジャスダック市場に上場している3月決算銘柄であること。
（2）時価総額100億円以上の銘柄であること。
（3）第3四半期累計（2020/4〜12期）営業利益について
　　・営業利益額が10億円以上の黒字となっていること。
　　・2021/3期（通期）の会社予想営業利益に対する進捗率が90%以上であること。
　　・3四半期累計の営業増益率が2021/3期（通期）の会社予想営業増益率を10%超上回っていること。
（4）3月以降、業績予想の修正（配当計画のみの修正を除く）が発表されていない銘柄であること。

上記のすべての条件を満たす銘柄について、第3四半期累計の営業増益率が大きい順に並べたものが図表4です。

掲載銘柄に限らず、上場銘柄を保有時にその決算発表日を迎えた場合、次期（3月決算銘柄であれば2022/3期）の会社予想営業利益が保守的で、株価が下落するリスクには注意が必要です。足元で、株式市場の波乱や新型コロナウイルスの感染拡大などを背景に、上場企業全般の業績予想が保守的となる可能性があるためです。

特に本年の場合は決算発表後、保守的な業績予想や予想の発表自体の見送りなどが理由で、株価が下げる銘柄が増える可能性があります。決算発表後に投資を判断しても間に合う可能性があるので、投資戦術については慎重に検討する必要がありそうです。

ここでは図表4に掲載した銘柄について、一部解説します。