「ラストチャンス」に再度チェックしたい魅力ある「株主優待」銘柄
今回の「日本株投資戦略」では、2014年9月末に権利確定日を迎える「株主優待」銘柄について、ご説明したいと思います。2014年9月末に権利が確定する上場企業は345社(9月11日現在)ありますが、今回はそれらの中から、
の3つに該当する銘柄を、それぞれ複数ご紹介したいと思います。なお、9月末に権利が確定する株主優待銘柄については、8月15日付「福の神レポート」でもご紹介しておりますので、そちらもご参考頂ければと思います。ただし、同レポートとは少し観点を変えています。
要チェック!
本レポートでご紹介した銘柄をはじめ、2014年9月末に権利確定日を迎える銘柄の権利付最終日は9月25日(木)となります。
2014年9月末株主優待銘柄の権利を取得するには、9月25日(木)までに購入する必要があります。
投資家の関心度が高い銘柄・上位5社 |
投資家の関心度が高い株主優待銘柄はどれでしょうか。権利付最終日を9月25日(木)に控えた現在で再度チェックしたものが表1の銘柄です。9月末優待銘柄を当社株主優待検索ツールを使い、閲覧回数が多い順(9月11日現在)に5社ピックアップし、各社の株主優待のポイントをおさえてみました。
本レポートで掲載している銘柄の最低売買単位は、ほぼすべての銘柄が100株です。(※ジャパン・フード&リカー・アライアンス(2538)、ニチリョク(7578)の2銘柄は1,000株)。その全てが、最低投資単位金額(株価×最低売買単位/諸コストは含まない)で、株主優待の権利を得られます。
表1のミサワホーム(1722)の場合は、115,200円の投資で、株主優待が得られることになります。住宅建築は一般的に非常に高額ですので、1%の優待でも金額的には大きくなります。なお、(3)で、特定の目的がある投資家には魅力が大きいユニークな優待銘柄をご紹介していますが、本来はそこでご説明しても良い銘柄といえましょう。
ジャパン・フード&リカー・アライアンス(2538)は、最低投資金額48,000円で株主優待の権利を得られることが、投資家の関心を得ているとみられます。ただ、過去の業績悪の影響で、財務体質改善が課題になっており、注意が必要です。
表1:投資家の閲覧数が多い「9月優待」上位5銘柄(9月11日現在)
取引 | チャート | コード | 会社名 | 株価 (9月配当) |
株主優待のポイント (最低投資単位の場合) |
---|---|---|---|---|---|
1722 | ミサワホーム | 1,152 0 |
優待券(工業化住宅の建物本体価格1-3%割引、他)、クオカード。 | ||
7918 | ヴィア・ホールディングス | 847 0 |
同社店舗で使用できる2,500円相当の優待券を半期に1枚。 | ||
2538 | ジャパン・フード&リカー・アライアンス | 48 0 |
自社グループ商品または自社グループ商品詰合せ。 | ||
3167 | TOKAIホールディングス | 492 6 |
天然水または、クオカード、自社グループ食事券等から選択。 | ||
3598 | 山喜 | 280 0 |
自社グループ直営店、ネットショップで使用できる2,000円分商品券。 |
- ※弊社株主優待検索ツールをもとにSBI証券が作成。売買単位は「ジャパン・フード&リカー・アライアンス」(1,000株)を除き、100株単位。
- (1)「株価」は9月11日終値で、下段の「9月配当」は会社予想(半期)ベースの一株当たり配当(円)。
- (2)「株主優待のポイント」は、最低投資単位で株主優待の権利を確定した場合に得られる優待内容のポイントで、その会社の株主優待の全てを表したものではない。詳細は弊社株主優待検索ツール、および各社WEBサイトを参照。
最大限有効に活用すれば、高額の優待が期待できる銘柄(9社) |
最大限有効に「株主優待」を活用すれば、高額の優待が期待できる銘柄を抽出したのが表2です。掲載の条件は以下の通りです。
○9月末に権利が確定する「9月優待」銘柄。
○最大限有効に活用すれば、高額(1万円以上)の優待が期待できる銘柄
○最低投資金額20万円未満
「最大限有効に活用する」ことの例を表2の三越伊勢丹ホールディングス(3099)でご説明したいと思います。この会社の場合、最低投資金額13万円で株主の権利を得ることができます。「株主優待カード」を獲得し、限度額一杯の15万円の買物をすれば、実に15,000円分の割引を得ることができる計算です。もちろん、5万円分の買い物しかしなければ、5,000円分の割引にとどまることになります。
同様に紳士服大手のコナカ(7494)では、最低投資金額68,800円で株主になれます。同社店舗で仮に50,000円のスーツを買えば、株主優待券1枚で10,000円分割引になります。そんな株主優待券が3枚付いていますので、使い方によっては、より高額の優待を享受することが可能になります。
オリックス(8591)は、株主優待で得られるサービスの範囲が広いのが大きな特徴です。表2に記載できたのはほんの一部に過ぎません。レンタカーや食事、宿泊を組み合わせることにより、レジャーで活用できるケースが多いようです。
表2:最大限有効に活用すれば高額の優待が期待できる銘柄
取引 | チャート | コード | 会社名 | 株価 (9月配当) |
株主優待のポイント (最低投資単位の場合) |
---|---|---|---|---|---|
3099 | 三越伊勢丹ホールディングス | 1,300 0 |
株主優待カード(10%割引)。利用限度額は15万円。 | ||
7419 | ノジマ | 651 12 |
1枚で1,000円まで割り引ける10%割引券を10枚。(同時複数使用可) | ||
7494 | コナカ | 688 10 |
優待割引券(20%割引)が3枚。 | ||
8214 | AOKIホールディングス | 1,243 18 |
買物優待券(20%割引)5枚。施設利用優待券(同)10枚他。 | ||
8591 | オリックス | 1,539 0 |
プロ野球公式戦優待、レンタカー30%割引、水族館入場料10%割引他 | ||
8242 | エイチ・ツー・オー リテイリング | 1,713 12.5 |
10%割引(百貨店等・スーパーは5%割引)券を5枚。 | ||
8252 | 丸井グループ | 880 9 |
株主優待カード(10%割引)。利用限度額は10万円。 | ||
9206 | スターフライヤー | 1,898 0 |
株主優待券(普通運賃50%割引)を3枚。 | ||
8281 | ゼビオ | 1,753 17.5 |
優待券(20%割引)1枚および同(10%割引)4枚。買物限度額30万円。 |
- ※弊社株主優待検索ツールをもとにSBI証券が作成。売買単位100株単位。
- (1)「株価」は9月11日終値で、下段の「9月配当」は会社予想(半期)ベースの一株当たり配当(円)
- (2)「株主優待のポイント」は、最低投資単位で株主優待の権利を確定した場合に得られる優待内容のポイントで、その会社の株主優待の全てを表したものではない。詳細は弊社株主優待検索ツール、および各社WEBサイトを参照。
特定の目的がある投資家には魅力が大きいユニークな優待銘柄(2社) |
権利を獲得したい株主優待は、可能な限り広範囲の商品・サービスでメリットを受けられる会社がよいかもしれません。ただ、特定の目的がある場合に「株主優待」を活用するという手もあります。例えば、住宅建築やリフォームの予定がある場合に、表1のミサワホーム(1722)や表3のLIXILグループ(5938)の株主優待を活用するというのも、ひとつの方法です。
代表的な住宅関連企業であるLIXILグループ(5938)では、株主優待の一環として「リフォームサービスは商品・工事合計代金から30,000円または50,000円割引」という項目があります。折しもそうしたニーズがあったという投資家であれば、活用を検討しても良いかもしれません。
表3のニチリョク(7578)は、葬儀や霊園の運営等を営む東京本社の企業です。同社の株主優待は「墓石工事代金・モダン仏壇代金10%割引」「会員組織『愛彩花倶楽部』会員価格での葬儀施行」「堂内陵墓代金30,000円割引」等となっています。なかなか、サービスの享受について「計画的に」とはいかない分野ですが、金額的には高価なサービスが多いだけに、一考の価値はありそうです。
表3:特定の目的がある投資家には魅力が大きいユニークな優待銘柄(2社)
取引 | チャート | コード | 会社名 | 株価 (9月配当) |
株主優待のポイント (最低投資単位の場合) |
---|---|---|---|---|---|
5938 | LIXILグループ | 2,335 0 |
自社関連会社サービス割引券2枚。リフォーム・サービス割引も。 | ||
7578 | ニチリョク |
220 30 |
墓石工事代金、葬儀施行、堂内陵墓代金等で割引。 |
- ※弊社株主優待検索ツールをもとにSBI証券が作成。売買単位はLIXILが100株単位で、ニチリョクは1,000株。
- (1)「株価」は9月11日終値で、下段の「9月配当」は会社予想(半期)ベースの一株当たり配当(円)。
- (2)「株主優待のポイント」は、最低投資単位で株主優待の権利を確定した場合に得られる優待内容のポイントで、その会社の株主優待の全てを表したものではない。詳細は弊社株主優待検索ツール、および各社WEBサイトを参照。
「株主優待」ここをチェック!
最後に、株主優待の権利を獲得するにあたり、チェックすべき注意点を確認しておきたいと思います。
(1)日程のチェック〜「権利落ち」後に買っても無意味です。
2014年9月末の株主優待の権利を確定させるには、今回ならば、9月25日(木)までに買い付けなければなりません。9月26日(金)以降に買い付けた場合、9月末の権利は、株主優待も、配当についても確保できないことになりますのでご注意ください。弊社WEBサイト、ログイン後画面で各銘柄のページを見ますと、株主優待のページに、以下のような表があるのを確認できます。ここで、株主優待の日程関係の情報を確実にチェックしておくことが必要です。
特に注意したいのが「9月株主優待」の銘柄でも、決算期末が9月20日のように、イレギュラーなケースもあることです。今回レポートで掲載した銘柄はすべて「9月末」ですので、9月25日が権利付最終日ですが、他の銘柄はご自身でチェックされることをお勧めします。
表4:株式優待周辺情報の例(弊社Webサイト・各銘柄の「株主優待」ページ)
(2)「権利落ち」後に株価が下落するケースが多い点に注意
一般的に、権利付最終日直前のギリギリの期間に買い付けて権利を確定させ、権利落ち後すぐにその銘柄を売却すれば、短期間の保有で「効率的に」株主優待の権利を確保できると考える投資家の方が多いのが現実です。しかし、現実には、なかなか難しい面も多いと言えます。
図1・図2は、投資家の方に「株主優待」の面で人気の高い総合スーパーマーケット「イオン(8267)」の値動きを、権利付最終日・権利落ち日近辺にスポットを当ててみたものです。ちなみに、同社の権利確定月は2月と8月です。2014年は、2月25日権利付最終日、2月26日権利落ち日、8月26日権利付最終日、8月27日権利落ち日でした。イオンの株主優待の権利を確保したい投資家の買いは、権利付最終日にかけ盛り上がる傾向にあり、それを反映して株価も堅調に推移しやすい傾向があります。しかし、権利落ち後は、そうした買い需要が剥落し、株価が下落しやすい傾向にあります。
今回、2014年9月末の株主優待の権利を取りに行く場合も、株価のこうした特性を念頭に入れておく必要があります。権利獲得後の売却タイミングをずらすなど、対策を取ることも必要かもしれません。なお、日本経済新聞社の調べによると、株主優待を実施している企業1,146社中、121社(ともに2014年8月末現在)が、保有期間の長い投資家を優遇する優待制度を採用しているようです。基本的に、株主優待制度自体が、長期保有の投資家を念頭に置いていると言えるでしょう。
図1:イオンの株価(日足終値)推移(2014年2月〜3月)
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
図2:イオンの株価(日足終値)推移(2014年8月〜9月)
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。