年が明け2019年となりました。過去を振り返りますと「亥年」は何かと波乱が起きやすい傾向もあるので、投資家の方は細心の注意で市場に参加して頂ければと存じます。そうした中、「日本株投資戦略」が皆様の投資パフォーマンス向上に少しでもお役に立てるよう、有用な情報の提供に努力していきたいと思っております。
さて、新年の株式相場ですが、昨年末の下落基調から反発に転じる銘柄が増えているように思われます。日経平均株価も前年末に比べ上昇をキープしています。米国と中国の覇権争いは長期化の様相を呈していますが、当面の妥協が成立する可能性に市場の期待が高まっているようです。米国のFRB(米連邦準備制度理事会)がハト派的姿勢に転じ、同国の政策金利引き上げが一時停止されるかもしれないことも、市場参加者に安心感を与えているようです。
一般的に年初は「テーマ株」が注目されやすい時期であると考えられます。多くの人々が「今年はどんな年になるのであろう」と考え、投資家は「今年はどんな銘柄が活躍するのであろう」と思いを巡らせることが増えやすいためです。そこで今回の日本株投資戦略では、投資家に人気の「3大テーマ株」が何かをチェックし、その中から業績面での不安が相対的に小さいと見受けられる銘柄をピックアップし、ご紹介することとしました。
冒頭でご説明したように、年初は「テーマ株」が注目されやすい時期であると考えられます。そこで今回の「日本株投資戦略」では、投資家に人気の「3大テーマ株」が何であるかをチェックし、その中から業績面での不安が相対的に小さいと見受けられる銘柄をピックアップし、ご紹介することとしました。
投資家が各種の投資情報を入手しようとする時、インターネットを利用する方法は広く普及していると思われます。投資テーマやそれに関連する銘柄についても、検索する時に例えば「××関連銘柄」と入力すれば、それを紹介してくれる投資情報サイトは数多くあります。また、SBI証券のWEBサイトでも、銘柄検索ウィンドウにキーワードを入力すれば、その関連銘柄を出力する便利な機能が付加されています。
そうした中、SBI証券の「テーマキラー!」は手前味噌ではありますが、投資家の方にとって強い武器になり得るツールであると考えられます。例えば、「自動運転」、「人工知能(AI)」、「ヘルスケア(健康)」といった旬のテーマを選ぶだけで、その投資テーマや関連銘柄に関する情報が得られるのみならず、関連する複数の銘柄に簡単に投資ができる「新感覚の株式投資サービス」となっています。
今回の「日本株投資戦略」では、こうしたSBI証券の「テーマキラー!」から、「アクセスランキング」(詳細は当社WEBサイトをご覧ください)の上位3テーマについて、その関連銘柄をご紹介したいと思います。
1/10(木)現在、「テーマキラー!」の「アクセスランキング」で第1位は「5G」、第2位は「AI(人工知能)」、第3位は「キャッシュレス決済」となっています。「日本株投資戦略」では、これら3つのテーマを「投資家に人気の『3大テーマ株』」と考えます。また、それらの関連銘柄として「テーマキラー!」でご紹介する銘柄のうち、東証1部上場企業で足元の業績が堅調とみられる銘柄を抽出し、ご紹介したものが表1となっています。ちなみに、ここで「足元の業績が堅調とみられる銘柄」とは、四半期累計の営業増益率が今期予想営業増益率よりも大きい銘柄で、それを今期予想営業増益率の大きい順に並べたものが表1となっています。ちなみに、この表の銘柄について、分類は以下の通りです。
(1)「5G」関連銘柄・・・ネットワンシステムズ、アンリツ、アイ・エス・ビー、アルファシステムズ、日本電気
(2)「AI」関連銘柄・・・ブレインパッド
(3)「キャッシュレス決済 」関連銘柄・・・楽天、LINE
今期予想営業利益が増益か否かは問わないことにしました。仮に「減益予想」であっても、株式市場で織り込みが進んでいると考えられるためです。むしろここでは、会社計画や市場予想に対し、足元の業績が達成可能なペースか否かが重要であると考えました。
表1:投資家に人気の「3大テーマ株」で足元の業績が堅調とみられる銘柄
取引 | チャート | ポートフォリオ | コード | 銘柄名 | 株価 (1/11) |
予想営業 増益率 |
ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|---|
追加 | 7518 | ネットワンシステムズ | 1,957 | 45.6% | 海外製通信機器の導入・支援 | ||
追加 | 6754 | アンリツ | 1,570 | 42.5% | IoT、5G等に関するソリューションを提供 | ||
追加 | 9702 | アイ・エス・ビー | 1,664 | 34.1% | 電子レセプト解析ソフトに成長可能性 | ||
追加 | 3655 | ブレインパッド | 5,620 | 28.4% | AIで経営改善を支援するサービスを提供 | ||
追加 | 4719 | アルファシステムズ | 2,618 | 2.2% | 5G基地局向けのソフト開発等に期待 | ||
追加 | 4755 | 楽天 | 828 | 0.4% | 楽天スタジアムを完全キャッシュレスに | ||
追加 | 6701 | 日本電気 | 3,550 | -21.7% | 5G基地局開発・営業でサムスン電子と提携 | ||
追加 | 3938 | LINE | 4,000 | -75.4% | キャッシュレス決済「LINE Pay」を展開 |
- ※当社WEBサイト、各種報道等をもとにSBI証券が作成。「予想営業増益率」は会社予想営業利益の前年度比増加率。ただし、会社予想を未公表としている企業については、Bloomberg調べの市場コンセンサスの前年度比増加率としました。増加率の計算ができない企業は除いています。なお、業績データは1/10(木)現在のものであり、今後変動する可能性があります。
今回ご紹介した「3大テーマ株」のうち、「5G」関連銘柄はアクセス数がもっとも多く、現在投資家がその分強く関心を抱いている投資テーマと言えるかもしれません。そこで、ここでは「5G」について簡単にご説明しておきます。
「5G」は「5th Generation」の略語で、「第5世代移動通信システム」のことを指しています。 移動体通信はおよそ10年ごとに新しいシステムが誕生していますが、5Gは2010年頃から普及し始めた4G「LTE」の後継として研究開発が始まりました。5Gの通信速度は毎秒10ギガ(ギガは10億)ビット超とLTEの1,000倍の容量を持ち、無線区間の低遅延化や、センサーネットワークなどにおける多数同時接続が可能となります。 このうち、低遅延化や多数同時接続という特徴は自動運転やIoTを実現する上で必須の技術であり、この点から5Gには、単なる「次世代通信規格」という投資テーマの枠を超えた注目が集まっています。
移動通信のシステムは、音声主体の「1G」、パケット通信に対応した「2G」、世界共通の方式となった「3G」を経て、現在ではLTE-Advanced等の「4G」まで実用化されています。これに続く次世代のネットワークとして注目されているのが「5G」、すなわち第5世代移動通信システムです。
「5G」においては、「多数同時接続」「超低遅延」が実現されることになります。「多数同時接続」は、基地局1台から同時に接続できる端末を従来に比べて飛躍的に増やすことです。これまで自宅ではPCやスマホなど数台の接続であったものが、100程度の機器やセンサーと同時に接続できるようになると言われています。「超低遅延」は、通信ネットワークにおける遅延を極めて小さく抑えられることです。自動運転のように高い安全性が求められるものに必要な機能となります。
「4G」までは基本的に人と人とのコミュニケーションを行うためのツールとして発展してきたのに対し、「5G」はあらゆるモノ・人自動車などが繋がる「IoT」、「自動運転」時代のコミュニケーションツールとしての役割を果たすと言えるでしょう。「IoT」や「自動運転」は革新的な技術であり、それ自体重要な投資テーマですが、「5G」なくして、それらを実現することはできないと考えられます。
従来、この「5G」は中国の通信事業者や通信機器メーカーが主導して展開されるはずでした。しかし、ご存知の通り、米国と中国の覇権争いの中で、米国は主導権を取り戻すべく、中国を排除しようとしています。その結果、この投資テーマに関連する銘柄についても、収益変動等、影響が拡大してくるケースがありそうです。
図1:5G(第5世代移動通信システム)の特徴
- (出所)総務省「平成30年版 情報通信白書」より
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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