2月相場が終わりました。日経平均株価の月末終値は前月比4.5%のマイナスとなり、月足としては6ヵ月ぶりの下落となりました。米長期金利の上昇を背景に、同国株が下げ、それを受けて多くの国や地域で株価が下落する中、東京株式市場でも売りが優勢になりました。外為市場で円高が進んだことも逆風になりました。月が替わっても、株価は大幅続落となっており、東京株式市場は不安定な状態を脱出できないでいます。
もっとも、トランプ政権による減税やインフラ投資拡大を受け、米国経済は今後も拡大が見込まれ、低金利の恩恵も手伝って日本の景気・企業業績も拡大傾向が続くと予想されます。このため、中長期的な株価上昇トレンド自体は崩れていないと考える投資家も少なくないようです。配当を受け取りつつ、投資対象の銘柄を中長期で保有しようと考えている投資家にとってはむしろ、現在のような株価の踊り場は投資チャンスに映るのかもしれません。
そこで今回の「日本株投資戦略」では、3月決算銘柄の中から好配当が見込める銘柄について分析してみました。一般的な好配当利回り銘柄ランキングに加え、投資金額が20万円未満で購入でき、好業績が期待される好配当銘柄についてもご紹介させていただきました。
好配当利回りランキング(3月決算・東証1部) |
最初に、東証1部の3月決算銘柄を対象に、好配当利回り(予想)ランキングを作成してみました。スクリーニング条件は以下の通りで、非常にシンプルなものになっています。
(1)東証1部上場銘柄であること
(2)3月決算銘柄であること
(3)証券以外の業種の銘柄であること
上記のすべての条件を満たす銘柄を、予想配当利回り(会社予想・年間・税引き前)が高い銘柄の順に20銘柄並べたものが表1となっています。なお、予想配当利回りは年間のすべての配当(通常は中間配当と期末配当)を受け取った場合の利回りになります。例えば日産自動車(7201)の場合、中間配当26.5円(実績)、期末(予想)26.5円の計53円を株価(1,125.0円)で割った利回りが4.71%です。これから同社株を購入して期末配当のみを受け取っても、その利回りを得ることはできません。
また、予想配当利回りは株価や予想一株配当が変化すれば変わってしまいます。株価は通常毎日変化しますし、予想一株配当(会社予想ベース)はその企業の配当政策が変われば変化します。そして、配当政策は業績の良し悪しの影響を受けることが多くなります。
表1では、過去1年間の株価騰落率を参考データとして掲載しています。好配当利回りが予想される銘柄であっても、銘柄選択によって、パフォーマンスに大きな差異が出てくることがご理解頂けると思います。したがって、好配当利回りランキングの銘柄に投資する場合は、複数銘柄に分散投資した方が良いかもしれません。なお、20銘柄の予想配当利回りの平均が3.9%で、株価騰落率の平均は2.7%と計算されています。中長期投資では、配当を確保するのとしないのでは、投資パフォーマンスに大きな開きが出る可能性があるようです。
表1:東証1部・3月決算銘柄の好配当利回り銘柄ランキング
取引 | チャート | コード | 銘柄名 | 株価 (2/28) |
予想一株 配当 |
予想配当 利回り |
過去1年 騰落率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
7201 | 日産自動車 | 1,125.0 | 53.0 | 4.71% | 1.7% | ||
2767 | フィールズ | 1,155 | 50.0 | 4.33% | -7.4% | ||
8304 | あおぞら銀行 | 4,395 | 184.0 | 4.19% | 4.4% | ||
8511 | 日本証券金融 | 662 | 26.0 | 3.93% | 3.3% | ||
6417 | SANKYO | 3,840 | 150.0 | 3.91% | -3.4% | ||
8725 | MS&ADインシュアランスグループホールディング | 3,332 | 130.0 | 3.90% | -12.3% | ||
6178 | 日本郵政 | 1,291 | 50.0 | 3.87% | -10.4% | ||
5410 | 合同製鐵 | 2,082 | 80.0 | 3.84% | 10.6% | ||
6986 | 双葉電子工業 | 2,305 | 88.0 | 3.82% | 13.5% | ||
8219 | 青山商事 | 4,455 | 170.0 | 3.82% | 5.8% | ||
7270 | SUBARU | 3,780 | 144.0 | 3.81% | -10.1% | ||
8411 | みずほフィナンシャルグループ | 199.4 | 7.5 | 3.76% | -4.9% | ||
8140 | リョーサン | 4,000 | 150.0 | 3.75% | 11.7% | ||
9412 | スカパーJSATホールディングス | 483 | 18.0 | 3.73% | -3.2% | ||
3571 | ソトー | 1,081 | 40.0 | 3.70% | -7.1% | ||
7823 | アートネイチャー | 764 | 28.0 | 3.66% | 0.1% | ||
9437 | NTTドコモ | 2,745 | 100.0 | 3.64% | 2.9% | ||
7284 | 盟和産業 | 1,380 | 50.0 | 3.62% | 13.5% | ||
1833 | 奥村組 | 4,650 | 168.0 | 3.61% | 31.0% | ||
8031 | 三井物産 | 1,951.5 | 70.0 | 3.59% | 13.5% | ||
- | - | - | - | ||||
- | 上記20銘柄平均 | - | - | 3.9% | 2.7% |
- ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。「過去1年騰落率」は2018/2/28終値を2017/2/28終値と比較し、その騰落率を計算したもの。予想一株配当は会社予想ベースの年間予想配当で、それを株価で割ったものが予想配当利回り。なお、あおぞら銀行は四半期配当を実施し、2017年10月1日付で株式併合(10株→1株)を実施しています。年間予想配当は株式併合を考慮した実質値です。
株価大幅続落で買いチャンス?「20万円で買える好配当銘柄」はコレ!? |
表2では、好配当利回りが期待できる銘柄について、業績予想下方修正による株価下落リスクや減配リスクを引き下げるべく、スクリーニングにより銘柄の絞り込みを行っています。スクリーニング条件は以下の通りです。
(1)東証1部上場銘柄であること
(2)3月決算銘柄であること
(3)証券以外の業種の銘柄であること
(4)最低投資単位での投資金額が20万円未満
(5)2017年4〜12月期の営業増益率が2018年3月期の予想営業増益率(会社予想)を上回っていること
(6)2018年3月期の予想営業利益について、市場予想が会社予想を上回っていること
(7)2019年3月期の予想営業利益(市場予想)が増益見通しになっていること
(8)2人以上のアナリストが業績予想を公表していること
表2は上記の全条件を満たす銘柄のうち、予想配当利回りの高い順に10銘柄並べたものです。
現在の予想配当は、現時点での会社予想利益を前提に考えられているとみられます。決算を締めた時に仮に計画していた利益に未達だった場合、予想配当が下方修正されてしまう場合も想定されます。しかし、(5)や(6)の条件を加えることで、そうしたリスクは下げられると考えられます。また、アナリストが来期の増益を見込んでいない銘柄は株価下落リスクも相対的に大きいと考えられ、(7)の条件を入れることは有効であるとみられます。
ただ、細かい条件を加えた分、表1の銘柄に比べると、予想配当利回りは低めになっています。
表2:「20万円で買える好配当銘柄」はコレ!?
取引 | チャート | コード | 銘柄名 | 株価 (2/28) |
予想一株 配当(円) |
予想配当 利回り |
営業利益 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Q3累計 | 通期 | |||||||
2768 | 双日 | 352.0 | 11.0 | 3.13% | 37.0% | 18.2% | ||
6379 | 新興プランテック | 963 | 30.0 | 3.12% | -21.3% | -31.1% | ||
7414 | 小野建 | 1,963 | 60.0 | 3.06% | 51.6% | 6.1% | ||
1926 | ライト工業 | 1,191 | 35.0 | 2.94% | -5.8% | -8.2% | ||
4980 | デクセリアルズ | 1,407 | 40.0 | 2.84% | 135.8% | 89.0% | ||
6470 | 大豊工業 | 1,614 | 45.0 | 2.79% | 9.1% | 3.8% | ||
5703 | 日本軽金属ホールディングス | 291 | 8.0 | 2.75% | 4.9% | -0.7% | ||
7762 | シチズン時計 | 822 | 22.0 | 2.68% | 22.4% | 9.3% | ||
4202 | ダイセル | 1,231 | 32.0 | 2.60% | -4.1% | -9.0% | ||
8697 | 日本取引所グループ | 1,856 | 48.0 | 2.59% | 18.5% | 1.0% |
- ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成。予想一株配当は会社予想ベースで、予想配当利回りはその数値をもとに計算された数値です。営業利益の「Q3累計」は2017年4〜12月期の前年同期比。通期は会社予想営業利益の前年度比を示しています。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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