10月相場も終わり、いよいよ11月相場の到来です。10/30の日銀金融政策決定会合では、一部で期待されていた追加金融緩和は見送られましたが、海外株の落ち着きを受け、投資環境は改善傾向にあります。株式市場は「リスクオン」の様相を強めているとみられますが、ここからは、どんな銘柄が買われるのでしょうか。
ポイントはやはり企業業績になると考えられます。今年度・第2四半期の決算発表が後半戦へと進んでいます。11/1〜11/13には1営業日当たり平均で230社の決算発表が予定されていますので、業績の良し悪しが、株価に直接影響する日がしばらく続きそうです。
そこで今回の「日本株投資戦略」では決算発表・後半戦に向けて株価上昇が期待される好業績銘柄を選び出してみました。同様の抽出条件で選び出した10/16付「日本株投資戦略」でご紹介した銘柄はすべて株価が上昇しています(※)。今回も「2匹目のドジョウ」を狙いたい所です。
- ※上記はあくまでも過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
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株価出遅れ・好業績期待銘柄はコレ!?
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さっそく、好業績が期待できる銘柄を抽出してみましたので、ご覧いただきたいと思います。今期の予想営業利益で、市場コンセンサスが会社予想を大きく上回り、業績予想上方修正も期待できるにもかかわらず、株価が相対的にあまり上昇していない銘柄を取り上げました。
表1:決算発表シーズンの後半戦で好業績が期待されるものの、いまだ株価があまり上昇していない銘柄
取引 |
チャート |
コード |
銘柄名 |
決算発表 予定日 |
株価(円) (10/29) |
騰落率 (対10/19) |
今期予想営業利益 (百万円) |
会社 |
市場 |
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9684 |
スクウェア・エニックス・ホールディングス |
11/6 |
3,240 |
-0.6% |
21,000 |
30,034 |
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5938 |
LIXILグループ |
11/2 |
2,587 |
0.8% |
52,000 |
59,676 |
|
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7267 |
本田技研工業 |
11/4 |
3,976 |
4.2% |
685,000 |
781,977 |
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|
2269 |
明治ホールディングス |
11/10 |
9,340 |
4.0% |
60,000 |
66,911 |
|
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3099 |
三越伊勢丹ホールディングス |
11/9 |
1,918 |
2.1% |
35,000 |
38,936 |
- ※Bloomberg、会社公表データをもとにSBI証券が作成。スクウェア・エニックス・ホールディングスの会社予想営業利益は予想レンジの中央値になっています。
表1の銘柄を抽出した「スクリーニング条件」は以下の通りです。
(1)時価総額1千億円以上の東証一部上場銘柄(3月決算)。
(2)アナリストの業績予想が5社以上から公表されていること。
(3)今期予想営業利益について、市場コンセンサス(市場予想)が会社予想を10%超上回っていること。
(4)来期も予想営業利益(市場コンセンサス)で10%以上の増益が予想されていること。
(5)決算発表シーズン直前の10/19から10/29までの株価パフォーマンスが日経平均を下回っていること。
※この間の日経平均株価は4.4%上昇しました。
(6)11/1以降に決算発表を予定していること。
すべての条件を満たす銘柄を市場コンセンサスが会社予想を上回っている数字の大きい順に掲載しました。
東証一部で3月期決算の主力企業を母集団としてみました。アナリストの業績予想数は多ければ多い程、コンセンサスの信ぴょう性も増すと考えられますが、増やし過ぎると大型株に偏ってしまいますので、5社以上のコンセンサスがある銘柄に限定しました。その上で、市場コンセンサスが会社予想を大きく上回っていれば、上方修正の可能性は高いとみられます。
好業績が期待できる銘柄でも、決算発表前に株価が大きく上昇してしまうと、発表で好材料出尽くしになるケースもあり、十分注意が必要です。今回は、日経平均の上昇率を下回る銘柄に絞りました。
なお、表1には本来、高砂熱学(1969)とニコン(7731)が入っていましたが、10/30付で業績予想上方修正を発表しましたので、削除しました。ただし、上記のスクリーニング条件が有効である可能性は膨らんだと思われます。
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アナリストが好業績を予想していた銘柄を決算発表シーズン前半戦から検証
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表2は、10/16付「日本株投資戦略」で取り上げた銘柄の決算発表結果および株価推移です。5銘柄中3銘柄が通期の会社予想利益を上方修正しました。また、2015/4〜9・中間期の営業利益が4社で、市場コンセンサスを上回っています。このスクリーニングも基本的には、アナリスト・コンサンサスが会社予想よりも強い銘柄を選んでいます。
一般的に鉄鋼業界は、今回の決算発表では不振セクターの部類で、新日鉄住金なども業績見通しの下方修正に追い込まれました。しかし、東京製鐵は電炉だったゆえに、エネルギー価格下落の恩恵が業績に表れたと言えます。また、電子部品の多くが、中国経済減速の影響を懸念されていましたので、アルプス電気の業績予想上方修正も意外でした。なお、同社は表2の期間(10/19→29)の後、10/30にさらに大幅高となっています。
このように、好業績に「意外性」が加わると、株価は大幅上昇につながりやすくなるようです。前項のスクリーニングで株価騰落率を入れたのは、こうした検証を踏まえたからです。
表2:10/16付「日本株投資戦略」で取り上げた銘柄の中間決算結果と株価騰落率
コード |
銘柄名 |
決算発表日 |
騰落率 10/19→29 |
2015/9中間営業利益 |
2016/3通期営業利益 |
市場予想 |
実績 |
会社予想 |
修正予想 |
5423 |
東京製鐵 |
10/20 |
16.5% |
- |
7,218 |
12,000 |
13,000 |
5727 |
東邦チタニウム |
10/28 |
7.2% |
1,500 |
1,709 |
3,050 |
3,300 |
6758 |
ソニー |
10/29 |
6.1% |
172,805 |
184,925 |
320,000 |
320,000 |
6770 |
アルプス電気 |
10/29 |
10.7% |
29,450 |
32,047 |
54,500 |
60,500 |
9202 |
ANAホールディングス |
10/28 |
1.3% |
88,206 |
86,786 |
115,000 |
115,000 |
- ※Bloomberg、会社公表データをもとにSBI証券が作成。営業利益の単位は百万円。
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決算発表(後半戦)で期待したい「特選5銘柄」を解説
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銘柄コード |
9684 |
銘柄名 |
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ポイント |
- 家庭用ゲームソフトの世界大手メーカーです。日本で人気の高いロールプレイング・ゲーム(RPG)で1、2を争うエニックスとスクウェアが03年に合併して誕生しました。事実上、国産RPGのトップ企業です。合併後、2005年に業務用(ゲームセンター用)に強いタイトーを買収し子会社化。現在は「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー(FF)」の2大RPGブランドなどを活かしてキャラクター玩具関連の事業や出版事業も行うなど総合娯楽企業に変ぼうしつつあります。スマートフォン(多機能携帯電話)やソーシャルゲーム向けコンテンツにも注力。
- 第1四半期の営業利益は前年同期比56%増と好調でした。通期の営業利益は170〜250億円を見込んでいます。
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日足チャート
- 当社のチャートツールを用いてSBI証券が作成(2015/10/30現在)
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銘柄コード |
5938 |
銘柄名 |
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ポイント |
- 住宅資材や住設機器の製造・販売を手掛けています。1949年に設立された「日本建具工業」が前身です。1966年に住宅用アルミサッシ事業を開始し、現在はアルミサッシ最大手のポジションにあります。数度のM&A(企業の合併・買収)による事業拡大を経て、01年10月にINAXトステム・ホールディングスに社名を変更しました。04年10月からは、住生活グループとして活動していましたが、12年7月に再び社名変更し、「LIXILグループ」となっています。15年4月にドイツ水栓金具大手グローエを買収。住宅、ビル関連では「トステム」「INAX」などのブランドで事業を展開しています。
- 海外子会社の破産等に見舞われ、株価もボックス圏の動きです。なお、来期予想EPSベースでは予想PERが13〜14倍に下がってくる可能性があります。
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日足チャート
- ※当社のチャートツールを用いてSBI証券が作成(2015/10/30現在)
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銘柄コード |
7267 |
銘柄名 |
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ポイント |
- 二輪車(バイク)、四輪車の世界的なメーカーです。二輪車のシェアは世界トップを誇っています。1947年の自動車用補助エンジン「A型」の生産、および1949年の二輪車「ドリームD型」の生産から事業をスタートしました。二輪車では「スーパーカブ」、四輪車では「シビック」「アコード」などのブランドで著名。高いモータ技術を活かし、発電機や耕運機、船外機などの汎用製品の製造も手掛けています。北米、アジアなどを主要なマーケットとしており、海外売上高比率は高くなっています。
- 16年3月期の連結業績予想は、売上収益が14兆5,000億円(前期比8.8%増)、営業利益が6,850億円(同2.1%増)と小幅ながら増益を見込んでいます。利益面では、販管費・研究開発の増加や為替面でのマイナス影響を見込みますが、売上変動および構成差やコストダウン効果、原材料価格変動などでカバーする計画です。なお、想定為替レートは通期平均で1ドル=115円ですので、現状は収益の上振れ要因になっています。
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日足チャート
- ※当社のチャートツールを用いてSBI証券が作成(2015/10/30現在)
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銘柄コード |
2269 |
銘柄名 |
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ポイント |
- 2009年、明治製菓と明治乳業が経営統合し、共同持株会社として設立されました。経営統合により、菓子、乳製品等の食品から医薬品までの幅広い事業領域を一元的にカバーできる体制となりました。2011年、グループ内事業再編により食品事業会社の「明治」、医薬品事業会社の「Meiji Seika ファルマ」を発足。「明治」では、発酵デイリー(牛乳、ヨーグルトなど)、加工食品(チーズ、冷凍食品など)、菓子(チョコレート、ガムなど)、栄養(粉ミルク、スポーツ飲料など)の製造販売を手掛けています。一方、「Meiji Seika ファルマ」では、医療用医薬品事業(抗生物質「メイアクト」など)、生物産業事業(農薬・動物薬など)により製薬事業を展開。また、食品、医薬品それぞれで海外事業を行っています。
- 今期、来期ともアナリストは2ケタ営業増益を見込んでいますので、予想PERはやや高めで推移する可能性もありそうです。
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日足チャート
- ※当社のチャートツールを用いてSBI証券が作成(2015/10/30現在)
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銘柄コード |
3099 |
銘柄名 |
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ポイント |
- 三越と伊勢丹の経営統合により2008年4月に誕生した持株会社です。主力の百貨店業をはじめ、クレジット・金融・友の会業、小売・専門店業、不動産業、その他の5事業を展開しています。三越は伝統的に富裕層に強く、伊勢丹はファッション商材を得意としています。連結売上高の約9割を百貨店業が占めています。
- 中国経済への不透明感から、インバウンド関連の一角として株価は夏場から大きく下げてしまいました。現在は、リバウンド局面にあるといえそうです。
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日足チャート
- ※当社のチャートツールを用いてSBI証券が作成(2015/10/30現在)
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- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
- ※業績ツールに関する情報は、株式会社アイフィスジャパンから提供を受けたデータ(以下「提供元データ」といいます)、および提供元データを元に当社において加工したデータを表示しております。本情報の提供元データは、株式会社アイフィスジャパンが作成にあたり調査した時点の情報に基づくものです。したがって、本情報は現時点の情報と異なる場合がございますので、予めご了承ください。
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