東京株式市場も「お盆休み」の季節を迎えました。すでに海外投資家の多くが夏休みに入っていると考えられる上、国内投資家の多くも休暇を取る時期となります。この数年間の東京株式市場では、8月中旬になると売買代金が2兆円を下回る日が出てくるというパターンを繰り返しており、「夏枯れ」となりやすいのが現実です。
こうした中、安倍首相が8/7(火)、「サマータイム」導入について検討するよう、自民党に指示する考えを示したことで「サマータイム関連銘柄」が株式市場で注目される可能性が急浮上してきました。そこで今回の「日本株投資戦略」では、そもそも「サマータイム」とは何か、想定される関連銘柄はどのような銘柄があるのか、考えてみることにしました。
「サマータイム」とは? |
安倍首相は8/7(火)、「サマータイム」の導入を検討するよう、自民党に指示する考えを示しました。2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長が大会期間中の暑さ対策として、首相に導入を要請したことがキッカケのようです。
「サマータイム」は、夏に時計の針を1〜2時間進め、自然光の使用率を高め、電力節約等を図る仕組みです。米国では、「サマータイム」ではなく「デイライト・セービング・タイム(Daylight Saving Time)」と呼ばれています。3月第2日曜日の午前2時に時計の針を1時間進め、この季節が始まることになります。英国でも、3月最終日曜日の午前1時に時計の針を1時間進め、「サマータイム」突入となります。
夏の日本列島は、場所によって気温が40度を超えるような日も出てくるようになり、2020年7月24日に開幕を迎える予定の東京五輪では暑さ対策が重要課題となっています。特に体力消耗の激しいマラソンでは、多くの選手が熱中症となってしまう懸念すらあります。そこで、マラソンの開始時間を午前7時とする方針となっています。「サマータイム」の導入で、標準時が繰り上がれば、さらに涼しい時間にスタートすることができる計算です。
五輪を契機に「サマータイム」を導入し、これを五輪の遺産(レガシー)とすることもできます。さらに、涼しい時間から仕事を始めることで、夏のオフィスの電力消費量を節約することが可能になります。仮に、夏のエアコン使用量が減れば、地球の温暖化防止にも役立つことになります。
夏は明るい時間に仕事が終わることで、働く人にとっては「アフターファイブ」の充実につながる可能性も期待できそうです。自己研鑽を目指してスポーツジムや資格学校、音楽教室に行く人が増えるかもしれません。週末の金曜日は旅行の出発に充てることもできそうです。単純にビールを飲みに行く回数が増えることになるのかもしれません。
ただ、我が国には「サマータイム」導入について、失敗の歴史があります。1948年に導入された「夏時刻法」は労働時間の長期化等を理由に、1952年に廃止されてしまいました。そもそも「サマータイム」についても、省エネ効果が期待するほど大きくない可能性があることや、ストレス等で身体に悪いという意見もあり、実際に導入されるか否か微妙かもしれません。ただ、五輪開催まで残された日も少なくなってきており、早急に結論を出す必要もありそうです。
「サマータイム関連」10銘柄はコレ!? |
仮に、「サマータイム」導入の機運がさらに高まり、実現の方向となった場合、「サマータイム関連銘柄」への注目度もさらに高まると考えられます。そこで、この項では「サマータイム関連銘柄」について考察を試みたいと思います。
上述したように「サマータイム」導入で単純に、ビールを飲みに行く回数が増える可能性があり、ビールメーカーを「サマータイム関連銘柄」と考えることが可能です。ただ、ビールメーカーは典型的な「サマーストック」とみられ、逆に夏の盛りである現在が投資タイミングとして適しているかどうかは微妙な所です。特に今年のような「酷暑」はビールメーカーにとっても意外な逆風になっているようです。ビールメーカーの株式は「押し目買い」の候補と考えるべきかもしれません。
明るい時間に仕事が終わることで、スポーツクラブや各種学校等に通い、自己研鑽に努めようという前向きな人が増えるかもしれません。そこで、それらに関係する銘柄が「サマータイム関連銘柄」として取り上げられる可能性がありそうです。また、各種レジャーに対する需要が盛り上がる可能性もありそうです。
「サマータイム」で時計の針を進めると言っても、航空機や鉄道のダイヤ、銀行のATMなど、コンピューターのプログラムで制御されているシステムの変更は容易なものではありません。すなわち、「サマータイム」の導入によって、ソフト更新等の需要が膨らむ可能性があり、関連銘柄には注目が集まる可能性があります。
なお、もっとも注意しなければならない点は、最終的に「サマータイム」導入が見送られるリスクがあるという点です。このため、このテーマで投資を試みるのであれば、業績面での裏付けのある好業績株を中心に考え、仮に「サマータイム」という投資テーマが追い風にならなくても値上がりが期待できる銘柄を対象とする方が有利であると考えられます。
そこで、「日本株投資戦略」では、以下のスクリーニング条件をもとに「サマータイム関連銘柄」の選別を行ってみました。表1はスクリーニング条件のすべてを満たした銘柄について、四半期の営業増益率が大きい順に並べたものです。ぜひ、ご参考にしていただければと存じます。
(1)各種報道や上記の考察より、「サマータイム関連銘柄」と考えられる銘柄であること
(2)8/9(木)および8/10(金)に決算発表される予定の銘柄ではないこと
(3)これまでの四半期累計営業増益率が通期予想営業増益率(会社予想)を上回っていること
表1:「サマータイム関連」10銘柄はコレ!?
取引 | チャート | ポートフォリオ | コード | 銘柄名 | 株価 (8/9) |
四半期 営業利益 |
通期予想 営業利益 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
追加 | 8920 | 東祥 | 4,210 | +30.8% | +10.3% | ||
追加 | 4680 | ラウンドワン | 1,597 | +23.0% | +9.6% | ||
追加 | 4661 | オリエンタルランド | 12,250 | +19.0% | +2.9% | ||
追加 | 9672 | 東京都競馬 | 4,025 | +18.5% | -0.6% | ||
追加 | 4307 | 野村総合研究所 | 5,240 | +17.0% | +7.5% | ||
追加 | 2378 | ルネサンス | 2,364 | +16.3% | +5.9% | ||
追加 | 7951 | ヤマハ | 5,310 | +14.6% | +12.6% | ||
追加 | 4801 | セントラルスポーツ | 4,020 | +13.2% | +7.1% | ||
追加 | 9671 | よみうりランド | 4,565 | +5.8% | -3.3% | ||
追加 | 9681 | 東京ドーム | 921 | -8.6% | -11.3% |
- ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成。「四半期営業利益」は直近四半期までの累計営業増益率(前年同期比)、通期予想営業利益は、会社予想通期営業増益率
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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