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マーケット > レポート > 日本株投資戦略 >  好業績でテーマ性も兼ね備え、今後の物色の核となり得る銘柄を探る

好業績でテーマ性も兼ね備え、今後の物色の核となり得る銘柄を探る

2020/5/8
投資情報部 鈴木英之

足元の株式市場はやや落ち着きを取り戻しているようです。新型コロナウイルスの新規感染者数がピークアウトの様相を呈する中、米国などで経済活動の再開を模索する動きが強まり、景気の底入れに対する期待が強まっています。

もっとも、景気・企業業績は当面、相当悪化することが予想されます。4月下旬以降に発表が本格化してきた3月決算企業の決算発表でも、事前の予想を下回り、利益が大きく減少する企業が増えています。さらに今期の業績予想については、たとえ減益見通しであっても、予想を公表できる企業はましな方で、大半の企業は業績予想の公表見送りに追い込まれているのが現状です。

そうした中、今回の「日本株投資戦略」では、決算発表で事前の予想を上回る利益を計上し、テーマ性もあって先行き期待できそうな銘柄を抽出すべくスクリーニングを行ってみました。決算発表後の株価動向もチェックし、株式市場が決算発表から得た第1印象が肯定的なものなのか否かも調べてみました。

1好業績でテーマ性も兼ね備え、今後の物色の核となり得る銘柄を探る

それではさっそく、スクリーニングを行ってみたいと思います。スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)東証1部上場銘柄であること。

(2)広義の金融を除く業種に属している銘柄であること。

(3)時価総額1千億円以上の銘柄であること。

(4)3月決算銘柄で、5/1(金)までに決算発表を終えている銘柄であること。

(5)2020年3月期営業利益が事前の会社予想および市場予想(Bloomberg集計の市場コンセンサス)を上回っていること。

(6)決算発表後に株価が上昇している銘柄であること。

(6)SBI証券のテーマ株投資ツールである「テーマキラー!」で、テーマ株として紹介されている銘柄であること。

上記のすべての条件を満たす銘柄をコード番号順にご紹介したものが表1となっています。これらは、決算発表で事前の予想を上回る利益を計上し、テーマ性もあって先行き期待できそうな銘柄であると「日本株投資戦略」では考えています。

冒頭でご説明した通り、株式市場は一時に比べ落ち着きを取り戻しつつあるとはいえ、景気・企業業績は当面、相当悪化することが予想されていますので、好業績銘柄で物色の中心になるような銘柄を抽出するのも困難を伴うのが現実です。ただ、こうした投資環境にあっても、事前予想を上回るような銘柄は、希少価値があるとみられ、さらに有望な投資テーマに乗っていれば、今後の物色の核になり得ると期待されます。

なお、2020年3月期が増益であったか否かは、景気・企業業績の悪化局面であるという配慮に加え、株価には織り込み済みとなっていると考えられましたので、抽出の条件とはしませんでした。また、2021年3月期の業績予想については、会社予想の公表を見送っている企業が多いため、条件には加えませんでした。

表1 景況感が悪化する中、逆に業績拡大が期待される銘柄はコチラ!?

取引 チャート ポート
フォリオ
コード 銘柄 株価(5/8) 営業増益率 投資
終値 騰落率 前期 今期予想 テーマ
1973 1973 1973 1973 NECネッツエスアイ 4,900 +7.0% +27.2% 未公表 5G
3635 3635 3635 3635 コーエーテクモホールディングス 2,988 +5.8% +16.6% 未公表 巣ごもり
4062 4062 4062 4062 イビデン 2,911 +19.1% +94.2% +37.2% 半導体
6754 6754 6754 6754 アンリツ 2,208 +2.0% +54.8% +0.5% 5G
6857 6857 6857 6857 アドバンテスト 5,370 +12.3% -9.2% 未公表 半導体
  • ※各社公表データ等をもとにSBI証券が作成。騰落率は決算発表日終値(NECネッツエスアイは日中発表のため前日終値)からの株価騰落率。営業増益率の今期予想は会社予想ベース。

2掲載銘柄とその投資テーマ

株式市場が一時に比べ落ち着きを取り戻してきたとはいえ、景気・企業業績の悪化をすべて織り込みきってしまったと考えるのは時期尚早かと思われます。したがって、株式市場全般が総じて上昇局面に入るまでには時間を要するかもしれません。しかし、近い将来の株式市場では「ポスト・コロナ」(その詳細は別途考察したいと思います)が重要な考え方になると予想されます。

欧州や米国では、伝染病等の感染者が平均で何人を直接感染させるかを示す「基本再生産数」が低下したことをおもな理由として、新型コロナウイルスの感染がピークアウトしてきたと判断し、経済活動の再開に踏み切ろうとしています。しかし、新型コロナウイルスの感染者がいなくならない限り、再流行するリスクも消えないと考えられるため、世の中の在り方も大きく変わってくると思われます。

そのひとつの例としては「在宅勤務の普及」があげられます。インターネットを通じてやり取りする情報量が増えるのみならず、家庭で仕事に使う、PC需要の高まりにもつながっているようです。また、実際にひとつの場所に集まって実施されていた会議もまた、オンラインに移行し、それに必要なソフトウェア等の需要増大につなっがています。

移動体通信の高速化・大容量化等を目指す「5G」(第5世代移動通信システム)は、もともと株式市場の重要テーマですが、「ポスト・コロナ」の時代にはさらに重要性を増すと考えられます。世界の主要国では、情報通信関連企業は5G時代の覇権を握るべく、景気・企業業績の悪化局面でも積極的な投資を続けざるを得ないという面があり、NECネッツエスアイ(1973)や、アンリツ(6754)等の関連銘柄の業績にも追い風になっています。なお、周辺業種として、中電工(1941)、きんでん(1944)、日本電設(1950)などの電気工事各社も、事前予想を上回る利益を計上しており、足元の業績は好調です。

なお、インターネットを通じてやり取りする情報量の増加はサーバー等向けの半導体需要を押し上げるとみられ、半導体関連企業の業績も堅調が続いています。ただ、半導体を用途別にみた場合、スマホ等携帯電話向けや、これまで好調の続いた車載向け等は、世界的な景気悪化の影響も出てきそうです。半導体関連株は会社内容の見極めも重要となりそうです。なお、半導体パッケージに関連する銘柄のうち、テーマキラー!で紹介されているイビデン(4062)の他、新電工(6967)やMARUWA(5344)も、事前予想を上回る利益を計上しています。

図1 イビデン(4062)・日足

図2 アンリツ(6754)・日足

  • ※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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