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2024-12-10 17:18:38

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≪10月も波乱続きか≫9月の相場から探る10月の新興市場とは

2021/10/6
投資情報部 鈴木 英之

10月も波乱のスタートとなっています。
9月末終値は前月末比で、日経平均が+4.9%、TOPIXが+3.5%、日経ジャスダック平均が+1.1%と上昇を維持しましたが、東証マザーズ指数は-0.7%と下落しました。
前半は新政権への期待感や、新型コロナウイルスの新規感染者数の減少などを背景に上昇。後半は中国の恒大集団問題や、インフレ懸念、長期金利の上昇などを背景とした外国株安などが逆風となって下げました。

こうした中、9月相場ではどのような銘柄が大きく変動したのでしょうか。
今回は10/4(月)に発足した岸田新内閣の政策に関連する銘柄について、触れてみたいと思います。

なお、当ページにつきましてはSBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。ぜひ、ご視聴ください。

新興株ウィークリー新しいウィンドウで開きます。※YouTubeに遷移します。

執筆者のプロフィール
SBI証券 投資情報部長 鈴木 英之
・出身 東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味 ハロプロ(牧野真莉愛推し)の応援と旅行(のりテツ)
・特技 どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物 サイゼリヤのごはん
・好きな場所 秋葉原
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。

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19月後半以降の株安傾向は、10月も継続

9月後半以降の株安傾向は、10月も継続しています。
9/28(火)〜10/5(火)の主要株価指数騰落率は、日経平均株価-7.8%、TOPIX-6.4%、日経ジャスダック平均-3.4%、東証マザーズ指数-4.4%でした。
9/28(火)〜10/5(火)の6営業日で、日経平均株価、TOPIXは共に「全敗」。同期間、日経ジャスダック平均と東証マザーズ指数は、全敗こそ免れたものの、株式市場全般への逆風を背景に、おおむね売り優勢の展開となりました。

時価総額上位銘柄の中では、ハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)の下げが目立ちました。
同社の減速機は小型産業用ロボット向けに製造されており、中国経済の成長に乗って成長してきました。恒大集団問題で中国経済への不透明感が強まっており、9/15(水)以降は、“変わらず”の日が1日だけで、あとは前営業日下落と厳しい下げになっています。(図表2)

値上がり率上位銘柄では、識学(7049)がトップになりました。
9/30(木)に発表された2022/3期・中間期の業績が順調で、それを好感した買いが優勢となりました。9/30(木)に緊急事態宣言が解除され、今後は旅行需要の回復が期待されるとの見方から、航空券予約サイトのアドベチャー(6030)も買われました。(図表3)

図表1 日経ジャスダック平均と東証マザーズ指数の推移

  • ※SBI証券チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※2020/12/30終値を1として指数化。
  • 期間:2020/12/30〜2021/10/5

図表2 主な新興市場銘柄の値動き

コード 銘柄名 市場 株価(10/5) 週間 年初来
4385 メルカリ 東証マザーズ 6,200 3.7% 37.8%
4816 東映アニメーション ジャスダックS 20,090 -4.4% 148.3%
2702 日本マクドナルドホールディングス ジャスダックS 5,200 -0.8% 4.0%
7564 ワークマン ジャスダックS 6,090 -9.2% -30.8%
6324 ハーモニック・ドライブ・システムズ ジャスダックS 5,130 -10.9% -44.4%
4478 フリー 東証マザーズ 7,840 -4.6% -12.2%
4483 JMDC 東証マザーズ 6,720 -11.1% 18.0%
2782 セリア ジャスダックS 3,935 -1.1% 3.8%
4194 ビジョナル 東証マザーズ 7,370 3.8% -
2484 出前館 ジャスダックS 1,757 -0.6% -14.2%
【ご参考】 日経平均株価 - 27,822.12 -7.8% 1.4%
  TOPIX - 1,947.75 -6.4% 7.9%
  日経ジャスダック平均 - 3,925.65 -3.4% 5.5%
  東証マザーズ指数 - 1,078.13 -4.4% -9.9%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※新興市場(マザーズおよびジャスダック)の前月末時価総額上位10銘柄について、10/5時点での各種騰落率を掲載。
  • ※「週間」は9/28〜10/5の騰落率。
  • ※個別銘柄の「年初来」は昨年末時価総額と10/5時点の時価総額の比較。「-」は昨年末時点で上場していない銘柄。
  • ※指数の「年初来」は株価による単純計算。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

図表3 9/28(火)〜10/5(火)で株価上昇が大きかった新興市場銘柄

コード 銘柄名 市場 株価(10/5) 週間 年初来
7049 識学 東証マザーズ 2,022 36.7% 57.7%
6030 アドベンチャー 東証マザーズ 8,920 15.7% 114.7%
4888 ステラファーマ 東証マザーズ 675 10.8% -
4169 ENECHANGE 東証マザーズ 3,765 9.4% 83.2%
3498 霞ヶ関キャピタル 東証マザーズ 2,283 7.8% 30.2%
6034 MRT 東証マザーズ 2,021 6.6% 38.4%
7157 ライフネット生命保険 東証マザーズ 1,303 6.0% -7.1%
4176 ココナラ 東証マザーズ 1,784 4.6% -
9270 バリュエンスホールディングス 東証マザーズ 3,105 4.2% -18.8%
7777 スリー・ディー・マトリックス ジャスダックG 299 4.2% 22.6%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※新興市場(マザーズおよびジャスダック・前月末時価総額100億円以上)において、週間の株価上昇率が大きい上位10銘柄を掲載。
  • ※「週間」は9/28〜10/5の騰落率
  • ※「年初来」は昨年末時価総額と10/5時点の時価総額の比較。「-」は昨年末時点で上場していない銘柄。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

2≪9月に大きく動いた銘柄≫その変動理由と今後の展望

9月に大きく動いた銘柄は、図表4および5の通りです。
9/3(金)に菅前首相が自民党総裁選挙への不出馬を表明したことで、株式市場では新政権に関連する銘柄への物色が広がりました。以下は、岸田新総裁の政策に関わっていると考えられ、今後も株式市場で注目されることが期待される銘柄です。

■JIG-SAW(3914)
インターネット関連の自動監視・運用サービス。サイバーセキュリティは経済安保の重要テーマか。
■すららネット(3998)
オンライン対話型アニメーション学習教材。当社は教育格差の根絶をめざす。
■ココペリ(4167)
地方や中小企業の支援は重要テーマ。当社は中小企業向け経営支援プラットフォームを展開。
■SEMITEC(6626)
岸田内閣は原発再稼働を計りながらクリーンエネルギー政策を推進か。EV(電気自動車)普及でセンサー搭載量が増加する見込み。
■サーキュレーション(7379)
格差是正をめざす中で“雇用”が注目される。雇用契約を前提としない人材紹介を展開。

図表4 9月に大きく上昇した新興銘柄

コード 銘柄名 市場 株価(10/5) 月間 年初来
7298 八千代工業 ジャスダックS 979 60.5% 67.9%
4169 ENECHANGE 東証マザーズ 3,765 57.9% 83.2%
4051 GMOフィナンシャルゲート 東証マザーズ 30,600 51.4% 85.9%
4888 ステラファーマ 東証マザーズ 675 39.5% -
7049 識学 東証マザーズ 2,022 34.2% 57.7%
6030 アドベンチャー 東証マザーズ 8,920 29.1% 114.7%
6067 インパクトホールディングス 東証マザーズ 4,460 23.9% 55.7%
4487 スペースマーケット 東証マザーズ 1,085 22.9% 42.7%
6626 SEMITEC ジャスダックS 10,410 22.5% 102.5%
4490 ビザスク 東証マザーズ 5,500 21.3% 24.6%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※新興市場(東証マザーズ市場およびジャスダック市場銘柄・前月末時価総額100億円以上)において、8/31(火)〜10/5(火)の株価上昇率が大きい上位10銘柄を掲載。
  • ※「年初来」は昨年末時価総額と10/5時点の時価総額の比較。「-」は昨年末時点で上場していない銘柄。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

図表5 9月に大きく下落した新興銘柄

コード 銘柄名 市場 株価(10/5) 月間 年初来
3491 GA technologies 東証マザーズ 1,013 -48.1% -61.4%
4584 キッズウェル・バイオ 東証マザーズ 518 -35.6% 12.7%
7379 サーキュレーション 東証マザーズ 2,998 -28.6% -
2978 ツクルバ 東証マザーズ 1,001 -28.4% 51.2%
4167 ココペリ 東証マザーズ 3,085 -26.8% -54.4%
7036 イーエムネットジャパン 東証マザーズ 2,613 -26.7% 135.9%
4699 ウチダエスコ ジャスダックS 2,323 -26.0% -21.4%
3998 すららネット 東証マザーズ 2,048 -25.6% -60.7%
3914 JIG-SAW 東証マザーズ 7,330 -25.1% -34.3%
4180 Appier Group 東証マザーズ 1,337 -25.0% -
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※新興市場(東証マザーズ市場およびジャスダック市場銘柄・前月末時価総額100億円以上)において、8/31(火)〜10/5(火)の株価下落率が大きい上位10銘柄を掲載。
  • ※「年初来」は昨年末時価総額と10/5時点の時価総額の比較。「-」は昨年末時点で上場していない銘柄。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

以下、図表5から一部の銘柄について、ポイントをご紹介します。

サーキュレーション(7379) 日本最大級のプロ人材データベースをもつ

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
  • 期間:2021/7/27〜2021/10/6(日足)

■「プロシェアリング」のリーディングカンパニー
複数の企業が、外部のプロフェッショナルの知識や経験を共有することを「プロシェアリング」といいます。同社はこうしたサービスを提供する業界のリーディングカンパニーです。
企業は、新規事業開発、業態変革・DX、WEBマーケティング、業務改善、AI・機械学習等多くの分野で課題を持っていますが、これらの課題を解決してくれるプロ人材を数多く(2021/7末までに登録・17,814人)抱えているのが当社の強みと言えます。
アサヒグループホールディングス、キリンホールディングス、デンソーなど、日本を代表するような大手企業も取引先となっています。

■成長継続を予想〜企業の格差是正に貢献も
9/13(月)に2021/7期業績を発表。会社資料では売上高55億円(前期比37.8%増)、営業利益4.8億円(前年同期は1.3億円赤字)となりました。創業された2014/7期以降、7期連続で売上高が増加し、年平均72.9%の売上成長となっています。
2019/7期から2021/7期に、稼働プロジェクト数は3,842件から8,631件、取引企業数(累積)1,512社から3,052社、登録プロ人材数(累積)12,914人から17,814人と、重要な経営指標も軒並み成長を続けています。
予想営業利益(Bloombergコンセンサス)については2022/7期5.7億円、2023/7期は9.2億円へ拡大する見込みです。株価は9/3(金)を高値に下落中ですが、足元は会社予想営業増益率が鈍いことが要因とみられ、今後期待以上の業績を達成すれば、株価が出直る可能性もありそうです。
同社サービスを利用することで、地方の中小企業が大企業との格差を埋めることも可能と言えそうです。

すららネット(3998) 学力格差の根絶を目指す

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
  • 期間:2019/10/19〜2021/10/4(週足)

■オンラインの対話型アニメーション学習教材を提供
オンラインの対話型アニメーション学習教材「すらら」を、主に全国の学習塾や学校などを通じ、子供に提供しています。教育格差の根絶を目指し、学力や所得、地域や健康上の理由等で学習を進めることが困難な子供でも学力を底上げできるようなサービスをめざしています。
このサービスは主に小学校低学年から高校生までの国語・算数(数学)・英語の3教科が対象です。対話型のアニメーションやゲーム要素を取り入れ、学力に合わせた問題の難易度自動調整など個々に最適化した学習が行えるのが特徴です。
 
■足元の株価は急落も、岸田政権の政策と親和性
同社は8/23(月)に業績予想の上方修正を発表。2021/12期の予想営業利益(会社予想)は従来の3.2億円から4.4億円(前期比18.3%減)に上方修正されました。先端的教育ソフトウェア導入実証事業費補助金の交付決定他が要因と考えられます。予想営業利益(Bloombergコンセンサス)については2021/12期4.8億円から2022/12期は6.0億円へ拡大する見込みです。
上記の業績修正以降は目立った動きはなく、9月の株価下落は自律調整とみられます。足元は9/27(月)の取引時間中高値2,759円から10/5(火)同安値2,023円まで短期間で26.7%も急落し、10/6(水)は押し目買いの兆しが出ているようです。
こども庁創設へ野田聖子氏が担当大臣になったことも追い風とみられますが、事業内容で格差是正をめざしている点も、岸田内閣の政策と親和性が強く、好感されそうです。

JIG-SAW(3914) サイバーセキュリティ関連が改めて注目されれば出直りか

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
  • 期間:2020/10/12〜2021/10/4(週足)

■インターネットの自動監視・運用を展開
同社はインターネットサービスやインターネットに接続される機器の自動監視・運用サービスを中心に事業を行っています。モノとモノがインターネットでつながるIoT分野で事業拡大をめざしています。 
8/6(金)に2021/12期・第2四半期の業績を発表。売上高は13.1億円(前年同期比27.1%)、営業利益1.9億円(同44.5%)、純利益1.2億円(同32.9%減)でした。安定した完全ストック型ビジネスモデルを背景とする継続課金売上高は、上場以来26四半期連続で最高を記録し、本業の収益は拡大してきました。
ただ、2021/12期の連結業績予想は未定で、ストック型ビジネスの堅調な推移により過去最高の売上高が見込まれる状況ですが、グローバルなIoT事業の大きな成長とそのための事業投資に関する不確定な要素が多く、適正かつ合理的な業績予想の策定が困難とされています。

■サーバーセキュリティ分野は経済安全保障にも関連
株価は第2四半期業績を好感して8月は上昇しましたが、9月は下落に転じました。特に大きな悪材料が出た訳ではなく、グロース銘柄全般の調整が影響したようです。
内閣に経済安全保障が新設され、サイバーセキュリティは重要なテーマといえます。
総裁選でサイバーセキュリティの重要性を訴えていた高市早苗氏が自民党政調会長に就任したことで、サイバーセキュリティ関連銘柄として同社への注目が高まる可能性がありそうです。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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