業績予想の上方修正により株価上昇が期待できる銘柄に照準
10月相場が始まりました。下旬以降、3月期決算企業の中間決算発表が本格的なシーズンを迎えます。今回の「日本株投資戦略」では、10月中に決算が発表される銘柄について、業績予想の上方修正が期待でき、それを受け株価が上昇する可能性のある銘柄をピックアップしてみました。スクリーニング条件は以下の通りで、その結果を表1に示しています。
スクリーニング条件
- (1)全上場企業のうち、今期予想経常利益のコンセンサス(IFIS集計)を取得できる企業。
- (2)2014年10月6日〜31日に決算発表を予定している企業(全決算期)。
- (3)今期予想経常利益について、コンセンサス(IFIS集計)が会社予想を上回る企業。
- (4)今期予想経常利益(コンセンサス)が100億円以上(IFIS集計)。
- (5)四半期の経常増益率が、通期の会社予想経常増益率を上回っている企業。
- ※別項で細かくご説明します。ここでは、「四半期決算実績から通期の会社計画達成の確度が大きい企業」とご理解下さい。
- (6)上記の全条件を満たす企業を、コンセンサス超過率(IFIS集計コンセンサスが会社予想を何%上回っているかを示す)の大きい順に羅列。
表1:予想経常利益の上方修正(または計画超過)期待が大きい企業
取引 | チャート | コード | 銘柄名 | 経常利益 (会社予想) |
経常利益 (コンセンサス) |
コンセンサス 超過率 |
---|---|---|---|---|---|---|
6432 | 竹内製作所 | 5,750 | 10,700 | 86.1% | ||
9502 | 中部電力 | 30,000 | 45,211 | 50.7% | ||
1949 | 住友電設 | 7,500 | 10,400 | 38.7% | ||
4506 | 大日本住友製薬 | 19,000 | 24,617 | 29.6% | ||
6756 | 日立国際電気 | 15,000 | 19,000 | 26.7% | ||
4661 | オリエンタルランド | 84,140 | 104,323 | 24.0% | ||
3048 | ビックカメラ | 15,500 | 19,100 | 23.2% | ||
6770 | アルプス電気 | 29,000 | 35,418 | 22.1% | ||
6473 | ジェイテクト | 62,000 | 75,240 | 21.4% | ||
9533 | 東邦瓦斯 | 23,000 | 27,500 | 19.6% | ||
6724 | セイコーエプソン | 119,000 | 138,283 | 16.2% |
- ※当社「決算発表スケジュール」「業績情報」のデータをもとに、SBI証券投資調査部が作成。
- ※10月決算発表予定の企業を掲載。
- ※予想経常利益の単位は百万円。データは2014年9月26日現在。
業績予想に大いに活用したい「市場コンセンサス」
一般的に、上場企業が業績予想を上方修正した場合、または決算数値が会社予想を上回った場合、それを好感して株価が上昇するケースが多くなります。逆に下方修正や、決算が会社計画を下回った場合は、株価が下落するケースが多くなります。従って、投資家としては、発表または修正される前に、正しい企業業績を予想できれば、投資成績を向上させることが可能になります。
図1は、そうした事情を典型的に示しているとみられるセイコーエプソン(6724)の例です。同社については、2014年7月15日付で日本経済新聞が「4〜6月の営業利益は前年比5.6倍の450億円前後の模様」と報じましたが、直後の株価の反応は冴えないものでした。ある程度の好業績自体はある程度株価に織り込まれていたようです。しかし、アナリストコンセンサスの分析から上方修正の期待が大きく、7月18日付の「日本株投資戦略」でご紹介しました。事実、会社側は7月31日に、第1四半期の決算発表と通期業績予想の上方修正を発表。図示したように、その後の株価は大きく上昇することになりました。
この他、「日本株投資戦略」掲載銘柄では、7月18日(掲載日)から決算発表翌日にかけ、ローム(6963)が7.7%、日立ハイテク(8036)が14.9%、アルプス電気(6770)が5.7%といったように、好決算や業績予想上方修正を背景に株価上昇となりました。
実際、個人投資家が企業業績を正しく予想し、好決算や業績予想上方修正銘柄を的中させることは極めて困難です。しかし、アナリスト予想の集計である市場コンセンサスは、ある程度信頼に値し、それを活用して好決算・業績予想上方修正銘柄を発掘することは十分可能であることをご理解頂けると思います。
図1:セイコーエプソン(6724)と業績修正
- ※Bloombergデータ、会社発表資料、各種報道をもとに、SBI証券投資調査部が作成。
「四半期決算」を分析し、業績予想の確度をアップ
このように、アナリストコンセンサスが会社計画を上回っていれば、業績予想のクリア・上方修正が期待でき、その結果として株価上昇も望めることになります。
ただ、この分析の前提条件は、アナリストの市場コンセンサスに信頼を置くことです。従って、アナリスト予想が正しくなければ、上方修正や株価上昇は期待できなくなります。そこで、冒頭の表1では、好業績・上方修正銘柄発掘の確度を上げるために、実績として既に発表された四半期決算を分析し、銘柄を絞り込んでいます。
ちなみに、その条件は、「四半期の経常増益率が、通期の会社予想経常増益率を上回っている企業」でした。これでは理解しにくいので、表2で掲載銘柄の分析をいたしました。例えば住友電設(1949)の場合、通期の予想経常利益は前年同期比30%減の75億円ですが、第1四半期の経常利益は前年同期比12%減益と、通期予想に比べ穏やかな減益率にとどまりました。このため、このままのペースで業績が推移すれば、通期で30%減益は避けられる可能性が大きいということになります。
このように、四半期決算の実績を分析するだけでも、業績予想の上方修正が期待できる上に、企業調査をした上でのアナリストコンセンサスが、会社予想よりも強いのであれば、上方修正の確度は高いとみられます。
表2:表1の企業が四半期決算から予想経常利益(会社予想)のクリア、または上方修正の確度が高いと分析される理由
コード | 銘柄名 | コメント |
---|---|---|
6432 | 竹内製作所 | 通期予想経常増益率▲11%に対し、第1四半期は黒字転換。 |
9502 | 中部電力 | 今期予想経常益は前年比1226億円増だが、第1四半期に前年比611億円改善。 |
1949 | 住友電設 | 通期予想経常増益率▲30%に対し、第1四半期は▲12%にとどまる。 |
4506 | 大日本住友製薬 | 通期予想経常増益率▲53%に対し、第1四半期は▲3%にとどまる。 |
6756 | 日立国際電気 | 通期予想経常増益率▲13%に対し、第1四半期は前年比23億円の増益。 |
4661 | オリエンタルランド | 通期予想経常増益率▲25%に対し、第1四半期は▲2%にとどまる。 |
3048 | ビックカメラ | 通期予想経常増益率+1%に対し、第1四半期は前年比117%増益。 |
6770 | アルプス電気 | 通期予想経常増益率+3%に対し、第1四半期は前年比97%増益。 |
6473 | ジェイテクト | 通期予想経常増益率+0%に対し、第1四半期は前年比34%増益。(制裁金注意) |
9533 | 東邦瓦斯 | 通期予想経常増益率+34%に対し、第1四半期は前年比4.5倍に増益。 |
6724 | セイコーエプソン | 通期予想経常増益率+52%に対し、第1四半期は前年比8.4倍に増益。 |
- ※会社発表資料、各種報道をもとに、SBI証券投資調査部が作成。
決算発表情報を大幅に拡充
「日本株投資戦略」では、今回のように、銘柄分析にアナリストコンセンサスを用いるケースが多くなっています。しかし、投資家の方の多くは、「自らアナリストコンセンサスは調べられないのか?」と思われることでしょう。こうした中、SBI証券では企業の決算発表情報を大幅に拡充、アナリストコンセンサスを駆使した分析が容易にできるようになりました。今回の「日本株投資戦略」でも大いに活用しています。投資成績に直結する数字になる為、一度ご覧いただければと思います。
【画面サンプル】
- ※コンセンサスは、前日までに発行された証券会社21社のアナリストレポート上に記載された業績予想値をもとに株式会社アイフィスジャパンが算出し、日々更新しています。
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- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。