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2024-12-15 04:29:57

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≪業績・株価の本格的な回復に期待≫イベント関連10銘柄

2021/11/24
投資情報部 鈴木 英之

上場企業の決算発表は11/15(月)にほぼ一巡しました。今期の決算発表は業績見通しの上方修正も多く、主要株価指数に追い風となりました。しかし、決算発表一巡後の11/16(火)は業績予想上方修正という好材料も乏しくなり、利益確定売りに押されやすくなりました。
とはいえ、不安になる必要はないと思われます。
東証マザーズ指数の騰落率を過去10年間、11/15〜11/30の期間(休日の場合は直前営業日)について調べてみると、上昇は8回、下落は2回、平均4.7%上昇という好成績でした。利益確定売り先行後は年末相場に向けて、好業績株や有力テーマ株を中心に堅調な相場が期待できる傾向にあるようです。また、決算発表シーズン後は、業績数字で一喜一憂する必要がなくなり、腰を据えて物色対象を選別できる時期でもあります。
折しも、国内における新型コロナウイルスの感染者数は減少傾向にあり、政府も行動規制等の緩和を進めています。そこで今回は、飲食サービスや旅行同様、“コロナ禍”で大きな打撃を受けたイベント関連銘柄についてご紹介したいと思います。

なお、当ページにつきましてはSBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。ぜひ、ご視聴ください。

新興株ウィークリー新しいウィンドウで開きます。※YouTubeに遷移します。

執筆者のプロフィール
SBI証券 投資情報部長 鈴木 英之
・出身 東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味 ハロプロ(牧野真莉愛推し)の応援と旅行(のりテツ)
・特技 どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物 サイゼリヤのごはん
・よくいくところ 京都
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。

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1全体的には低調も、好決算銘柄に継続した買い

11/16(火)〜11/22(月)のジャスダック平均は0.1%安、東証マザーズ指数は0.8%安となりました。同期間、日経平均株価も0.1%安となりました。

こうした中、時価総額トップのメルカリ(4385)は同期間、6.1%上昇しました。
同社は10/29(金)に第1四半期(2021/7〜9期)の営業利益が前年同期比2.3倍になったことを発表。11/17(水)には、みずほ銀行と「メルカリボックス」での協業を発表し、上昇に弾みを付けました。ただ、11/23(火)に代金トラブルの報道があり、11/24(水)は売り先行となりました。

図表3のほとんどは、直近で決算発表や業績予想の上方修正を発表し、その後に株価が急騰した銘柄です。
AI(人工知能)を活用したデータ解析を行うFRONTEO(2158)は同期間、28.9%も急騰しました。11月に入り、ジリ高傾向を辿ってきましたが、11/15(月)に行った決算発表で今期業績見通しの上方修正を発表したことが好感され、11/16(火)に上昇加速となりました。
また、医薬品開発のシンバイオ(4582)は同期間に27.1%上昇。11/11(木)に2021/12期第3四半期の営業損益が黒字転換したことを発表し、11/12(金)以降5連騰しました。
田中化研(4080)は過去10期で9期も営業赤字の会社でしたが、10/26(火)に決算を発表。今期(2022/3期)の単独最終損益を6.5億円の赤字から8億円の黒字に上方修正し、株価が急騰しました。11/22(月)終値1,982円は10月末終値1,112円に対して78.2%の上昇となっています。なお、11/16(火)〜11/22(月)の株価は特に大きな材料もなく、上昇の勢いが維持されました。

図表1 日経ジャスダック平均と東証マザーズ指数の推移

  • ※SBI証券チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※2020/12/30終値を1として指数化。
  • 期間:2020/12/30〜2021/11/22

図表2 主な新興市場銘柄の値動き

コード 銘柄名 市場 株価(11/22) 週間 年初来
4385 メルカリ 東証マザーズ 7,320 6.1% 62.9%
4816 東映アニメーション ジャスダックS 17,310 -3.4% 114.0%
2702 日本マクドナルドホールディングス ジャスダックS 5,130 0.2% 2.6%
7564 ワークマン ジャスダックS 6,230 -2.0% -29.2%
4483 JMDC 東証マザーズ 8,980 -0.2% 57.9%
6324 ハーモニック・ドライブ・システムズ ジャスダックS 4,695 4.3% -49.1%
4478 フリー 東証マザーズ 7,940 -2.2% -10.8%
4194 ビジョナル 東証マザーズ 8,570 -3.7% -
1407 ウエストホールディングス ジャスダックS 6,590 -0.6% 80.5%
2782 セリア ジャスダックS 3,560 -1.4% -6.1%
【ご参考】 日経平均株価 - 29,774.11 -0.1% 8.5%
  TOPIX - 2,042.82 -0.4% 13.2%
  日経ジャスダック平均 - 4,017.78 -0.1% 8.0%
  東証マザーズ指数 - 1,166.63 -0.8% -2.5%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※新興市場(マザーズおよびジャスダック)の前月末時価総額上位10銘柄について、11/22時点での各種騰落率を掲載。
  • ※「週間」は11/16〜11/22の騰落率。
  • ※個別銘柄の「年初来」は昨年末時価総額と11/22時点の時価総額の比較。「-」は昨年末時点で上場していない銘柄。
  • ※指数の「年初来」は株価による単純計算。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

図表3 11/16(火)〜11/22(月)で株価上昇が大きかった新興市場銘柄

コード 銘柄名 市場 株価(11/22) 週間 年初来
2158 FRONTEO 東証マザーズ 4,440 28.9% 620.2%
4582 シンバイオ製薬 ジャスダックG 1,781 27.1% 373.0%
7036 イーエムネットジャパン 東証マザーズ 3,955 26.0% 257.4%
4080 田中化学研究所 ジャスダックS 1,982 22.6% 67.4%
4180 Appier Group 東証マザーズ 1,812 19.4% -
7094 NexTone 東証マザーズ 5,060 17.1% 109.0%
4169 ENECHANGE 東証マザーズ 8,510 14.7% 316.8%
3491 GA technologies 東証マザーズ 1,625 14.5% -37.9%
6677 エスケーエレクトロニクス ジャスダックS 1,140 13.8% -14.2%
7685 BuySell Technologies 東証マザーズ 4,525 13.6% 54.5%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※新興市場(マザーズおよびジャスダック・前月末時価総額100億円以上)において、週間の株価上昇率が大きい上位10銘柄を掲載。
  • ※「週間」は11/16〜11/22の騰落率
  • ※「年初来」は昨年末時価総額と11/22時点の時価総額の比較。「-」は昨年末時点で上場していない銘柄。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

2行動規制緩和でイベント関連銘柄の業績回復に期待感

新型コロナウイルスの新規感染者数は欧米で再び増加傾向となり、一部では再び行動制限を強化する国も出ています。
一方、日本では新規感染者数が減少傾向にあり、11/22(月)時点は135人(7日移動)となっています。

こうした中、政府は11/19(金)に飲食やイベントの行動規制を緩和することを決定しました。
これまで大規模イベントの人数制限については、緊急事態宣言発令地域では「5,000人か定員×50%の少ない方」、まん延防止等重点措置の地域では「5,000人」、それ以外の地域では「5,000人か定員×50%の多い方」としてきました。
しかし、今回の規制緩和により緊急事態宣言発令地域の人数制限は10,000人、まん延防止等重点措置の地域では20,000人、それ以外の地域では定員の100%に変更されました。
なお、仮に今後緊急事態宣言が発令された場合、ワクチン・検査パッケージ(ワクチン2回接種か検査陰性証明を条件に人数制限を撤廃)が適用されれば、定員の100%でイベントを開催することも可能となる見込みで、国の制度としても「ウィズ・コロナ」を基本理念とした対策へと大きく舵が切られたようです。

そこで今回は「イベント関連銘柄」に注目しました。
海外での新型コロナウイルス感染対策を考慮すると「旅行」については、インバウンド需要の回復取り込みが期待しにくい分、コロナ禍以前の業績を取り戻すことは難しいと思われます。一方、国内で開催されるイベントはインバウンドの影響がないことから、関連銘柄の業績は予想外に早く回復する可能性もありそうです。

図表4は、新興市場(ジャスダック市場、東証マザーズ市場)の銘柄で、イベント開催が業績に大きく影響を与えると考えられる銘柄を幅広くご紹介しました。その多くは、足元の利益確保に苦戦しており、イベント開催の回復をきっかけに、業績回復が可能になると期待されます。

図表4 業績回復加速期待のイベント関連銘柄

取引 チャート ポート
フォリオ
コード 銘柄 株価
(11/22)
会社概要
2173 2173 2173 2173 博展 544 イベント等の企画、制作
2469 2469 2469 2469 ヒビノ 1,571 音響機器を手掛ける
3995 3995 3995 3995 SKIYAKI 365 ファンクラブやサイトを運営
4317 4317 4317 4317 レイ 358 イベント、CM等の映像制作
4712 4712 4712 4712 KeyHolder 662 グループ会社を通して総合エンターテインメント事業等を展開
4838 4838 4838 4838 スペースシャワーネットワーク 440 番組供給事業者であり、音楽コンテンツ、MV制作等も行う
7050 7050 7050 7050 フロンティアインターナショナル 2,242 イベント等の企画・制作・運営を行う
7058 7058 7058 7058 共栄セキュリティーサービス 3,205 大型複合商業施設をはじめ、イベント等の警備を行う
7094 7094 7094 7094 NexTone 5,060 音楽著作物等の管理の他、通信事業等、幅広く事業を展開
9625 9625 9625 9625 セレスポ 1,240 イベント等の企画、制作、設営、運営および進行
  • ※Bloombergデータ、会社資料、各種報道等をもとにSBI証券が作成。

以下、一部の銘柄について、ポイントをご紹介します。

ヒビノ(2469) 大規模イベントに強み。業績回復期待は継続か

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
  • 期間:2021/6/1〜2021/11/24 14:00時点(日足)

■音響・映像のプローモーター
音響・映像機器の販売やイベント演出などが主な業務。2021/3期の売上構成比は、電気音響・販売施工事業が50.1%、建築音響・施工事業が26.9%、コンサート・イベントサービスが16.3%他となっています。
コンサートについては、コンサート動員ランキング上位20のアーティストのうち、15が同社が担当(2018年・同社Webサイト)であり、大規模コンサートに強みを持ちます。
一方、新型コロナウイルスの感染拡大で大規模でのコンサート開催数が著しく減少し、業績にも悪影響を与えたとみられます。
2019年までの10年間で売上規模が2.9倍に膨らんだコンサート市場ですが、2020年は前年比で78.7%も減る壊滅的な状態に。同社も2021/3期は売上高305億円(前期比25.2%減)、営業赤字40.7億円(前期比53.4億円減益)と苦戦しました。

■業績はすでに底打ち・改善傾向か
2022/3期・第2四半期(累計)は売上高230億円(前年同期比83.9%増)、営業利益17.7億円(同47.9億円増)と改善。なお、会社側は10/27(水)に通期予想営業利益を15億円から19.5億円に上方修正しています。
株価は業績予想が上方修正された日の翌日(10/28)に1,850円まで買われる場面もありましたが、現在は少し下げた水準にあります。
今後は同社が得意される大規模なコンサート市場等の回復が見込まれ、業績回復期待が継続しそうです。

NexTone(7094) 著作権の管理楽曲数が増加基調

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
  • 期間:2021/6/1〜2021/11/24 14:00時点(日足)

■著作権管理事業とキャスティング事業を展開
音楽等の著作権管理事業が売上構成比(2021/3期)で88%を占める主業務です。放送局や音楽配信事業者に利用を許諾し、依頼者に収益を配分しています。権利者が保有するオリジナル動画や音楽原版を利用してYouTubeにアップされた投稿動画を補足し、広告収益の分配を獲得する業務も行っています。

同社は隠れた連続増収・増益銘柄と言えるかもしれません。2021/3期までの3期は3期連続増収で、年平均増収率は39%と高く、営業利益は年平均76.7%の高成長をとげています。
2022/3期も第2四半期(累計)売上高は34.5億円(前年同期比30.4%増)、営業利益2.98億円(同37.4%)と拡大基調を維持。通期会社予想は売上高79.7億円(前期比30.2%)、営業利益7.3億円(同35.3%増)を見込んでいます。

■株価は決算発表後に急騰
新曲の減少や音楽市場の縮小は国内のイベントの縮小にもつながるため、コロナ禍は同社にとっても逆風であったとみられます。しかし、そうした環境下で権利保有者であるアーティストや音楽事務所等が収益多角化を図ったことで、同社の著作権管理業務に追い風になっていた面もあるようです。
YouTube等の投稿動画の市場は、権利者と投稿者の対立構図から、適切な利益配分体制を構築することで共存の方向も出てきた形であり、今後も同社の著作権管理業務は市場として拡大し、音楽市場を下支えする可能性もありそうです。
なお、11/11(木)に決算を行った翌日以降、株価は急騰しています。株価上昇の勢いは続き、図表3に掲載した株価上昇の大きい銘柄にもランクインしています。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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