株式市場は一進一退の一服場面となっています。米中の覇権争いが続き、米政府機関閉鎖も続いているものの、同国の決算発表は総じて底堅い内容で、日経平均株価は20,000円台での推移となっています。
ただ、世界的に景気・企業業績に対する不透明感が強まっており、株式市場では様子見気分が強まりつつあります。東証1部の売買代金は連日の2兆円割れとなっています。そうした中、1/25(金)あたりから上場企業の決算発表が本格化してきますが、例年以上に、決算発表後に株価の明暗が厳しく分かれる展開が予想されます。
そこで、今回の「日本株投資戦略」では、2018年10〜12月期の決算発表を控え、通期(2019年3月)予想の「上方修正」が期待できる3月決算銘柄のスクリーニングを試みてみました。
冒頭でご説明したように、世界的に景気・企業業績に対する不透明感が強まっており、3月決算企業については、2018年10〜12月期決算発表を経て、通期(2019年3月期見通し)の業績見通しを下方修正する企業は少なくないとみられます。もっとも、逆に業績予想を上方修正する銘柄は希少価値が増し、株価が上昇する可能性が大きそうです。そこで、今回の「日本株投資戦略」では、2018年10〜12月期の決算発表を控え、通期(2019年3月)予想の「上方修正」が期待できる銘柄のスクリーニングを試みてみました。スクリーニング条件は以下の通りです。
(1)東証1部上場銘柄であること
(2)時価総額1,000億円以上の銘柄であること
(3)3月決算銘柄で広義の金融以外の業種に属していること
(4)業績予想を公表しているアナリストが2名以上付いていること
(5)上半期(2018年4月〜9月)の営業増益率(前年同期比)が、通期の予想営業増益率を上回っていること
(6)今期(2019年3月)・来期(2020年3月期)ともに、市場予想営業利益が増益となっていること
(7)市場予想の今期予想EPSが過去4週間で上昇していること
上記の全条件を満たす銘柄について、上半期の営業増益率が高い順に羅列したものが「表1」となります。「日本株投資戦略」では、これらの銘柄は通期業績予想の「上方修正」が期待できる銘柄であると考えております。
表1:「上方修正」が期待できる銘柄はコレ!?
取引 | チャート | ポートフォリオ | コード | 銘柄 | 決算発表 予定日 |
株価 (1/25) |
上半期 営業増益率 |
今期予想 営業増益率 |
来期予想 営業増益率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
追加 | 3863 | 日本製紙 | 2/6(水) | 2,142 | 131.1% | 23.9% | 45.6% | ||
追加 | 7518 | ネットワンシステムズ | 1/31(木) | 2,152 | 113.6% | 49.9% | 13.6% | ||
追加 | 4569 | キョーリン製薬ホールディングス | 2/5(火) | 2,330 | 97.6% | 9.2% | 24.5% | ||
追加 | 4921 | ファンケル | 1/30(水) | 2,372 | 89.6% | 62.2% | 16.4% | ||
追加 | 6849 | 日本光電工業 | 2/4(月) | 3,310 | 36.2% | 9.7% | 7.4% | ||
追加 | 7296 | エフ・シー・シー | 1/31(木) | 2,813 | 33.9% | 31.8% | 10.4% | ||
追加 | 2412 | ベネフィット・ワン | 1/31(木) | 3,390 | 32.2% | 24.0% | 25.5% | ||
追加 | 9065 | 山九 | 1/31(木) | 5,240 | 31.0% | 15.1% | 3.1% | ||
追加 | 4922 | コーセー | 1/31(木) | 15,320 | 30.9% | 21.2% | 7.8% | ||
追加 | 7013 | IHI | 2/7(木) | 3,305 | 30.6% | 26.6% | 11.8% |
- ※会社公表資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。「上半期営業増益率」は2018年4〜9月期営業利益の前年同期比増益率。今期予想営業増益率は2019年3月期の市場予想増益率。来期予想営業増益率は2020年3月期の市場予想増益率。市場予想はBloomberg集計の市場コンセンサス。
ここでは、表1に掲載した「上方修正が期待できる銘柄」の一部について、投資ポイントをお伝えしたいと思います。
日本製紙(3863)の今上半期は営業利益が118億円と前年同期比131.1%増でした。紙・板紙事業の採算改善やエネルギー事業の稼働開始が貢献し、増益を確保する一方、円安や原油高を想定し、業績予想を下方修正していました。
現状では、会社が想定した水準より為替は円高、原油は下落傾向となっています。通期の営業利益については、会社予想200億円に対し、市場では218億円(前期比23.9%増)を予想しています。株価は昨年7/3(火)1,706円に対し、本年1/18(金)には2,187円まで上昇と、相対的にも堅調で、業績回復を織り込みつつあるように見受けられます。
ネットワンシステムズ(7518)はネットワークシステム構築の専業企業です。ルーターやスイッチ、サーバーなど、ネットワーク機器を組み合わせ、インターネットやクラウドなどが使えるよう、企業のシステムを構築しています。
今上半期は営業利益が49.4億円と前年同期比113.6%増でした。通期の会社予想営業利益は120億円ですが、市場は124億円弱(前期比49.9%増)を予想しています。投資家のテーマ株投資をお手伝いするSBI証券の「テーマキラー!」において、ネットワンシステムズは「5G」関連銘柄となっています。また、1/10(木)付で弊社アナリストが投資判断を「強気」としてレポートを執筆しております。
キョーリン製薬ホールディングス(4569)の営業利益は2016年3月期196億円、2017年3月期104億円、2018年3月期88億円と減少してきました。こうした中、今上半期は販管費の削減等に取り組み、前年同期比97.6%の営業増益を確保しました。
この下期より、過活動膀胱治療薬が新たに販売を開始されました。アナリスト予想の通りであれば、営業利益は前期が底となり、今期96億円、来期120億円と回復に向かう見込みです。なお、上期末の純資産1,646億円に対し、時価総額は1,500億円超程度と割安感が強まっています。また、年間の一株予想配当は75円(会社予想)であり、予想配当利回りは3.2%と計算されます。
ファンケル(4921)は通販主力の無添加化粧品メーカーで、サプリや健康食品にも展開しています。今上半期の営業利益は70.8億円(前年同期比89.6%増)でしたが、通期の市場予想営業利益は137億円(前期比62.2%増)となっています。
訪日外国人向けの拡大に成功していますが、越境ECなどチャネルの拡大に努めています。インバウンド関連株としての印象が強い銘柄ですが、当社の「テーマキラー!」では「アンチエイジング」関連銘柄となっています。
図1:ネットワンシステムズ(7518)・週足
図2:キョーリン製薬ホールディングス(4569)・週足
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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