年明けの株式市場は、昨年末に比べるとやや落ち着きを取り戻しています。FRB(米連邦準備制度理事会)による段階的な政策金利の引き上げが終った可能性が台頭していることや、米中貿易摩擦問題での妥協成立期待等を背景に、米国株が反発基調となっていることが背景です。
ただ、今後の株式市場の展望を楽観視するのは時期尚早かもしれません。1/17(木)に精密モーター大手の日本電産(6594)が業績見通しを下方修正しましたが、このことが今後の決算発表シーズンで起こる波乱を示唆している可能性があるためです。同社の永守会長が記者会見で「11月、12月になって受注ベースで世界的に全てのセグメントで尋常ではない変化が起きた」と述べたことが報じられています。今後発表が予定されている3月決算企業等の決算発表では、業績見通しの下方修正を発表する企業が増えそうです。
そうした中、今後の銘柄選択についてはどうすべきでしょうか。日本電産(6594)は1/18(金)、売り気配で始まったものの、終値では下げ渋りました。ただ、これは同社株がすでに大きく下落した後だったこと等も影響していると考えられます。しかし、一般的には決算発表前の銘柄はリスクが大きそうです。そこで「日本株投資戦略」では、直近に決算発表を終えた銘柄から好業績銘柄をチョイスすべく、銘柄の再評価を行ってみました。
冒頭でご説明したように、今後本格化する3月決算企業等の決算発表では、業績予想の下方修正が増え、株式相場が波乱となる可能性があります。そこで「日本株投資戦略」では、直近に決算発表を終えた2月、5月、8月、11月決算銘柄から好業績銘柄をチョイスすべく、銘柄の再評価を行ってみました。
スクリーニング条件は以下の通りです。
(1)東証1部上場銘柄であること
(2)時価総額300億円以上の銘柄であること
(3)決算期が2月または5月、8月、11月の銘柄(12月下旬頃〜1月中旬までに決算発表が終了)であること
(4)2月、5月、8月決算企業の場合、直近の四半期営業利益の増益率(累計・前年比)が以下の条件を満たしていること
・前年同月比10%増以上の増益(黒字)であること
・増益率(累計・前年比)が通期の会社予想営業増益率を上回っていること
(5)11月決算企業の場合は、2018年11月期(通期)が前年度比10%以上の営業増益であること
(6)業績予想を公表しているアナリストが2名以上付いている銘柄であること
(7)来期予想営業利益(Bloomberg集計の市場コンセンサス)が増益となっていること
上記の全条件を満たした銘柄を、来期予想増益率が大きい順に並べたものが表1となります。
表1:直近に決算発表が終了し、好業績を発表している銘柄
取引 | チャート | ポートフォリオ | コード | 銘柄名 | 決算期 | 株価 (1/18) |
四半期・前期 営業増益率 |
今期予想 営業増益率 |
来期予想 営業増益率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
追加 | 3186 | ネクステージ | 11月 | 1,299 | 26.2% | 30.0% | 26.3% | ||
追加 | 4714 | リソー教育 | 2月 | 456 | 33.5% | 29.3% | 25.6% | ||
追加 | 3046 | ジンズ | 8月 | 5,370 | 83.4% | 23.3% | 19.9% | ||
追加 | 9740 | セントラル警備保障 | 2月 | 4,610 | 144.8% | 86.3% | 18.3% | ||
追加 | 9716 | 乃村工藝社 | 2月 | 2,777 | 11.6% | 8.1% | 16.9% | ||
追加 | 7730 | マニー | 8月 | 4,995 | 40.1% | 14.8% | 14.0% | ||
追加 | 3549 | クスリのアオキホールディングス | 5月 | 6,920 | 17.7% | 12.1% | 11.8% | ||
追加 | 2157 | コシダカホールディングス | 8月 | 1,405 | 29.0% | 21.0% | 10.8% | ||
追加 | 6432 | 竹内製作所 | 2月 | 1,913 | 11.9% | 8.8% | 9.2% | ||
追加 | 3349 | コスモス薬品 | 5月 | 20,110 | 19.8% | 8.0% | 9.1% | ||
追加 | 9843 | ニトリホールディングス | 2月 | 13,980 | 10.8% | 7.9% | 7.4% |
- ※会社公表資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。「四半期・前期営業増益率」は2月、5月、8月決算企業の場合、直近の四半期営業利益(累計)の前年同期比増減率で、11月決算企業の場合は直近年度営業利益の前年度比増減率。今期予想営業増益率および来期予想営業増益率はともにBloomberg集計の市場コンセンサス。
表2にありますように、1/21(月)以降、3月決算もしくは9月決算企業の決算発表が徐々に増えてまいります。発表社数ベースでは1/31(木)402社、2/8(金)551社などが大きなヤマ場になっています。なお、表3には東証時価総額上位銘柄の決算発表予定日をご紹介しております。これら主要企業の発表は2/7(木)までには一巡する予定です。
すでにご指摘させていただいたように、日本電産(6594)の業績予想下方修正は、今後決算発表で業績予想の下方修正が増えることを示唆しているとみられます。グローバルな事業環境は11月頃から急速に悪化したとみられるためです。1/18(金)の日本電産(6594)の下落率は限定的でしたが、これは同社株がすでに大きく下落した後だったことも影響していると考えられます。また、同社の永守会長が株式市場と対話を続けてきた効果ともいえ、他の銘柄が同じような値動きになるとは限らないでしょう。
日本電産の業績予想下方修正は、米中貿易摩擦等が影響しているとみられ、電気機器や輸送用機器、機械、精密等の幅広い業種で同様の影響が出てくる可能性があり、注意が必要と思われます。
そうした中、すでに決算発表を終えた2月、5月、8月、11月決算はこの時期、業績修正が発表されるケースは少ないとみられる上、内需株が多く、その意味でも相対的に買い安心感が強まることが期待されます。
表2:決算発表スケジュール(社数)
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
---|---|---|---|---|
1/21 |
1/22 |
1/23 |
1/24 |
1/25 |
1/28 |
1/29 |
1/30 |
1/31 |
2/1 |
2/4 |
2/5 |
2/6 |
2/7 |
2/8 |
2/11 |
2/12 |
2/13 |
2/14 |
2/15 |
表3:東証時価総額上位銘柄の決算発表予定日
コード |
銘柄名 |
発表予定日 |
---|---|---|
7203 |
トヨタ |
2/6 |
9437 |
NTTドコモ |
2/1 |
9432 |
NTT |
2/7 |
9984 |
ソフトバンクG |
2/6 |
8306 |
三菱UFJ |
2/4 |
6758 |
ソニー |
2/1 |
9434 |
ソフトバンク |
2/5 |
9433 |
KDDI |
1/31 |
4502 |
武田 |
2/1 |
6861 |
キーエンス |
2/1 |
- ※弊社WEBサイト「決算発表スケジュール」(国内株式)より、SBI証券が作成。決算発表スケジュールは予告なく変更される場合があり、上記の決算発表スケジュールも日々変化する可能性があります。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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