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2024-12-13 21:58:30

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厳しい投資環境で逆に、好業績・割安銘柄に投資チャンスも!?

2022/3/9
投資情報部 鈴木 英之

東京株式市場は、下落局面が続いています。世界的にインフレ高進への懸念が続いている他、ウクライナ情勢が深刻化し、投資家のリスク許容度が低下していると考えられます。

ただ、厳しい投資環境が続くことで、好業績銘柄や割安銘柄が株安のまま放置され、投資家に買い場を提供している可能性もあると考えられます。そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、アナリストが好業績を予想しているにもかかわらず、予想PERがさほど高くない銘柄を抽出してみました。

新興株ウィークリー新しいウィンドウで開きます。※YouTubeに遷移します。

執筆者のプロフィール
SBI証券 投資情報部長 鈴木 英之
・出身 東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味 ハロプロ(牧野真莉愛推し)の応援と旅行(のりテツ)
・特技 どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物 サイゼリヤのごはん
・よくいくところ 京都
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。

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1厳しい投資環境は継続中

東京株式市場では、株価の下落局面が続いています。年初来から3/8(火)まで、日経平均株価は13.9%、東証マザーズ指数は31.0%、日経ジャスダック平均は11.0%、それぞれ下落しました。世界的にインフレ高進、金利上昇に対する懸念が強まったためです。同じ期間、原油先物相場(WTI先物)は64.5%上昇し、米10年国債利回りは1.51%から1.84%と上昇しました。

金利上昇は、PERやPBRが高いグロース銘柄には逆風と考えられます。国内主要株式市場の中で、東証マザーズ市場はグロース銘柄が中心の市場と捉えられています。したがって、年初来の株価下落率については、東証マザーズ指数が突出する形になりました。

ただ、昨年末から3/8(火)までの期間を、(1)昨年末〜2/24(木)、(2)2/24(木)〜3/8(火)という2つの期間に二分すると、後者では、日経平均株価が4.5%、日経ジャスダック平均が1.3%下落しましたが、反対に東証マザーズ指数は4.5%上昇しました。2/24(木)には実質的に、ロシアのウクライナ侵攻が始まりましたが、そうした地政学的なリスクの高まりを受け、債券は買い直される展開になりました。

すなわち、(1)の期間に米10年国債利回りは上昇しましたが、(2)の期間に同利回りは低下へと転換しました。ここで金利低下はグロース銘柄に追い風となり、東証マザーズ指数の上昇要因となりました。ただ、ウクライナ情勢の緊迫化もあり、株式市場は再び下落局面になってしまいました。3/1(火)〜3/8(火)の株価騰落率は、再び東証マザーズ指数の下落が厳しくなっていますが、同指数は2/24(木)の昨年来安値(終値ベース)よりも高い水準を維持しています。一方、日経平均株価や日経ジャスダック平均は、2/24(木)の同安値を更新する動きになっています。

こうした中、コアコンセプト・テクノロジー(4371)の上昇が目立ちました。2/22(火)〜3/4(金)に株価が8営業日続伸し、累計で約2倍になりました。同社は2/25(金)に株式分割の実施を発表しています。また、アスカネット(2438)は3/7(月)に業績予想上方修正を発表し、3/8(火)に株価が約21%弱上昇しました。

図表1 日経ジャスダック平均と東証マザーズ指数の推移

  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※2021/6/30終値を1として指数化。
  • 期間:2021/6/30〜2022/3/8

図表2 主な新興市場銘柄の値動き

コード 銘柄名 市場 株価(3/8) 週間 年初来
2702 日本マクドナルドホールディングス ジャスダックS 4,930 -0.6% -3.1%
4385 メルカリ 東証マザーズ 3,120 -17.8% -46.8%
6324 ハーモニック・ドライブ・システムズ ジャスダックS 4,370 -10.9% -10.1%
7564 ワークマン ジャスダックS 5,040 -6.7% -8.4%
4816 東映アニメーション ジャスダックS 9,190 -12.8% -19.7%
4194 ビジョナル 東証マザーズ 7,810 -12.0% -19.6%
7071 アンビスホールディングス ジャスダックS 4,780 -13.7% -9.6%
1407 ウエストホールディングス ジャスダックS 4,520 -2.0% -21.1%
2782 セリア ジャスダックS 2,655 -10.6% -20.4%
4478 フリー 東証マザーズ 3,445 -19.0% -45.8%
【ご参考】 日経平均株価 - 24,790.95 -7.7% -13.9%
  TOPIX - 1,759.86 -7.2% -11.7%
  日経ジャスダック平均 - 3,450.41 -4.4% -11.0%
  東証マザーズ指数 - 681.72 -12.2% -31.0%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※新興市場(マザーズおよびジャスダック)の前月末時価総額上位10銘柄について、3/8時点での各種騰落率を掲載。
  • ※「週間」は3/1〜3/8の騰落率。
  • ※個別銘柄の「年初来」は昨年末〜3/8の騰落率(株式分割等を加味した実質ベース)。
  • ※指数の「年初来」は株価による単純計算。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

図表3 3/1(火)〜3/8(火)で株価上昇が大きかった新興市場銘柄

コード 銘柄名 市場 株価(3/8) 週間 年初来
4371 コアコンセプト・テクノロジー 東証マザーズ 8,140 14.6% 15.0%
3423 エスイー ジャスダックS 398 5.9% 4.7%
2438 アスカネット 東証マザーズ 1,509 5.2% 96.5%
8898 センチュリー21・ジャパン ジャスダックS 1,017 1.5% 1.0%
6637 寺崎電気産業 ジャスダックS 1,014 1.4% -13.9%
1381 アクシーズ ジャスダックS 3,260 1.2% 0.6%
2221 岩塚製菓 ジャスダックS 3,930 0.8% 0.3%
3628 データホライゾン 東証マザーズ 1,568 0.7% -15.2%
9823 マミーマート ジャスダックS 2,209 0.5% 2.3%
3991 ウォンテッドリー 東証マザーズ 1,510 0.5% -1.0%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※新興市場(マザーズおよびジャスダック・前月末時価総額100億円以上)において、週間の株価上昇率が大きい上位10銘柄を掲載。
  • ※「週間」は3/1〜3/8の騰落率
  • ※「年初来」は昨年末時価総額と3/8時点の時価総額の比較。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

2大幅増益予想でも割安感強い新興銘柄は?

今後の新興市場はどうなるのでしょうか。前項でご説明したように、金利が低下すると、東証マザーズ市場のグロース銘柄を中心に追い風を受けそうです。ただ、ウクライナ情勢の混乱が続き、市場のリスク許容度が低下を続けるならば、逆風が吹き続ける可能性もありそうです。

しかし、厳しい投資環境が続くことで、好業績銘柄や割安銘柄が株安のまま放置され、投資家に買い場を提供している可能性もあると「新興株ウィークリー」では考えています。そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、アナリストが好業績を予想しているにもかかわらず、予想PERがさほど高くない銘柄を抽出してみました。

スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)ジャスダック市場または東証マザーズ市場に上場している銘柄であること。
(2)時価総額が100億円以上であること。
(3)業績予想を公表しているアナリストが2名以上いること。
(4)今期・来期・再来期に市場予想営業利益が増益予想。
(5)(4)の累計営業増益率が50%超であること。
(6)今期予想PER(市場コンセンサス)が30倍未満であること。
(7)直近四半期までの営業利益(累計)が前年同期比10%超の増益であること。
(8)上記(7)が計算できない場合、直近四半期までの営業利益(累計)進捗率が「標準」以上であること。
(9)1日の平均売買高が1万株以上であること。(平均売買高は2/22〜3/8の10営業日で計算)

上記の条件を全て満たしているのが、図表4の銘柄です。また、掲載順は予想PERの低い順となっています。

なお、掲載銘柄の中で三和油化(4125)は、2022/3期・第3四半期累計営業利益が11.9億で、前年同期の数値が未作成です。その為、前年同期と直近四半期までの営業利益(累計)の比較ができません。しかし、通期会社予想営業利益13.8億円に対し、進捗率は86%に達しており、標準(通期会社予想営業利益の4分の3である75%)を上回り、(8)の条件を満たしたと考えられます。

図表4  大幅増益予想でも割安感が強いとみられる新興銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄 株価(3/8) 今期予想PER 3年間累計予想営業増益率
現買信買 チャート 追加 6890 フェローテックホールディングス 2,012 3.7 +200.8%
現買信買 チャート 追加 6957 芝浦電子 5,930 12.1 +112.6%
現買信買 チャート 追加 4800 オリコン 870 12.4 +71.2%
現買信買 チャート 追加 7806 MTG 1,318 14.2 +100.6%
現買信買 チャート 追加 4125 三和油化工業 3,510 14.4 +69.3%
現買信買 チャート 追加 6086 シンメンテホールディングス 880 14.7 +74.2%
現買信買 チャート 追加 6145 NITTOKU 2,356 21.5 +219.5%
現買信買 チャート 追加 4293 セプテーニ・ホールディングス 635 28.0 +147.5%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※3年間累計予想営業増益率は、再来期予想営業利益(市場コンセンサス)を前期営業利益で割って求められた増益率。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

以下、一部の「大幅増益予想でも割安感が強いとみられる新興銘柄について、ポイントをご紹介します。

芝浦電子(6957)〜主力製品のサーミスタはEV向けに拡大期待

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
  • 期間:2021/9/10〜2022/3/9 13:10現在

■EV向けに拡大が予想されるサーミスタの最大手

同社はサーミスタの専業メーカーで最大手です。競合他社はSEMITEC(6626)や、大泉製作所(6618)などがあります。
サーミスタとは、温度の変化によって電気の抵抗が変化する温度センサー(半導体)の一種です。自動車や空調など幅広い用途に用いられています。

なお、サーミスタの市場規模は世界で1,500億円程度とみられていますが、環境保全や5Gの整備等で今後サーミスタが用いられる場面は増加することが見込まれており、着実な成長が期待されます。

会社側は2/7(月)に2022/3期・第3四半期決算を発表しました。2021/10〜12期の営業利益は15.66億円(前年同期比55.4%増)と大幅に拡大しました。これを受けて会社側は通期の予想営業利益を50億円から55億円に上方修正しています。

■サーミスタ市場の拡大加速も?

EV(電気自動車)の拡大により、車載市場のサーミスタ需要は2019年から2030年にかけて数量ベースで7割程度増えると予想されています。

上記のように、会社側は2022年3月期の業績予想をすでに上方修正しています。しかし、2021年4〜12月期の営業利益は43.7億円で、前年同期比137%増でした。通期会社予想営業増益率75.4%を大きく上回るペースで、修正後会社予想営業利益に対する進捗率も79.5%と、さらなる上方修正も可能と考えられます。

当社の営業利益は2022/3期に76%、2023/3期に10%、2024/3期に9%の増益になるというのが市場コンセンサスです。足元で原油高は加速する傾向にありますが、そのことで自動車のEVへのシフトも加速するかもしれません。3/8(火)時点の予想PERは12.1倍(市場コンセンサス)にとどまっており、割安感も強いようです。株価は200日移動平均線を割り込み、目先は下げが加速しやすくなっていますが、むしろ買いチャンスを迎えているのかもしれません。

三和油化(4125)〜昨年12月の新規上場銘柄。「リユース」「リサイクル」に展開

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
  • 期間:2021/12/23〜2022/3/9 14:14現在

■「リユース」「リサイクル」に展開

当社は1965年、自動車関連企業に金属加工油などを販売することを目的に創業されました。1983年、自動車部品の不良品を再生する事業を開始し、さらに1989年に現在のリユース事業とリサイクル事業を、1998年に現在の化学品事業を開始しました。現在は、「環境ニーズを創造する」をテーマに、使用済み廃溶剤や産業廃棄物などの「リユース」「リサイクル」、化学品や自動車向け油剤の製造・販売などを行っています。

当社は12/23(木)、ジャスダック市場に新規上場しました。初値は4,020円で公開価格3,500円を14.9%を上回り、12/24(金)には一時5,420円まで上昇し、現状ではそこが上場来高値となっています。

■初めての決算発表は順調

当社は2/14(月)に2022/3期・第3四半期(累計)の決算発表を実施しました。売上高は112.45億円、営業利益は11.94億円でした。前年同期との比較はできませんが、通期の会社予想営業利益は13.86億円(前期比30.7%増)で、それに対する進捗率は86.1%と、順調な初決算発表と言えそうです。3/8(火)現在の予想PERは14.4倍にとどまり、割安感も強いようです。

インフレ懸念がウクライナ情勢の混迷で助長される中、「リユース」「リサイクル」は株式市場の有力投資テーマの一つとなりつつあります。2/24(木)安値を目安に底値固めができれば、株価の立ち直りは案外早いかもしれません。

NITTOKU(6145)〜ジャスダックの老舗企業。EV化が追い風に

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
  • 期間:2021/9/10〜2022/3/9 13:40現在

■コイル用巻き線機で高シェア〜グローバル・ニッチ・トップ

当社はコイル(電気を利用するあらゆる製品に欠かせない部品)用巻き線機で世界シェア約4割を握るグローバル・ニッチ・トップ企業です。非接触ICタグ・カードやカード用インレットなどの製造販売も行います。

アジアを中心に海外売上高が53%(2021/3期)を占めるグローバル企業です。当社製品はおもに、自動車や情報通信分野、OA機器、AV機器等の生産現場で使われます。

巻き線機単体を販売するビジネスが技術流出で行き詰まった経緯もあり、最近は巻き線機前後のライン全体で販売するなど、収益の安定化に取り組んできました。自動車業界が急速にEV(電気自動車)にシフトする中、コイルを用いるモーターの使用が増える方向にあり、当社の活躍領域も広がりつつあります。

■足元は部品調達難に注意も

今期(2022/3期)の会社計画は売上高268億円(前期同期比21.6%増)、営業利益26億円(同91.7%増)。これに対し、第3四半期(累計)の営業利益は15.5億円(前年同期比82.7%増)と順調です。中国等アジア、欧州、米州など海外で省力化需要が拡大し、一部大型受注も獲得した模様です。

当社の営業利益は2022/3期に96%、2023/3期に39%、2024/3期に17%と、2桁増益が続くというのが市場コンセンサスで、3年間累計の予想増益率も219%と、図表4の銘柄では最大となっています。3/8(火)現在の予想PERは21.5倍(市場コンセンサス)で、高い成長期待を考えれば、むしろ割安感は強いといえそうです。

ただ、新型コロナウイルス感染拡大の影響やウクライナ情勢等で、世界的な部品調達難の影響は今期くらいまで残る可能性もありそうです。主要納入先である自動車業界も不透明化が残り、それが株価下落につながっていると考えられます。逆に、自動車業界等の回復が本格化してくれば、同業界のEV化の恩恵が強まると期待されます。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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  • 本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。
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