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2024-12-13 21:32:26

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「ウクライナ問題」で脚光のサイバーセキュリティ関連銘柄〜下落相場でも逆行高!?

2022/3/2
投資情報部 鈴木 英之

東京株式市場では2月相場が終わり、主要株価指標は全面安となりました。インフレ進行や金利上昇等に対する懸念が強まったことに加え、月後半はウクライナ情勢の悪化が加わり、投資家のリスク回避姿勢が強まりました。

こうした中、サイバーセキュリティクラウド(4493)やFFRIセキュリティ(3692)など、「サイバーセキュリティ関連銘柄」の値動きの良さが目立ち始めました。トヨタ(7203)の取引先部品メーカーがサイバー攻撃を受け、国内工場の一時的操業停止に追い込まれる事態が発生したことが要因と考えられます。今後、戦争とサイバーセキュリティの問題は不可分の関係と捉えられそうです。

そこで、「新興株ウイークリー」では、新興市場に上場している「サイバーセキュリティ関連銘柄」をご紹介することにしました。

新興株ウィークリー新しいウィンドウで開きます。※YouTubeに遷移します。

執筆者のプロフィール
SBI証券 投資情報部長 鈴木 英之
・出身 東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味 ハロプロ(牧野真莉愛推し)の応援と旅行(のりテツ)
・特技 どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物 サイゼリヤのごはん
・よくいくところ 京都
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。

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12月の株式相場は全面安も、3/1(火)の反発で東証マザーズは底入れの兆し?

東京株式市場では2月相場が終わりました。主要株価指標の騰落率(1/31〜2/28)は日経平均株価が-1.8%、TOPIXが-0.5%、日経ジャスダック平均が-1.1%、東証マザーズ指数が-4.3%と全面安になりました。インフレ進行や金利上昇等に対する懸念が強まったことに加え、月後半はウクライナ情勢の悪化が加わり、投資家のリスク回避姿勢が強まりました。

世界的に「長期金利」の指標的な存在になっている米10年国債利回りは昨年11月末1.449%、同12月末1.512%、本年1月末1.780%、同2月末1.826%と3ヵ月連続で上昇(月足ベース)しました。長期金利の上昇は、米ナスダック市場や東証マザーズ市場のように、グロース銘柄が多い市場には逆風になりやすいと考えられ、足元では東証マザーズ市場の株価下落につながってきたと考えられます。

ただ、日足ベースでみると、米長期金利は1月末1.780%から2/15(火)に2.046%まで上昇した後、2/28(月)に1.826%、3/1(火)には1.723%と逆に急低下してきました。ウクライナで戦争状態が激化する中、安全資産として米債券が買い直され、米長期金利上昇が一服してきたことから2/25(金)〜3/1(火)には、東証マザーズ指数も続伸しました。3/1(火)の東証マザーズ指数は1月末終値を上回っており、底入れ色が強まってきています。

こうした中、直近1週間の騰落率(2/22〜3/1)をみると、これまで大きく下げていた東証マザーズ市場の主力情報通信関連銘柄の値上がりが目立ちました。年初来騰落率でみるとメルカリ(4385)やフリー(4478)はいずれも3割超の下落となっており、足元は「リターン・リバーサル」(株価が大きく下げた銘柄ほど、相場反発時の上昇率が大きくなりやすいというアノマリー)の傾向が表れていたとみられます。

図表1 日経ジャスダック平均と東証マザーズ指数の推移

  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※2021/6/30終値を1として指数化。 期間:2021/6/30〜2022/3/1

図表2 主な新興市場銘柄の値動き

コード 銘柄名 市場 株価(3/1) 週間 年初来
2702 日本マクドナルドホールディングス ジャスダックS 4,960 0.8% -2.6%
4385 メルカリ 東証マザーズ 3,795 11.3% -35.2%
6324 ハーモニック・ドライブ・システムズ ジャスダックS 4,905 6.1% 0.9%
4816 東映アニメーション ジャスダックS 10,540 4.2% -7.9%
7564 ワークマン ジャスダックS 5,400 14.2% -1.8%
4194 ビジョナル 東証マザーズ 8,880 18.1% -8.5%
7071 アンビスホールディングス ジャスダックS 5,540 20.0% 4.7%
4478 フリー 東証マザーズ 4,255 23.2% -33.1%
2782 セリア ジャスダックS 2,969 4.1% -11.0%
1407 ウエストホールディングス ジャスダックS 4,610 15.8% -19.5%
【ご参考】 日経平均株価 - 26,844.72 1.5% -6.8%
  TOPIX - 1,897.17 0.9% -4.8%
  日経ジャスダック平均 - 3,610.98 1.9% -6.9%
  東証マザーズ指数 - 776.18 14.0% -21.4%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※新興市場(マザーズおよびジャスダック)の前月末時価総額上位10銘柄について、3/1時点での各種騰落率を掲載。
  • ※「週間」は2/22〜3/1の騰落率。
  • ※個別銘柄の「年初来」は昨年末〜3/1の騰落率(株式分割等を加味した実質ベース)。
  • ※指数の「年初来」は株価による単純計算。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

図表3 2/22(火)〜3/1(火)で株価上昇が大きかった新興市場銘柄

コード 銘柄名 市場 株価(3/1) 週間 年初来
9245 リベロ 東証マザーズ 2,124 68.8% -24.7%
4056 ニューラルポケット 東証マザーズ 1,670 66.5% 12.6%
4493 サイバーセキュリティクラウド 東証マザーズ 2,133 61.3% 25.5%
2158 FRONTEO 東証マザーズ 2,095 49.4% -36.7%
3692 FFRIセキュリティ 東証マザーズ 1,405 45.9% 8.0%
3628 データホライゾン 東証マザーズ 1,557 42.8% -15.8%
4371 コアコンセプト・テクノロジー 東証マザーズ 7,100 40.3% 0.3%
6067 インパクトホールディングス 東証マザーズ 3,365 33.0% -8.9%
7373 アイドマ・ホールディングス 東証マザーズ 2,746 30.2% -13.6%
4168 ヤプリ 東証マザーズ 2,362 29.6% -36.3%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※新興市場(マザーズおよびジャスダック・前月末時価総額100億円以上)において、週間の株価上昇率が大きい上位10銘柄を掲載。
  • ※「週間」は2/22〜3/1の騰落率
  • ※「年初来」は昨年末時価総額と3/1時点の時価総額の比較。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

2「ウクライナ問題」で脚光のサイバーセキュリティ関連銘柄〜下落相場でも逆行高!?

前項でご説明した通り、東京株式市場では2月相場が終わり、3月相場が始まったばかりのタイミングです。過去約1週間の騰落率(図表3)および過去約1ヵ月の騰落率(図表4)にしても、大きく下げてきた東証マザーズ市場の情報通信関連銘柄に反発の兆しが強まっています。

個別銘柄物色の面で目新しい動きをしているのは、サイバーセキュリティクラウド(4493)やFFRIセキュリティ(3692)など、「サイバーセキュリティ関連銘柄」の一角です。

改めてご説明するまでもなく、ウクライナの領土に対してロシアが侵攻し、戦争状態が激しくなっています。この戦争状態は従来兵器を使った交戦にとどまらず、サイバー上で相手のシステムに入り込むことを狙うようなサイバー戦争の側面も出ています。また、日本においては、3/1(火)には、トヨタ(7203)が、取引先部品メーカーがサイバー攻撃を受けたことを確認し、国内工場の一時操業停止に追い込まれる事態が発生しており、日本政府は、ロシアのウクライナ侵攻でサイバー攻撃が増えていることも踏まえて警戒強化を呼び掛けています。

残念ではありますが、今後、戦争とサイバーセキュリティの問題は不可分の関係と捉えられそうです。今回の紛争においても、当面の停戦を確保できるようになるまでは、株式市場で「サイバーセキュリティ関連銘柄」が折に触れて話題になるような機会が増えると予想されます。

そこで、「新興株ウイークリー」では、新興市場に上場している「サイバーセキュリティ関連銘柄」をご紹介することにしました。
銘柄の抽出条件は以下の通りです。

(1)東証マザーズ市場、またはジャスダック市場上場銘柄
(2)各種報道等で「サイバーセキュリティ関連銘柄」と扱われることが多く、事業内容的にも関連性が深いこと。
(3)直近四半期(3ヵ月)実績、今期(通期)会社予想ともに営業利益が黒字。
(4)直近10営業日の出来高が最低の日でも1万株以上の出来高を確保していること。

図表5の銘柄は、これらの条件をすべて満たしており、足元の株式市場では「逆行高」の様相を呈しています。なお、掲載の順番は3/1(火)の取引で大きく値上がりした順になっています。

図表4 直近約1ヵ月(1/31〜3/1)で大きく上昇した新興市場銘柄

コード 銘柄名 市場 株価(3/1) 対1/31 年初来
4592 サンバイオ 東証マザーズ 2,077 91.8% 106.3%
2438 アスカネット 東証マザーズ 1,435 79.6% 86.8%
4493 サイバーセキュリティクラウド 東証マザーズ 2,133 77.3% 25.5%
4056 ニューラルポケット 東証マザーズ 1,670 72.2% 12.6%
4293 セプテーニ・ホールディングス ジャスダックS 643 54.2% 32.0%
3692 FFRIセキュリティ 東証マザーズ 1,405 40.1% 8.0%
2160 ジーエヌアイグループ 東証マザーズ 1,433 37.7% -3.2%
3906 ALBERT 東証マザーズ 5,100 35.3% 22.0%
1407 ウエストホールディングス ジャスダックS 4,610 34.8% -19.5%
9245 リベロ 東証マザーズ 2,124 34.4% -24.7%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※新興市場(マザーズおよびジャスダック・前月末時価総額100億円以上)において、直近約1ヵ月の株価上昇率が大きい上位10銘柄を掲載。
  • ※「対1/31」は3/1終値を1/31終値と比較した変化率。
  • ※「年初来」は昨年末時価総額と3/1時点の時価総額の比較。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

図表5 「ウクライナ問題」で脚光のサイバーセキュリティ関連銘柄(新興銘柄)

取引 チャート ポート
フォリオ
コード 銘柄 株価
(3/1)
変化率
(1日)
対1/31
4493 4493 4493 4493 サイバーセキュリティクラウド 2,133 +23.1% +77.3%
3692 3692 3692 3692 FFRIセキュリティ 1,405 +21.4% +40.1%
4475 4475 4475 4475 HENNGE 990 +17.9% -20.5%
3857 3857 3857 3857 ラック 860 +6.2% +17.5%
3356 3356 3356 3356 テリロジー 424 +5.7% +18.4%
3562 3562 3562 3562 No.1 850 +5.6% +13.6%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※新興市場(マザーズおよびジャスダック・前月末時価総額100億円以上)において、前述の条件で抽出した銘柄を、3/1(火)の取引で大きく値上がりした順に掲載。
  • ※「変化率(1日)」は3/1終値を2/28終値と比較した変化率。「対1/31」は3/1終値を1/31終値と比較した変化率。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

以下、一部の「サイバーセキュリティ関連銘柄」について、ポイントをご紹介します。

サイバーセキュリティクラウド(4493)〜クラウド型セキュリティサービスを提供

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
  • 期間:2021/9/3〜2022/3/2(日足)12:55時点

■「攻撃遮断くん」が中心

当社は、クラウド型セキュリティサービス「攻撃遮断くん」を中心にWebセキュリティ事業を展開しています。

 「攻撃遮断くん」は、Webアプリケーションに対するサイバー攻撃を検知・遮断・可視化する、クラウド型のセキュリティサービスです。収益は使用した期間に応じて受領する月額課金と、初期導入費用、スポット費用で、ストック型収益が9割を超えています。

強みは、自社にて開発から運用、サポートまで一気通貫して対応できることで、顧客満足度を高めながらサービス提供を行うことで、月次平均解約率も低水準を維持しています。

■決算発表を経て株価は上昇

当社は3/1(火)にリリースを発表し、国内企業へのサイバー攻撃が急激に増加しているとして注意を促しています。国内15,000以上のサイトを対象とした当社の調べでは、2/16以降、直近3ヵ月平均に比べ最大25倍の不正アクセスが検知されているようです。

業績は好調で、2021/12期は売上高18.1億円(前期比52.2%増)、営業利益2.97億円(同57.8%増)に拡大しました。2022/12期は売上高23億円(同26.6%増)、営業利益3.9億円(同31.3%増)を予想(会社計画)しています。

株価は決算発表(2/14)翌日から上昇基調となり、足元はウクライナ情勢を受けたサイバーセキュリティ関連株への追い風を強く受ける形になっています。ただ、チャート上200日移動平均線に絡んできた点は注意が必要かもしれません。

HENNGE(4475)〜クラウド型セキュリティサービスを提供

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
  • 期間:2021/9/3〜2022/3/2(日足)11:30時点

■企業向けにクラウドセキュリティサービスを提供

当社は主に企業向けにクラウドでセキュリティサービスを提供しています。企業が利用している複数のクラウドサービスを単一パスワードやIDで利用できるソリューション(IDaas:アイダース)を提供しています。このサービスでは、アクセス制限や情報漏洩防止サービス等の機能も提供されています。

ビジネスモデルは、こうしたサービスの提供でユーザーから年額の利用料を得ることが中心で、ストック型のビジネスモデルと言えそうです。

2022/9期は売上高57.8億円(前期比19.3%増)、営業利益4.34億円(同14.2%増)と増収・増益を予想。これに対し、2/10(木)発表の第1四半期売上高は13.1億円(前年同期比15.8%増)、営業利益1.94億円(同3.4%減)でした。

■株価は半年で80%下落

株価は過去半年間、昨年9/27の高値3,725円から2/24の安値727円まで約80%も下げました。東証マザーズ市場全般の不振に加え、前期決算、今期第1四半期決算ともに、発表後に株価は下落しており、業績の伸び悩みも原因かもしれません。

契約企業数やユーザー数の増加は継続しているものの、市場の期待には届いていない可能性もありそうです。

当社についてはSBI証券企業調査部でも調査をし、レポートを作成していますので、投資判断や目標株価の変更等にご注意ください。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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  • 本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。
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