株式相場がようやく落ち着きを取り戻してきました。中国経済の減速や米政策金利引き上げへの不安は、かなり株式相場に織り込まれたと考えて良いのかもしれません。
こうした中、10月第4週(10/19〜10/23)からはいよいよ、上場企業の中間決算発表が本格的に始まります。予想以上の業績好転で株価が上昇する銘柄が出てくる一方、想定外の業績悪化で株価が下落してしまう銘柄も出てくる難しい季節がやってくることになります。
そこで今回の「日本株投資戦略」では、当社WEBサイトの業績ツールを用いて、中間決算発表を控えた上場企業の業績動向を分析し、投資判断に役立てる方法をご説明したいと思います。そして最後には、決算発表(前半戦)を控えて注目される「特選5銘柄」をご紹介いたします。決算発表というリスクを、パフォーマンス向上につなげるチャンスに変えていただければ幸いであると思っています。
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保有銘柄や売買検討銘柄の決算発表スケジュールは要チェック!
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10月第4週(10/19〜10/23)からいよいよ決算発表が本格的に始まります。上場企業の決算月としては3月が主流ですが、9月はその折り返しとなる第2四半期(中間期)までの業績が多くの企業で明らかになります。
「決算発表」に対して投資家はどのようなスタンスでのぞめばよいでしょうか。大きなポイントとしては2つだと思います。
(1)保有している銘柄や売買を検討している銘柄について、決算発表のスケジュールをしっかりとチェックし、必要に応じて対策を打っておくこと。
(2)決算発表前の銘柄の業績・業績予想を多方面からチェックし、選別した銘柄を投資対象にしたり、売買対象から外したり、それらの判断材料にすること。
ここではまず(1)についてご説明したいと思います。
今、ヤクルト本社(2267)株を保有していると仮定し、決算発表シーズンを控え、業績をチェックしてみたいと思います。
図1:ヤクルト本社(2267)の業績チェック(実例)
ログイン後、国内株トップからヤクルト本社(2267)の情報を検索で呼び出します。銘柄画面に移りましたら、ページトップの「業績」のところをクリックすれば、図1下半分のような情報が出てきます。
「晴れ」マークは、ヤクルト本社の業績が好調であることを示しています。ここはご参考までで、重要なのはここからです。
「1」や、「2」の最上部には決算発表予定月日が記載されていますので要チェックです。11/13の中間決算発表後、株価は大きく変動する可能性があります。
「2」の赤丸で囲まれた部分は、第2四半期(2Q)の会社予想経常利益が240億円で、前年同期の207億38百万円から増える予想であることが示されています。「3」については、通期(2016/3期)の会社予想経常利益が475億円で、それに対し、アナリスト・コンセンサスでは平均で492億43百万円と予想しています。
ヤクルト本社について、コンセンサスでは「通期」の経常利益が会社予想を上回ると期待されているので、決算発表までは期待感から買われる可能性があります。場合によっては、事前の新聞報道等で好業績見通しが出て、株価が上昇する可能性もあると考えられます。投資チャンスのありそうな銘柄ということになります。
なお、11/13に予定されている決算発表では、2Qの経常利益が会社予想の240億円を上回るか、通期の会社予想経常利益の475億円が上方修正されるかなどが焦点になってきます。
これらの情報と現在の株価、チャートの形状等をみて総合的にこの銘柄を保有(買い増し)または売却するという投資判断をすることになります。
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業績ツールを用いて、好決算銘柄を先取り?
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冒頭で触れたように、10月第4週(10/19〜10/23)からいよいよ決算発表が本格的に始まります。10/20に7社、10/21に6社と、この段階では少ないですが、10/30には509社、11/6には448社の決算発表が予定され、発表ピークとなってきます。決算発表のピークには、多くの銘柄の株価が決算発表の結果を受けて動きます。もし、市場参加者のリスク許容度が低ければ、10/30や11/6等の直前には、買い持ち高を減らしてくるかもしれず、全体の株価が大きく動く可能性もあり、注意が必要です。
このように、決算発表スケジュールを理解しておくことは投資戦略を練る上でも重要ですが、SBI証券で取引されている投資家の方は、当社WEBサイトからそれを知ることができます。
図2をご覧ください。ログイン後の国内株トップから、銘柄検索窓を導き出しますと、その横に「決算発表スケジュール」というのがあります。ここをクリックしますと、矢印の先に示されたような情報が出てきます。ここにはカレンダー方式で、営業日ごとの決算発表社予定社数が出ています。実は、上記のコメントは、ここのデータを使っているのです。
ちなみに、図2を作成した10/15は、他の決算月の銘柄を中心に23社の決算発表が予定されており、図の下の方にもあるように、セイヒョーやアデランスの決算発表が予定されています。ここで、10/20の所をクリックすると、10/20に決算発表を予定している銘柄のデータが出てきます。
図2で示した10/15の決算発表についてみると、アデランスについては、会社予想経常利益33億円(通期)に対し、コンセンサスの経常利益が29億33百万円となっています。アナリストは、会社予想経常利益が「計画未達」になるリスクをみていることになります。
「アデランス株については、業績面では慎重にみておく必要がありそう」と読める訳です。
ちなみに、表に「発表済」とあるように、アデランスはこの日に決算発表を実施しました。その結果は、銘柄名の所をクリックすれば、矢印の先に示したようなデータとして表示されます。市場の慎重な見方が示唆していたように、同社の中間決算では経常利益が計画未達になってしまいました。
10/16の株式市場では、日経平均が続伸するなど、多くの銘柄で株価が上昇しましたが、アデランス株は大幅安になってしまいました。2Qの業績悪を嫌気した形です。同社株を保有していた投資家の方には不運な結果でしたが、同社の業績動向を当社のWEBで調べていれば、この下げは回避できたのかもしれません。
なお、この「決算発表スケジュール」を使うと、より前向きに「好決算期待銘柄を先取りする」という投資戦略を組むこともできます。会社計画の利益を市場コンセンサスが上回っている会社は、好業績が期待できるので、そうした銘柄を投資対象にすると考える訳です。
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決算発表(前半戦)で期待したい「特選5銘柄」をご紹介
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最後に、決算発表で期待したい銘柄(5銘柄)を紹介したいと思います。当社の業績ツールを用い、通期予想経常利益のコンセンサスが会社予想値を2割超上回っていることを条件としました。また、各種メディア等から確認し、複数のアナリストが業績予想を行っている銘柄に絞り込みました。
今回は決算発表の前半戦(10/20〜10/29)で発表を予定している銘柄に絞りました。10/30の集中日は、発表予定社数が非常に多いため、関心度が分散してしまう可能性があると考えました。
その上で、意外性や株価水準、テーマ性等を総合評価し、下記の5銘柄としました。もちろん、当社の業績ページでもその業績は確認できますので、ぜひ一度ご覧になることをお勧めします。
銘柄コード |
5423 |
銘柄名 |
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ポイント |
- 電炉大手で、鋼塊、各種鋼材、特殊鋼、鐵鋼製品の製造および販売を事業としています。電炉法(電気炉製鋼法)は、鉄鉱石と石炭(コークス)を原料とする一般的な高炉法とは異なり、鉄スクラップを電気で溶かして鋼をつくる製鋼法のことです。資源リサイクルや、二酸化炭素排出量が高炉に比べ少ないという環境保護の観点などから利点があります。
- 中国経済への不透明感もあり、素材株全般が人気の圏外になりやすいという投資環境下で、当社株も中期的には下落傾向が続いています。10/20に予定されている中間決算では、会社予想経常利益70億円に対し、コンセンサスでは79億円の予想です。予想PERは10倍を下回っています。
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日足チャート
- 当社のチャートツールを用いてSBI証券が作成(2015/10/16現在)
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銘柄コード |
5727 |
銘柄名 |
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ポイント |
- チタン事業を中核に、電子材料や触媒にも展開しています。航空機向けのスポンジチタンの在庫調整が一巡したことや、エネルギー価格の低下等を背景に、採算は改善傾向です。今年度第1四半期まで直近5四半期の経常利益は、-20億円、-18億円、2億円、9億円、7億円と黒字化しつつあります。中間期は会社予想経常利益10億円に対し、市場コンセンサスでは12.5億円の予想です。
- 下のチャートをご覧いただいてもご理解頂けるように、過去数カ月にわたる保ち合い相場が形成されています。ここで上放れがあれば、上昇が加速しやすい形状であるだけに、業績の上振れには期待したいところです。
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日足チャート
- ※当社のチャートツールを用いてSBI証券が作成(2015/10/16現在)
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銘柄コード |
9202 |
銘柄名 |
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ポイント |
- 航空機燃料の価格は、原油輸入代金、精製費、輸送経費、航空機燃料税等の税金で構成されているが、この中でも原油輸入代金が燃料原価の5分の4程度を占めています。このため、原油価格が変動すると航空機燃料の価格も変動することになり、当社グループの経営に多大な影響を及ぼす可能性があります。
- 原油価格低迷の長期化と、訪日外国人の増加は当社にとって強い追い風になっています。株価は、中国経済への不透明感から訪日外国人の減少を懸念して下げましたが、それが次第に杞憂となりつつあるようです。現在の株価は短期的なボックス圏にありそうですが、業績拡大が確認されれば、上放れに転じても不思議ではないと思います。
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日足チャート
- ※当社のチャートツールを用いてSBI証券が作成(2015/10/16現在)
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銘柄コード |
6770 |
銘柄名 |
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ポイント |
- 総合電子部品大手です。最近は、アップルのスマホ向けに使われている手振れ補正機器が成長を牽引し、株式市場では「アップル関連」の一角を占める存在です。もっとも、当社本体の売上高の半分超は車載向けで占められ、子会社アルパインは、カーナビ、カーオーディオの大手となっています。実は、車載向け市場が成長のカギを握る会社と言えそうです。
- 株価は、当社の収益がピークアウトすることを懸念し、それを前提に動いているようにもみえます。10/29に予定される中間決算では、会社予想経常利益305億円に対し、コンセンサスでは317億円と予想されています。また、通期予想は、会社予想545億円に対し、コンセンサスが689億円になっています。市場では、2017/3期も2割近い増益が続くと予想していますので、予想PER15倍割れの評価は割安感が強いと考えられます。
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日足チャート
- ※当社のチャートツールを用いて作成(2015/10/16現在)
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銘柄コード |
6758 |
銘柄名 |
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ポイント |
- 民生用電機のトップ企業です。液晶テレビや携帯電話などの完成品や、CMOSセンサーなどの電子部品が中核製品です。音楽、映画、ゲーム、金融などの分野にも展開しています。近年は、非エレクトロニクス分野が安定して稼ぐ反面、本業のエレクトロニクスの収益が安定せず、構造改革を推進してきました。現在はその成果が出始めている局面と言えそうです。
- 業績回復はいったん株価に織り込まれ、予想PERも上昇しました。しかし、来期にかけても、市場は2ケタ増益を見込んでいますので、その期待に応えられるか否かがカギです。10/29に発表が予定されている中間決算では、2,271億円の経常利益が予想(コンセンサス)されています。通期では4,275億円の予想で、会社予想3,450億円を上回っています。
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日足チャート
- ※当社のチャートツールを用いてSBI証券が作成(2015/10/16現在)
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- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
- ※業績ツールに関する情報は、株式会社アイフィスジャパンから提供を受けたデータ(以下「提供元データ」といいます。)、および提供元データを元に当社において加工したデータを表示しております。本情報の提供元データは、株式会社アイフィスジャパンが作成にあたり調査した時点の情報に基づくものです。したがって、本情報は現時点の情報と異なる場合がございますので、予めご了承ください。
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