東京株式市場では相場の乱高下が続いています。9月第3週(9/14〜9/18)は、米FOMC(連邦公開市場委員会)が予定されており、投資家はまだまだ株価の大きな変動に付き合っていかなければならないのかもしれません。
とはいえ、こうした波乱相場の出口も近いかもしれません。日経平均が安値を付けた9/8に、予想PERが14倍を割り込んだことで、値ごろ感が台頭してきたからです。焦点の中国経済についても、国有企業改革が論議され始めるなど、構造問題へメスが当てられようとしています。投資家としては今から、相場反転に備えた戦略を練っておいても良いのではないでしょうか。
そこで今回の「日本株投資戦略」では、相場が落ち着くにつれ、次第にパフォーマンスが上がると期待される銘柄をスクリーニングから発掘し、ご紹介したいと思います。この波乱相場で、他の銘柄同様に大きく株価を下げているものの、アナリストは業績の上方修正に期待している銘柄を取り上げてみました。
波乱相場の向こうに見え始めた!?「出口」 |
東京株式市場では相場の乱高下が続いています。特に9月第2週(9/7〜9/11)は激しい動きでした。9/8に日経平均が433円下げ、今回の下落相場での安値17,427円を付けましたが、翌日9/9には1,343円高(21年7ヵ月ぶりの上昇幅)し、18,770円まで回復。しかし、翌日9/10には再び急落し、470円安で大引けとなりました。チャート的には、8/24の高値19,154円、8/28の高値19,192円を抜けるまで、日経平均は底値を確認したことにはならないとの見方があります。9月第3週(9/14〜9/18)は、市場で強い関心を集めている米FOMC(連邦公開市場委員会)が予定されており、投資家はまだまだ株価の大きな変動に付き合っていかなければならないのかもしれません。
とはいえ、こうした波乱相場の先に「出口」らしきものも見えてきたように思われます。日経平均が急落し、この下落相場での安値を付けた9/8に、その予想PERが14倍を割り込んだことで、値ごろ感が台頭してきたからです。アベノミクス相場(2012/11〜)では、相場が下落した時に予想PER14倍前後で下げ止まる傾向(図1)にあります。また、焦点の中国経済についても、国有企業改革が論議され始めるなど、構造問題へメスが当てられようとしています。株価も急騰前の水準に戻っています(図2)ので、下値リスクは低下してきたと考えられます。
そもそも、中国経済の減速や、米国政策金利の引き上げ等の材料は、長い時間をかけ、そろそろ相場に大方織り込まれ、今後は株価が反転しても不思議ではないと考えられます。投資家としては、今からそれに備えた戦略を練っておいても良いのではないでしょうか。
次項では、相場が落ち着くにつれ、次第にパフォーマンスが上がると期待される銘柄をスクリーニングから発掘し、ご紹介したいと思います。この波乱相場で、他の銘柄同様に大きく株価を下げているものの、アナリストは業績の上方修正に期待している銘柄を取り上げてみました。
図1:予想PER14倍ラインまで下げた日経平均
- ※日経平均株価データをもとにSBI証券が作成。データは2015/9/10現在。
図2:急騰前の水準に戻った「上海総合指数」
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。データは2015/9/10現在。
株価波乱の今、仕込んでおきたい「業績予想引き上げ」銘柄 |
日経平均株価が6/24以来の高値となる20,946円をつけた8/11以降、1ヵ月が経ちました。この間(8/10〜9/10)に日経平均株価の下落率は12%に達し、多くの上場銘柄もその間に株価が下落してしまいました。中国経済への不透明感が強まる中で、その影響は経済的な関係の深い日本にも及び、我が国の企業業績にも何らかの影響が出てくることが考えられました。
アナリストによる企業調査の結果はこうした難しい局面だからこそ、参考にしたいものです。そこで、アナリストが企業調査の結果、この約1ヵ月間(スクリーニング条件では4週間)に、業績予想(EPS)を引き上げた銘柄を抽出してみました。それらの銘柄のうち、株価が全体の相場とともに下げている銘柄には投資チャンスがあると、「日本株投資戦略」では考えました。
日経新聞の報道によると、日経平均が大幅高した9/9に、海外からある程度まとまった金額の長期資金が入っていたようです。業績の拡大が続く銘柄であれば、そうした資金の投じる先になる可能性もありそうです。
表1は、「株価波乱の今仕込んでおきたい」と考えられる、好業績期待銘柄をスクリーニングしたものです。スクリーニング条件は脚注として示しています。そのポイントは「株価は下落しているものの、中国経済への懸念が強まったこの4週間で逆に、アナリストの予想EPSが上昇し、上方修正期待が高まっている銘柄」としてまとめられます。しかも、来期にかけ2ケタ増益が期待され、株価の割安感も強い銘柄です。
このような好条件が揃っている銘柄でも、株価が冴えないのが波乱相場と言えるかもしれません。しかし、株式市場が落ち着きを取り戻せば、こうした銘柄から反発に転じる可能性が多いのではないでしょうか。
表1:株価は下落したものの、アナリスト見通しがより強気になっている企業
取引 | チャート | コード | 銘柄名 | 株価 (9/10・円) |
株価騰落率 (1ヵ月) |
今期予想 営業増益率 |
来期予想 営業増益率 |
今期予想 PER(倍) |
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9412 | スカパーJSATホールディング | 545 | -13.1% | 18.0% | 22.4% | 11.3 | ||
9202 | ANAホールディングス | 344.6 | -13.1% | 44.0% | 10.3% | 18.8 | ||
1860 | 戸田建設 | 583 | -11.8% | -9.7% | 14.6% | 15.0 | ||
6293 | 日精樹脂工業 | 1,029 | -11.6% | 26.6% | 19.0% | 8.5 | ||
4183 | 三井化学 | 399 | -10.3% | 57.0% | 12.5% | 11.8 |
- ★スクリーニング条件〜下の全条件を満たす銘柄を、株価下落率の大きい順に並べた。
(1) 今期EPSの予想が2社以上から出されている上場銘柄。
(2) 2015/8/10以降2015/9/10までの株価下落率が10%以上の銘柄。
(3) 今期のアナリスト予想営業利益が、会社予想営業利益を上回っている銘柄。
(4) 来期のアナリスト予想営業利益が、今期(アナリスト予想)に対し、10%以上の増益見通しであること。
(5) 今期予想EPSが過去4週間で2%超上方修正されていること。
(6) 予想PER(今期アナリスト予想)が20倍未満。 - ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。「市場予想超過」は、市場(アナリスト)予想営業利益が何%会社予想営業利益を上回っているかを示す。「今期予想営業増益率」および「来期予想営業増益率」、「今期予想PER」は、2015/9/10現在の市場コンセンサス(Bloomberg)
アナリストが業績予想を引き上げた「厳選5銘柄」を詳細解説 |
最後に、前項でスクリーニングより抽出した「厳選5銘柄」を解説します。下落相場で、市場はこれらの銘柄の何を懸念したと考えられるのか、実際の業績見通しやバリュエーションはどうなのか、本当に投資対象として良いのか、ご検討いただく際の参考資料にしていただければ幸いです。
銘柄コード | 9412 | 銘柄名 | |
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日足チャート
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銘柄コード | 9202 | 銘柄名 | |
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日足チャート
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銘柄コード | 1860 | 銘柄名 | |
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日足チャート
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銘柄コード | 6293 | 銘柄名 | |
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日足チャート
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銘柄コード | 4183 | 銘柄名 | |
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日足チャート
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