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日経平均「17,000円割れ」から反発!?「買い場到来」の好業績銘柄は!?

2016/01/15
投資調査部 鈴木英之

株式市場では世界的な波乱が続いています。我が国では日経平均株価がついに、1/14(木)に一時17,000円台を割り込みました。中国経済への不安、人民元安への懸念、円高、原油安等、波乱の要因は数多く指摘されています。これらの要因がすぐに解消するとは考えにくいこともあり、中期的には株式市場の波乱が続く可能性は残ると考えられます。

しかし、株価の下げが短期間で急速過ぎるため、テクニカル的には反発局面入りしても不思議ではないタイミングになってきました。すでに日経平均のRSIや25日移動平均との乖離率、東証一部の騰落レシオ等が「下げ過ぎ」を示唆していることは、「225の『ココがPOINT!』」などでご説明した通りです。水準的にも9/29に付けた安値16,901円近辺まで下げているため、値ごろ感が強まりつつあります。

折しも、1月下旬以降は決算発表が本格化してきます。そうした中、好業績を予想されている銘柄が、決算を先取りして買われても不思議ではない時期ですが、全体的に株価が下げているため、それらの銘柄もツレ安している可能性があります。日経平均株価の水準が下がった現状は、実は「買い場」と言えるかもしれません。今回の「日本株投資戦略」では、こうした局面で買い場になっている可能性のある銘柄について探ってみました。

1

「買い場到来」の好業績銘柄はコレ!?

最初に、東証一部に上場する主力銘柄の中から、株価がある程度下げているものの、好業績が見込める銘柄を「有望銘柄」としてご紹介いたします。スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)東証一部上場銘柄。
(2)時価総額1兆円以上。
(3)予想EPSを公表している調査機関が2社以上あること。
(4)今期予想EPS(市場コンセンサス)が過去4週間で上昇。
(5)今期予想営業利益について、市場コンセンサスが会社予想を上回っている銘柄。
(6)日経平均が目先の高値を付けた2015/12/1から、一時17,000円割れとなった2016/1/14まで株価が10%超下落。
(7)ニュースフロー等から投資家が警戒するとみられる銘柄でないこと。

上記の全条件を満たす銘柄を(4)に示した予想EPSの4週間変化率について、その上昇率が大きい順に、業種重複を避けながら5銘柄を表1に並べました。

表1:日経平均の大幅下落で「買い場到来」と期待される銘柄(時価総額1兆円以上)

取引 チャート コード 銘柄名 株価
(1/14)
12/1以降の
株価騰落率
市場予想EPS
4週変化率
今期予想
営業増益率
来期予想
営業増益率
現買信買 チャート 7270 富士重工業 4,465 -14.1% 4.5% 33.6% 5.5%
現買信買 チャート 9020 東日本旅客鉄道 10,430 -10.9% 0.6% 9.7% 2.5%
現買信買 チャート 4452 花王 5,662 -10.7% 0.5% 20.1% 15.4%
現買信買 チャート 6503 三菱電機 1,116.5 -20.4% 0.3% -0.4% 4.8%
現買信買 チャート 6954 ファナック 18,715 -16.5% 0.2% -24.7% 0.7%
  • ※Bloomberg、会社公表数値等をもとにSBI証券が作成。表中の「予想」は市場コンセンサス。

富士重工(7270)に代表される自動車株は円高が逆風となっているため、株価下落率が大きくなっています。しかし、ガソリン価格低下の恩恵が大きい米国等では堅調な販売が期待できそうです。株価が反発する局面では、為替市場での円高一巡も見込まれ、そのことが追い風になる可能性があります。なお、自動車関連では豊田自動織機(6201)やスズキ(7269)、日産自動車(7201)も上記の全条件を満たしましたが、業種重複を理由に表1には掲載しませんでした。

東日本旅客鉄道(9020)等の電鉄株は「インバウンド関連」の側面があり、中国経済鈍化の影響を懸念されたため、全体にツレ安してしまった面があります。また、花王(4452)も中国での需要減退懸念が逆風になります。しかし、これらは本質的には景気変動の影響を受けにくいセクターです。むしろ、原油価格の下落がコスト低下に寄与する可能性があります。

三菱電機(6503)は、電機メーカーではあるものの、収益を左右するのは内外の設備投資とみられます。その意味で、中国でのスマホ販売の鈍化が自動化機器の需要減につながると警戒されている面があります。しかし、第3四半期までは増益で推移しており、減益予想にとどめている通期の予想営業利益は達成可能かもしれません。なお、中国のスマホ販売鈍化という流れはファナック(6954)にも逆風です。ただ、業績の悪化は足元で織り込まれている感もあり、会社予想を大きく下回らなければ、悪材料出尽くしとなる可能性もありそうです。

表2:日経平均の大幅下落で「買い場到来」と期待される銘柄(時価総額500億円以上1兆円未満)

取引 チャート コード 銘柄名 株価
(1/14)
12/1以降の
株価騰落率
市場予想EPS
4週変化率
今期予想
営業増益率
来期予想
営業増益率
現買信買 チャート 2685 アダストリア 6,160 -15.0% 12.3% 159.2% 6.5%
現買信買 チャート 3034 クオール 1,470 -17.3% 9.4% 50.1% 8.9%
現買信買 チャート 6871 日本マイクロニクス 1,097 -14.4% 6.6% -37.0% 8.2%
現買信買 チャート 3291 飯田グループホールディングス 2,010 -17.6% 5.0% 38.4% 9.0%
現買信買 チャート 2678 アスクル 4,415 -16.5% 3.8% 39.7% 18.6%
  • ※Bloomberg、会社公表数値等をもとにSBI証券が作成。表中の「予想」は市場コンセンサス。

なお、スクリーニング条件のうち、(2)の時価総額条件を切り下げたものが表2となります。一言でまとめれば、東証一部上場の中小型株から株価の下落した好業績期待銘柄を抽出したという形です。

外部環境からみると業績面をあまり期待できないイメージがあるものの、調査結果としてのアナリスト予想が強めになっている銘柄が多く、実際に業績の上ブレが確認されれば、株価が大きく上昇する可能性があります。反面、市場での流動性が下がるため、株式市場が落ち着かない間は株価が波乱となる可能性もあり、一定の注意は必要であるとみられます。

女性向けカジュアル衣料のアダストリア(2685)は第3四半期までの営業利益が累計で前年同期比155%増と、通期予想(前期比134%増)を上回るペースです。11月に落ちた既存店売上高も12月には回復しています。調剤薬局等を営むクオール(3034)も中間期までの営業利益が前年同期比75.6%増と好調です。

日本マイクロニクス(6871)はスマホ市場の成長鈍化が逆風で、株価も2014年高値6,935円から84%下げました。今期は会社予想営業利益が減益となっているため、市場の期待度も低く、下値は限定的になりつつあるように思われます。住宅の飯田グループホールディングス(3291)は上半期に前年同期比54.7%の営業増益で、通期の上振れが期待されます。アスクル(2678)も月次売上高が順調に推移しています。

2

決算発表シーズン自体はこれまでにも増して要注意

株式市場の波乱が続く中、3月決算企業の決算発表シーズンが接近しています。表2は、当社WEBページに掲載されている月日別決算発表予定社数となっていますが、3月決算企業の第3四半期決算は、1/29(金)、2/5(金)、2/12(金)等に社数が多く、集中日になっています。決算発表では、単純に増収とか増益か否かという点が注目されるのではなく、実績や予想が、アナリストの市場コンセンサス等と比較され、それを上回っているか、あるいは下回っているのかという点も注目されます。

なお、決算発表前であっても、日経新聞等のメディアにより、業績に関する観測報道が増え、それにより株価が変動しやすくなるのも、決算発表シーズンおよびその直前期の特徴です。投資家は業績動向に十分に注意すべきで、少なくとも、保有銘柄または売買予定銘柄の決算発表日はチェックしておく必要があります。

表3:月日別決算発表予定企業数(2016/1/14現在)

  • ※当社Webサイトより、SBI証券が作成。

図1は、日経平均株価とその予想EPSの動きをグラフ化したものです。日経平均予想EPSは、上場企業の業績予想の方向感を示唆していると考えられます。冒頭に述べたように、日経平均は様々な要因を背景に下げていますが、実は、足元で日経平均の予想EPSは低下傾向に転じており、こうした企業業績の厳しさを、株価は反映していると言えるかもしれません。

最近では、東芝(6502)が不正会計問題の末に業績予想を下方修正したことが響きましたが、今後は商社や非鉄金属、石油・石炭関連の企業で業績予想の下方修正が増えてくる可能性があります。また、外為市場では2015年、円に対してドル以外のほとんどすべての通貨は下落しており、その影響が出てくる可能性もあります。これまで、おもに「期待感」を伴った目で見られてきた決算発表は、警戒の対象になる可能性があり、注意が必要です。

表1や表2では、有望銘柄を探る上でアナリストの業績予想を参考にしましたが、今後の決算発表シーズンに、業績悪化銘柄に投資して損をしないためにも、アナリストの業績見通し等を参考にすることは、大切であると考えられます。

図1:足元で低下傾向の日経平均予想EPS(一株利益)と日経平均株価

  • ※日経平均公表データをもとにSBI証券が作成。
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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