今回の「福の神レポート」では、「株主優待」について解説いたします。2014年9月に株主優待権利確定日のある銘柄は、337銘柄あります。この中から、投資家タイプ別に、オススメのポートフォリオをいくつかご紹介するとともに、個人投資家に人気の高い優待銘柄の個別銘柄解説を行います。その上で、単なる「株主優待バカ」にならないための『福の神流株主優待投資術』を解説致します。

投資家タイプ別　株主優待銘柄ポートフォリオ

まずは、投資家タイプ別に9月株主優待銘柄ポートフォリオをご紹介いたしましょう。
株主優待銘柄を検索するのに、強い味方となるのが、当社の「株主優待検索」です。

「株主優待検索」の検索可能な項目は、『優待内容（食料・飲食券、金券、宿泊・・・）』、『優待権利確定月』、『優待獲得に必要な金額』などお好みの条件に合わせて検索が可能です。さらに、大型優良株やPBR1倍割れ等の『こだわり条件』や『優待利回り』から検索することも可能です。

こだわり条件を使えば、株価指標が割安な銘柄を簡単に探すことが出来ます。PERが何倍とか細かい数字を入れなくても、ざっくりと平均と比較出来るので非常に簡単・便利です。
また、株主優待で貰えるものを金銭に換算して、優待利回りでも検索可能なのも魅力的ですね。

それでは、9月に株主優待の権利確定日があり、優待獲得に必要な投資金額が10万円以下で、配当利回り平均以上の銘柄を検索してみましょう。
2014年8月12日現在で、株主優待が登録されているのは、1,147銘柄です。
条件を選択して1クリックで銘柄を抽出します。

簡単にクリックするだけで、自分の条件に合った銘柄を検索することが可能です。この条件以外にも、ご自身で条件をクリックして銘柄検索をしてください。
今回は、この39銘柄の中から、投資家タイプ別に3銘柄で、約20万円程度のポートフォリオを作成してみました。

• 　※SBI証券投資調査部にて作成。株価は2014/8/12終値を表示。

9月権利確定　投資金額10万円以下　個人投資家の人気が高い優待銘柄TOP5

9月末権利確定の337銘柄のうち、優待獲得に必要な投資金額が10万円以下は82銘柄です。この82銘柄の中から、個人投資家に人気の高い銘柄を探すには、「株主優待検索」で並び順を閲覧回数順にします。そうすると、実際にＳＢＩ証券のお客様が株主優待情報を閲覧した回数順の降順に並びますので、個人投資家の人気が高い順と言えそうです。

今回は、9月権利確定銘柄のうち投資金額10万円以下で、個人投資家の人気が高い優待銘柄TOP5（閲覧回数順）の銘柄をご紹介いたしましょう。

• ※SBI証券投資調査部にて作成。株価は2014/8/12終値を表示。
• ※予想配当利回りは、東洋経済新報社の今期予想配当を2014/8/12終値で割ったもの。
• ※本ページでご紹介している配当利回りは予想値であり、株価や会社の業績により変動することがあるため、将来の投資成果を保証するものではありません。

優待を取らないのが「コツ」、半歩先読みの株主優待銘柄投資術

現在、株主優待が大人気となっています。マネー誌などでもほぼ毎月のように、株主優待銘柄の特集が掲載されています。また、当社のWEBサイトなどでも、その月に権利確定日のある銘柄を、「ピックアップ！○月株主優待銘柄のご紹介」などと紹介しています。株主優待目的の投資家が増加しており、株主優待を取得するには、権利確定日に保有する必要があるため、権利確定日が近づくと株主優待狙いの買いが入るという傾向がある銘柄が多いのです。

逆に優待の権利確定日が過ぎると、株価が大きく下落してしまい、貰った株主優待の価値以上に株価が下落する銘柄も数多くあります。

あくまで株式投資は、「儲けること」が最優先されるはずです。株主優待を貰っても、貰った価値以上に株価が下落してしまったら、何のために株式投資を行ったのか、意味が判らないことになります。

だから、個別に株主優待が気になった銘柄の過去の株価動向を調べて、権利落ち後に大きく下落する傾向のある銘柄の場合、株主優待が欲しい場合は、権利落ち後の下落局面で買うのも1つの方法です。

例えば、7月の株主優待の権利確定のあった自販機での販売に強みを持つダイドードリンコ（2590　東証1部）の場合、1,000株保有で3,000円相当の製品詰め合わせがもらえる株主優待を実施しています。

図1の日足チャートで判るように、権利付き最終日にかけて上昇し、権利落ち日以降に下落しています。

全ての株主優待銘柄が同様な値動きになる訳ではありませんが、注意すべき株価動向です。逆に、株主優待狙いの買いを逆手にとって、先回り買いを行い、権利付最終日前の高値局面で売却するのも、1つの投資手法でしょう。

どの銘柄に株主優待の買いが入りやすいかを探すには、マネー誌のバックナンバーが役立ちます。最新号を読んで、買いに入るのでは、皆と同じタイミングになってしまいます。だから、前年のバックナンバーの株主優待特集をチェックして、大きく取り扱われている魅力の高い優待銘柄を探すのです。その銘柄の株主優待が変更・廃止されていないことを、その企業のHPのIRページで確認して、過去数年間の株価チャートをチェック、権利確定日に向けて株価が上昇したことが多かったのか調べるのです。また、先ほどご紹介した「株主優待検索」の閲覧回数順での人気ランキングも参考になります。

このような手法で選択した株主優待狙いの買いで株価が上昇する可能性が高い銘柄を、買うのです。
このときに重要なのが、1銘柄だけだと個別銘柄の価格変動リスクが高くなるので、出来る限り数多くの銘柄に分散投資を行うのが良いでしょう。信用取引を活用すれば、現物取引の約3倍まで取引可能なので、信用取引を活用しても良いでしょう。
また、銘柄分散を行っても、株式市場全体が大きく下げてしまったら、株主優待の先回り買いのポジションも損失になる可能性があります。その場合は、株主優待狙いの買いポジションと同額の、TOPIX（東証株価指数）に連動する上場投信をヘッジ（保険）として、空売りするのも良いでしょう。

【1306】TOPIX連動型上場投資信託　1,271円 前日比+23 (+1.84%) 　※株価データは、2014年8月12日終値基準

このポジションを仕掛けるタイミングは、3大マネー誌とも毎月21日が原則発売日なので、その少し前の権利確定日の前月の中旬が良いでしょう。
手仕舞いは、仕掛けた銘柄の権利確定日の10日前までには行います。なぜなら、そのタイミングで手仕舞いを行えば、翌月に権利確定日を迎える銘柄の先回り買いポジションを新規に作ることが出来るからです。

株主優待銘柄の先回り買いは、全ての取引が儲かるわけではありませんが、銘柄を数多く分散して、何回も行えば、かなり高い確率で儲かる戦略だと思います。
特に、ETFでのヘッジ売りを加えれば、大きな儲けは期待し難いのですが、リスクを抑えて、リターンを狙うことが可能です、

株主優待銘柄の半歩先読みの投資術としては、優待を取らないのが、「コツ」と言えそうです。