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マーケット > レポート > 日本株投資戦略 >  「波乱相場で買い場到来」が予想される好決算銘柄は!?

「波乱相場で買い場到来」が予想される好決算銘柄は!?

2016/05/06
投資調査部 鈴木英之

株式市場が波乱となっています。日経平均株価は4/25(月)に一時17,613円と2/2(火)以来の高値水準を回復しましたが、その日から下落に転じ、5/2(月)には一時16,000円台を割り込む場面もみられました。特に4/28(木)の日銀金融政策決定会合で、市場参加者の多くが期待していた追加緩和が見送られて以降の2営業日は計1,100円に達する下落になっています。

しかし、こうした波乱局面は好業績銘柄の買い場になるケースも多いと考えられます。4/28(木)までに多くの主要銘柄が決算発表を終えましたが、好業績のため、通常の相場であれば上昇していても不思議でない銘柄もツレ安状態になっている可能性があります。今回の「日本株投資戦略」ではそうした銘柄の発掘を試みてみたいと思います。

1

「波乱相場で買い場到来」が予想される好決算銘柄は!?

さっそく、波乱相場で逆に買い場到来が期待される銘柄の抽出を試みてみたいと思います。スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)時価総額1,000億円以上(4/15現在)の上場銘柄であること。
(2)3月決算銘柄で、銀行、証券・商品先物、保険など広義の「金融」以外の業種に属すこと。
(3)4/28(木)までに決算発表を実施した銘柄であること。
(4)2016/3期の営業利益(実績)が事前の会社予想を上回っていること:表1での(A)がプラス値となること。
(5)2017/3期の会社予想営業利益が事前の市場予想を上回っていること:表1での(B)がプラス値となること。
(6)2017/3期の会社予想営業利益が増益となっていること:表1での(C)がプラス値となること。

上記した(1)〜(6)の全条件を満たす銘柄について、(6)であげた17/3期の予想増益率が大きい順にすべて並べたものが表1の銘柄で、波乱相場で逆に買い場となる可能性の大きい銘柄としました。

前回の日本株投資戦略でご紹介した銘柄は、決算発表前のタイミングで投資対象となりえる銘柄を探った点に特徴があります。今回は、まだ全体の一部ではあるものの、決算発表を終えた企業を対象としました。

今回ご紹介したような銘柄は堅調な相場であれば、決算発表後すでに大きく上昇してしまい、むしろ過熱感が強まってしまうことも多いと考えられます。しかし、株式市場全般が波乱となっている現在のような状況下では、他の銘柄にツレ安しているか、上昇の頭を押さえられている可能性が大きいと思われます。ただ、業績面で他の銘柄よりも評価できる点が多いということは、相場に落ち着きが出てくれば、好評価を得て株価が上昇する期待も大きいと考えられます。

我が国の上場企業を取り巻く事業環境は急速に悪化しているのが現実で、アナリストの業績予想も次第にそれを織り込んだ厳しいものになってきています。そうした中、実績・会社予想ともに、市場予想を上回っている銘柄には、アナリストが評価しきれていない強みが秘められている可能性もあると考えられます。決算発表後、企業調査等を通じて、そうした強みが認識されてくれば、目標株価やレーティングの引き上げ等を通じ、株価が上昇してくる可能性があると考えられます。

表1:波乱相場で買い場到来の好決算銘柄7選

取引 チャート コード 銘柄名 株価
(5/6)
16/3
営業利益
上振れ率(A)
17/3期
会社予想
営業利益
上振れ率(B)
17/3期
予想営業
増益率(C)
現買信買 チャート 6104 東芝機械 340 18.9% 62.4% 20.9%
現買信買 チャート 6971 京セラ 5,288 3.1% 3.3% 18.7%
現買信買 チャート 9437 NTTドコモ 2,695 2.2% 7.9% 16.2%
現買信買 チャート 8218 コメリ 2,753 5.8% 5.4% 6.0%
現買信買 チャート 6807 日本航空電子工業 1,297 1.2% 19.3% 6.0%
現買信買 チャート 6645 オムロン 3,265 2.2% 0.1% 1.1%
現買信買 チャート 9001 東武鉄道 549 5.8% 1.9% 0.9%
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。(A)は16/3期営業利益実績が何%市場予想営業利益(コンセンサス)を上回ったのか、(B)は17/3期会社予想営業利益が、事前の市場予想営業利益を何%上回ったのか、(C)は17/3期の予想営業増益率(会社予想ベース)を示しています。
2

抽出した「好業績銘柄」の投資ポイント

表1は今回抽出した銘柄のデータです。たとえばNTTドコモ(9437)の場合、2016/3期の営業利益は事前の市場予想で7,662億円でしたが実績は7,830億円(前期比22.5%増)と事前予想を2.2%上回りました。2017/3期の会社予想営業利益は前期比16.2%増の9,100億円ですが、これは事前の市場予想の8,432億円を7.9%上回る数字です。このように業績は好調の見通しですが、5/2以降年内に1,925億円・9,913万株を上限に自社株を取得する計画となっており、株主還元に対する姿勢も評価されそうです。

東芝機械(6104)は成形機、工作機械に展開し、売上高の45%が日本、35%がアジア、18%が北米他となっているグローバル企業です。PBRが0.56倍と割安感が強まってきています。

京セラ(6971)は部品と携帯電話端末などの通信機器に展開しています。部門別売上高は前者が68%、後者が21%になっています。2017/3期は1ドル110円(前期は120円)、1ユーロ120円(同133円)の前提で、今期は「円高」が250億円の減益(税前利益段階)要因になっています。車載機器であり、自動運転等に用いられる「センター・インフォメーション・ディスプレイなどの成長が期待されます。

図1:京セラ(6971)

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。

コメリ(8218)はホームセンターなど全国に1,178店を展開しています。プライベート・ブランドの育成に注力し、その売上構成比は2012/3の33%から2016/3は40%に上昇しています。1〜3月の既存店売上高は増加しています。

日本航空電子(6807)は前期営業減益からの回復を狙っています。携帯電話向けの回復に加え、車載向け市場の拡大が追い風になるとみられます。ただ、オムロン(6645)同様、スマホ市場の足元の落ち込みの程度やその後の回復の度合いに左右されそうです。

東武鉄道(9001)は日光・鬼怒川やスカイツリーなど有力な観光地を擁しており、訪日外国人をさらに増やすという国の政策が追い風になりそうです。株主優待制度の拡充も注目材料です。

図2:東武鉄道(9001)

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
3

どうなる?企業業績、どうなる?株式市場

5月の大型連休も終わりです。5/9(月)からは3月決算企業を中心に決算発表も再び本格化してきます。特に5/9〜5/13の1週間は合計2,257社の企業が決算を発表する予定(5/6現在)になっており、業績の変化やそれに伴う株価の変動に十分な注意が必要です。

図3は日経平均株価とその予想EPSの推移を1枚のグラフにまとめたものです。日経平均採用銘柄は我が国を代表する企業で構成され、そのEPSの推移は上場企業の企業業績の方向感を示していると考えられます。図にあるように予想EPSは低下傾向を辿っており企業の業績見通しが厳しくなっていることを裏付けています。決算発表が集中する5/9〜5/13は多くの企業が、厳しい見通しを発表すると予想されますので、保有銘柄の動向には十分注意すべきであると考えられます。

もっとも、逆に考えれば、仮に5/16(月)頃までは予想EPSの低下が続いたとしても、5/17(火)頃には決算発表がおおむね一巡する予定です。この頃には株価も落ち着く可能性が高そうです。また、発表された収益の実績や予想をベースに投資判断が改められる銘柄も多いと考えられ、その時点で投資しても遅くはないという銘柄も多いと考えられます。

5/6(金)の株式市場をみると、雇用統計発表前で動意に乏しい中、決算発表を終え、好業績が確認された銘柄については、一部物色の対象になっているようです。今回の「日本株投資戦略」でご紹介した銘柄の活躍余地も大きいと考えられます。

表2:決算発表予定社数

★2016年 5月

1

2
32件

3

4

5

6
91件

7

8

9
197件

10
328件

11
296件

12
496件

13
940件

14

15

16
73件

17
5件

18
12件

19
8件

20
22件

21

  • ※当社Webサイトの「決算発表スケジュール」より、SBI証券が作成。

図3:調整気味の日経平均株価と下落傾向の日経平均予想EPS(一株利益)

  • ※日経平均株価公表データより、SBI証券が作成。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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