6月の株式相場は総じて冴えない展開になっています。5月15日から6月1日まで12連騰もした反動に加え、米国で年内利上げ観測が再燃したこと、ギリシャ問題と長期金利上昇を背景に欧州株が波乱気味の動きになったこと等がマイナス要因となりました。物色的には、ジャスダックや東証マザーズ等の国内新興市場に上場する銘柄の一角がにぎわっています。内需関連株が多く、海外の不透明要因に影響されにくいと考えられ、大型株から短期資金が一部シフトしたようです。
そうした中で、「物色の柱」として注目したいのが「6月優待・好配当銘柄」です。一般的に「株主優待」と言えば、本決算企業が多い3月(680社)、その中間決算が多い9月(356社)、小売決算が多い2月(131社)に多く話題となります。6月末日に権利確定となる株主優待実施企業は、89社(弊社Webページ参照)とそれ程多い訳ではありません。しかし、投資家に知名度が高い銘柄が多く含まれ、魅力的な株主優待を実施している企業もあります。株式相場全般が上昇一服している今だからこそ、こうした「優待銘柄」を安く買うチャンスと言えるのではないでしょうか。
今回の「日本株投資戦略」では、6月の株主優待銘柄をご紹介します。株主優待投資で一般的に注意したい点を押さえつつ、最後に好業績で、値上がりも期待できるような「欲張りな」優待銘柄を探っていきたいと思います。
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6月の代表的な優待銘柄をご紹介
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まず、図表1をご覧ください。6月末に株主優待の権利が確定する企業の代表例となっています。6月に権利が確定する銘柄のうち、当社WEBサイトでの閲覧回数が多い上位10位(6月17日時点)を、閲覧回数の多い順に並べました。
生活に密着した優待内容になっている企業が多いのが特徴で、これらの企業に投資し、株主優待の権利を獲得することも、株式投資の魅力のひとつといえそうです。なお、当社WEBサイトにも「6月の株主優待特集」、「株主優待をお得に活用!」と題した2つのコンテンツがありますので、そちらも併せてご参考いただければと思います。
弊社WebページをもとにSBI証券が作成。優待内容は、そのポイントを示したもので、詳細は弊社Webページまたは、発行会社の詳細データをご確認ください。なお、優待内容は資料作成日段階の情報で、その後に変更されることもあります。また、閲覧回数の順番はあくまで、データ作成時のもので、その後変動している可能性があります。掲載銘柄は、最低売買単位が100株で、権利付最終日が2015/6/25であることを条件にしています。
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株主優待投資でぜひ押さえておきたい注意点
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株式投資から得られる利益は、値上がり益(キャピタルゲイン)だけではありません。配当を受け取ったり、株主優待で商品やサービス等をされることで、トータルの利益をより増やすことが可能になります。
特に株主優待は、近年メディア等でも取り上げられており、多くの投資家に浸透しつつあります。しかし、利用の仕方を誤ると、思わぬ損失をこうむったり、そもそも優待を受けられなかったりするケースもあります。ここでは、株主優待にまつわる注意点を改めて、整理しておきたいと思います。
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(A)権利付最終日前までに、対象銘柄を買い付けておく必要があること。
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(B)「権利付最終日」に向け株価は上昇しやすく、「権利落ち」以降は下落しやすい傾向があること。
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(C)業績の向上・悪化による株価の変動に注意すること。
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(D)一層利益を増やしたいのであれば、配当の多寡についても十分検討したいこと。
特に注意したいのは、(B)において、「権利付最終日」直前に買い、「権利落ち」直後に売却し、大きな損失を計上してしまった結果、せっかく株主優待で商品やサービス等をもらったのに、実質的に損の方が大きかったという例も少なくないことです。「株主優待」狙いと言えども、権利付・権利落ち前後の株価変動には注意したいところです。
図表2は、通販大手で、図表1でも触れた千趣会(8165)株の値動きを2014年5月から2015年1月まで見たものです。同社は株主優待で投資家に人気があるばかりでなく、前期は6月末及び12月末に各12円ずつ、年間で合計24円の一株配当を実施しています。株主優待と配当を合わせた魅力が大きいと考える投資家は多いようです。このため、権利付最終日までは株価が堅調に推移し、その後は反落しやすいという傾向が典型的に表れているようです。
図表2:千趣会(8165)の値動き(2014/5〜2015/1)
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
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値上がり益も追及し、「優待」をより有意義に享受
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このように、押さえておきたい注意点もある「株主優待」ですが、うまく付き合えば、株式投資をより有意義なものに高めることを可能とするツールになるでしょう。
最後に、好業績で値上がりも期待できるような「欲張りな」優待銘柄をご紹介したいと思います。銘柄抽出条件は以下の通りです。全条件を満たす銘柄を、当社WEBサイトでの閲覧回数が多い順に5銘柄ご紹介します。
- (1)株主優待を実施し、6月末に権利が確定(権利付最終日は2015/6/25)する銘柄。
- (2)時価総額300億円以上。(ある程度市場から信認を得ている銘柄にしました)
- (3)アナリストの今期予想営業利益が、会社予想を上回っていること。
会社を実際に調査しているアナリストの業績予想が、会社予想を上回っているということは、業績予想の上方修正も期待できることを意味しているので、その分、株価上昇の可能性は大きいと考えられます。魅力ある株主優待とうまく付き合うため、値上がり益も追及して、株式投資をより有意義なものに高めていただきたいと思います。
ご参考までに、掲載銘柄の最低売買単位はすべて100株単位です。最低投資金額は、ツカダ・グローバルホールディングが約8万円で最も安く、日本たばこ産業は約44万円(ともに6月17日現在)となっています。
銘柄コード |
2418 |
銘柄名 |
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ポイント |
売上構成比は国内婚礼事業が71%、ホテル事業が21%、海外事業が7%他となっている。ホテル事業に、訪日外国人増加の追い風。海外事業はアジアで挙式数が伸びる。100株でクオカード500円の優待に加え、ホテルインターコンチネンタル東京ベイ内の飲食店30%割引券、またはホテル優待宿泊券が付与される。
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日足チャート
- ※弊社チャートツールを用いて作成(2015/6/17現在)
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銘柄コード |
2579 |
銘柄名 |
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ポイント |
九州、四国、近畿を地盤としている。第1四半期(2015年1〜3月)は、前年度が消費増税前の駆け込みがあっただけに、営業損益改善は評価される。100株で株主優待ポイントを30ポイント付与されるが、1ポイントは60円に相当する。会社側は営業減益の見込みだが、増益に転じる可能性も。 |
日足チャート
- ※弊社チャートツールを用いて作成(2015/6/17現在)
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銘柄コード |
6866 |
銘柄名 |
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ポイント |
自動車、電子部品業界向けに各種計測器を提供している。アジア中心に海外売上高が48%を占めている。今期は前期比19%の営業増益予想だが、第1四半期(2015年1〜3月期は前年比61%増益と好調なスタートを切った。本社は長野県上田市。6月末100株保有で信州リンゴ3.5sが12月上旬に発送される。
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日足チャート
- ※弊社チャートツールを用いて作成(2015/6/17現在)
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銘柄コード |
7936 |
銘柄名 |
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ポイント |
スポーツ用品全般に展開する。地域別売上構成比は日本19%、米国34%、欧州30%であり、ドル高やユーロ高の恩恵を受けやすい東京五輪で国内最高位のスポンサー契約を締結している。100株の保有で、自社製品15%の割引券が5枚付与される他、自社オンラインストアで20%割引の優待券他も付与される。
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日足チャート
- ※弊社チャートツールを用いて作成(2015/6/17現在)
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銘柄コード |
2914 |
銘柄名 |
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ポイント |
たばこ事業を中核に、食品・薬品にも展開するグローバル企業で、海外売上高が6割を超える。海外で販売されるタバコの36%がCIS諸国、31%が欧州であり、ロシアの需要に強く影響を受ける。100株で1,000円相当の自社製品(飲料等)が進呈される。
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日足チャート
- ※弊社チャートツールを用いて作成(2015/6/17現在)
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- ※株主優待の内容は変更される場合がありますので、必ず当該企業のホームページ等をご確認ください。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。