日経平均株価は8/12(金)に一時16,943円まで上昇し、6/1(水)以来の高値水準を回復していましたが、その後は様子見気分の強い展開になりました。「ジャクソンホール会合」におけるイエレンFRB議長の講演内容を見極めたいとの空気が強く、売買代金は減少し、まさに「夏枯れ」に近い状態になりました。
こうした中で株式相場はいよいよ9月相場を迎えます。9月といえば「株主優待」の多い月です。8/26(金)現在のデータによると380社の上場企業で9月が「優待権利確定月」となっており、3月の719社に次いで多くなっています。上場企業の多くは「3月決算」ですが、9月はそれらの企業の「中間期末」になっているため、年2回優待を実施する企業の権利確定月となります。この時期は「株主優待」がメディアでも数多くとりあげられ、市場の関心も高まりやすくなります。
今回の「日本株投資戦略」では「9月優待銘柄」をご紹介します。最初に、現時点で投資家に人気の「優待銘柄」をチェックし、後半ではそれらの中から「配当利回り」も加味して、投資妙味が大きいと考えられる銘柄をご紹介したいと思います。
投資家に「人気」の株主優待(9月)銘柄はコレ!? |
表1は当社Webサイト上の「国内株式」内に設置されている「株主優待検索」ページから、9月が優待権利確定月になっている銘柄を「閲覧回数順」にソートし、その回数の多い銘柄について上位20銘柄を並べたものです。それらの銘柄について株価と最低投資単位で投資した場合の株主優待内容を記載しております。これらは株主優待内容のポイントをご紹介しているものであり、その内容すべてを記載している訳ではありません。以下の点には注意が必要です。
(1)表に記載されている以外の優待を含め、複数の中から選択する場合もあります。
(2)保有株式数によって優待内容が異なる場合があります。
(3)権利の確定が「3月」と「9月」で優待内容が異なる場合があります。また、片方だけで実施される場合もあります。
(4)長期間保有してくれる株主を優遇すべく、保有期間によって優待内容が異なる場合があります。
表1:投資家に「人気」の株主優待(9月)銘柄はコレ!?(最低投資金額20万円以下)
取引 | チャート | コード | 銘柄名 | 株価 (8/25) |
最低投資単位を保有している場合の 株主優待(9月)内容(概要) |
---|---|---|---|---|---|
1722 | ミサワホーム | 730 | クオカード(1,000円)、自社グループ利用優待券 | ||
2196 | エスクリ | 527 | クオカード(1,000円) | ||
9831 | ヤマダ電機 | 498 | 優待割引券(500円)×4枚 | ||
7918 | ヴィア・ホールディングス | 901 | 優待券(2,500円相当)国内自社グループ店舗で利用可 | ||
3245 | ディア・ライフ | 344 | クオカード(1,000円) | ||
1518 | 三井松島産業 | 107 | 3,000円相当の宿泊割引券 | ||
7550 | ゼンショーホールディングス | 1,836 | 優待券(500円)×2枚 | ||
3726 | フォーシーズホールディングス | 357 | 10,000円相当の株主優待券(5,000円×2枚) | ||
2538 | ジャパン・フード&リカー・アライアンス | 39 | 自社グループ商品(しょうゆ) | ||
1780 | ヤマウラ | 548 | 地場商品2,500円相当 | ||
3190 | ホットマン | 515 | JCBギフトカード(1,000円)※6ヵ月以上保有が条件 | ||
2453 | ジャパンベストレスキューシステム | 209 | 自社サービス割引券(5,000円) | ||
8848 | レオパレス21 | 685 | 海外ホテル無料宿泊券2枚、国内50%割引券2枚 | ||
3289 | 東急不動産ホールディングス | 562 | 各種宿泊(施設利用)優待券 | ||
3372 | 関門海 | 290 | 1,000円相当の優待券 | ||
3598 | 山喜 | 226 | 買物券1,000円相当 | ||
2485 | ティア | 608 | お米3キログラム | ||
6240 | ヤマシンフィルタ | 458 | クオカード(500円) | ||
3167 | TOKAIホールディングス | 617 | 「天然水(500ml)12本」含む5つの優待から選択 | ||
3133 | 海帆 | 909 | 3,000円相当の食事優待券またはおこめ券(3s) |
※当社WebサイトのデータをもとにSBI証券が作成。当社Webサイトの株主優待検索ページで、9月が権利確定月になっている銘柄を「閲覧回数順」にソートし、その回数の多い銘柄について上位20銘柄を並べました。ただし最低投資金額は20万円以下としています。なお「最低投資単位を保有した場合の株主優待(9月)内容(概要)」は、株主優待内容のポイントをご紹介しているものであり、その内容すべてを記載している訳ではありません。投資単位や保有期間により優待内容が異なるケースも多くあります。
- ※株主優待の内容、権利確定月、権利付最終日等は随時変更される可能性がありますので、最新の情報は必ず当該企業のホームページ等をご確認ください。ご利用の際には、こちらの「株主優待情報に関する注意事項等」を必ずご確認ください。
なお、表1の銘柄についてはすべて権利付最終日が9/27(火)になっていますので、この日までに株式を保有していない場合は、株主優待を贈呈される権利が生じませんので要注意です。また、この表以外でも9月優待銘柄のほとんどは9/27を権利付最終日としていますが、少数派ながら異なる日付が権利付最終日になっている銘柄もありますので、銘柄ごとに確認しておく必要があります。
ちなみに、9/27(火)に優待銘柄を買い付け、9/28(水)の権利落ち日に売却しても株主優待の権利を得ることはできます。この場合保有期間が短いため、表面的には、株価変動リスクを抑え、資金を寝かさないで済むように思えてしまいます。しかし同様の投資行動をとる投資家が多いほど、需給の引き締まりで権利付最終日の株価は高くなりやすく、逆に需給が緩む権利落ち日の株価は下がりやすくなります。株主優待のみならず配当もある銘柄はその傾向が一層強くなりがちです。また、権利付最終日にかけてある程度の期間に「優待人気」から株価が上昇し、権利落ち日以降に下げる銘柄も少なくありません。いくら魅力の優待がある銘柄でも、値下がり損が膨らむ投資は避けたいところです。
株主優待を実施する企業の多くは、それによって自社の名前や商品、サービスを知ってほしいという「広告」的な役割を優待に期待していると言えるでしょう。また、安定して長期間保有してくれる株主を作るための手段でもあると思います。株主優待の権利を得ようとする投資家も「十分に会社の内容を把握した中長期投資」が望まれる投資スタンスかと思われます。ただ、信用取引口座のある投資家であれば「つなぎ売り」という手段もあります。当社WEBページにもご説明ページがありますので、ご参考いただければと存じます。
「日本株投資戦略特選」9月優待銘柄はコレ!? |
表2:「日本株投資戦略特選」9月優待銘柄はコレ!?
取引 | チャート | コード | 銘柄名 | 決算期 | 株価 2016/8/25 (円) |
予想配当 利回り (年間) |
9月末 一株配当 (予想・.円) |
年間 一株配当 (予想・.円) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
9831 | ヤマダ電機 | 3月 | 498 | 3.2% | 0.0 | 16.0 | ||
3245 | ディア・ライフ | 9月 | 344 | 3.5% | 12.0 | 12.0 | ||
1518 | 三井松島産業 | 3月 | 107 | 3.7% | 0.0 | 4.0 | ||
8848 | レオパレス21 | 3月 | 685 | 3.2% | 10.0 | 22.0 | ||
3167 | TOKAIホールディングス | 3月 | 617 | 3.6% | 11.0 | 22.0 |
表1にあげた銘柄の中から、予想配当利回り(年間)が3%以上の銘柄を、「閲覧回数」の多い順に5銘柄並べたものです。予想配当は当社Webページで掲載している「東洋経済」ベースです。なお、予想配当利回りは株価水準及び予想配当の変化によって今後変動する可能性があり、確定したものではありません。
最後に「日本株投資戦略特選」9月優待銘柄をご紹介します。抽出条件は非常に単純で、表1の銘柄の中から予想配当利回りが3%以上の銘柄を抜き出し、「閲覧回数順」に並べたものです。ここにあげた銘柄は、「株主優待」と「配当」の両面で株主還元を行っており、投資家にとっては魅力的な存在であると考えられます。
ヤマダ電機(9831)を100株保有している場合、9月末に権利を確定すると配当はないという予想ですが、優待割引券(500円)4枚が贈呈される計画です。3月末まで保有すれば一株16円(100株で1,600円)の配当予想ですが、優待割引券(500円)2枚が贈呈される計画です。1年間同社株を100株保有した場合、配当1,600円と優待割引券計3,000円が贈呈されることになります。最低投資金額は5万円弱ですから、投資妙味は大きいと考えられます。なお、同社の第1四半期(2016/4〜6月期)は営業利益が前年同期比147.2%増と好調で、キャピタルゲインも期待できる業績と言えます。
ディア・ライフ(3245)は上記の中で唯一9月決算銘柄です。中間配当はなく、期末配当12円のみの予定です。100株を投資した場合、9月末に権利を確定させると、クオカード1,000円分と配当1,200円を受け取ることができます。3月末まで保有すればさらにクオカード1,000円分が贈呈されます。投資用マンションの開発を主業務とし、予想PERが10倍前後と低いため、投資金額に対する株主還元のウェイトが高くなっていると考えられます。
三井松島産業(1518)とレオパレス21(8848)は施設の利用について「優待」を受けられるのがポイントです。前者は、京都、志摩、八ヶ岳等の施設で使える3,000円分の宿泊優待券が贈呈されます。後者は札幌、仙台、名古屋、博多に展開するホテルで50%割引される優待(グアムのホテルは無料)が贈呈されます。「リゾートでの休日」を希望の投資家であれば、株主優待の活用も検討の価値があると思います。
TOKAIホールディングス(3167)は、(1)天然水(500ml入)または(2)天然水宅配サービス(12リットル入り)または(3)クオカードまたは(4)自社グループ食事券または(5)自社グループ会員サービスポイント付与と複数の優待から選ぶことができるのが特徴です。また、(2)および(5)は各サービスに既加入または新規加入の株主が対象になっています。同社の事業に強い関心をもつ投資家であれば、利用価値が高いかもしれません。