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株価ボトム圏で投資チャンス!?〜アナリストが成長期待の「テンバガー」候補銘柄は?

2022/5/25
投資情報部 鈴木 英之

東証マザーズ指数は2020/10/12の高値から、本年5/9安値まで54.6%下落しました。2020/3/9の安値527.30まで15ポイント余りに迫り、そろそろ底打ちが意識される水準とみられます。(ザラ場ベース、図表4参照)

そもそも、将来、上場企業として大きく成長し、いわゆる「テンバガー」と呼ばれるほどの銘柄に出会うには、その発掘とともに、買いのタイミングも重要であると考えられます。今回の「新興株ウィークリー」では、3月決算銘柄等の決算発表が一巡し、株価が大きく下がった後のこのタイミングを生かし、成長期待銘柄を抽出してみたいと思います。

新興株ウィークリー新しいウィンドウで開きます。※YouTubeに遷移します。

執筆者のプロフィール
SBI証券 投資情報部長 鈴木 英之
・出身 東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味 ハロプロ(牧野真莉愛推し)の応援と旅行(のりテツ)
・特技 どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物 サイゼリヤのごはん
・よくいくところ 京都
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。

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1案外と底固い展開

5/17(火)〜5/24(火)の東京株式市場は底固く推移しました。金利上昇・インフレ懸念やウクライナ問題等、事業環境面での不透明感が強く、決算発表シーズンにおいては、業績見通しの発表が大きなリスク要因になっていました。しかし、決算発表シーズンも5/16(月)までに概ね終わり、5/17(火)以降は、個別銘柄への投資が行われやすくなりました。

5/18(水)にはNYダウが前日比で1,164ドルも下げ、さすがに、5/19(木)の東京株式市場は売り先行となりました。それでも、同日の東証マザーズ指数の下げは15ポイントと限定的でした。上記の米国市場の下げが同国の企業業績への不透明感を背景としたものであり、米10年国債利回りが低下したことから、グロース銘柄が中心の東証マザーズ指数にとっては下支え要因となりました。

時価総額上位銘柄では、メルカリ(4385)の下げが目立ちました。特に悪材料が出た訳ではなく、最近は2,000円近辺で押し目を拾う動きも強まっていました。しかし、5/24(火)に株価が2,000円を割り込むと、投げ売りがかさむ展開になりました。一方メドレー(4480)は週間で上昇しました。5/13(金)に2022年12月期・第1四半期の決算を発表し、前年同期と比べた損益の改善が好感され、その後も上昇する場面が目立ちました。

個別には、シンバイオ製薬(4582)が荒い動きになりました。世界で天然痘に似た症状の感染症「サル痘」の報告が相次ぎ、抗ウイルス薬を扱う同社に思惑的な買いが続きました。5/19(木)終値694円に対して、5/23(月)には一時930円まで買われましたが、5/24(火)終値は764円と急速に値を下げました。

図表1 日経平均株価と東証マザーズ指数の推移

  • ※SBI証券チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※2021/9/30終値を1として指数化。 期間:2021/9/30〜2022/5/24

図表2 主なグロース市場銘柄の値動き

コード 銘柄名 株価(5/24) 週間(5/17〜5/24) 年初来
4385 メルカリ 1,947 -7.9% -66.8%
4194 ビジョナル 6,020 -0.8% -38.0%
4478 フリー 3,000 -0.5% -52.8%
4485 JTOWER 6,260 5.7% -35.1%
4565 そーせいグループ 1,179 2.4% -38.1%
4480 メドレー 2,683 9.0% 13.1%
4071 プラスアルファ・コンサルティング 2,152 9.0% -32.3%
7342 ウェルスナビ 1,824 7.9% -10.7%
4180 Appier Group 783 8.0% -41.3%
6027 弁護士ドットコム 3,550 2.7% -41.7%
【ご参考】 日経平均株価 26,748.14 0.3% -7.1%
  TOPIX 1,878.26 0.6% -5.7%
  東証マザーズ指数 653.47 1.2% -33.9%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
  • ※グロース市場の時価総額上位10銘柄について、5/24時点での各種騰落率を掲載。
  • ※「週間」は2022/5/17〜2022/5/24の騰落率。
  • ※個別銘柄の「年初来」は昨年末株価と5/24時点の株価比較。
  • ※指数の「年初来」は株価による単純計算。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

図表3 5/17(火)〜5/24(火)で株価上昇が大きかったグロース市場銘柄

コード 銘柄名 株価(5/24) 週間(5/17〜5/24) 年初来
4582 シンバイオ製薬 764 22.8% -33.3%
7078 INCLUSIVE 986 20.1% -17.6%
4168 ヤプリ 1,343 18.1% -63.8%
4054 日本情報クリエイト 1,345 17.6% 24.8%
4169 ENECHANGE 691 15.9% -65.3%
9270 バリュエンスホールディングス 1,543 15.1% -38.8%
4936 アクシージア 873 14.7% -22.3%
4192 スパイダープラス 493 14.7% -62.8%
2987 タスキ 786 13.9% -39.7%
4376 くふうカンパニー 430 13.8% -0.5%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
  • ※グロース市場(前月末時価総額100億円以上)において、週間の株価上昇率が大きい上位10銘柄を掲載。
  • ※「週間」は2022/5/17〜2022/5/24の騰落率。
  • ※個別銘柄の「年初来」は昨年末株価と5/24時点の株価比較。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

2株価ボトム圏で投資チャンス!?〜アナリストが成長期待の「テンバガー」候補銘柄は?

東証マザーズ指数は2020/10/12に付けた当面の高値1,368.19から、本年5/9安値620.63まで54.6%下落しました。2020/3/9の安値527.30まで15ポイント余りに迫り、そろそろ底打ちが意識される水準とみられます。(ザラ場ベース、図表4参照)

東証マザーズ指数はこれまで米10年国債の利回りの上昇を嫌気し、下げてきた面もありました。しかし、米国市場の懸念が企業業績にシフトし、米10年国債利回りが低下している中でも米国株安となる場面がみられるようになりました。米国の長期金利上昇が一服することで、東証マザーズ指数は底打ちしやすくなるかもしれません。

将来、上場企業として大きく成長し、いわゆる「テンバガー」と呼ばれるほどの銘柄に出会うには、その発掘とともに、買いのタイミングも重要であると考えられます。今回の「新興株ウィークリー」では、3月決算銘柄等の決算発表が一巡し、株価が大きく下がった後のこのタイミングを生かし、改めて成長期待銘柄を抽出してみたいと思います。スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)東証グロース市場または同スタンダード市場に上場。
(2)業績予想を公表しているアナリストが2名以上付いている銘柄。
(3)過去3年連続で売上高が増加しており、年平均増収率が20%超。
(4)過去3年連続で営業増益となり、増益率が最低でも10%超(または黒字転換)。
(5)今後2年、年10%超の増収予想(市場コンセンサス)。
(6)今後2年、年20%超の営業増益予想(同)。

図表5の銘柄は、上記条件のすべてを満たしています。今期・来期の市場予想営業増益率の平均が高い順に掲載しています。

図表4 東証マザーズ指数(週足・過去3年)

  • ※SBI証券チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※2022/5/25 15:00現在。

図表5 過去3年増収・増益で、今後2年も増収・増益が見込まれる銘柄

取引 チャート ポート
フォリオ
コード 銘柄 株価(5/24) 前期営業増益率 今期予想営業増益率 来期予想営業増益率
7351 7351 7351 7351 グッドパッチ 1,438 87.5% 57.6% 43.0%
6521 6521 6521 6521 オキサイド 5,470 63.2% 37.1% 50.4%
7071 7071 7071 7071 アンビスホールディングス 4,090 101.7% 50.6% 32.4%
7082 7082 7082 7082 ジモティー 1,521 22.3% 32.6% 46.0%
4051 4051 4051 4051 GMOフィナンシャルゲート 13,970 30.1% 31.6% 30.1%
7320 7320 7320 7320 日本リビング保証 1,458 170.7% 27.2% 22.7%
  • ※Bloomberg、会社公表データをもとにSBI証券が作成。予想は市場コンセンサス。

以下、一部の銘柄について、ポイントをご紹介します。

グッドパッチ(7351)〜デジタルサービスのデザイン支援で高成長

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※データは2022/5/25 14:30時点。 ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

■デジタルサービスのデザインを支援

当社は2020年6月に東証マザーズに上場しました。主要な事業としては、「デザインパートナー事業」(2022年8月期・上半期の売上高構成比は67.3%)と、「デザインプラットフォーム事業」(同32.7%)の2事業があります。

前者では、当社がデザインパートナーとして、プロダクト開発、新規事業立ち上げ、ブランド構築、組織支援など、クライアントの課題に並走し、ビジネス成長に貢献します。後者では、同社自らがデザインに関わる様々な課題に向き合い、自分たちで事業を作り、解決していきます。

2021/11/10(水)にCTC(伊藤忠テクノソリューションズ(4739)と資本業務提携を締結しました。CTCは当社株を市場買い付けの形で6千万円を上限に購入しました。今後、サービスの共同開発や、共同での顧客営業、人材交流等を行う予定です。

■高成長を継続中も、第2四半期は足踏みの印象

2021年8月期までの3期、売上高成長率は年平均26.0%、前期の売上高営業利益率は14.8%と高めです。2022年8月期、会社側は売上高37.7億円(前期比37.8%増)、営業利益5.18億円(同27.5%増)を予想しています。

ただ、2022年8月期は第1四半期(2021年9月〜11月期)が前年同期比91.4%の営業増益となったのに対し、第2四半期(2021年12月〜2022年2月期)は同2.5%の営業減益でした。月額平均顧客単価の減少が影響した可能性もありそうです。株価は第2四半期決算の発表日(4/14)2,664円から5/12(木)まで1,331円まで約半値となり、現在は少し落ち着きを取り戻しています。当面は四半期単位での足踏みから早急に立ち直れるか否かが鍵になりそうです。

今後3年の営業利益については、2022年8月期は6.4億円、23年8月期は9.1億円、24年8月期は12.2億円と年平均44.8%の利益成長を市場では予想しています。人材が鍵となるビジネスとみられ、その確保の成否が成長を左右しそうです。

オキサイド(6521)〜光関連製品を開発・製造・販売。半導体市場の成長が追い風

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※データは2022/5/25 (日足) 14:30 時点。 ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

■光関連製品を開発・製造・販売する研究開発型企業

当社は単結晶、光部品、レーザー光源、光計測装置など光学関連製品を開発・製造・販売しています。2000年に独立行政法人「物質・材料研究開発機構」発のベンチャー企業として設立されました。大株主にはNTT系企業や、ニコン(7731)、レーザーテック(6920)などに加え、世界的な半導体検査装置メーカーであるKLAテンコール系の企業等が名を連ねています。

顧客の業種別売上高構成比(2022年2月期)は、半導体が52%、ヘルスケアが36%、光計測・新領域が12%となっています。全社員209名(2022年2月末)中、博士号・修士資格取得者が30%を超える研究開発型の企業です。

■大幅増収と営業利益率10%の継続を目指す

当社は創業後21年間、おおむね5年ごとに2倍の売上増を実現してきましたが、今後も同様の成長率を維持したいと示しています。また、売上高営業利益率は10%の維持を目標としています(以上、2022年5月の会社資料より)。

そうした中、2022年2月期は売上高47.5億円(前期比32.9%増)となり、決算期変更の影響がなくなった2020年2月以降3期連続の売上増を達成しました。営業利益も5.96億円(前期比63.2%増)となり、売上高営業増益率は12.5%と、10%の会社目標を超えました。

会社計画では、2023年2月期も売上高63.3億円(前期比33.3%増)、営業利益7.06億円(同18.3%増)と、大幅増収・増益を見込んでいます。半導体で前期比41%、ヘルスケアで14%、光計測・新領域で55%の増収を計画しています。

株価は、2022年2月期決算を発表(4/13)した翌日の4/14(木)にストップ安となりました。2023年3月期の会社予想営業増益率について、一部では物足りないとする声もあったようです。しかし、逆に今後の決算で高い増益率が確認された場合は、株価上昇の材料になりそうです。

GMOフィナンシャルゲート(4051)〜小売業のキャッシュレス化を推進し、成長

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※データは2022/5/25 (日足) 14:30 時点。 ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

■決済端末の販売・情報処理サービスの提供が主業務

当社は、GMOインターネット(9449)グループの中で決済部門を担うGMOペイメントゲートウェイ(3769)の子会社(持株比率57.3%)となっています。クレジットカード、デビットカード、電子マネー、ポイントなどによる対面型決済を行う決済端末や決済処理サービスの提供を手掛けています。

あらゆる業務、業態のキャッシュレス化を支援するキャッシュレスプラットフォーマーとして消費者と事業者にとって安心、安全で経済合理性が高い決済サービスを行っています。決済デバイスから決済センター、入金業務までをワンストップで提供しています。入金業務の多様化、事業環境の変化、ニーズに対応して順次サービスを拡張しています。さらに、ポイント決済やQRコード決済、ウォレット決済などをコアビジネスとする複数企業との提携を推進しています。

売上構成比(2022年9月期・上半期)は、(1)決済端末販売による「イニシャル」が69.3%、(2)システム利用料として決済事業者や加盟店から月額固定で受け取る「ストック」が8.8%、(3)決済処理件数に応じた処理料としての「フィー」が11.7%、(4)決済処理金額に応じて発生する「スプレッド」が10.2%となっています。

■逆風下でも増収・増益

2022年9月期・上半期は、決済件数・金額の伸びにくい季節性に加え、まん延防止等重点措置の発令があり、上記(2)〜(4)の収益が逆風にさらされました。しかし、(1)の決済端末の販売・稼働が伸び、売上高44.6億円(前年同期比58.7%増)、営業利益3.7億円(同16.3%増)と増収・増益を維持できました。

市場では2022年9月期に7.7億円、23年9月期に10.0億円、24年9月期に13.7億円の営業利益を予想しており、当面は2桁%の成長が期待できそうです。予想PERが高く、典型的なグロース株であり、米長期金利の上昇が逆風となってきました。逆に米長期金利の上昇が止まれば、上昇に転じる可能性もありそうです。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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