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日本株投資戦略 〜債券から株式への資金シフト本格化へ/株価反発に備えよう〜

2013/5/31
投資調査部 鈴木 英之

足元の株価調整は「過熱」も一因

株価の動きが波乱となっています。日経平均株価は、昨秋以降、「アベノミクス」による日本経済のデフレ脱却や円安を織り込みつつ順調に上昇してきましたが、年初来高値(5月22日終値15,627円)を付けた後は、約12%の下落率(5月31日現在)となっています。

株価下落の背景には、(1)米国のFRB(連邦準備制度理事会)による資産買取額の縮小懸念、(2)日本の10年国債利回りが一時1%を付け、金利上昇懸念が台頭、(3)中国の景気減速懸念等があげられます。ただ、日経平均の上昇ピッチに過熱感が出てきたことが、波乱を大きくした点は否めないでしょう。通常、株価指数が25日移動平均から7〜8%上方乖離すると「行き過ぎ」と考えられますが、日経平均は25日から一時10%以上も乖離してしまいました。

こうした中、日経平均は5月27日の段階で25日移動平均(14,333円)を割り込むなど、調整が進んできました。しかし、株価の反発局面が接近している可能性があります。即ち、上記の(1)については、為替の面では円安・ドル高要因であり、日本株へ追い風の側面もあること、(2)については、今後、景気・企業業績の回復が予想される中では、ある程度の金利上昇は許容されること、(3)については、既に織り込まれつつある材料であること、等です。そろそろ、株価の反発局面に備えた銘柄選別をして準備しておく必要があるかもしれません。

図1:日経平均株価と移動平均カイ離率
日経平均株価と移動平均カイ離率
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。日経平均株価と25日移動平均、および25日移動平均から上方に7%乖離したライン、及び下方に7%乖離したラインを示したもの。

米長期金利の上昇は日本株に追い風となる

米国の金利が上昇する局面では、日経平均株価が上昇する傾向にあります。逆に、米国の金利低下局面では、日経平均株価は下がりやすくなります。米国金利の上昇局面は、同国の景気が拡大していることが多く、それは貿易立国である日本にも追い風になってくるためです。ちなみに、2012年度の我が国の輸出相手先は米国がトップで、中国を上回っています。

市場の予想(Bloombergコンセンサス)では、米実質成長率は2013年2.0%、2014年2.7%、2015年3.0%と拡大が予想されています。それを織り込んで、債券から株式への資金シフトが本格化し、米長期金利も上昇が予想されます。市場(Bloombergコンセンサス)では2014年3月末に、米10年国債利回りは、2.37%前後への上昇が見込まれています。

米国の金利上昇は、円安・ドル高要因になります。また、それによって日本から米国への輸出拡大も期待でき、日本企業の業績拡大や株価(日経平均株価)上昇へつながると思われます。現在の株価調整は、投資チャンスと考えられましょう。

反発局面では、「好業績・深押し銘柄」が狙い目か

株価の反発局面では、直前の下落局面で大きく値下がりした銘柄の上昇率が大きくなりやすい傾向があります。ただ、中期的な視野に立った場合は、投資対象銘柄の業績見通しが良好な方が、高いリターンを期待できるとみられます。

そこで、今期、高い増益率が見込まれていて、市場で一定の評価(高い時価総額)を得ているにもかかわらず、年初来高値からの下落率が大きな銘柄を抽出してみました。

表1:好業績見通しながらも株価が大きく下げた銘柄

コード

会社名

株価(円)

売買単位(株)

今期予想経常
増益率(%)

年初来高値から
の下落率(%)

8572

3,690

10

112.5

25.38

5411

2,126

100

283.04

22.94

4005

328

1000

79.1

21.53

8697

9,620

100

10.95

21.47

6503

993

1000

184

20.05

8031

1,313

100

22.57

19.3

6460

2,434

100

244.27

19.27

2267

4,425

100

18.95

18.66

5802

1,243

100

27.5

18.55

4901

2,146

100

17.46

18.53

6471

927

1000

51.77

18.47

8002

712

1000

13.11

18.35

8035

4,925

100

19.79

18.33

4502

4,510

100

10.46

18.3

8570

2,675

100

42.86

18.07

  • ※弊社スクリーニングツールを用いてSBI証券が作成。スクリーニング条件は以下の通り。(1)投資金額が100万円以下、(2)東証一部上場企業、(3)時価総額5,000億円以上、(4)今期予想経常増益率が10%以上、(5)年初来高値からの下落率が10%以上。これらの条件を全て満たす銘柄を、下落率の大きい順に並べた。データは5月30日時点。
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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