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マーケット > レポート >  日本株投資戦略〜この好業績銘柄に注目!来期にかけ株価上昇が期待できる銘柄は?〜

日本株投資戦略〜この好業績銘柄に注目!来期にかけ株価上昇が期待できる銘柄は?〜

2014/2/21
投資調査部 鈴木英之

株価は一時14%下落。理由は円高や海外景気への不安?

1.一般的には米国・新興国経済への不安が株安の背景と言われるが・・・・

日経平均株価は2013年12月30日に、16,291円31銭まで上昇し、アベノミクス相場(2012年11月14日以降)の高値を付けました。しかし、その後は下落に転じ、2014年2月4日には14,008円47銭を付けました。高値からの下落率は14%に達しました。なお、2014年2月18日現在、高値から8.9%の下落になっています。(図1参照)

図2に示された通り、この間の米国株は下げていますし、外為相場でもドル/円、ユーロ/円のみならず、対新興国通貨(特にアルゼンチンペソとトルコリラが話題になった)が、円に対して大きく下げました。確かに、年初来の東京株式市場の下落については「米国経済への不透明感や同国株の下落に加え、新興国通貨・経済への不安が高まったことが要因」と、説明されることが多いように思われます。しかし、それだけ考えれば十分でしょうか?

図1:日経平均株価の推移(終値ベース)
日経平均株価の推移(終値ベース)

日経平均株価データをもとにSBI証券が作成。

図2:主要株価指数・為替レートの推移
   (2013/12/30〜2014/2/18)
主要株価指数・為替レートの推移(2013/12/30〜2014/2/18)

BloombergデータをもとにSBI証券が作成。2013年12月30日終値に対する2014年2月18日19時(NYは14日終値)現在の騰落率をグラフで表示。為替レートは、当該通貨の円に対する騰落率を示している。

2.決算発表シーズンになり、期待を裏切った企業が足を引張っている面も

表1は、東証に上場する主力企業について、決算発表後の株価下落率が大きい順(表1、騰落率−期間A)に並べたものです。2014年1月下旬以降本格的に始まった決算発表後に、株価が大きく下落した銘柄は結局、昨年末以降の株価下落率(表1、騰落率−期間@)も大きくなっていることが多いようです。そして、それら大きく下げた銘柄のほとんどが、2013年4〜9月の利益(ここでは営業利益)について、事前の市場コンセンサスを下回ったか、あるいは、決算発表後の利益見通し(未修正の場合も含む)が、市場コンセンサスを下回っていた企業が多くなっています。

株価は、アナリストの業績予想の平均値である市場コンセンサスに大きな影響を受けやすいとみられます。そして、決算で企業業績が市場コンセンサスを上回れば株価は上昇しやすく、逆に下回れば下落しやすいことは確かです。今回の四半期決算では、主要3月期決算企業約400社(母集団は表1と同じ)のうち、2013年4〜12月営業利益実績及び2014年3月期予想営業利益が共に市場コンセンサスを上回った企業は57社、共に下回った企業は112社でした。

決算発表を通じ、アナリストの予想が高過ぎることが明らかになり、その影響で全体の株価が押し下げられた面は否めないように思われます。

表1:決算発表後の株価下落率が大きい主力銘柄(3月期決算)

銘柄
コード

銘柄名

2013年4〜12月

2014年3月期

株価
(2/18)
(円)

騰落率

実績
(百万円)

達成率
(倍)

会社予想
(百万円)

達成率
(倍)

期間①
(%)

期間②
(%)

8871

4,414

-

5,200

0.93

2,172

-20.6

-22.0

7004

-3,300

赤字拡大

8,000

0.57

601

-25.3

-19.2

3774

4,211

0.82

6,000

0.66

1,892

-32.9

-17.4

7274

15,621

0.97

20,000

0.96

1,369

-19.2

-17.3

6349

4,908

1.15

7,500

1.07

1,351

-24.5

-17.0

6472

20,602

0.96

32,000

0.99

385

-19.3

-15.6

6967

8,630

0.85

8,600

0.71

763

-12.5

-14.6

1942

4,852

-

6,500

0.92

523

-11.8

-12.2

5406

85,548

1.15

105,000

1.06

147

-18.3

-12.0

8050

13,370

-

14,000

0.94

448

-13.5

-11.8

BloombergデータよりSBI証券が作成。東証一部の時価総額1千億円以上の3月期決算企業(銀行、証券・商品先物、保険、その他金融、電気・ガスを除く)の中、2007年第1四半期以降の連続データが取れる企業を母集団とした。
2013年4〜12月期実績あるいは2014年3月期(通期)の会社予想(決算発表後の予想)について、営業利益額と事前の市場コンセンサスとの乖離を「達成率」とし倍率で示した。赤字拡大は、市場コンセンサスに対し、赤字が膨らんだことを示す。母集団企業について、決算発表前の営業日から2014年2月18日までの下落率が大きい順に並べた。表中で、色付部分は、営業利益実績または予想が市場コンセンサスを下回っている項目を示している。騰落率の期間@は、2013年12月30日〜2014年2月18日、期間Aは各社の決算発表前営業日〜2014年2月18日を示している。

「失望」は株価に織り込まれれば、「希望」に変わる

今回の四半期決算(2013年4〜12月期)で、営業利益が事前の市場コンセンサスを下回り、かつ、通期(2014年3月期)の会社側の予想した営業利益が、事前の市場コンセンサスを下回ってしまった企業(以下「未達成企業」と略す)が、予想外に多いことがご理解頂けたでしょうか。そして、そのことが日経平均株価下落の一因であった可能性は小さくないと思われます。

それでは、「未達成企業」の株価に「上がり目」はないでしょうか。いや、そんなことはないと思います。むしろ、投資チャンスを提供しているケースもあると思います。そもそも、事前の市場コンセンサスに対する上振れ・下振れで株価が動くのは、決算発表シーズン特有の動きであるという側面があります。「未達成」にはなったものの、アナリストが中長期的に高い成長期待を維持できる企業であれば、十分「挽回」は可能であるとみられます。そうした企業であれば、決算発表局面での「失望」は株価下落という形で織り込まれることにより、「希望」に変わる可能性すらあります。

表2の企業は、どれも、今回の決算における、「未達成企業」です。中には、株価が大きく下げている銘柄もあります。しかし、会社側が業績見通しを下方修正した訳でなく、2014年3月期は増益が見込まれる企業です。そして、決算発表後の企業調査等を経て、アナリストが、決算発表前より予想を強めに変えている企業でもあります。さらに、2015年3月期にアナリストは10%以上の営業増益を見込んでいる企業でもあります。

結果的に、社会インフラを提供したり、企業の設備投資に貢献したりするような企業が、多めに並ぶことになりました。実はこうした企業を評価する際には、短期的な四半期決算で一喜一憂すべきでないケースが多いとみられます。企業自体が長期的な計画に基づいて事業を営むためです。四半期業績の結果、株価が低迷するならば投資チャンスになるケースも十分あるのです。

表2:アナリスト予想を下回ったものの挽回が可能とみられる銘柄

(実績・市場予想:百万円)

銘柄
コード

銘柄名

2013年4〜12月

2014年3月期

2015年3月期

株価
(円)

騰落率

実績

前年比

市場予想

前年比

市場予想

前年比

9684

7,815

黒字転換

11,227

黒字転換

18,152

+61.7%

2,460

+1.1%

8036

13,553

-15.7%

28,494

+50.4%

38,773

+36.1%

2,472

-1.3%

6594

61,866

+43.8%

86,024

+388.0%

109,281

+27.0%

12,325

+12.4%

6504

5,862

黒字転換

31,625

+43.8%

37,775

+19.4%

441

-11.6%

6472

20,602

+1239.5%

32,560

+347.4%

38,670

+18.8%

385

-15.6%

3092

8,640

+58.1%

12,336

+44.6%

14,628

+18.6%

2,209

-2.1%

7013

34,121

+39.3%

57,100

+35.5%

67,669

+18.5%

471

+1.7%

5802

77,918

+66.1%

122,636

+59.7%

144,055

+17.5%

1,602

-1.5%

9062

29,855

+20.7%

41,114

+23.8%

48,123

+17.0%

481

+1.7%

7012

46,079

+101.0%

67,258

+59.9%

78,650

+16.9%

432

-8.9%

2229

15,617

+24.6%

18,917

+19.8%

21,633

+14.4%

2,478

+3.7%

4502

169,357

+12.4%

163,177

+33.2%

182,063

+11.6%

4,822

+3.5%

BloombergデータよりSBI証券が作成。東証一部の時価総額1千億円以上の3月期決算企業(銀行、証券・商品先物、保険、その他金融、電気・ガスを除く)の中、2007年第1四半期以降の連続データが取れる企業を母集団とした。スクリーニング条件は、
(1)2013年4〜12月期実績、及び2014年3月期(通期)の会社予想(決算発表後の予想)について、
  営業利益が、事前の市場コンセンサスを下回っている
(2)2014年2月18日時点の2014年3月期・営業利益予想(市場コンセンサス)が、
  2014年1月20日時点の予想から増額されている
(3)2014年3月期が営業増益予想(市場コンセンサス)であり下方修正されていない
(4)2015年3月期が10%以上の営業増益予想(市場コンセンサス)
2015年3月期の予想増益率が高い順に掲載。株価は2014年2月18日現在。
以上の全条件を満たした銘柄を、2015年3月期の予想営業増益率が高い順に表示。

業績好調にもかかわらず、株価が冴えない銘柄は?

投資対象として最初に検討したい銘柄は、業績面で不安の少ない銘柄かもしれません。表3は、今回の四半期決算(2013年4〜12月期)で、営業利益が事前の市場コンセンサスを上回り、かつ、通期(2014年3月期)の会社側営業利益予想が、事前の市場コンセンサスを上回った企業です。

それらの銘柄の中から、2014年3月期・2015年3月期ともに、営業増益が見込まれること、アナリスト予想が決算発表を経て増額されていること、2015年3月期に10%以上の増益が予想されること等、「素晴らしい条件」を満たしながらも、株価が下落してしまっている企業を選んでいます。要約すれば「決算はよかったのに、株価があまり上がっていない(又は下落している)銘柄」と、表現できるでしょう。

これらの中には、決算発表前に株価が堅調に推移した結果、決算発表でいったん「好材料出尽くし」になった銘柄もあります。ただ、アナリストが期待したように業績の大幅改善・回復が続くならば、中期的には買い直される可能性が大きい銘柄群ともいえそうです。

表3:業績が市場コンセンサスを上回り、拡大傾向にもかかわらず、株価が下落している銘柄

(実績・市場予想:百万円)

銘柄
コード

銘柄名

2013年4〜12月

2014年3月期

2015年3月期

株価
(円)

騰落率

実績

前年比

市場予想

前年比

市場予想

前年比

6473

41,255

+118.5%

57,375

+96.8%

70,663

+23.2%

1,588

-11.3%

2282

29,799

+16.1%

33,463

+19.4%

36,927

+10.4%

1,609

-10.9%

6471

44,713

+98.8%

62,214

+92.3%

72,185

+16.0%

1,176

-10.1%

5444

6,547

+91.3%

7,633

+39.5%

9,483

+24.2%

3,070

-8.6%

2267

25,449

+42.4%

32,191

+39.5%

36,036

+11.9%

4,945

-6.9%

7276

29,599

+18.5%

42,786

+13.6%

48,157

+12.6%

1,940

-3.3%

7251

14,587

+70.6%

19,330

+93.0%

22,190

+14.8%

1,578

-3.2%

5803

15,879

+184.7%

19,367

+198.0%

23,356

+20.6%

487

-1.2%

6816

7,798

+358.4%

8,557

+271.2%

10,086

+17.9%

1,463

-0.7%

6448

30,740

+19.4%

37,813

+27.0%

44,413

+17.5%

1,431

-0.4%

BloombergデータよりSBI証券が作成。東証一部の時価総額1千億円以上の3月期決算企業(銀行、証券・商品先物、保険、その他金融、電気・ガスを除く)の中、2007年第1四半期以降の連続データが取れる企業を母集団とした。スクリーニング条件は、
(1)2013年4〜12月期実績、及び2014年3月期(通期)の会社予想(決算発表後の予想)について、
  営業利益が、事前の市場コンセンサスを上回っている
(2)2014年2月14日時点の2014年3月期・営業利益予想(市場コンセンサス)が、
  2014年1月20日時点の予想から増額されている
(3)2014年3月期が営業増益予想(市場コンセンサス)
(4)2015年3月期が10%以上の営業増益予想(市場コンセンサス)
(5)2013年末から2014年2月18日までの株価が下落している。
以上の全条件を満たした銘柄を株価下落率の大きい順に表示。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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  • 本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客様が損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。
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