11月相場が終わりました。日経平均株価は11/9(木)に一時23,382円15銭まで上昇した後は、調整局面に入ったものの、11月末終値は10月末終値に対し上昇をキープしました。日経平均株価の月足はこれで3ヵ月連続の上昇となりました。米税制改革や中国経済に対する不透明感、北朝鮮のロケット発射実験等、逆風も多かったものの、米国株の上昇や日本企業の好調な企業業績等が追い風になりました。
こうした中、東京株式市場はいよいよ「師走相場」を迎えます。大納会に向けて再度上昇する「掉尾の一振」が期待される所ですが、確かに過去のデータを見る限り、12月は好パフォーマンスとなっています。
そこで、今回の「日本株投資戦略」では「師走相場」で上昇が期待できる銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行ってみました。来期の各種投資指標を重視し、それが魅力的とみられる銘柄を選んでみました。
掉尾の一振に期待!師走相場」はこの銘柄で? |
それではさっそく、「師走相場」で上昇が期待できる銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行ってみたいと思います。「来期の各種投資指標」で、それが魅力的とみられる銘柄を選んでみました。スクリーニング条件は以下の通りです。
(1)東証上場銘柄であること
(2)時価総額が1,000億円以上の銘柄であること
(3)金融(広義)、電力・ガス以外の業種であること
(4)3人以上のアナリストがEPSの予想を公表(Bloomberg上で)している銘柄であること
(5)決算発表直前の10月・11月決算以外の銘柄であること
(6)今期予想営業利益について、市場予想(コンセンサス)が会社予想を上回っている銘柄であること
(7)今期予想営業利益(市場予想)が過去10年間の最高益を上回る見通しの銘柄であること
(8)今期・来期とも10%以上の営業増益率(市場予想)が見込まれている銘柄であること
(9)来期予想PER(市場予想)が25倍未満であること
(10)来期予想ROE(市場予想)が15%以上の銘柄であること
(11)今期から来期にかけ5%以上の増配(市場コンセンサス)が予想されている銘柄であること
海外投資家の多くは、資本を効率よく活かして稼ぐ力を示すROE(株主資本利益率)を重視すると言われます。一般的には8%がひとつの目安と言われています。「日本株投資戦略」では、アナリストが来期15%以上のROEを予想している銘柄を重要な条件と考えました。さらに、来期大幅増益で過去最高益の更新や増配が見込まれることも条件にしました。キーワードを「来期の投資指標」とし、それが魅力的とみられる銘柄を選んでいます。
ただ、こうした銘柄は株式市場で人気となり、予想PERが高くなり、割高感が強まる可能性があります。そこで、来期予想PERの上限を25倍程度に設定してみました。
表1:掉尾の一振に期待!「師走相場」はこの銘柄で?
取引 | チャート | コード | 銘柄 | 株価(円) (11/29) |
市場予想営業増益率 | 来期予想 PER(倍) |
来期予想 ROE |
来期予想 増配率 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
今期 | 来期 | ||||||||
2427 | アウトソーシング | 1,908 | 86.0% | 39.34% | 23.8 | 28.7% | +35.3% | ||
3549 | クスリのアオキホールディングス | 6,730 | 10.2% | 15.48% | 20.9 | 20.9% | +17.6% | ||
7272 | ヤマハ発動機 | 3,475 | 31.9% | 14.23% | 11.3 | 16.9% | +10.8% | ||
3038 | 神戸物産 | 5,100 | 24.2% | 13.61% | 17.2 | 35.9% | +12.9% | ||
6770 | アルプス電気 | 3,645 | 56.3% | 12.80% | 13.2 | 16.4% | +16.3% | ||
3076 | あいホールディングス | 2,658 | 12.8% | 11.66% | 20.2 | 15.5% | +8.8% | ||
6146 | ディスコ | 25,380 | 59.4% | 11.47% | 22.1 | 19.5% | +28.1% | ||
9435 | 光通信 | 16,180 | 12.3% | 10.88% | 20.4 | 17.1% | +7.1% | ||
7735 | SCREENホールディングス | 10,180 | 23.1% | 10.64% | 16.5 | 18.2% | +20.2% | ||
1959 | 九電工 | 5,270 | 18.3% | 10.06% | 13.4 | 16.5% | +16.3% |
- ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成。市場予想はBloombergが集計した市場コンセンサス。来期予想PER、来期予想ROEも市場予想データをベースにしています。来期予想PERは時価総額(Bloombergデータ)/来期市場予想純利益で求めています。
そもそも「掉尾の一振」は期待できるのか? |
東京株式市場はいよいよ「師走相場」を迎えました。大納会に向けて上昇する「掉尾の一振」が期待される所ですが、本当に期待してよいのでしょうか。確かに過去のデータを見る限り、12月は好パフォーマンスとなっています。日経平均株価の月別騰落率を過去30年について調べる(図1)と、12月は平均1.42%上昇しており、4月(平均1.41%)を抑えて「トップ」の成績になっています。
過去10年間だけみても、勝敗で表現すれば、7勝3敗で、平均騰落率は3.3%とすべての月の中では最高のパフォーマンスになっています。2016年は4.4%上昇でしたが、2009年や2012年には10%超の上昇になっています。
もっとも、同様に過去データをみる限りでは「1月相場」は冴えない傾向にあります。したがって、「師走相場」が思惑通りに上昇した場合は、機敏に利益を確定することも選択肢のひとつになるかもしれません。
図1:日経平均株価における過去30年の月別平均騰落率
- ※日経平均株価データをもとにSBI証券が作成。過去30年の月次騰落率を各月ごとに平均しました。なお、11月の数字は2016年までのデータで計算しています。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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