新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」に対する株式市場の懸念は後退し、軟調だった新興市場は反発局面を迎えつつあります。
そうした中、投資家の視線は2022年に移りつつあります。
2021年の東証1部市場では半導体関連銘柄の活躍が目立ちましたが、その一角を占めるレーザーテック(6920)はかつて新興市場銘柄でした。同社の時価総額は2008年末から463倍にもなっています。そこで、今回は“第2のレーザーテック”を探すべく、銘柄を抽出しました。
なお、当ページにつきましてはSBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。ぜひ、ご視聴ください。
新興株ウィークリー※YouTubeに遷移します。
■執筆者のプロフィール
SBI証券 投資情報部長 鈴木 英之
・出身 東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味 ハロプロ(牧野真莉愛推し)の応援と旅行(のりテツ)
・特技 どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物 サイゼリヤのごはん
・よくいくところ 京都
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。
11/30(火)〜12/7(火)の新興株市場は、Webメディアの収益化・運用支援サービスを行うINCLUSIVE(7078)が大幅高となりました。12/6(月)に信用規制が解除されたことが影響したようです。
AI inside(4488)も大幅高となりました。手書き文字認識AI(人工知能)の開発をきっかけに上昇し、株価は12/3(金)・12/6(月)に2営業日連続でストップ高となりました。
SBI証券 企業調査部では、12/2(木)付でレポートを発行。目標株価を18,000円→20,000円と引き上げるとともに、投資判断についても「中立」から「買い」へ引き上げています。
図表1 日経ジャスダック平均と東証マザーズ指数の推移
- ※SBI証券チャートツールを用いてSBI証券が作成。
- ※2020/12/30終値を1として指数化。 期間:2020/12/30〜2021/12/7
図表2 主な新興市場銘柄の値動き
コード | 銘柄名 | 市場 | 株価(12/7) | 週間 | 年初来 |
4385 | メルカリ | 東証マザーズ | 6,540 | -5.1% | 45.5% |
4816 | 東映アニメーション | ジャスダックS | 16,140 | -1.5% | 99.5% |
2702 | 日本マクドナルドホールディングス | ジャスダックS | 5,050 | 0.0% | 1.0% |
7564 | ワークマン | ジャスダックS | 5,850 | -1.0% | -33.5% |
6324 | ハーモニック・ドライブ・システムズ | ジャスダックS | 4,860 | 3.7% | -47.3% |
4478 | フリー | 東証マザーズ | 6,460 | -5.8% | -27.4% |
4194 | ビジョナル | 東証マザーズ | 8,310 | 1.8% | - |
1407 | ウエストホールディングス | ジャスダックS | 6,340 | -3.2% | 73.7% |
7071 | アンビスホールディングス | ジャスダックS | 11,040 | 0.0% | 124.6% |
2782 | セリア | ジャスダックS | 3,395 | -1.6% | -10.4% |
【ご参考】 | 日経平均株価 | - | 28,455.60 | 2.3% | 3.7% |
TOPIX | - | 1,989.85 | 3.2% | 10.3% | |
日経ジャスダック平均 | - | 3,905.86 | 0.5% | 5.0% | |
東証マザーズ指数 | - | 1,039.90 | -2.9% | -13.1% |
- ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
- ※新興市場(マザーズおよびジャスダック)の前月末時価総額上位10銘柄について、12/7時点での各種騰落率を掲載。
- ※「週間」は11/30〜12/7の騰落率。
- ※個別銘柄の「年初来」は昨年末時価総額と12/7時点の時価総額の比較。「-」は昨年末時点で上場していない銘柄。
- ※指数の「年初来」は株価による単純計算。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
図表3 11/30(火)〜12/7(火)で株価上昇が大きかった新興市場銘柄
コード | 銘柄名 | 市場 | 株価(12/7) | 週間 | 年初来 |
7078 | INCLUSIVE | 東証マザーズ | 2,867 | 42.6% | 931.7% |
4488 | AI inside | 東証マザーズ | 7,610 | 28.1% | - |
4377 | ワンキャリア | 東証マザーズ | 2,460 | 24.6% | - |
6182 | メタリアル | 東証マザーズ | 1,335 | 18.8% | -31.5% |
6912 | 菊水電子工業 | ジャスダックS | 1,394 | 17.1% | 72.3% |
4837 | シダックス | ジャスダックS | 568 | 15.2% | 127.2% |
4591 | リボミック | 東証マザーズ | 777 | 14.9% | 115.0% |
3558 | ロコンド | 東証マザーズ | 1,306 | 14.8% | -40.7% |
7809 | 壽屋 | ジャスダックS | 6,820 | 14.2% | 261.4% |
3628 | データホライゾン | 東証マザーズ | 2,087 | 13.6% | 66.1% |
- ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
- ※新興市場(マザーズおよびジャスダック・前月末時価総額100億円以上)において、週間の株価上昇率が大きい上位10銘柄を掲載。
- ※「週間」は11/30〜12/7の騰落率
- ※「年初来」は昨年末時価総額と12/7時点の時価総額の比較。「-」は昨年末時点で上場していない銘柄。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
新興市場の中でも特に東証マザーズ市場は情報・通信産業のウエイトが高くなっています。
新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけとしたテレワークの拡大に象徴される、デジタル技術を用いた新しい働き方やネットを駆使した巣ごもり消費などで、情報・通信産業の活躍がめだちます。
また、こうした新しいトレンドやAI、IoT、5G等の技術革新、自動車業界のEV化等の動きが重なり、半導体需要も飛躍的に拡大し、半導体関連銘柄もスポットを浴びました。例えば、レーザーテック(6920)は11月に一時33,300円まで上昇し、年初来で株価が2.75倍に上昇しました。
同社が長年成長を続けてこれた理由は、半導体に回路を焼き付ける時の原板となる「フォトマスク」の検査装置市場で約90%のシェアを有し、強い価格支配力を保ってきたことが大きな要因です。
なお、売上高営業利益率は2021/6期で37.1%と高水準です。9期前の2012/6期も24.9%と高水準でしたが、その時から、増減を繰り返しつつも徐々に上がってきたことになります。
同社は1990年に「店頭公開」した企業ですが、2013年に東証1部上場に格上げとなり、今に至ります。時価総額は2008年末の52億円から足元では2.41兆円に膨らみ、およそ463倍となりました。
投資家としてはこうした企業に投資し、保有したいものです。
そこで今回は、「第2のレーザーテック」を探すべく、以下の条件で銘柄をスクリーニングしました。
なお、図表4では以下全ての条件を満たした銘柄をコード番号順に掲載しました。
(1)東証マザーズまたはジャスダック上場銘柄であること。
(2)過去3年間売上高・営業利益ともに10%超の増加が継続。
(3)直前期の売上高営業利益率が10%超で、かつ前々期から向上。
(4)上記を満たしていない時、直近四半期累計の売上高営業利益率が前々期よりも向上。
(5)今期予想売上高・営業利益ともに10%超の増加予想。
図表4 第2のレーザーテックを探せ!高成長期待の6銘柄
取引 | チャート | ポート フォリオ |
コード | 銘柄 | 株価 (12/7) |
過去3年間の平均増収率 | 前期売上高営業利益率 | 今期会社予想営業増益率 |
4496 | 4496 | 4496 | 4496 | コマースOneホールディングス | 1,301 | 14.8% | 22.7% | 10.5% |
4880 | 4880 | 4880 | 4880 | セルソース | 6,790 | 60.5% | 22.4% | 82.9% |
7071 | 7071 | 7071 | 7071 | アンビスホールディングス | 11,040 | 70.3% | 24.7% | 31.2% |
7079 | 7079 | 7079 | 7079 | WDBココ | 6,110 | 20.8% | 20.4% | 38.4% |
7320 | 7320 | 7320 | 7320 | 日本リビング保証 | 2,491 | 30.0% | 19.8% | 10.1% |
7351 | 7351 | 7351 | 7351 | グッドパッチ | 2,698 | 26.0% | 28.0% | 27.6% |
- ※各社公表データ等をもとにSBI証券が作成。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
以下、一部の銘柄について、ポイントをご紹介します。
セルソース(4880) 再生医療分野で利益を増やす
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
- 期間:2021/6/15〜2021/12/8(日足)
■再生医療関連事業で高成長続く
再生医療関連事業(前期売上構成比91%)を中核事業とし、他にコンシューマー事業を手掛けています。
再生医療関連事業は脂肪、血液由来の組織、細胞の加工受託サービスを展開。提携医療機関が患者から採取した脂肪細胞、血液を同社が預かり、再生医療治療に利用できるよう加工しています。
コンシューマー事業では脂肪由来幹細胞の研究成果から独自成分「シグナペプチド」を開発し、それを配合したブランド「シグナリフト」の化粧品を製造・販売しています。
■市場規模拡大に期待
「第1回再生・細胞医療・遺伝子治療開発協議会」の議事資料(2020/9)によると、世界の再生医療市場(円換算)は、2020年6,300億円から2030年7.5兆円、2040年12兆円と大きな成長が期待されています。そうした中、当社の「脂肪由来幹細胞加工受託件数」(累計)は2018/10期第1四半期に229社から、2021/10期第3四半期には3,537件まで拡大。「血液由来加工受託件数」(累計)は同期間、807件から23,664件へと拡大が続いています。
2020/10期までの過去3期、売上高の増加率は平均で年60.5%に、営業利益の成長率も年41.1%と高く、2020/10期の売上高営業利益率は22.4%と高くなっています。
会社側では2021/10期に売上高28.1億円(前期比51.5%増)、営業利益7.59億円(同82.9%増)と高成長を計画。ただ、第3四半期累計の営業利益は6.78億円(前年同期比168.5%増・売上高営業利益率は32.2%)に達しており、市場では、予想超過を見込んでいるようです。
グッドパッチ(7351) デザイン業界初の上場企業
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
- 期間:2021/6/15〜2021/12/8(日足)
■デジタルサービスのデザインを支援
2020年6月に東証マザーズに上場。主要な事業としては、「デザインパートナー事業」(前期の売上高構成比は73%)と、「デザインプラットフォーム事業」(同27%)の2事業があります。
前者では、当社がデザインパートナーとして、プロダクト開発、新規事業立ち上げ、ブランド構築、組織支援など、クライアントの課題に並走し、ビジネス成長に貢献します。後者では、同社自らがデザインに関わる様々な課題に向き合い、自分たちで事業を作り、解決していきます。
■CTC(伊藤忠テクノソリューションズ)と資本業務提携
2021/8期までの3期で、売上高は年平均20.8%成長し、前期の売上高営業利益率は14.8%と高めです。2022/8期、会社側は売上高37.7億円(前期比37.8%増)、営業利益5.18億円(同27.8%増)を予想しています。
そうした中、11/10(水)にCTC(伊藤忠テクノソリューションズ(4739)と資本業務提携を締結しました。CTCは当社株を市場買い付けの形で6千万円を上限に購入。今後、サービスの共同開発や、共同での顧客営業、人材交流等を行う予定です。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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