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「ファーウェイ・ショック」と東京株式市場〜「5G関連銘柄」の動向に変化は?

2018/12/7
投資情報部 鈴木英之

東京株式市場が波乱となっています。日経平均株価は12/4(火)〜12/6(木)に3営業日続落となり、累計で1,073円14銭の下げとなりました。11/22(木)〜12/3(月)の7営業日続伸では計1,067円22銭上昇しましたので、俗に言う「行って来い」になってしまいました。12/7(金)の日経平均株価は177円06銭と反発して終わりましたが、上値は重い印象で、波乱は続きそうな気配です。

こうした中、12/5(水)には中国の通信機器大手華為技術(ファーウェイ)孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)がカナダで逮捕され、翌日の日経平均株価は417円71銭も下げる大幅安となりました。イランとの金融取引を禁じた米国の制裁を回避するための仕組みづくりに関わった疑いがあるとのことで、米国がカナダに要請した逮捕劇だったようです。米国のトランプ大統領は世界の通信市場から中国の通信機器大手を排除する動きを強めており、今回の事件もそうした流れの中で理解されることが多いようです。

こうした動きは、株式市場での銘柄戦略にも影響を与えそうです。また、今回の事件は「5G」が、産業上の国際競争力を維持する上でいかに重要な技術であるかを、改めて投資家に印象付ける可能性がある考えられます。

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「ファーウェイ・ショック」もあり、波乱となった東京株式市場

東京株式市場が波乱となっています。日経平均株価は12/4(火)〜12/6(木)に3営業日続落となり、累計で1,073円14銭の下げとなりました。11/22(木)〜12/3(月)の7営業日続伸では計1,067円22銭上昇しましたので、俗に言う「行って来い」になってしまいました。

12/1(土)の米中貿易交渉で、米国による中国からの輸入品に対する関税引き上げ(2,000億ドル相当分)が猶予され、株式市場はこれを貿易戦争の「一時休戦」と捉え、12/3(月)の日経平均株価は上昇しました。ただ、交渉で特に大きな前進があった訳ではなく、最終的な着地点は依然不透明であると考えられます。「現在は、これからの『本格的な戦争』」を控えた踊り場にすぎない」という見方も出て、12/4(火)の日経平均株価は538円71銭安となりました。

同じ日のNYダウは東京株式市場の流れを受け継いだことに加え、米2年国債と同5年国債利回りの間で「長短逆転」となり、米国経済のピークアウトが強く意識され、799.36ドル安の急落となりました。さらに、12/6(木)には中国の通信機器大手華為技術(ファーウェイ)孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO・創業者の娘)がカナダで逮捕され、米中貿易戦争が再び強まるとの懸念から、この日の日経平均株価は417円71銭も下げる大幅安となりました。米中の覇権争いは継続し、特に貿易問題も絡み通信分野での両国の対立は続きそうな空気です。この日の波乱について、東京株式市場ではこれを「ファーウェイ・ショック」と呼ぶ向きもあったようです。

米国市場は12/5(水)に「国民追悼の日」(ブッシュ元大統領の国葬)で休日となった後、12/6(木)もNYダウが下落しましたが、こうした流れを引き継いだ形になっています。

こうした中、日経平均株価の予想PERは12/6(木)現在、12.09倍と本年最低水準、すなわち「アベノミクス相場」での最低水準まで低下しました。日経平均株価の予想配当利回りも引き続き約6年ぶりの高水準となっています。10/26(金)に付けた安値水準である20,971円93銭や、11/21(水)の安値21,243円も接近し、値ごろ感は強まっています。

12/6(木)の米国市場でNYダウは下げたものの、一時785ドル安となっていたものが終値では79.40ドル安まで下げ渋りました。米国におけるFRBの「機械的な利上げ」は年内で一巡し、2019年以降のFRBは様子見に転じるといった見方が台頭したためです。世界的な株安連鎖に歯止めがかかった形で、12/7(金)の東京市場でも、押し目買いが優勢となり、日経平均株価は177円06銭と反発して終わりました。ただ、上値は重い印象で、波乱は続きそうな気配です。

図表1:12/3(月)までの7営業日連続高に対し「行って来い」となった日経平均株価(日足)

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは12/7(金)現在
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米中貿易摩擦と「ファーウェイ・ショック」を通じ、「5G関連銘柄」の動向に変化は?

上述したように、12/5(水)には中国の通信機器大手華為技術(ファーウェイ)孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)がカナダで逮捕され、翌日の日経平均株価は417円71銭も下げる大幅安となりました。イランとの金融取引を禁じた米国の制裁を回避するための仕組みづくりに関わった疑いがあるとのことで、米国がカナダに要請した逮捕劇だったようです。

ファーウェイは通信機器の世界的大手で、スマートフォンではサムスン電子に続き世界第2位(2018年7〜9月期)、携帯基地局では世界トップ(2017年)となっています。製造大国を目指す中国の「製造2025」をリードする中核的な企業とみられます。米国のトランプ大統領は世界の通信市場から中国の通信機器大手を排除する動きを強めており、今回の事件もそうした流れの中で理解されることが多いようです。

現在、通信規格は「4G」が主流で、スマホで動画をほぼストレスなく見られるようになっていますが、無数の電子機器や機械がインターネットにつながる時代には「5G」が主流になるとみられ、ファーウェイなどの中国系企業が、主導的な役割を握るとみられてきました。しかし、米国はすでに、日本やドイツなどの同盟国にファーウェイ製品を使わないよう圧力をかけ始め、すでに英国やオーストラリア、ニュージーランドなどでは排除の動きが広がりつつあります。

図表2は東京株式市場に上場している「5G関連銘柄」です。SBI証券のWEBサイトには「テーマ投資」をご紹介しているコーナーがありますが、そこで紹介されている銘柄を掲載しています。また、SBI証券のWEBサイト上にある銘柄検索ウィンドウに「5G」と入力した時に表示される銘柄も掲載しています。ただし両方とも、投資する側の携帯キャリア、および営業収益の赤字を会社側が予想している業績不振銘柄は掲載の対象から除いています。

今回の事件は「5G」が、産業上の国際競争力を維持する上でいかに重要な技術であるかを、改めて投資家に印象付ける可能性があると「日本株投資戦略」では考えています。ただ、今後予想される投資環境の変化が掲載銘柄のすべてに追い風になるとは限らない点は注意が必要です。

ただ、基地局市場等でファーウェイのライバルであるノキアやエリクソン(12/6にソフトウェアの更新ミスで世界規模の通信障害を引き起こす)、サムスン電子など協力関係にあるとみられるNEC(6701)などには追い風になる面もありそうです。また、5Gの技術をベースとした高度運転支援等ではデンソー(6902)等の活躍領域が広がりそうです。

図表2:市場の拡大と投資環境の変動が予想される「5G」関連銘柄(通信事業者・赤字予想銘柄は除く)

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名 株価
(12/7)
5Gに関連する投資ポイント
現買信買 チャート 追加 3852 サイバーコム 1,722 基地局装置向けにソフトウェアを開発
現買信買 チャート 追加 4719 アルファシステムズ 2,600 通信制御系・業務系両方の開発を手掛ける
現買信買 チャート 追加 6501 日立製作所 3,222 IoTなどへの展開で総合力が生きる可能性
現買信買 チャート 追加 6701 日本電気 3,575 基地局の開発・営業でサムスン電子と提携
現買信買 チャート 追加 6754 アンリツ 1,737 5G通信向けに各種計測器を提供
現買信買 チャート 追加 6857 アドバンテスト 2,139 5G/AI関連テスタ需要の拡大に期待
現買信買 チャート 追加 6902 デンソー 5,149 5Gで可能になる高度運転支援で活躍
現買信買 チャート 追加 6904 原田工業 876 車載アンテナ専業メーカー。5Gでチャンス
現買信買 チャート 追加 7518 ネットワンシステムズ 2,310 ネットワーク・インデグレータ大手
現買信買 チャート 追加 9702 アイ・エス・ビー 2,267 携帯基地局向けソフトウェアを開発
  • ※各種資料をもとにSBI証券が作成。本文中で示した条件に合う5G関連銘柄から携帯キャリア、営業赤字予想銘柄を除いたものをコード番号順に並べたもの
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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