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2024-12-13 21:36:23

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≪100兆円市場目指す「メタバース」≫関連銘柄はグロース市場のリード役となるか?

2022/4/20
投資情報部 鈴木 英之

東京株式市場は4/19(火)、4/20(水)と、やや落ち着きを取り戻しています。ただ、ウクライナでの戦争は再び激化する兆しをみせている上、インフレ進行や金利上昇に対する警戒感も強いままです。東証マザーズ指数は4/14(木)〜4/19(火)に4営業日続落となり、4/20(水)も売り先行です。

しかし、現在のような弱気相場では、将来高い成長が期待される市場に注目し、そこで活躍が見込まれる銘柄に投資しようと待ち構えている方にとっては“千載一遇”のチャンスに映っているかもしれません。そこで今回の「新興株ウィークリー」では改めて「メタバース」に注目してみたいと思います。東証グロース市場において、「メタバース」で業容が変化し、成長が加速する企業が出てくるかもしれません。

新興株ウィークリー新しいウィンドウで開きます。※YouTubeに遷移します。

執筆者のプロフィール
SBI証券 投資情報部長 鈴木 英之
・出身 東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味 ハロプロ(牧野真莉愛推し)の応援と旅行(のりテツ)
・特技 どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物 サイゼリヤのごはん
・よくいくところ 京都
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。

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1米金利上昇という逆風が継続し、東証マザーズ指数の下落が継続

東証マザーズ指数の下落が続いています。同指数は4/5(火)に短期的な高値である842.01を付けた後、4/19(火)の744.39まで11.6%も下げています。同じ期間、日経平均株価の下落率は2.9%にとどまっており、東証グロース市場に上場している銘柄の下落率が相対的に大きくなっています。

米長期金利は4/5(火)に、3/25(金)以来の高水準を突破して2.5%台に乗せました。その後、上昇を加速し、4/18(月)には、約3年4ヵ月ぶりの高水準(2.86%)を付けました。4/19(火)には2.94%まで上昇しています。米金利上昇を背景とするグロース株売りが継続し、東証マザーズ指数を押し下げる構図が約2週間続いていることになります。

こうした流れを受け、東証グロース市場の時価総額上位銘柄は、値下がりする銘柄が多くありました。同市場で時価総額トップのメルカリ(4385)は、4/5(火)〜4/19(火)の2週間で約25%も下落しました。

反面、上昇した銘柄ではトライステージ(2178)の上昇率が際立っていました。4/12(火)にTOBを発表したことが株価急騰の理由とみられます。同日の終値の343円に対し、買い付け価格565円は64.7%上回っていたため、TOB発表以降の株価は買い付け価格にサヤ寄せする形になりました。

また、ティーケーピー(3479)の上昇も目立ちました。4/11(月)に業績予想の上方修正(赤字予想の縮小)を発表した後、4/14(木)に決算発表を実施し、2023/2期の予想営業利益は20億円と黒字転換する見込みであることを発表しました。これらが好感され、株価は4/8(金)〜4/19(火)に8営業日続伸となり、約40%もの上昇となりました。

図表1 日経平均株価と東証マザーズ指数の推移

  • ※SBI証券チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※2021/9/30終値を1として指数化。 期間:2021/9/30〜2022/4/19

図表2 主なグロース市場銘柄の値動き

コード 銘柄名 株価(4/19) 週間(4/12〜4/19) 年初来
4385 メルカリ 2,622 -7.6% -55.3%
4194 ビジョナル 7,430 -2.5% -23.5%
4478 フリー 4,045 -1.5% -36.4%
4485 JTOWER 6,720 -2.5% -30.4%
4565 そーせいグループ 1,313 -3.9% -31.0%
4180 Appier Group 993 -3.3% -25.5%
4071 プラスアルファ・コンサルティング 2,443 -3.6% -23.2%
7342 ウェルスナビ 2,054 -6.6% 0.5%
4480 メドレー 2,749 5.1% 15.9%
6027 弁護士ドットコム 3,780 -6.7% -37.9%
【ご参考】 日経平均株価 26,985.09 2.5% -6.3%
  TOPIX 1,895.70 1.7% -4.9%
  東証マザーズ指数 744.39 -1.3% -24.7%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※グロース市場の時価総額上位10銘柄について、4/19時点での各種騰落率を掲載。
  • ※「週間」は2022/4/12〜2022/4/19の騰落率。
  • ※個別銘柄の「年初来」は昨年末株価と4/19時点の株価比較。
  • ※指数の「年初来」は株価による単純計算。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

図表3 4/12(火)〜4/19(火)で株価上昇が大きかったグロース市場銘柄

コード 銘柄名 株価(4/19) 週間(4/12〜4/19) 年初来
2178 トライステージ 563 64.1% 57.3%
3479 ティーケーピー 1,812 25.1% 31.5%
3936 グローバルウェイ 630 21.4% 107.9%
3991 ウォンテッドリー 2,251 20.6% 47.5%
4479 マクアケ 2,365 14.8% -45.5%
6232 ACSL 2,273 13.6% 8.3%
7803 ブシロード 1,635 8.6% -13.1%
2370 メディネット 53 8.2% 6.0%
7048 ベルトラ 433 7.4% -3.8%
6030 アドベンチャー 9,320 7.2% 30.0%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※グロース市場(前月末時価総額100億円以上)において、週間の株価上昇率が大きい上位10銘柄を掲載。
  • ※「週間」は2022/4/12〜2022/4/19の騰落率。
  • ※個別銘柄の「年初来」は昨年末株価と4/19時点の株価比較。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

2≪100兆円市場目指す「メタバース」≫関連銘柄はグロース市場のリード役となるか?

東京株式市場は4/19(火)、4/20(水)と、やや落ち着きを取り戻しています。ただ、ウクライナでの戦争は再び激化する兆しをみせている上、インフレ進行や金利上昇に対する警戒感も強いままです。東証マザーズ指数は4/14(木)〜4/19(火)に4営業日続落となり、4/20(水)も売り先行です。4月下旬以降は、上場企業の決算発表も本格化する予定であり、株式市場の反発はもう少し先になるかもしれません。

しかし、現在のような弱気相場は、将来高い成長が期待される市場に注目し、そこで活躍が見込まれる銘柄に投資しようと待ち構えている方にとっては“千載一遇”のチャンスに映っているかもしれません。

その意味で、「新興株ウィークリー」は改めて「メタバース」に注目してみたいと思います。

「メタバース」は、「メタ(超)」と「ユニバース(宇宙)」を組み合わせた造語です。オンライン上に構築された3DCGの空間に、世界中の人々が各人各様の「アバター」で参加し、もうひとつの現実世界を展開することを示しています。仮想の商店街や、オフィス、ショールーム、イベント会場、ゲームの場等と、可能性は無限に近いものがあるとされています。

こうした仮想現実の世界は、スマホやタブレット、ゴーグルなどの技術進化、「5G」に象徴される通信の高速・大容量化、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)に関連した技術の進歩がベースになり、現実世界とは異なる、もうひとつの快適な世界として形成されています。さらに、「メタバース」はNFT(非代替性トークン:ブロックチェーン上に構築されたデジタルデータ)と結びつくことでさらに発展するとの見方が有力です。

カナダのコンサルティング会社Emergen Researchは、2021/11/10(水)に、「メタバース」の世界市場規模は2020年の約476.9億ドル(1ドル128円換算で約6兆円)から、2028年には約8,289.5億ドル(同換算で約106兆円)と、年平均43%のペースで成長するとの見通しを発表しています。仮に、その通りになるとすれば、高い成長率や加速度的な市場規模の拡大が見込まれ、企業もこの波を見過ごせないことになりそうです。

なお現状で「メタバース」が展開しているのはおもに、ゲームとビジネスの世界とみられます。特にゲームはメタバースとの親和性が高いと言われ、ゲーム関連企業の多くにビジネスチャンスをもたらしそうです。「Nintendo Switch」用ゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」を開発した任天堂(7974)や、ゲームビジネスを幅広く展開するソニーグループ(6758)、また有力ゲームソフトメーカーのスクウェア・エニックス・ホールディングス(9684)等が、株式市場で注目されるケースが多いようです。

ただ、「メタバース」がこれらの企業の収益に占める比率は、現状では大きくないとみられます。またこれらの大手企業の収益の多くが「メタバース」に基づくものになるまでは、ある程度時間を要すると予想されます。

しかし、東証グロース市場に属すような、比較的若い企業であれば、「メタバース」によって、比較的短い間に業容が大きく変わってくることも夢ではないように思われます。そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、各種資料から、「メタバース」やそれを実現する周辺領域に展開する銘柄をご紹介します。

なお、ご紹介銘柄は、(1)東証グロース市場に上場、(2)直近四半期(本決算の場合は通期)が営業黒字、(3)4/19(火)までの10営業日の出来高が最低の日でも1万株以上、(4)「メタバース関連」の銘柄であること等の条件を満たしています。

図表4 ≪100兆円市場目指す「メタバース」≫関連銘柄はグロース市場のリード役となるか?

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄 株価(4/19) メタバース、AR/VRに関連する事項
3914 3914 3914 3914 JIG-SAW 5940 ネット環境の自動監視システム
2438 2438 2438 2438 アスカネット 1250 空中結像技術。キャッシュレスセルフレジ実証実験
6554 6554 6554 6554 エスユーエス 846 バーチャル空間でアバター使い説明会等を実施
3698 3698 3698 3698 CRI・ミドルウェア 1247 メタバース等を実現するプラットフォーム開発中
7063 7063 7063 7063 Birdman 1605 メタバース型バーチャル・プラットフォーム
3815 3815 3815 3815 メディア工房 320 VR/AR技術を生かしたソフトやハード
3987 3987 3987 3987 エコモット 518 土木現場向けに遠隔監視システム
  • ※各種報道、会社資料等をもとにSBI証券が作成。時価総額(4/19)の大きい順に掲載。

以下、一部の銘柄について、ポイントをご紹介します。

アスカネット(2438)〜写真関連事業に展開。非接触ニーズの高まりで新たな光も?

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
  • 期間:2021/10/23〜2022/4/20 11:30

■遺影や個人向け写真集など写真関連事業を展開

遺影や個人向け写真集などの写真関連事業を展開しています。売上構成比は、フューネラル事業(葬儀社向けに遺影写真のデジタル加工や配信を行う)が43.2%、フォトブック事業(本格的な写真集をネットで受注)が54.7%、空中結像技術を用いた「空中ディスプレイ事業」が2.1%となっています。

3/7(月)に発表された2022/4期・第3四半期業績(累計)は売上高46.88億円(前年同期比11.9%増)、営業利益3.69億円(同162.6%増)でした。主力事業は経済再開を受けて増益となり、「空中ディスプレイ事業」の広告宣伝費増を吸収しました。

会社側は好決算を受けて、通期(2022/4期)業績予想を上方修正し、売上高62.7億円→63.2億円(前期比9.6%増)、営業利益2.85億円→4.41億円(同59.2%増)としています。

■新型コロナ感染拡大で「空中ディスプレイ」拡大のチャンス

当社の空中結像技術は、光源からの光を結像させることで空中表示を可能とするものです。新型コロナウイルスの感染拡大で、画面に触れることなく表示可能な空中ディスプレイの需要は増えそうです。

1月には、セブン-イレブン・ジャパン他とともに、2月から非接触・空中ディスプレイPOSレジ『デジPOS』の実証実験を開始すると発表し、すでに実験が始まっています。キャッシュレス化の促進や店舗面積の有効活用のみならず、非接触が武器となり、感染症拡大下でも受け入れが進む可能性が出てきそうです。

株価は上記した業績予想上方修正を経て、3/22(火)に1,758円の高値を付けた後、東証マザーズ市場に連れる形で下落基調に転じました。ただ、足元は業績予想上方修正を発表した3/7(月)終値1,250円まで下落(4/19)しており、「下げ過ぎ」感が強くなりつつあります。

CRI・ミドルウェア(3698)〜次期主力製品が高品質なメタバース実現に貢献?

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
  • 期間:2021/10/23〜2022/4/20 11:30

■ゲーム開発を効率化させる黒子的存在

当社は、CSK総研(1983年設立)を母体とし、2001年に設立されました。おもにミドルウェア(複雑な処理を実現するソフトウェア)を開発・提供しています。独立系ですが、セガが筆頭株主(保有比率11.4%)です。

当社のミドルウェアは「CRIWARE」のブランド名で展開され、ゲーム開発を大幅に効率化し、音声や映像データを高品質のまま圧縮し、機器の特性に合わせて綺麗に再生する技術が強みになっています。

スマホゲームに当社の「CRIWARE」が搭載される比率は35%、家庭用ゲームでは21%となっています。ゲーム向けの売上高が75%(2021/9期)ですが、これらの技術を他の産業向けに活用する「エンタープライズ」分野の売上構成比も25%(同)あります。

2022/9期・第1四半期は売上高6.58億円(前年同期比4.1%増)、営業利益0.25億円(同62.5%減)でした。主力の「ゲーム」は増収増益でしたが、「エンタープライズ」で前年同期の大型許諾案件効果が剥落した影響がでました。通期では売上高31.5億円(前期比8.9%増)、営業利益3.17億円(同10.6%増)が会社予想です。

■次期主力製品でメタバースを高品質に?

当社は2億円を投じ、次期主力製品「CRI Telexas(テレクサス)」を開発する方針です。

同製品は、映像や音声、情報をリアルタイムに送受信するための基盤技術になる可能性があります。

この技術により、メタバース空間での大規模人数の会話、仮想空間での自然な会話、臨場感のある豊かな音響空間等が実現し、メタバース空間がより高品質なものになると期待されます。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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