日本列島は長かった梅雨も終わりを迎え、西の方から梅雨明けの便りが聞こえるようになってきました。株価についても、日経平均株価は戻り売りをこなしつつ、5月上旬以来の高値水準を回復しつつあります。
ただ、東証1部の売買代金は1営業日当たり2兆円未満にとどまることが常態化しており、その意味では湿った相場が終る兆しは見えていません。これから8月相場に入り、市場参加者の多くが夏休みに入るようになると、いっそう閑散な株式相場になってしまう可能性もありそうです。
もっとも、閑散相場は配当や株主優待の権利を確保しつつ、中長期的なスタンスで株式相場に臨む投資家にとっては、高値掴みを避けながら投資できるチャンスという側面もありそうです。特に8月は、小売・外食など消費者にとっては身近な企業の多くで、株主優待の権利確定月となります。「日本株投資戦略」では、そんな「8月優待銘柄」のうち、30万円未満で買えて、好業績でその分株価の値上がりも期待できるような銘柄をスクリーニングにより抽出してみました。
それではさっそく、8月に株主優待の権利が確定する銘柄のうち、30万円未満で買えて、好業績でその分株価の値上がりも期待できるような銘柄をスクリーニングにより抽出してみたいと思います。
(1)東証上場銘柄であること
(2)8月末に株主優待および配当の権利が確定する銘柄であること
(3)四半期実績の営業利益が黒字で、前年同期比で増益の銘柄であること
(4)今期(通期)予想営業利益(会社予想ベース)が黒字で、前年度比増益予想の銘柄であること
(5)8月末に最低投資単位(100株)の保有で株主優待の権利を確保することができる銘柄であること
(6)株主優待の権利確保のため、保有期間や保有株数(100株超)等の条件が付いていない銘柄であること
(7)8月末に配当の権利も獲得できる銘柄であること
(8)最低投資単位(100株)での投資金額が30万円未満の銘柄であること
上記の全条件を満たす銘柄について、当社WEBサイトの株主優待検索ページにおいて、投資家の閲覧回数の多い順に10銘柄並べたものが表1となります。
なお、8月末に株主優待および配当の権利が確定するということは、これらの銘柄の権利付最終日である8/28(水)までに保有しておく必要があることを示しています。
結果的に掲載銘柄の本決算月は2月または8月になっています。2月決算銘柄では第1四半期(2019年3〜5月期)を、8月決算銘柄では第3四半期累計(2018年9月〜2019年5月累計)の数字を、四半期実績の営業利益に関する分析の対象にしています。また、8月末配当は、2月決算銘柄については、第2四半期(中間期)末、8月決算銘柄については期末の配当(いずれも予想ベース)ということになります。
実は、「8月優待銘柄」の中でもっとも閲覧回数の多い銘柄はサイゼリヤ(7581)でした。ただ同社は、100株で食事券(500円)4枚の株主優待を得るために、一定期間の継続保有が条件になっており、表1での紹介に至りませんでした。このように、株主優待の権利確保のために、保有期間や保有株式数に条件がある銘柄も少なくないので、投資家は注意が必要です。
今回の分析では、(3)や(4)の条件を入れることで、ある程度好業績銘柄に絞り込まれるよう配慮しております。しかし、それでも業績悪化による株価変動のリスクを完全に回避することはできません。しかし、(8)の条件を入れることで、より少ない金額で複数の銘柄に投資でき、リスクを分散させることが可能になります。表1の銘柄については、約156万円(諸コスト未考慮)あれば、全銘柄に分散投資することが可能な計算となっています。
表1:30万円未満で買えて、業績も良く、投資家に人気の「8月優待銘柄」はコチラ!?
取引 | チャート | ポートフォリオ | コード | 銘柄 | 株価 (7/26) |
8月末予想 1株配当金 |
最低投資単位での 株主優待内容の概要 |
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追加 | 3543 | コメダホールディングス(2) | 2,030 | 25.0 | 1,000円相当の電子マネー | ||
追加 | 7513 | コジマ(8) | 485 | 10.0 | 買物優待券1,000円分 | ||
追加 | 3387 | クリエイト・レストランツ・ホールディングス(2) | 1,633 | 6.0 | 優待食事券3,000円相当 | ||
追加 | 3607 | クラウディアホールディングス(8) | 526 | 10.0 | 優待券とおこめ券 | ||
追加 | 9861 | 吉野家ホールディングス(2) | 2,168 | 10.0 | 飲食券300円×10枚 | ||
追加 | 8200 | リンガーハット(2) | 2,575 | 5.0 | 食事優待券540円×2枚 | ||
追加 | 4668 | 明光ネットワークジャパン(8) | 926 | 15.0 | クオカード1,000円相当 | ||
追加 | 2379 | ディップ(2) | 2,177 | 24.0 | クオカード500円相当 | ||
追加 | 9979 | 大庄(8) | 1,616 | 8.0 | 優待飲食券等2,500円相当 | ||
追加 | 2157 | コシダカホールディングス(8) | 1,519 | 6.0 | 株主優待券2,000円相当 |
- ※会社公表データ、Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。カッコ内はその銘柄の本決算月を示しています。2月決算銘柄の「8月末予想1株配当金」は「予想中間1株配当」、8月決算銘柄の「8月末予想1株配当金」は「予想期末1株配当」で、ともに年間1株配当と異なる数字になることが多く、予想は会社予想ベースになっています。「最低投資単位での株主優待内容の概要」は、その銘柄を最低投資単位(100株)保有し、権利を確保した場合の株主優待内容の概要を示すもので、詳細については当該企業のWEBサイト等で別途ご確認ください。
ここでは、表1に掲載した銘柄の投資ポイントについて、株主優待の内容を中心に補足説明したいと思います。
コメダホールディングス(3543)
喫茶店チェーンを運営する株式会社コメダの持株会社です。中京圏を地盤としつつ、全国にコメダ珈琲店835店舗他を展開しています。
8月末に100株以上の保有で、全国のコメダ珈琲店で使える1,000円相当の自社電子マネーが贈呈されます。2月末にも同じ株主優待が実施されるので、年間では2,000円分の電子マネーが贈呈されることになります。
2020年2月期は通期で営業利益7,869百万円(前年度比4.0%増)の計画ですが、第1四半期の営業利益は前年同期比5.2%増と好調なスタートでした。
コジマ(7513)
郊外型の家電量販店中堅で、2012年にビックカメラ(3048)の傘下に入りました。8月末に100株以上を保有する株主に買物優待券(1,000円)が贈呈されます。
なお、500株以上の保有で3枚、1,000株以上で5枚、3,000株以上で15枚、5,000株以上で20枚となっています。自社店舗・通販で合計1,000円(税込)以上の商品購入で利用が可能(一部限定品除く)になります。「ビックカメラ」、「ソフマップ」、「ビックカメラアウトレット」の各店舗(通販を除く)でも利用が可能です。
なお、親会社のビックカメラ(3048)も株主優待では人気の企業で、8月に権利確定の銘柄ですが、四半期営業利益が減益となったため、ここでは掲載されませんでした。
クリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387)
ショッピングセンター内でレストランやカフェを展開。M&Aも積極的に行っています。磯丸水産などを展開するSFPホールディングス(3198)を傘下に有しています。
8月末に100株以上の保有で3,000円相当の優待食事券が贈呈されます。500株以上保有で6,000円相当、1,500株以上で15,000円相当、4,500株以上で30,000円相当が贈呈されます。継続保有で贈呈株式数の追加もあります。また、2月末にも同様の株主優待が実施されています。
クラウディアホールディングス(3607)
ウェディングドレスのトップメーカーから「総合ブライダル企業」へと展開しています。
8月末に100株以上保有の株主に対し、株主優待券1枚が贈呈されます。自社指定取扱店舗での婚礼衣裳購入・レンタル、挙式・披露宴等に利用可能で、割引率(5〜10%)やサービス内容は店舗により異なります。
もっとも、こうしたブライダル需要がない投資家も少なくないと思われます。そこで、100株以上保有の投資家に、おこめ券1s分、200株以上で2s分、1,000株以上で10s分の贈呈も行われています。
この他、吉野家ホールディングス(9861)は8月末に100株以上の保有で飲食券(300円)10枚の贈呈を受けることができます。1,000株以上で同20枚、2,000株以上で同40枚の贈呈を受けることができます。2月末にも同等の株主優待が実施されています。
また、大庄(9979)は8月末に100株以上の保有で、優待飲食券または産直品2,500円相当、500株以上で5,000円相当、1,000株以上で10,000円相当の贈呈が受けられます。当社も2月末にも同等の株主優待が実施されています。
図1:コメダホールディングス(3543)・週足
図2:コジマ(7513)・週足
図3:吉野家ホールディングス(9861)・週足
- ※図1〜図3は当社チャートツールを用いて、SBI証券が作成
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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