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深堀り!注目セクター【VOL.9 食料品】さらなるグローバル化で「脱ディフェンシブ」の動きが継続へ

2015/10/15
投資調査部 鈴木英之

「深堀り!注目セクター」も第9回目を迎えました。注目しているセクターはあるけど、そのセクターの将来性がよくわからない上、どの銘柄を買ったらよいかわからない。そう感じる投資家の方は少なくないと思います。そこで、「日本株投資戦略」の鈴木が月に2回(原則15日と月の最終営業日)、注目セクター(業種)の深堀りレポートを配信しています。注目セクターは、SBI証券で保有金額の多い銘柄を参考に選びました。今回は「食料品」です。

「食料品」は一般的に「ディフェンシブ・セクター」に属していると考えられています。景気の先行き見通しが悪く、全体的に株価下落リスクが大きい時、「食料品」セクターの銘柄(以下「食品株」)は相対的に下げにくいと考えられています。果たしてそうでしょうか。今回は食品株の値動きを吟味することで検証してみたいと思います。現在、中国など先進国経済の先行きが不透明となる中、国内景気も踊り場を迎えようとしています。ディフェンシブな食品株に投資機会が訪れていると言えるでしょうか。

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【「食料品」のアウトライン】「日本たばこ」がガリバー的存在〜「ディフェンシブ」銘柄としての特徴とは?

今回は、「食料品」について「深堀り」したいと思います。東証業種としての「食料品」は、東証一部の全時価総額の4.7%(図1)を占め、75社が上場しています。多くの投資家は食品株を「ディフェンシブ」銘柄の一角と捉えているようです。食料品は、人間が生きていくうえで必要不可欠なものであり、その収益は、景気変動の影響を受けにくいと考えられるためです。

時価総額を基準に代表的な銘柄をご紹介すると表1のようになります。「食料品」業界トップは日本たばこ産業(以下「日本たばこ」)で、時価総額は「食料品」の31.6%を占めており、断トツのトップです。ご存知のようにかつては「日本専売公社」と呼ばれ、たばこと塩の専売を手掛けてきましたが、現在では幅広く世界に展開する国際企業です。その他の上位企業としては、大手ビール・メーカーのアサヒグループホールディングスやキリンホールディングス、調味料から出発した味の素やキッコーマン、即席めんで知られる日清食品や東洋水産等となっています。ちなみに、表1の上位10社が「食料品」に占める時価総額の比率は72.2%で、これも高い数値と言えましょう。

図1:「食料品」は時価総額で第7位の上位業種

  • ※2015/10/9現在のBloombergデータを用いて、SBI証券が作成。

食品は、これらの企業により生産され、最終的に様々なブランドで消費者の手に渡るため、投資家の方にとっても馴染み深いブランドが多いかと思います。
「食料品」セクターの株価推移はどのようになっているのでしょうか。その特徴を探るために、主要指数との比較を、過去150週の相関係数(2015/10/9現在)で調べてみたいと思います。結果は以下の通りです。

TOPIX 0.812(東証業種別指数33業種中第21位)
日経平均 0.808(同19位)
ドル・円 0.513(同20位)
ユーロ・円 0.175(同32位)
原油相場 0.082(同16位)
CRB商品先物指数 0.037(同25位)
長期金利 0.172(同21位)
米10年国債利回り 0.174(第21位)

「食料品セクター」はディフェンシブ・セクターに属していると言われてはいますが、日本株全般の動きと異なる方向の動きをするという訳ではありません。TOPIXや日経平均との相関係数を見る限り、TOPIXや日経平均株価が上昇する時は食品株も上昇しますし、その逆の時は下落する傾向があります。ただ、東証33業種の中で特に、全体との相関性が強いという訳ではないということです。同様に、為替相場や原油・商品市況、内外長期金利との相関性についても、相対的に特に強いものがないのが特徴です。

なお、過去150週のデータを吟味すると、週間騰落率でTOPIXが上昇した週は90週あり、1週間の平均上昇率は2.2%でした。逆に下落した週は60週で、平均下落率は2.1%でした。前者のケースの場合、東証業種別指数「食料品」の平均上昇率は1.7%で、後者の場合の平均下落率は同1.4%でした。食品株は、相場が強い時の相対パフォーマンスは低い反面、相場が悪い時の相対パフォーマンスは良いというのが特徴です。相場が悪い時にあまり下げないという点で、「ディフェンシブ」銘柄と言う特徴に変化はないと言えるでしょう。

表1:「食料品」の時価総額上位10社〜「日本たばこ」がガリバー的存在

取引 チャート コード 銘柄名 株価
(円)
時価総額
(百万円)
構成比
※注
現買信買 チャート 2914 日本たばこ産業 4,113.0 8,226,000 31.6%
現買信買 チャート 2502 アサヒグループホールディングス 3,742.0 1,809,578 6.9%
現買信買 チャート 2503 キリンホールディングス 1,654.0 1,511,756 5.8%
現買信買 チャート 2802 味の素 2,552.5 1,517,386 5.8%
現買信買 チャート 2269 明治ホールディングス 8,830.0 1,348,194 5.2%
現買信買 チャート 2267 ヤクルト本社 6,100.0 1,073,052 4.1%
現買信買 チャート 2587 サントリー食品インターナショナル 4,625.0 1,429,125 5.5%
現買信買 チャート 2801 キッコーマン 3,550.0 746,860 2.9%
現買信買 チャート 2897 日清食品ホールディングス 5,630.0 661,321 2.5%
現買信買 チャート 2875 東洋水産 4,455.0 493,975 1.9%
食料品上位10社 18,817,248 3.4%
食料品75社(東証1,887社) 26,059,681 4.7%
  • ※2015/10/9現在のBloombergデータを用いて、SBI証券が作成。「構成比」は、各銘柄の時価総額が「食料品」の中で何%を占めているかを示している。「食料品上位10社」および「食料品75社」の構成比は、東証一部全体に占める比率。
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【「食料品」の現状を深堀り!】食品株に「脱ディフェンシブ」の兆し

食品株は「ディフェンシブ銘柄」としての特徴を有しています。図2に示したように、過去150週トータルの上昇率をみると、食品株とTOPIXに大きな違いはありません。食品株の上昇率は92%で、TOPIXは95%です。しかし、図2の赤枠で示した2015年相場に限れば、矢印で示された上昇率がより急なのは食品株となっています。ちなみに、10/9までの年初来上昇率は食品株が14%で、TOPIXは6%にとどまっています。上昇相場なのに、全体の動きよりも食品株の動きの方が強いということであり、「脱ディフェンシブ」の兆しを見せているといっても過言ではありません。なぜでしょうか。

図2:市場の上昇率を上回り「脱ディフェンシブ」銘柄の様相を強める2015年の食品株

  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。150週間前を1としてTOPIXと食品株指数を指数化。

冒頭で示したように、業種別株価指数「食料品」の時価総額の72.2%は上位10社で占められ、31.6%はトップの「日本たばこ」で占められています。したがって、これらの銘柄の値動きを調べれば、その理由に近づけそうです。

表2は、「食料品」の時価総額上位10社について、2014年と2015年(10/9まで)の年間騰落率をみたものです。2014年は多くの食品株が、全体をアウトパフォームするような動きをしたものの、ガリバー的存在の日本たばこが値下がりしてしまい「食品株」の足を引っ張ってしまいました。2015年は、日本たばこが上昇に転じた上、多くの時価総額上位食品株も市場を上回る動きを見せたため、相対的にも強い動きになりました。

そして2014年に日本たばこの値動きが悪かったことも、ここ数年、上位食品株の値動きが良いのも、ともに理由は「海外」に求められると考えられます。

冒頭からご説明しているように、食品株は「デェフェンシブ」銘柄的側面を有してはいますが、内需株では決してありません。少なくとも、表1に示した時価総額上位銘柄はグローバル企業の集まりなのです。2014年以降の食品株はそうした、グローバル企業としての食品株にスポットが当たり、株価評価が高まった可能性があるのではないでしょうか。

日本の食品株は長く続いたデフレという逆風の中で鍛えられた面があります。それが、安倍政権下では脱デフレを試みる動きとなり、収益の安定化が見込めるようになった上、海外でも強い競争力をより発揮できるようになったと考えられます。今後、世界的に景気不透明感が強まれば、グローバル展開する日本の食品株にも十分スポットが当たる可能性がありそうです。ただ、予想PERが高めになっている企業も増えており、その点は注意が必要です。

なお、日本たばこは海外たばこ事業の多くをロシアに依存しています。このため、原油価格が下落した2014年はロシア経済の先行きが懸念され、日本たばこの株価もその影響を受けたとみられます。しかし、2015年は原油価格が落ち着く兆しを見せたことで、ようやく日本たばこ株も反発に転じたというのが2014年および2015年相場の背景にあるように思われます。

表2:「食料品」時価総額上位銘柄の年間株価上昇率

取引 チャート コード 銘柄名 2015年 2014年
現買信買 チャート 2914 日本たばこ産業 23.6% -2.7%
現買信買 チャート 2502 アサヒグループホールディングス -0.1% 26.4%
現買信買 チャート 2503 キリンホールディングス 10.5% -1.1%
現買信買 チャート 2802 味の素 13.8% 47.4%
現買信買 チャート 2269 明治ホールディングス 60.4% 62.9%
現買信買 チャート 2267 ヤクルト本社 -4.4% 20.2%
現買信買 チャート 2587 サントリー食品インターナショ 10.9% 24.3%
現買信買 チャート 2801 キッコーマン 19.7% 49.3%
現買信買 チャート 2897 日清食品ホールディングス -2.4% 30.0%
現買信買 チャート 2875 東洋水産 14.2% 23.4%
- TOPIX (東証株価指数) 7.6% 8.1%
  • ※Bloombergッデータを用いてSBI証券が作成。
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【「食料品」の今後を深堀り!】グローバルな食品株の評価が再度高まる可能性も?

前項でご説明したように、現在の世界経済の方向感を考慮すれば、ディフェンシブ銘柄としての食品株に再度スポットが当たる可能性がありそうです。さらに、グローバルな食品メーカーには、厳しい日本市場で鍛えた競争力もあり、今後の成長余地も大きいと考えられます。そこで、表1に示した時価総額上位10社の中から、海外売上比率が高い6社を選んで解説しました。ぜひ、ご参考いただければと思います。

取引 チャート コード 銘柄名 投資のポイント
現買信買 チャート 2914 日本たばこ産業 たばこを主力としつつも、食品、医薬品と幅広く展開してきました。売上高の5割超、営業利益(調整後)の3分の2が「海外」というグローバル企業です。たばこ販売本数の4割がロシア、3割弱が欧州となっています。最近の値動きとしては、原油価格が再び低迷し、ロシアへの懸念も残り、当社株も軟調です。しかし、10/14現在の予想PER15倍、予想配当利回りは2.7%で、バリュエーション的には魅力が大きそうです。
現買信買 チャート 2802 味の素 ご存知化学調味料の会社ですが、売上高の32%、営業利益の45%が海外からというグローバル企業です。業績は好調で今期は10%の営業増益を見込んでいますが、市場はさらなる上積みを期待しているようです。株価は7月末の高値水準から15%程度下げ、押し目を形成中です。
現買信買 チャート 2267 ヤクルト本社 ご存知乳酸菌飲料の老舗メーカーで、販売員による拡販方式は海外でも変わらず取り入れています。飲料以外では制ガン剤など、薬品部門にも事業展開しています。海外売上比率は39%弱で、米国、アジア等に展開しています。今期も営業増益、過去最高益となる見込み。株価は6,000円近辺で底値を形成中と見受けられます。
現買信買 チャート 2587 サントリー食品
インターナショナル
缶コーヒーや茶飲料に強みのある清涼飲料水大手企業です。売上面では4割超が「海外」ですが、営業利益面での依存度は7割弱にも達しています。今期・来期ともに市場では安定した営業増益を期待しています。株価は、8/18高値からの下落率が一時24%に達しましたが、4千円台半ばで落ち着く様相を呈しているようです。
現買信買 チャート 2801 キッコーマン 調味料大手です。売上の57%、営業利益の84%が海外というグローバル企業です。今後和食の世界的な普及で醤油の販売が伸びる可能性もあり、成長が期待されます。実際に2013/3期以降営業増益が続いており、今期以降も安定した利益の伸びが期待されています。ただ、予想PERが40倍を超えてきたため、割安感は乏しくなってきました。
現買信買 チャート 2875 東洋水産 即席めん大手です。国内では日清食品の後塵を拝している感がありますが、米国では6割、メキシコでは8割のシェアを有しており、海外では大きな強みを持っています。現在はナイジェリアやインドを開拓中です。前期は、米国の好景気が逆にアダとなった感があります。商品単価が安く、不況に強いと考えられるため、「グローバルなディフェンシブ銘柄」と言えそうです。
  • ※報道、各社資料をもとにSBI証券が作成。掲載の順番は、時価総額の大きい順。
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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