東京市場は一時、波乱となる場面があり、新興市場も大きく下げる場面がありました。
ただ、日経ジャスダック平均は底堅い動きで、7/14(水)には取引時間中ベースで、7/1(木)以来の4,000円台回復となりました。
こうした中、7月は多くの企業でボーナスが支給される時期であることから、新たに資産運用をはじめる方や、増資される方が増える時期でもあります。
そこで今回は、四半期決算が良好な銘柄から比較的少ない予算でも「20万円で買える新興株」をピックアップしました。
なお、当ページにつきましてはSBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。ぜひ、ご視聴ください。
新興株ウィークリー※YouTubeに遷移します。
■執筆者のプロフィール
SBI証券 投資情報部長 鈴木 英之
・出身 東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味 ハロプロ(牧野真莉愛推し)の応援と旅行(のりテツ)
・特技 どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物 サイゼリヤのごはん
・好きな場所 秋葉原
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。
7/6(火)〜7/13(火)の主要株価指標の騰落率は、日経平均株価が+0.3%、TOPIX+0.7%、日経ジャスダック平均+0.2%、東証マザーズ指数-0.9%でした。なお、東証マザーズ指数は2週連続で他の主要株価指標よりも大きく下げました。
東京市場では、ETF分配金捻出売りや新型コロナウイルスの感染拡大が警戒され、日経平均株価が7/9(金)の取引時間中、6月末終値比で4.8%安い水準まで下げるなど、波乱となる場面がありました。
それに、つれ安する形で東証マザーズ指数では6月末終値からの最大下落率が5.4%に達する場面もありました。
これに対し、日経ジャスダック平均は底堅い動きとなりました。7/14(水)には、一時7/1(木)以来の4,000円台回復となりました。なお他の株価指標も7/9(金)から戻し基調に転じています。
新興市場の中で値上がり率の大きかった銘柄は図表3に示しています。
今週から掲載条件のひとつである時価総額を250億円に変更(これまでは300億円)しました。
時価総額250億円は、市場再編後の東証でプライム市場の上場に必要な条件のひとつになっています。ここに掲載されたテクノホライゾン(6629)やウエストホールディングス(1407)、フクダ電子(6960)などは、時価総額250億円以上の条件を満たしている上、流動株比率を導くカギとなる特定株(会社四季報)の比率等も一定水準以下にとどまっているとみられ、プライム市場への上場が期待されている面も株価に影響しているようです。
なお、ウエストホールディングス(1407)は7/8(木)付でアナリストが投資判断最上位でのカバレッジを開始。7/9(金)以降、株価上昇率が加速し、7/6(火)〜7/13(火)に6営業日連続高となりました。
図表1 日経ジャスダック平均と東証マザーズ指数の推移
- ※SBI証券チャートツールを用いてSBI証券が作成。 ※2020/12/30終値を1として指数化。 期間:2020/12/30〜2021/7/13(日足)
図表2 主な新興市場銘柄の値動き
コード | 銘柄名 | 市場 | 株価(7/13) | 週間 | 年初来 |
4385 | メルカリ | 東証マザーズ | 6,090 | 3.05% | 30.93% |
2702 | 日本マクドナルドホールディングス | ジャスダックS | 4,955 | 1.02% | -0.60% |
6324 | ハーモニック・ドライブ・システムズ | ジャスダックS | 6,210 | -0.96% | -32.99% |
7564 | ワークマン | ジャスダックS | 7,160 | -3.37% | -18.31% |
4816 | 東映アニメーション | ジャスダックS | 13,450 | -2.96% | 68.77% |
4478 | フリー | 東証マザーズ | 9,930 | 0.00% | -1.49% |
4483 | JMDC | 東証マザーズ | 5,820 | -1.02% | 1.37% |
2782 | セリア | ジャスダックS | 4,005 | 2.17% | 6.36% |
7716 | ナカニシ | ジャスダックS | 2,403 | -0.99% | 6.23% |
4194 | ビジョナル | 東証マザーズ | 6,200 | -1.12% | - |
【ご参考】 | 日経平均株価 | - | 28,718.24 | +0.3% | +4.6% |
TOPIX | - | 1,967.64 | +0.7% | +9.0% | |
日経ジャスダック平均 | - | 3,995.86 | +0.2% | +7.4% | |
東証マザーズ指数 | - | 1,177.89 | -0.9% | -1.6% |
- ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
- ※新興市場(東証マザーズ市場およびジャスダック市場)の時価総額上位10銘柄について、7/13時点での各種騰落率を掲載。
- ※週間騰落率は7/6〜7/13の騰落率で計算されています。
- ※「年初来」騰落率は昨年末終値からのトータルリターン。「-」の銘柄は、昨年末時点で上場していない銘柄です。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
図表3 7/6(火)〜7/13(火)の株価上昇が大きかった主な新興市場銘柄
コード | 銘柄名 | 市場 | 株価(7/13) | 週間 | 20/12末比 |
6629 | テクノホライゾン | ジャスダックS | 2,104 | 28.14% | 182.92% |
1407 | ウエストホールディングス | ジャスダックS | 4,525 | 25.35% | 20.00% |
4934 | プレミアアンチエイジング | 東証マザーズ | 18,330 | 14.85% | 122.67% |
2497 | ユナイテッド | 東証マザーズ | 1,723 | 11.09% | 30.64% |
4933 | I−ne | 東証マザーズ | 6,290 | 10.93% | 91.58% |
6960 | フクダ電子 | ジャスダックS | 9,870 | 8.94% | 26.46% |
4431 | スマレジ | 東証マザーズ | 7,280 | 6.74% | 32.49% |
3914 | JIG-SAW | 東証マザーズ | 9,670 | 6.73% | -13.81% |
8909 | シノケングループ | ジャスダックS | 1,333 | 6.30% | 24.08% |
7071 | アンビスホールディングス | ジャスダックS | 6,690 | 6.19% | 23.77% |
- ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
- ※新興市場(東証マザーズ市場およびジャスダック市場)で時価総額250億円以上の銘柄について、7/13時点での各種騰落率を掲載。
- ※週間騰落率は7/6〜7/13の騰落率で計算されています。
- ※「年初来」騰落率は昨年末終値からのトータルリターン。「-」の銘柄は、昨年末時点で上場していない銘柄です。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
今回は、四半期決算が堅調で投資妙味が期待される銘柄をピックアップしました。
最低投資単位金額を低めに設定したので、複数の銘柄に分散投資することも可能です。資産運用のヒントにしていただければ幸いです。
≪スクリーニング条件≫
(1)東証マザーズ市場または、ジャスダック市場に上場する銘柄であること。
(2)時価総額100億円以上の銘柄であること。
(3)最低投資単位(100株)金額が20万円未満であること。
(4)次の決算発表予定日が7/20(火)以降であること。
(5)アナリストが最低1人以上カバーしていること。
(6)直近四半期の営業増益率が通期予想営業増益率より大きいか、営業損益が“黒字”または“黒字転換”であること。
(7)会社予想ベースのPERが100倍未満であること。
上記の条件をすべて満たす銘柄を、年初来高値からの下落率の大きい順に掲載したものが図表4になります。
次項では、それらの銘柄の一部について投資ポイントをご紹介します。
図表4 20万円未満で買える四半期決算良好な新興銘柄
取引 | チャート | ポートフォリオ | コード | 銘柄 | 株価(7/13) | 年初来高値比 | 営業増益率 | |
四半期計 | 通期予想 | |||||||
4170 | 4170 | 4170 | 4170 | Kaizen Platform | 1,499 | -41.7% | 黒字 | 595.7% |
4936 | 4936 | 4936 | 4936 | アクシージア | 1,506 | -38.3% | 黒字転換 | 25.6% |
3900 | 3900 | 3900 | 3900 | クラウドワークス | 1,433 | -34.7% | 黒字 | 黒字転換 |
7707 | 7707 | 7707 | 7707 | プレシジョン・システム・サイエンス | 810 | -33.1% | 黒字転換 | 黒字転換 |
3793 | 3793 | 3793 | 3793 | ドリコム | 626 | -31.4% | 232.7% | - |
3482 | 3482 | 3482 | 3482 | ロードスターキャピタル | 1,014 | -20.5% | 32.3% | 21.8% |
6049 | 6049 | 6049 | 6049 | イトクロ | 1,130 | -20.0% | 黒字 | 33.3% |
7806 | 7806 | 7806 | 7806 | MTG | 1,916 | -14.2% | 黒転 | 146.1% |
4293 | 4293 | 4293 | 4293 | セプテーニ・ホールディングス(J) | 476 | -14.2% | 115.8% | - |
3904 | 3904 | 3904 | 3904 | カヤック | 836 | -11.5% | 191.6% | 34.4% |
3857 | 3857 | 3857 | 3857 | ラック(J) | 1,053 | -8.8% | 19.8% | -0.8% |
6312 | 6312 | 6312 | 6312 | フロイント産業(J) | 828 | -6.7% | 黒字転換 | -4.1% |
2927 | 2927 | 2927 | 2927 | AFC-HDアムスライフサイエンス(J) | 1,402 | 0.0% | 143.0% | 92.1% |
- ※Bloombergデータ、各種資料をもとにSBI証券が作成。
- ※営業増益率のうち、「四半期計」直近の四半期累計営業増益率。直近決算が本決算の場合は年度の数値。「通期予想」は会社予想。 ※直近四半期(累計)営業利益が黒字の時、前年同期のデータがない場合は「黒字」、前年同期が赤字の場合は「黒字転換」と記載。また、前年同期も黒字の場合は、そこからの増益率を記載。
- ※年初来高値からの下落率が大きい順に掲載。
- ※銘柄名横に(J)と記載のある銘柄はジャスダック上場銘柄で、無印は東証マザーズ銘柄。
- ※株価騰落率は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
Kaizen Platform(4170) クライアントのUX(体験や経験)を改善し、CVR向上に貢献
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
- 期間:2020/12/21〜2021/7/14(週足)
■DX推進サービスを提供
同社は、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を支援するプラットフォームやサービスを提供しています。
「UX/DXソリューション事業」(売上構成比64%・2021/1〜3期)では、クライアントのUX(体験や経験)を改善し、CVR(Webサイトの訪問者のうち、サイトで商品を購入したり会員登録を行ったりした人の比率)の向上をめざす等、クライアントのWebビジネスの成長やDXをトータルサポートしています。
一方、「動画ソリューション事業」(売上構成比36%・同)では、インターネット広告など目的に合わせ最適なクリエイティブを制作できる動画ソリューションを提供しています。
同社は1万人の人材プールを運営し、案件ごとにチームを組織しています。プールにはエンジニアやデザイナーなどが所属し、能力や実績に応じ案件の対価を支払う仕組み。大企業との協業で、自社で営業人材を抱えず顧客を獲得できる効率性が強みとなっています。
■株価は上昇幅の約8割を打ち消して下げ渋り
2020/12月期の連結売上高は、60人強の従業員で、前期比24%増の16億円に達し、営業利益2,300万円を確保しました。2020年12月にはリクルートキャリアと組み、新卒採用のDX支援を始めています。
2021/12期第1四半期(1〜3月)の連結業績は、売上高が5.7億円、営業利益が6,200万円。今期から四半期連結財務諸表を作成しており、前年同期比はありません。2021/12期の連結業績予想は、売上高22億円(前期比30.5%増)、営業利益1.6億円(同6.8倍)としています。
株価は上昇幅の8割を打ち消した1,451円をボトムに下げ渋る様相を呈しています。
アクシージア(4936) 中国EC(電子商取引)向けに化粧品・サプリメント
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
- 期間:2021/2/15〜2021/7/14(週足)
■中国EC(電子商取引)向けに化粧品・サプリメント
スキンケア、エイジングケアなどを目的とした化粧品、サプリメント(健康補助食品)を製造・販売。2021/2/18に新規上場(東証マザーズ)しました。
売上高の8〜9割を中国のEC(電子商取引)、サロン向けが占めています。
製品は高価格帯(プレミアム)、中価格帯向けで、化粧品は主にスキンケア商品。消費の高度化、化粧人口の拡大などにより中国の化粧品市場は今後も大幅な成長が続くと予測され、販売チャネル全体で中国需要を取り込むべく戦略を推進しています。
■株価はダブルボトムの様相
6/10(木)に決算発表を実施。2021/7期・第3四半期累計(20年8月〜21年4月)の連結業績は、売上高40.6億円、営業利益9.9億円でした。前年同期は四半期財務諸表を作成しておらず比較はありませんが、会社資料の未監査の実績に対しては、売上高が前年比25.4%増、営業利益が同7.9%増となっています。
これを受け会社側は2021/7期の連結業績予想について、売上高51.7億円→56億円(前期比30.5%増)、営業利益12.8億円→13.5億円(同25.6%増)と上方修正しました。
株価は3月1,357円、7月1,431円とダブル・ボトムを形成したように見受けられます。足元は反発の兆しがみられます。
MTG(7806) 美容・フィットネス機器のファブレスメーカー
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
- 期間:2018/7/9〜2021/7/14(週足)
■美容・フィットネス機器のファブレスメーカー
美容・フィットネス機器などの開発・仕入・販売を行っています。美容ローラー、EMS(筋電気刺激)機器など幅広い商品を展開。自社工場は持たず、製造は外部企業に委託するファブレスメーカーとなっています。
業績は2018/9期に売上高583億円、営業利益69億円と、東証1部上場企業並みの水準まで拡大。株価も2018/7に8,120円まで上昇しました。しかし、2019/9期は不適切会計等を背景に262億円の最終赤字を計上。株価も高値から94.3%の大幅下落となりました。
その後、2020/9期は12億円の営業黒字に転換。2021/9期は上半期までで30.3億円の営業黒字を計上し、通期会社計画の30億円を上回る進捗率になっています。
■株価は6月に12連騰後、調整も下げ渋る
株価は6/14(月)から6/29(火)にかけて12連騰し、この間の値上がり率は37.1%に達しました。
足元の株価は5/17(月)をボトムに上昇基調となっていましたが、5/26(水)に自社株買いを発表し、流れが一転。こうした中、6/14(月)に電流で筋肉を鍛える「シックスパッド」について、洗濯可能な新商品を発表したことがきっかけで連騰となったようです。
6/28(月)高値2,234円から7/9(金)安値1,873円まで再び押し目を形成しましたが、現在は下げ渋りつつあるようです。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
- ※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。
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