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ソフトバンク、コマツ他・・・「好業績」主力株で配当利回り4.79%を期待する組み合わせとは?

2020/2/21
投資情報部 鈴木英之

2020年はスタートから波乱の香りが強く漂う株式相場になっています。特に1月下旬以降、中国が発生源とみられる新型コロナウイルスの感染が拡大し、人やモノの流れが大きく滞ってきました。世界経済にも甚大な影響が警戒され、株式相場は多くの国で不安定に上下を繰り返しています。

そうした中、2月も残すところ1週間となり、いよいよ年度末の3月相場が接近してきました。3月と言えば、決算期末を迎える銘柄が多く、配当金や株主優待の権利確保を狙った投資家の動きが本格化してくるとみられます。

東証1部の予想配当利回りは2%弱程度で依然高水準を維持しています。3月期末は可能な限り配当を確保し、投資パフォーマンスの向上につなげたいものです。そこで「日本株投資戦略」では、時価総額1,000億円以上の東証1部上場銘柄を対象に、収益や配当の減少リスクを抑えつつ、高めの配当利回りを狙えるような銘柄パッケージを考えてみました。ソフトバンク(9434)や小松製作所(6301)など、多くの投資家に名前が知られている銘柄を含む10銘柄のポートフォリオで、予想配当利回り4.79%程度になりました。

1「好業績」主力株で配当利回り4.79%を期待する組み合わせとは?

冒頭でご説明した通り、今回の「日本株投資戦略」では、時価総額1千億円以上の東証1部上場銘柄を対象に、収益や配当の減少リスクを抑えつつ、高めの配当利回りを狙えるような銘柄パッケージを考えてみました。ソフトバンク(9434)や小松製作所(6301)など、多くの投資家にも名が知れた銘柄を含む10銘柄のポートフォリオとなり、予想配当利回り4.79%になっています。スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)東証1部上場銘柄であること。
(2)時価総額1,000億円以上で、REITを除く業種とすること。
(3)3月決算銘柄であること。
(4)2020年3月期の市場予想純利益が黒字の銘柄であること。
(5)以下のいずれかの条件を満たし、予想純利益の未達リスクが限定的であると予想されること。
 ・2019年4〜12月期の累計純利益(親会社株主帰属分)の前年同期比増減率が、通期会社予想純利益(同)の増減率を上回っていること。
 ・2020年3月期(通期)会社予想純利益に対する進捗率が75%以上に達した銘柄であること。
(6)親子関係にある銘柄が複数抽出された場合は、予想配当利回りの高い銘柄を優先して残すこと。
(7)原則的に同一業種の銘柄は回避すること。ただし、顧客業種等が相違し、実質的に業界が異なる場合は重複を容認しました。

上記の全条件を満たした銘柄を、予想配当利回り(市場予想ベース)の高い順に10銘柄並べたものが表1になります。10銘柄に100株ずつ投資した場合の投資金額合計(諸コスト未考慮)は約156.5万円、予想配当の合計金額は年74,920円で、予想配当利回りは4.79%(税金は未考慮)と計算されました。

表1 「好業績」主力株で配当利回り4.79%を期待する組み合わせとは?

取引 チャート

ポート
フォリオ

コード 銘柄 株価(2/20) 市場予想配当利回り 市場予想今期1株配当金
9434 9434 9434 9434 ソフトバンク 1,484.5 5.83% 86.6
8304 8304 8304 8304 あおぞら銀行 3,030 5.18% 157.0
6178 6178 6178 6178 日本郵政 1,005 5.17% 51.9
7731 7731 7731 7731 ニコン 1,195 5.02% 60.0
5020 5020 5020 5020 JXTGホールディングス 468.3 4.73% 22.1
6301 6301 6301 6301 小松製作所 2,300 4.73% 108.9
6113 6113 6113 6113 アマダホールディングス 1,086 4.42% 48.0
5703 5703 5703 5703 日本軽金属ホールディングス 215 4.30% 9.3
1941 1941 1941 1941 中電工 2,441 4.26% 104.0
1820 1820 1820 1820 西松建設 2,425 4.18% 101.4
  • BloombergデータをもとにSBI証券が作成。「市場予想今期1株配当金はBloomberg社が集計した市場コンセンサス。「市場予想配当利回り」は「市場予想今期1株配当金」を株価で割ったもの。「市場予想今期1株配当金」は、中間1株配当金(実績)と期末予想1株配当金の合計であり、期末配当金を受け取っただけで得られる利回りとは異なります。

2「配当利回りランキング」を使った投資の注意点

3月決算期末が近づくと、多くのメディアや調査機関等から「高配当利回りランキング」が公表されます。しかし、資料作成元の信頼性を十分配慮するとともに、掲載銘柄の配当等の情報についても、細心の注意が必要であると考えられます。

おそらく、現段階の株価・配当情報等をもとに「予想高配当利回りランキング」を作成すれば、マクセルホールディングス(6810)がトップないしそれに近い上位にランキングされると思われます。同社の今期予想1株配当(会社予想)は286円であり、2/20(木)終値1,413円に対する予想配当利回りは20.2%と計算されるためです。

しかし、予想1株配当の内訳は第1四半期末配当250円、第2四半期末18円で、これらはすでに支払い済みになっています。期末に18円の配当が予定され、これらの合計が286円なのです。このように、配当利回りの計算のベースになる予想1株配当金は、すでに実施済みの配当と期末予想配当を合計した数字になっています。今後3月末に権利が確定する期末配当だけを対象とした利回りの数字とは異なりますので、十分ご注意ください。

ちなみに、表2は表1に掲載した銘柄の上期配当、期末配当を記載したものです。年間予想配当はこれらを合計したものとなっています。また、表1では年間予想1株配当については市場コンセンサスを使っていますが、表2では会社予想数値が使われており、両者の数字が異なる場合があり、注意が必要です。

阪和興業(8078)の場合、市場予想1株配当は資料作成時点で130円あり、2/20(木)時点の予想配当利回りは5.21%と計算され、当初は表1の上から2番目に掲載されていました。しかし、2/12(水)付で配当計画が修正され、年間1株配当は75円(予想配当利回り3.0%)となる可能性が強まりましたので、削除しました。市場予想はこうした会社側の配当政策の変更を反映していないと考えたためです。

なお、予想配当利回りを作成する情報元によっては、配当利回りデータ自体に誤りがあるケースも見受けられます。配当データは会社発表数字を含め、必ず複数から確認することをおすすめします。

また、青山商事(8219)も一般的に高配当利回りランキングの上位に入ってくる銘柄です。同社の場合、すでに上半期末に1株50円の配当が支払い済みで、今後期末に支払われる予定の1株50円配当と合計し、年間で1株配当100円が計算のベースになっています。年間予想1株配当100円を2/20(木)終値1,286円で割ると7.78%と計算されます。

ただ、図1からご理解いただけると思いますが、株価自体は長期低迷中になっています。やはり、一般的に「高配当利回りランキング」の上位銘柄になりやすい日本たばこ産業(2914)も、過去5年では年平均4.04%の株価下落となっています。このように、高い配当利回りが期待できる銘柄でも、株価下落リスクについては十分、注意しておく必要があります。

なお、今回のスクリーニングではそもそも、分析対象を3月決算銘柄に絞っています。12月決算銘柄は次の権利付き最終日まで相対的に残された営業日数が長いため、現段階では3月決算銘柄優先でいいと考えたためです。

今回、スクリーニングにより、「好業績」で高い配当利回りを期待できる銘柄が抽出されることを狙っています。ただ、ここでいう「好業績」とは単純に利益がたくさん伸びた、あるいは伸びるであろうことを指している訳ではありません。

第3四半期累計の増益率または進捗率を参考数値とし、業績下方修正のリスクが相対的に小さい銘柄が抽出されることを狙っています。たとえば、ソフトバンク(9434)の場合、第3四半期累計の純利益が通期会社計画の91%であり、標準的な進捗率とみられる75%を上回っているため、下方修正リスクは小さいと評価しました。

ニコン(7731)、JXTGホールディングス(5020)、小松製作所(6301)、アマダHD(6113)、日本軽金属HD(5703)など、第3四半期累計の純利益は前年同期比で大きく減っており、その意味では「好業績」という表現に違和感を持たれる投資家は多いと思われます。しかし、それら減益の事実はすでに、株価に織り込まれていると考えられます。(5)の条件を満たすことで、今後の下方修正リスクが小さいことが重要であると「日本株投資戦略」では考えています。

かつては、株式の最低投資単位は1,000株であることが多く、分散投資するには相応に多額の投資金額が必要でした。しかし、現在では最低投資単位は原則100株で、比較的少額でも分散投資ができるようになりました。表1の銘柄すべてに100株ずつ投資しても、合計投資金額(諸コストは未考慮)は156.5万円で、予想配当利回りは加重平均で4.79%と計算されます。

高配当利回りを期待した銘柄への投資は、期待される配当利回りを多少引き下げても、分散投資を前提とし、業績や配当計画の下方修正リスクに十分注意したいと「日本株投資戦略」では考えます。

図1 青山商事(8219)・週足

  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。

表2 掲載銘柄の上期・期末予想1株配当

  銘柄名 上期配当
(実績)
期末配当
(会社予想)
9434 ソフトバンク 42.5 42.5
8304 あおぞら銀行 ※四半期配当 ※四半期配当
6178 日本郵政 25.0 25.0
7731 ニコン 30.0 30.0
5020 JXTGHD 11.0 11.0
6301 小松製作所 55.0 55.0
6113 アマダHD 24.0 24.0
5703 日本軽金属HD 4.0 5.0
1941 中電工 52.0 52.0
1820 西松建設 0.0 100.0
  • ※各社の2019年4〜12月期決算短信をもとにSBI証券が作成。 上期配当と期末配当(会社予想)を合計した数字が年間の予想1株配当(会社予想ベース)になります。ただし、市場予想とは異なることがあります。なお、あおぞら銀行(8304)は四半期配当を実施しており、各四半期末に1株39円の配当を実施し、第4四半期末の予想配当39円と合計し、年間で1株156円の配当が予想されています。なお、社名のホールディングスについて、ここではHDと略しています。

表3 掲載銘柄の純利益(第3四半期累計・通期予想)

コード 銘柄名 第3四半期累計 通期会社計画
進捗率 -
前年同期比 前期比
9434 ソフトバンク 436,637 480,000
91.0% -
3.1% 3.8%
8304 あおぞら銀行 29,752 36,500
81.5% -
0.1% 1.0%
6178 日本郵政 422,006 420,000
100.5% -
7.6% -12.4%
7731 ニコン 20,229 17,000
119.0% -
-50.4% -74.4%
5020 JXTGHD 124,553 155,000
80.4% -
-55.2% -51.9%
6301 小松製作所 135,268 180,000
75.1% -
-26.6% -29.8%
6113 アマダHD 17,898 24,500
73.1% -
-17.0% -26.4%
5703 日本軽金属HD 11,690 15,500
75.4% -
-26.9% -24.6%
1941 中電工 2,176 5,600
38.9% -
-3.9% -9.1%
1820 西松建設 14,029 17,600
79.7% -
20.5% -6.3%
  • ※各社の2019年4〜12月期決算短信をもとにSBI証券が作成。 各欄とも数字は上から順に、当該期の純利益(百万円)、進捗率、前年(同期)比増減率となっています。なお、社名のホールディングスについて、ここではHDと略しています。
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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