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≪プライム市場候補13銘柄≫"格上げ"期待の銘柄はコチラ!?

2021/7/28
投資情報部 鈴木 英之

米国株の高値更新を追い風に大型株市場が反発に転じたことから、足元の新興市場も一時反発基調に転じました。個別には脱炭素に向けた動きの他、東京五輪での選手の活躍も好材料となったようです。

こうした中、東京株式市場では市場再編に向けた動きが着々と進んでいます。
市場再編は東証1部銘柄にとっては明暗が分かれる材料ですが、新興市場銘柄にとってはプラス材料になるか、中立材料になるかといった所でしょう。
そこで今回は、市場再編によってプライム市場への“格上げ”が期待される銘柄を抽出しました。

なお、当ページにつきましてはSBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。ぜひ、ご視聴ください。

新興株ウィークリー新しいウィンドウで開きます。※YouTubeに遷移します。

執筆者のプロフィール
SBI証券 投資情報部長 鈴木 英之
・出身 東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味 ハロプロ(牧野真莉愛推し)の応援と旅行(のりテツ)
・特技 どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物 サイゼリヤのごはん
・好きな場所 秋葉原
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。

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1反発も迫力不足か

7/20(火)〜7/27(火)の騰落率は、日経平均株価+2.1%、TOPIX+2.6%、日経ジャスダック平均+1.0%、東証マザーズ指数+0.7%で、総じて反発基調となりました。

米国の主要3指標が7/20(火)〜7/26(月)に5日続伸し、連日で最高値を更新したことが追い風となり、連休を挟んだ7/21(水)〜7/27(火)のジャスダック平均は3日続伸となりました。ただ、7/27(火)・28(水)に開催されるFOMCを控え、様子見気分から売買代金は縮小気味になりました。
こうした中、東京都などでは新型コロナウイルスの新規感染者数が過去最多に。また、中国当局によるIT・教育業界などに対する規制強化を背景に、香港株や上海株が大幅に続落するなど、不穏な空気も強まっています。

個別銘柄では、メガソーラーの開発を行うウエストホールディングス(1407)が、7/20(火)〜7/27(火)に4営業日続伸となりました。これは株式分割を考慮した実質ベースで、上場来高値を示現したことになります。政府が太陽光を含む再生可能エネルギーの総発電量に占める比率を引き上げるなど、脱炭素に向けた動きが追い風となったようです。

この他、7/8(木)に東証マザーズ市場に上場したコラントッテ(7792)が激しい値動きとなりました。
同社は7/14(水)〜7/21(水)に6営業日続落し、計527円(28.4%)下落しましたが、7/26(月)にはストップ高(300円高)に。同社とアドバイザリー契約を行う卓球の伊藤美誠選手が東京五輪で活躍し、伊藤選手が使用している同社製品に注目が高まっています。

図表1 日経ジャスダック平均と東証マザーズ指数の推移

  • ※SBI証券チャートツールを用いてSBI証券が作成。 ※2020/12/30終値を1として指数化。 期間:2020/12/30〜2021/7/27(日足)

図表2 主な新興市場銘柄の値動き

コード 銘柄名 市場 株価(7/27) 週間 年初来
4385 メルカリ 東証マザーズ 5,630 1.26% 20.44%
2702 日本マクドナルドホールディングス ジャスダックS 4,950 0.41% -0.80%
7564 ワークマン ジャスダックS 7,680 3.36% -12.92%
4816 東映アニメーション ジャスダックS 14,420 6.50% 78.22%
6324 ハーモニック・ドライブ・システムズ ジャスダックS 6,000 1.52% -35.38%
4478 フリー 東証マザーズ 10,130 5.30% -2.08%
4483 JMDC 東証マザーズ 5,990 3.63% 0.51%
2782 セリア ジャスダックS 3,995 1.91% 6.36%
1407 ウエストホールディングス ジャスダックS 4,800 10.34% 35.07%
7716 ナカニシ ジャスダックS 2,282 -1.43% 1.38%
【ご参考】 日経平均株価 - 27,970.22 +2.1% +1.9%
TOPIX - 1,938.04 +2.6% +7.4%
日経ジャスダック平均 - 3,995.01 +1.0% +7.4%
東証マザーズ指数 - 1,136.92 +0.7% -5.0%

  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※新興市場(東証マザーズ市場およびジャスダック市場)の時価総額上位10銘柄について、7/27時点での各種騰落率を掲載しています。
  • ※「週間」は7/20〜7/27の騰落率です。
  • ※個別銘柄の「年初来」は昨年末時価総額からのトータルリターンで、配当再投資や株式分割を反映しています。「-」は、昨年末時点で上場していない銘柄です。指数の「年初来」は株価による単純計算です。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

図表3 7/20(火)〜7/27(火)の株価上昇が大きかった主な新興市場銘柄

コード 銘柄名 市場 株価(7/27) 週間 年初来
4177 i−plug 東証マザーズ 7,690 16.87% -
4485 JTOWER 東証マザーズ 7,110 11.27% -32.99%
9467 アルファポリス 東証マザーズ 3,810 10.76% 5.91%
4169 ENECHANGE 東証マザーズ 1,869 10.53% -24.29%
1407 ウエストホールディングス ジャスダックS 4,800 10.34% 35.07%
7342 ウェルスナビ 東証マザーズ 4,270 9.91% 67.79%
4436 ミンカブ・ジ・インフォノイド 東証マザーズ 3,835 8.64% -1.60%
9441 ベルパーク ジャスダックS 7,280 7.37% 6.80%
3798 ULSグループ ジャスダックS 4,830 6.86% 34.40%
4816 東映アニメーション ジャスダックS 14,420 6.50% 78.22%

  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※新興市場(東証マザーズ市場およびジャスダック市場)において、株価上昇率が大きい上位10銘柄(時価総額250億円以上)を掲載。
  • ※「週間」は7/20〜7/27の騰落率です。
  • ※「年初来」は昨年末時価総額からのトータルリターンで、配当再投資や株式分割を反映しています。「-」は、昨年末時点で上場していない銘柄です。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

2プライム市場に格上げ期待の銘柄はコチラ!?

2022/4/4(月)以降、東証の市場再編が実施されます。
これまで東証の上場企業は一部、二部、マザーズ、ジャスダック(スタンダード、グロース)の4市場に区分されていましたが、今後はプライム、スタンダード、グロースの3市場に括り直される予定です。
条件を満たせば、ジャスダックや東証マザーズに上場している銘柄が、プライムに“格上げ”され、市場での認知度が高まるケースも想定されます。

既に東証は上場企業に対して数値基準等を元に、妥当な市場区分を通知しています。実際に「プライム市場が妥当」と通知された企業(おもに東証1部企業)の一部は、投資家へ情報開示を実施しています。
なお、来年1月には新市場区分の一覧が公表される予定で、それまでは予想される新市場区分を材料とした個別銘柄の売買が続きそうです。

そこで今回は、新市場区分でプライム市場に上場可能な銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行いました。
下記、全ての条件を満たす銘柄を時価総額の大きい順に並べたものが図表4です。
(1)東証マザーズまたはジャスダック市場上場銘柄。
(2)時価総額250億円以上。
(3)純資産が50億円以上。
(4)浮動株比率が40%以上。
(5)浮動株時価総額が100億円以上。
(6)次の2つの条件のいずれかひとつを満たしていること。
  ・時価総額1,000億円以上、かつ売上高(前期)が100億円以上。
  ・経常利益の過去2期の合計額が25億円以上。

図表4 新市場区分でプライム市場への“格上げ”が期待される銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄 株価(7/27) 時価増額(億円) 浮動株比率 株主数(人)
2702 2702 2702 2702 日本マクドナルドホールディングス 4,950 6,562 61.2% 270,000
4483 4483 4483 4483 JMDC(M) 5,990 3,428 40.3% 4,080
2782 2782 2782 2782 セリア 3,995 2,992 58.9% 8,850
7716 7716 7716 7716 ナカニシ 2,282 2,185 68.2% 3,500
1407 1407 1407 1407 ウエストホールディングス 4,800 2,131 46.6% 7,400
6890 6890 6890 6890 フェローテックホールディングス 2,928 1,111 92.0% 21,690
6145 6145 6145 6145 NITTOKU 3,910 710 76.0% 4,820
2790 2790 2790 2790 ナフコ 1,919 587 44.7% 5,630
7826 7826 7826 7826 フルヤ金属 6,800 480 57.2% 3,800
1799 1799 1799 1799 第一建設工業 2,171 453 65.1% 1,530
6629 6629 6629 6629 テクノホライゾン 2,034 421 47.8% 6,820
6957 6957 6957 6957 芝浦電子 4,950 388 96.3% 2,600
3891 3891 3891 3891 ニッポン高度紙工業 3,500 385 66.1% 6,260
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。 ※新市場区分で基準となる各銘柄の「流動株比率」は現時点で公開されていないため、当レポートは浮動株比率に代えて分析しています。
  • ※浮動株比率=発行済株式数−固定株比率。「固定株」は大株主・主要株主や従業員持株会の保有株合計。東証が定義する「流動株」とは異なります。
  • ※各銘柄が上場する新市場区分が、プライム市場以外になる可能性もあります。
  • ※株主数は概数のため、下1桁はすべてゼロとしています。
  • ※銘柄名カッコ内「M」と記載された銘柄は東証マザーズ市場上場銘柄で、カッコのない銘柄はジャスダック市場上場銘柄。

日本マクドナルドホールディングス(2702) ジャスダック市場・外食業界の時価総額トップ企業

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
  • 期間:2019/8/5〜2021/7/28(週足)

■「マクドナルド」を全国に2,900店超展開
「日本マクドナルド」の持株会社。
「日本マクドナルド」は、世界的なハンバーガー・チェーンである『マクドナルド』を日本で展開しています。2021/3末現在、直営店862、フランチャイズ店2,059店を営業しています。
時価総額は6,500億円超で、ジャスダック市場トップ。また、日本の外食産業でもトップの存在です。
2020/12期は売上高2,883億円(前期比2.3%増)、営業利益312億円(同11.7%増)で5期連続増収・増益。今期も第1四半期売上高が前年同期比5.0%増、営業利益が同19.7%増と好スタート。
既存店売上高は6月が前年同月比14.7%増で、12ヵ月連続のプラスです。

■株主優待で人気。株主数は27万人
大株主の保有比率は、筆頭株主のマクドナルド・レストラン・オブ・カナダが25.2%、マクドAPMEA(シンガポール)インベストメンツが18.5%にとどまり、浮動株比率は約61%と高めです。
株主優待が人気で、株主数は約27万人と東証1部主力企業並みの多さです。
数値基準的には、プライム市場に上場となっても不思議ではない銘柄といえます。

JMDC(4483) 「ビッグデータ」や「遠隔医療」を武器に成長

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
  • 期間:2019/12/16〜2021/7/28(週足)

■「ヘルスビッグデータ」と「遠隔医療」が売上の8割
主力事業は「ヘルスビッグデータ」(売上構成比61%)で、健保組合の保有するデータを分析したり、PHR(個人が自信の健康・医療データを手元で管理する仕組み)サービスの提供、医療機関に対する医療データ分析サービス等を行っています。また、「遠隔医療」(同24%)も稼ぎ頭のひとつで、医療機関と放射線読影医や放射線診断専門医を結びつけています。
2021/3期は売上高167億円(前期比37.9%増)、営業利益36.9億円(同66.8%増)と3期連続で大幅増収・大幅営業増益と急拡大が続いています。
なお、市場では、今後も5年間、営業利益が年20〜30%のペースで増益が続くと予想されています。

■ノーリツ鋼機(7744)が親会社
ペン先や金属部材の製造・販売を行うノーリツ鋼機(7744)が親会社で保有比率は49.1%です。
その他経営陣の保有株はそれ程多い訳ではなく、浮動株比率は約40%を確保。外国人保有比率は27.1%あります。

東証マザーズ上場銘柄の多くが「期待先行」とみなされがちですが、当社は過去4年間で計80億円近い営業利益を確保するなど、業績を伴った成長を遂げています。

ナカニシ(7716) 歯科製品で世界トップクラス

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
  • 期間:2019/8/5〜2021/7/28(週足)

■海外売上高が約4分の3
歯科医院用各種機器で世界トップクラスです。売上構成比(2020/12)は歯科製品が87.8%、工業製品が8.3%です。
主力の歯科機器の地域別売上高は欧米を中心に、海外が全体の77%を占め、世界シェアはトップクラスです。
新型コロナウイルスの感染拡大初期は販売活動ができず、業績が悪化。2020/12期の営業利益は、第1四半期が前年同期比39%減、第2四半期が同42%減と落ち込みました。
しかし、感染予防対策需要の高まりを受け、第3四半期は7.6%増、第4四半期は同25.4%増と回復しました。

2021/12期は前期の補助金効果剥落が警戒され、予想営業利益は85億円で微増が当初計画でした。
しかし、政府補助金は9月まで延期の方針となり、通期予想営業利益は99.9億円(前期比16.9%増)に上方修正しています。

■株式の流動性高い。外国人保有比率は40%
ニッチ分野でシェアの高い企業であり、外国人保有比率は40%と高い企業です。
保有比率が10%を上回る大株主が存在しないこともあり、浮動株比率も約68%と高めです。
利益水準も高めであり、プライム市場上場は会社の方針次第の面もありそうです。

株価はやや調整局面の様相ですが、補助金終了後の業績鈍化が警戒されている面がありそうです。
ただし、仮にプライム市場へ上場すれば、機関投資家保有の増加が期待される銘柄でもあります。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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