株式市場が堅調です。日経平均株価は連日で年初来高値を更新する動きになっています。地政学的リスクが一時に比べて後退する中、米株高や為替の安定が追い風になり、好調な企業業績を素直に評価できる流れになっているようです。
こうした中、東京株式市場では10月下旬頃より、2017年4〜9月期の「中間決算」の発表が本格化します。そこで今回の「日本株投資戦略」では、決算発表前後に業績予想が上方修正される、または会社計画を上回る決算を発表し、株価上昇が期待できる銘柄をスクリー二ングにより抽出してみました。
中間決算接近!上方修正・株価上昇期待銘柄はコレ!? |
それではさっそく、決算発表前後に業績予想が上方修正される、または会社計画を上回る決算を発表し、株価上昇が期待できる銘柄をスクリー二ングしてみたいと思います。今回は3月決算の主力銘柄を分析対象にし、中小型株は次回に分析したいと思います。スクリーニング条件は以下の通りです。
(1)時価総額1,000億円以上の上場銘柄であること
(2)3月決算銘柄(実績ベース)であること
(3)金融以外の銘柄であること
(4)3人以上のアナリストが業績予想を公表している銘柄であること
(5)第1四半期(2017年4〜6月期)の営業増益率が今期(2018年3月期)の会社予想増益率を上回っていること(C≧D)
(6)今期の業績予想について、市場予想(Bloombergコンセンサス)が会社予想を上回っていること(E≧D)
(7)今期予想EPS(Bloombergコンセンサス)が黒字で、過去4週間に3%超増加している銘柄であること
(8)来期(2019年3月期)に10%以上の営業増益が予想(Bloombergコンセンサス)されている銘柄であること
スクリーニング条件が多いように感じられるかもしれませんが、要は、主力銘柄のうち、第1四半期の決算が本業の利益を示す営業利益ベースで好調で、通期についてもアナリストの業績予想が会社予想よりも強気な数字になっている銘柄は、好決算になる可能性が大きいと「日本株投資戦略」では考えています。
さらに、(7)の条件が付加されることで、直近4週間にアナリストによるその会社に対する業績見通しがさらに強くなっていると考えられ、好業績となる確度が高まると考えられます。また、(8)の条件が付加されることで、業績面では今期がピークになってしまう銘柄を抽出してしまうリスクを小さくすることが可能であると考えられます。
表1:中間決算接近!上方修正・株価上昇期待銘柄はコレ!?
取引 | チャート | コード | 銘柄 | 株価 (10/5) (A) |
過去1ヵ月 騰落率 (B) |
1Q営業 増益率 (C) |
予想営業増益率 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
今期会社 (D) |
今期市場 (E) |
来期市場 (F) |
|||||||
7752 | リコー | 1,123 | +4.7% | +74.1% | -46.9% | -1.2% | +104.2% | ||
5713 | 住友金属鉱山 | 3,721 | -2.2% | +171.8% | -1.8% | +28.4% | +11.1% | ||
6305 | 日立建機 | 3,370 | +9.1% | +361.5% | +86.3% | +136.5% | +24.5% | ||
2281 | プリマハム | 773 | +18.6% | +20.7% | -16.5% | -0.7% | +10.3% | ||
6506 | 安川電機 | 3,625 | +11.4% | +141.9% | +49.6% | +76.6% | +19.8% | ||
6103 | オークマ | 6,360 | +24.8% | +23.1% | +2.8% | +19.4% | +13.1% | ||
6724 | セイコーエプソン | 2,702 | -2.0% | +110.5% | +11.9% | +18.9% | +17.1% | ||
5631 | 日本製鋼所 | 2,649 | +21.9% | +32.0% | +13.5% | +19.4% | +17.4% | ||
3101 | 東洋紡 | 2,116 | +8.0% | +8.3% | +7.1% | +11.5% | +11.1% |
- ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。(B)は10/5の株価と9/5の株価を比較して算出。(C)は1Q(2017年4〜6月期)の営業増益率(前年同期比)。「市場」はBloombergが集計した市場コンセンサス。「今期」は2018年3月期で、「来期」は2019年3月期。なお、安川電機の「今期」は決算期変更により2018年2月期で、今期予想増益率については、11ヵ月分の数字を単純に前期(1年分)と比較しています。また、日立建機は決算短信上に示されている営業利益は「調整後」の数値になっていますが、表1の(C)と(D)については、一般会計上の営業利益(決算短信の欄外に注記された数字)で計算しています。
決算発表シーズンを控え、注意したいことは? |
10月下旬から、3月決算企業の「中間決算」が発表されます。決算発表の前後に業績予想の修正等で株価が大きく振れる可能性がありますので注意が必要です。したがって、保有または売買を検討している銘柄については、少なくとも決算発表予定日等のチェックはしておいた方が良さそうです。なお、SBI証券のWebページでは決算発表スケジュール(図1・図2)や個別企業の決算発表予定日を調べる便利な機能がありますので、ぜひご利用ください。
なお、アナリスト等による決算発表直前の企業取材等に関し、規制が厳しくなっていますので、特に10月以降は3月決算や9月決算の企業について、アナリストによる分析や情報の発信は少なくなると予想されます。このため、決算発表直前の段階では、会社による業績予想の修正発表がない限り、業績の良し悪しを株価に織り込む動きはあまり出てこないと考えられます。逆に、決算発表後は、決算を踏まえた業績を一気に織り込む形が想定され、値動きが大きくなる可能性があります。
こうした中、10/6(金)付の日本経済新聞では表1に掲載された安川電機(6506)について、今期(2018年2月期)の営業利益が530億円前後(単純計算では前期比76.3%増)になるとの観測記事が掲載されました。もし、記事の通りになれば、会社予想(455億円)を大きく上回る数字になるため、同社株は一時前日比60円高の3,685円まで買われましたが、その後は伸び悩み、結局は前日比55円安で引けています。
この値動きを「好材料出尽くし」と考えることは可能です。ただ、規制の強化により、決算発表直前の段階で取材を行いにくくなるという事情はメディアも同様であると考えられます。
日経の観測記事上で予想された安川電機の2018年2月期の営業利益は市場コンセンサスである537億円と大きな差はないと考えられます。したがって、市場コンセンサスが記事に反映されていると考えることも可能です。同様に、今後メディア等で発信される決算発表直前の業績観測記事については、参考としつつも、過信はしないことも肝要かと思われます。
図1:10月・11月の決算発表予定社数(ご参考)
- 当社Webサイトより、SBI証券が作成。なお、決算発表スケジュールは日々変動する可能性があります。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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