2014年の上昇業種は2013年上位組以外からの公算も
表1:東証・業種別指数の年間騰落率・順位
BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
2013年の東証33業種別株価指数の騰落率とその順位を示した。平均順位は、その期間の騰落率ランキングにおける順位を単純平均したもの。騰落率は2012年12月28日から2013年12月30日までの実績であり、将来の運用成果等を保証するものではありません。
ご存知の通り、2013年の東京株式市場は、歴史的な株価上昇になりました。日経平均株価は前年比57.6%上昇し、1972年に記録した91.9%以来のパフォーマンスを残しました。TOPIXでみても、年間騰落率は51.5%に達しました。「アベノミクス」を背景に過剰流動性が強まったことや、外為市場での円安、景気・企業業績の回復等が、株価を押し上げました。
表1は、そんな2013年相場における業種別指数の騰落率を示したものです。2013年のパフォーマンスが良好だった業種ほど、表の上位に来るように並べています。
トップは情報・通信でした。そのけん引役であるソフトバンクは、米通信大手スプリントを買収し、国内携帯キャリアから世界的な携帯キャリアへと「脱皮」を果たしたことが評価されました。第2位は証券・商品先物でした。冒頭に述べた通り、株価が歴史的な上昇率を示したことが理由とみられます。海運やゴム製品、輸送用機器、機械など、円安が業績にプラスとなりやすい業種も軒並みTOPIXの上昇率を上回るパフォーマンスになりました。
2014年は、どのような業種が上位に来るでしょうか。
ちなみに、2013年の上昇率トップ3の業種をみると、過去3年の順位は平均的にさほど良くなかったことが見て取れます。全業種を10年単位でみれば、どの業種も相対的に強い年があれば、弱い年もあるのが普通であり「平均順位」でみて、飛びぬけて良い業種は見受けられません。従って、2013年は冴えなかったものの、2014年は上昇率で上位に来る業種があっても不思議ではないのです。逆に考えれば、2013年に大きく上昇した業種が、2014年も上位を維持するとは限らないと思われます。
そこで、2014年に相対的に大きく上昇しそうな銘柄の予想について、2013年にTOPIXをアンダーパフォームした業種からアプローチしてみたいと思います。
2014年の上昇業種は2013年上位組以外からの公算も
2013年の東京株式市場では、情報・通信や輸出業種の他、不動産も業種別上昇率5位と健闘しました。ちなみに、弊社が2013年末に外資系証券会社や運用会社を対象に行ったアンケートで2014年の注目テーマを質問していますが、「カジノ」「都市再生」など、不動産に関連する業種が多かったのがひとつの特徴です。
アベノミクスへの期待、景気センチメントの回復、低金利の長期化等が不動産市場の回復を支えています。インフレ率2%の達成が確かになっていない現状で、日銀は量的緩和を継続せざるをえないとみられ、今の追い風は続くとみられます。また、2020年の東京への五輪招致も追加的なプラス材料となり、不動産市場の活性化はここから本格化するとみられます。従って、2013年の業種別騰落率で上位になったとはいえ、2014年も上位になる可能性は十分あるとみられます。
シナリオ通り不動産市場が再活性化した場合、陸運や倉庫・運輸などの業種にも追い風が吹くとみられます。また、建設コストの上昇を吸収できるようになれば、建設セクター(プラントも含むのでシェール革命も追い風)も都市活性化の追い風を受けるとみられます。これらの業種は、2013年の業種別騰落率が、TOPIXをアンダーパフォームしていただけに、2014年は切り返しが期待できるかもしれません。
なお、前記したアンケートでは業種として商社、海運、テーマとしてエネルギーなどが指摘されています。低迷を続けてきた新興国経済に底打ち感が強まれば、世界の経済成長率も再加速する可能性が出てきます。その場合、エネルギー・資源価格も上昇に転じる可能性があり、商社や海運、鉱業等が注目される可能性があります。海運は2013年の業種別上昇率で第3位でしたが、商社を含む卸売やエネルギー株を含む石油・石炭、鉱業などは下位に甘んじていますので、これらが一転、上位に入ってくる可能性は大きいと思われます。
図1:都心部オフィス空室率と東証不動産業株価指数
BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
図2:WTI原油先物相場(1バレル/ドル)
BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
2014年の注目業種と銘柄は?
上の段落でご説明した通り、陸運、倉庫・運輸、建設、海運、石油・石炭、鉱業は、2014年に活躍が期待できる業種と考えられます。それらの業種に属す主力銘柄(ここでは時価総額1千億円以上)の中で、株式市場(コンセンサス)が、今期・来期ともに好業績を期待している銘柄を抽出したのが、表2の銘柄になります。株価の上昇率が下位の銘柄を残しましたので、相対的な過熱感も小さいとみられます。
2014年は、これらの銘柄の中から、株式市場を牽引するような銘柄が出ることに期待したいと思います。
表2:注目業種のうち、好業績が期待され株価上昇率に過熱感のない銘柄
銘柄 |
銘柄名 |
業種 |
株価 |
騰落率 |
今期予想増益率 |
来期予想増益率 |
---|---|---|---|---|---|---|
8053 |
卸売業 |
1,306 |
18.7% |
12.4% |
13.1% |
|
8058 |
卸売業 |
1,968 |
19.5% |
46.8% |
10.1% |
|
8002 |
卸売業 |
745 |
21.3% |
37.1% |
11.3% |
|
9005 |
陸運業 |
648 |
33.3% |
10.2% |
10.5% |
|
1833 |
建設業 |
477 |
35.5% |
49.4% |
135.0% |
|
1812 |
建設業 |
390 |
37.3% |
20.4% |
43.9% |
|
9062 |
陸運業 |
493 |
38.9% |
23.1% |
16.7% |
|
9962 |
卸売業 |
3,305 |
41.0% |
17.8% |
10.9% |
|
1963 |
建設業 |
4,011 |
49.9% |
13.2% |
10.4% |
|
9101 |
海運業 |
316 |
57.2% |
177.2% |
57.8% |
BloombergデータをもとにSBI証券が作成。スクリーニング条件は以下の通り。
(1)東証一部上場で、時価総額1千億円以上。
(2)業種は、陸運、倉庫・運輸、建設、海運、石油・石炭、鉱業に限定。
(3)今期予想営業増益率・来期予想営業増益率ともに10%以上。予想は市場コンセンサス。
(4)株価騰落率は、2012年末から2014年1月14日までの上昇率。
(1)〜(3)で抽出された銘柄を、(4)について低い順に10銘柄ピックアップした。
実際の事業内容と分類業種が合っていないとみられる一部銘柄を除外。
掲載された銘柄はスクリーニングにより抽出されたもので、注目銘柄を意図するものではない。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。