2014年10月31日に、株式市場にとって想定外であった日本銀行による追加金融緩和が発表され、日経平均株価は翌営業日である11月4日までに1,000円を超える急騰を見せ、アベノミクス以降の高値を付けました。為替も一気に円安の流れとなり、ドル・円で115円台をつける円安水準となっています。
今回の「福の神レポート」では、『「国策に売りなし」 日銀・GPIFが追加運用する銘柄は!?』と題して、JPX日経400インデックスの構成銘柄に注目。
20万円以下で買える「高ROE銘柄TOP5」、「低PER銘柄TOP5」、「高配当利回り銘柄TOP5」という3つの切り口から銘柄をご紹介するとともに、
JPX日経400インデックスに連動するETFの銘柄をご紹介したいと思います。
20万円以下で買える「日銀・GPIF」の後押しが期待される銘柄はコレ!? |
10月31日から、日本の株式相場動向が大きく変わりました。その理由は、日銀・黒田総裁が放った「黒田バズーカ」第二弾の影響(追加の金融緩和)と、世界最大級の約120兆円に達する資産規模を持つ日本のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の中期計画の変更(株式比率の引き上げ)です。株式市場にとって、盆と正月が同時に来たようなお祭り状態となり、空売り筋のパニック的な買いを誘い、日経平均株価はアベノミクス以降の高値を更新し、ドル・円相場も115円台まで円安・ドル高が進みました。
今後、市場ではどのような銘柄が注目されるのでしょうか。有力な候補として、「日本銀行」「GPIF」という2つの「大投資家」の後押しが期待出来る銘柄が、中・長期的な投資対象として良さそうです。
理由は後述しますが、2つの「大投資家」の後押しが期待出来る銘柄として、JPX日経400インデックス採用銘柄に注目しました。その中でも、2014年のNISA(少額投資非課税制度)の買付期限が年末に迫ることを考慮し、個人投資家にとって買いやすい最低投資金額20万円以下の銘柄の中から、「JPX日経インデックス400採用銘柄」で、「予想配当利回り・予想PERの面で、市場平均以下の銘柄」を後押し候補銘柄として選定しました。
銘柄選定イメージ
上記の基準で選別された50銘柄をユニバース(候補銘柄)として、高ROE・低PER・高配当利回りのそれぞれTOP5の銘柄をご紹介致します。(データは2014年11月7日現在)
高ROE(株主資本利益率)・TOP5
JPX日経400の大きな特徴である「高ROE」に着目し、現時点で実績ROE(連結)の高い順に5銘柄を選定しました。 建設、自動車、情報・通信、サービス、銀行と様々な業種から選ばれました。
低PER・TOP5
収益面から見た割安銘柄を選定するために、予想PERの低い順に5銘柄を選定しました。全て総合商社が選ばれており、極端に業種が偏っています。
高配当利回り・TOP5
中・長期的な保有目的の場合に重視されるインカムゲインに注目して、予想配当利回りの高い順に5銘柄を選定しました。総合商社が2社入っていますが、その他は石油・石炭製品、小売、自動車と分散しています。
表3:JPX日経400採用銘柄の「高配当利回り」上位5社
取引 | チャート | 銘柄コード | 銘柄名 | 株価 | 最低投資 金額(円) |
予想配当 利回り(%) |
予想配当額(円) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
5002 | 昭和シェル石油 | 948 | 94,800 | 4.00 | 38 | ||
8031 | 三井物産 | 1,652.5 | 165,250 | 3.87 | 64 | ||
7593 | VTホールディングス | 386 | 38,600 | 3.62 | 14 | ||
8002 | 丸紅 | 734.2 | 73,420 | 3.54 | 26 | ||
7262 | ダイハツ工業 | 1,586 | 158,600 | 3.53 | 56 |
- ※会社公表データ、BloombergをもとにSBI証券が作成。データは2014/11/10時点。
- ※予想配当利回りは、会社予想一株当たり配当額を株価で割った数値で、株価及び会社の配当政策により変動する。
また、直接的に日本銀行の購入対象となる可能性のあるJPX日経400連動の上場投信(ETF)については、時価総額順に4銘柄をご紹介いたします。
表4:日銀の購入対象となるETF(JPX日経400連動型)時価総額上位
取引 | チャート | 銘柄コード | 銘柄名 | 株価 | 最低 投資金額(円) |
時価総額(億円) |
---|---|---|---|---|---|---|
1591 | NEXT FUNDS JPX日経インデックス400連動型上場投信 | 12,420 | 12,420 | 1,109 | ||
1593 | MAXIS JPX日経インデックス400上場投信 | 12,570 | 12,570 | 500 | ||
1599 | ダイワ上場投信−JPX日経400 | 12,540 | 12,540 | 259 | ||
1592 | 上場インデックスファンドJPX日経インデックス400 | 1,130 | 1,130 | 233 |
- ※各種市場データ、BloombergをもとにSBI証券が作成。データは2014/11/10時点。
流動性から考えると時価総額の大きなNEXT FUNDS JPX日経インデックス400連動型上場投信(1591)が良さそうです。また、毎月数万円ずつ買うような場合は、最低投資金額の小さい上場インデックスファンドJPX日経インデックス400(1592)が毎月の購入金額を定額に合わせやすいと考えられます。
後押し1 日銀のETF(上場投信)買い付けについて |
10月31日の日銀の追加金融緩和策の一環として、下記が発表されています。
「ETFについて、保有残高が年間約3兆円(3倍増)に相当するペースで増加するよう買い入れを行う。新たにJPX日経400インデックスに連動するETFを買い入れの対象に加える。」
日銀のETF買い入れ状況については、日本銀行のWEBサイト(指数連動型上場投資信託受益権(ETF)および不動産投資法人投資口(J-REIT)の買入結果) で、どなたでも確認が可能になっています。
表5がETFの買い入れ結果を示した月次の状況です。毎営業日買い付けを行うのではなく、ある一定以上指数が下落した場合に、月ごとに制定された定額を購入する仕組みのようです。
既にご説明したように、日銀は、10月31日に追加金融緩和を発表し、ETF買い入れ枠を3倍に増額しましたが、11月10日までに、11月5日・10日の2回、それぞれ380億円ずつ買い付けています。10月の平均買い入れ額が147億円なので、やはり大きく増加しています。
表5:日本銀行の上場投信(ETF)の買い入れ状況
月間買い入れ回数 | 月間買い入れ額 | 平均買い入れ額 | |
---|---|---|---|
4月 | 6 | 696 | 116 |
5月 | 4 | 476 | 119 |
6月 | 3 | 390 | 130 |
7月 | 5 | 720 | 144 |
8月 | 8 | 1,236 | 154.5 |
9月 | 3 | 438 | 146 |
10月 | 9 | 1,323 | 147 |
11月 | 2 | 760 | 380 |
※日本銀行開示資料をもとにSBI証券が作成。買い入れ額の単位は億円。11月は10日までのデータ。
追加金融緩和を発表してから、ETFを買い付けた2回の状況を確認すると、5日・10日ともに前場終了時点で、TOPIX、JPX日経400が前日比下落していました。また、2回とも14時以降戻り相場となり、5日は小幅プラスに、10日は下げ幅を縮めています。
また、今回注目されるのは、対象のETFに今までのTOPIX(東証株価指数)、日経平均株価に加えJPX日経400に連動するETFが選ばれたことです。
日銀が購入対象としたJPX日経400の構成銘柄が、株式市場で注目を集めそうです。
後押し2 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の中期計画の変更 |
日銀が追加金融緩和を発表した10月31日には、世界最大級である約127兆円の資産規模を持つ日本のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も中期計画の発表(運用方針の見直し)を行っています。
最大の注目ポイントは、国内債券の比率を大幅に引き下げ、国内株式・外国株式の比率を大幅に上げていることです。
図1が変更前と変更後の基本ポートフォリオ(プラスマイナスは乖離許容幅)、図2が2014年6月末の実際の資産構成割合です。
国内株式で見ると、従来の基本ポートフォリオで基本比率は12%(±6%)ですが、実際の6月末の資産構成割合では、16.79%と基本ポートフォリオの中心より大幅に超過しており、乖離許容の18%も目前の状況でした。
これが25%まで引き上げられると、
127兆2,627億円(2014年6月末の総資産)×(25%−16.79%)=10兆4,483億円
と10兆円を超える買付余力が生じることになります。
国内株式の運用は、過半の資金が指数に連動を目指す「パッシブ運用」で行われています。昨年3月末時点で国内株式は18兆円、うち14兆円をパッシブ運用に充てていたようです。従来、パッシブ運用のベンチマークは東証株価指数(TOPIX)に限られていましたが、GPIFは今年2014年4月にJPX日経400のほか、MSCIジャパン、ラッセル野村(RN)プライム等も新たに採用しています。
今後、大きな買い余力のあるGPIFによって、JPX日経400のパッシブ運用額が大きく増加しそうです。
また、11月25日には、大阪取引所へJPX日経400株価指数先物が上場することにより、JPX日経400のパッシブ運用がより容易になります。
図1:基本ポートフォリオの変更
- ※GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)公表データをもとに、SBI証券が作成。
図2:2014年6月末の資産構成割合
- ※GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)公表データをもとに、SBI証券が作成。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
免責事項・注意事項
- 本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客様が損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。
- 信用取引に関するリスク
信用取引は、差し入れた委託保証金額の約3倍の取引を行うことができます。そのため、現物取引と比べて大きなリターンが期待できる反面、時として多額の損失が発生する可能性も含んでいます。また、信用取引の対象となっている株価の変動等により、その損失の額が、差し入れた委託保証金額を上回るおそれがあります。この場合は「追加保証金」を差し入れる必要があり状況が好転するか、あるいは建玉を決済しない限り損失が更に膨らむリスクを内包しています。追加保証金等自動振替サービスは追加保証金が発生した際に便利なサービスです。 - 信用取引の「二階建て」に関するご注意
委託保証金として差し入れられている代用有価証券と同一銘柄の信用買建を行うことを「二階建て」と呼びます。当該銘柄の株価が下落しますと信用建玉の評価損と代用有価証券の評価額の減少が同時に発生し、急激に委託保証金率が低下します。また、このような状況下でお客様自らの担保処分による売却や、場合によっては「追加保証金」の未入金によって強制決済による売却が行われるような事態になりますと、当該株式の価格下落に拍車をかけ、思わぬ損失を被ることも考えられます。よって、二階建てのお取引については、十分ご注意ください。