国内株式市場は、為替相場の変動やこれまでの高値警戒感、そして決算発表シーズン前ということもあり、手控えムードになりがちですが、マーケットの先高期待は依然として根強く、「異次元の金融緩和」をテコに株高傾向が継続するとの見方が多いようです。昨秋以降の株高局面では、東京証券取引所が発表した投資部門別売買状況(3市場)を見てもわかるとおり(図1)、海外投資家が相場を牽引しており、累計で約8兆1,512億円(2012年11月第2週から2013年4月第2週)もの大幅な買い越しとなっています。今後も海外勢による日本株へのスタンスに期待が集まっています。
海外投資家は、その豊富な資金を背景に、国内銘柄では特に時価総額の大きい大型株や、世界的に事業を展開する国際優良株といわれる銘柄を志向する傾向が強いといわれています。そして、大型株などへの物色傾向を確認する上でNT倍率が参考になると思われます。これは、「日経平均株価÷東証株価指数(TOPIX)」であり、NT倍率が上昇するほど日経225銘柄、中でも株価水準の高い銘柄(値がさ株)への集中度が高いことを示唆しています。その半面、NT倍率が下落するほど、TOPIX構成比率が高い大型株である銀行や自動車が相対的に強いことを示唆しています。つまり、上昇局面において、NT倍率が上昇すると、値がさ株ハイテク銘柄などの上昇率がより高くなり、NT倍率が下落すると、自動車銘柄や銀行銘柄などの大型株の上昇率がより高くなる傾向があるのです。
足元のNT倍率は11倍台にまで低下しており、それとともに3月末から4月12日における東証一部の規模別株価指数の騰落率を見ると、小型株が5.6%高、中型株が8.3%高なのに対し、大型株は13.0%高と突出したパフォーマンスとなっています。大型株志向が強まっている、といえるのではないでしょうか。
今後の日米企業の決算及び国内企業の次期業績予想並びに先行きの景況感の改善状況が強まった場合、海外勢を中心に大型株を選別物色する傾向が強まってくるのではないかと考えられます。
図1:株式投資部門別売買動向と東証一部の規模別株価指数
- ※東京証券取引所の株式投資部門別売買動向データをもとにSBI証券が独自に作成。
- ※2012年9月3日終値のTOPIXを100として指数化している。
図2:NT倍率の推移(週足)
- ※各市場データをもとにSBI証券が独自に作成。
表1は東証一部上場銘柄のうち、時価総額5,000億円以上の銘柄で、今期経常変化率が20%以上、かつROE(株主資本利益率)が10%以上の銘柄を掲載しました。
表1:(参考)今期業績面から注目されそうな高ROEの大型株
コード |
会社名 |
株価 |
予想PER |
PBR(倍) |
ROE(%) |
今期経常 |
自己資本 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
3,665 |
12.7 |
2.17 |
17.10 |
28.05 |
45.21 |
||
6,370 |
23.5 |
2.55 |
10.84 |
21.50 |
66.50 |
||
638 |
11.9 |
2.61 |
21.90 |
29.26 |
34.24 |
||
1,878 |
14.9 |
2.12 |
14.29 |
27.73 |
66.89 |
||
3,430 |
13.5 |
2.12 |
15.71 |
30.36 |
21.26 |
||
541 |
15 |
1.66 |
11.08 |
90.43 |
45.02 |
||
5,200 |
19.5 |
2.00 |
10.23 |
20.68 |
55.18 |
- ※SBI証券のスクリーニング(銘柄条件検索)を使い下記の条件で抽出。
市場設定を東証1部、投資金額設定を0万円以上100万円以内、ROE(%)の最小値を10、時価総額(10億円)の最小値を500、今期経常利益変化率(%)の最小値を20、自己資本比率(%)の最小値を20に条件設定して検索。 - ※データは2013年4月18日現在。
- ※今期経常変化率はあくまで予想値であり、必ずしも実現されるものではない。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。