新興市場が波乱の展開です。
世界的なグロース銘柄の下げが影響し、特に東証マザーズ市場は厳しい展開となっています。一方、ジャスダック市場は相対的に底堅く、電子機器関連を中心とした好業績見通しの銘柄が堅調に推移しています。

そうした中、新興市場でも決算発表が進捗しています。
そこで今回は、5/11（火）までに決算発表を実施した銘柄の中から、好業績銘柄をピックアップしました。

なお、当ページにつきましては、SBI証券　投資情報部長　鈴木による動画での詳しい解説も行っております。ぜひ、ご視聴ください。新興株ウィークリー
※YouTubeに遷移します。

東証マザーズ指数は2/16（火）につけた年初来高値からの下落率が、5/12（水）現在で約17%に達しています。これに対し、日経ジャスダック平均は下げてはいるものの、年初来高値からの下落率は3%弱と小幅にとどまっています。

東証マザーズ指数は情報通信関連株のウエイトが高く、米ナスダック市場やグロース銘柄の全般的な株価の下落が響きやすい指数であると考えられます。これに対し、日経ジャスダック平均は景気の回復に期待した景気敏感株や、バリュー株を買う世界の流れが下支え要因になっていると考えられます。

4/27（火）〜5/11（火）の下落率でみた場合、新興市場ではAI搭載のクラウドサービスを提供するAI　inside（4488）が「大口販売先ライセンスの不更新見込」を背景に55.5%も下落。サーバー等の管理を行うJIG-SAW（3914）、クラウド関連セキュリティサービスを提供するHENNGE（4475）など、東証マザーズ市場の情報通信関連銘柄が軒並みワーストとなりました。なお、新興市場で時価総額トップのメルカリ（4385）も約11%下げました。

これに対し、光学機器やFA関連の電子機器事業を展開するテクノホライゾン（6629）、サーミスタ製造の芝浦電子（6957）、プリント配線基板設計・製造のメイコー（6787）など、ジャスダック市場の電子機器関連銘柄が、業績見通しの強さ等を背景に買われるケースが目立ちました。

今回は3月、6月、9月、12月決算銘柄の新興市場銘柄（時価総額100億円以上）のうち、5/10（月）までに決算発表が終了した銘柄について、以下の条件を満たす銘柄を図表4にまとめました。

（1）東証マザーズ市場またはジャスダック市場に上場している銘柄であること。
（2）時価総額100億円以上の銘柄であること。
（3）決算期末が3月、6月、9月、12月の銘柄であること。
（4）4/20（火）〜5/10（月）に決算発表を実施した銘柄であること。
（5）2021/1〜3期の営業利益について
　　・営業利益が黒字となっていること。
　　・前年同期の営業利益に比べ、黒字転換か10%超の増益になっている銘柄であること。
　　・同四半期の前年同期比営業増益率が通期の予想営業増益率を上回っていること。

新興銘柄は投資家から高い成長率を期待されており、新型コロナウイルスの感染拡大が厳しい現状でも、営業増益を確保していることが望まれます。
図表4の銘柄はその意味で、独自の強みや競争力を有している企業であると考えられます。