東京株式市場が波乱の展開となっています。7月第1週(7/2〜7/6)の日経平均株価は4勝1敗となり、一時は21,500円を割り込み、約3ヵ月ぶりの安値水準に沈みました。米国と中国がお互いに関税の賦課を開始する7/6(金)を前に、世界的な貿易戦争への懸念が強まったことが背景と考えられます。
米マイクロン株への過度の懸念が後退するなど7/5(木)の米国株が上昇したことから、7/6(金)の日経平均株価も5営業日ぶりの反発となり、株式市場はとりあえず一息ついた形です。確かに、テクニカル面では「下げ過ぎ」を示唆する指標も散見され始めており、押し目買いを図るタイミングが近づいている可能性もありそうです。
ただし、世界的な貿易戦争への懸念が解消した訳ではなく、自律反発の域を出ないとの見方が有力です。基本的には波乱含みの展開が続く可能性は残りそうです。そこで、今回の「日本株投資戦略」では、波乱相場でも企業成長が期待でき、中長期投資が可能な「増益・増配銘柄」を抽出すべく、スクリーニングを行ってみました。
波乱相場でも成長が期待できる「連続増益・増配銘柄」はコレ!? |
それでは、さっそくスクリーニングにより、銘柄抽出を試みてみたいと思います。
(1)東証1部上場銘柄であること
(2)時価総額が1千億円超の銘柄であること
(3)業績予想を公表しているアナリストが2名以上いる銘柄であること
(4)過去5年間、年平均で10%以上の営業増益が継続している銘柄であること
(5)過去5年間、年平均で10%以上の増配が継続している銘柄であること
(5)今期市場予想ROE(自己資本純利益率)が10%超の銘柄であること
(6)今期市場予想フリーキャッシュフローが黒字予想であること
(7)今期市場予想営業利益が増加予想であること
(8)今期市場予想配当が増加予想であること
(9)今期市場予想EPS(一株利益)が過去4週間で増加している銘柄であること
上記の全条件を満たす銘柄を時価総額の大きい順に並べたものが表1となります。
波乱相場でも、企業成長が期待できる「連続増益・増配銘柄」を抽出することが目的であるため、上記のスクリーニング条件の中で特に重要なのは、(4)および(5)ということになります。企業が一定期間、増益および増配を確保することは、景気の波に乗るだけでは難しく、独自の競争力や、強みがあると考えられるためです。
今回のスクリーニングではさらに、多くの投資家が重要視する投資指標であるROEやフリーキャッシュフローでも条件を付けています。さらに、(7)〜(9)の条件を付けているため、抽出銘柄は短期業績の面でも、相対的な展望は明るいと考えられます。
表1:波乱相場でも成長が期待できる「連続増益・増配銘柄」はコレ!?
取引 | チャート | コード | 銘柄名 | 株価 (7/6) (円) |
株価 騰落率 (6/12〜) |
今期予想 一株配当 (円) |
過去5年 年平均 増配率 |
過去5年 年平均 増益率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
4543 | テルモ | 6,020 | -9.7% | 55.0 | 18.3% | 15.6% | ||
4922 | コーセー | 22,060 | -14.0% | 167.6 | 29.8% | 33.8% | ||
3092 | スタートトゥデイ | 4,395 | -0.3% | 36.3 | 34.4% | 31.4% | ||
3064 | MonotaRO | 4,750 | -2.5% | 26.4 | 42.1% | 33.3% | ||
2127 | 日本M&Aセンター | 3,225 | -9.2% | 24.2 | 35.8% | 28.8% | ||
3626 | TIS | 5,280 | -0.2% | 60.0 | 13.8% | 12.6% | ||
8056 | 日本ユニシス | 2,747 | -1.0% | 50.0 | 32.9% | 14.5% | ||
6055 | ジャパンマテリアル | 1,589 | -11.3% | 11.5 | 32.5% | 43.3% |
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。過去5年間の平均増配率では、株式分割があった場合は実質値に修正したデータを使用しています。また、今期予想一株配当はBloombergが集計した市場コンセンサスです。
「連続増益・増配銘柄」は低迷相場で相対的な強みを発揮か? |
図1は表1を構成する8銘柄の時価総額が、東証1部時価総額の何%に相当するかを示した数値です。「8銘柄」の株式市場における相対的な強さを示していると考えられます。
「8銘柄」の時価総額は、中長期的に上昇傾向にあると言えそうですが、東証1部全体が低迷を余儀なくされている時にこそ相対的に強いという傾向もありそうです。
図1:「表1を構成する8銘柄」の時価総額構成比(対TOPIX)(月足)
「掲載銘柄の時価総額構成比」は、表1に掲載した8銘柄の時価総額合計が東証1部時価総額の何%に相当するかを示した数値。ただし、あくまでも過去5年間の結果を示したものであり、今後も同様の傾向が続くとは限りませんので、注意が必要です。
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