日経平均株価は8月中旬以降、保ち合い商状になってきました。一方で、日本株はもともと割安株を中心に出遅れが指摘されていたこともあり、見直し買いが増えている銘柄も出てきています。
そうした中、東京株式市場では“企業業績”にスポットが当たりやすい季節になっています。そこで今回の「日本株投資戦略」では、2月・8月決算銘柄について、好業績で株価上昇を期待できる銘柄を探ってみます。
日経平均株価は8月中旬以降、下値をジリジリと切り上げる一方で、上値も23,500〜23,600円前後で抑えられる保ち合い商状になってきました。米国市場では、これまでの上昇相場をけん引してきたIT銘柄など、上昇ピッチに陰りが出てきた銘柄も増えていますが、日本株はもともと割安株を中心に出遅れが指摘されていたこともあり、見直し買いが増える銘柄も出てきています。ただ、10/8(木)の日経平均株価終値は2/14(金)以来の高値水準となり、保ち合い放れの兆しもみえています。
そうした中、東京株式市場では“企業業績”にスポットが当たりやすい季節になっています。10月に入り、2月・8月決算銘柄の決算発表が本格化し、業績の良し悪しで株価の明暗が分かれるケースが増えています。
10/8(木)には代表的な小売企業であるセブン&アイ・ホールディングス(3382)、10/9(金)には設備投資関連企業の安川電機(6506)について、2020年3〜8月期決算発表がありました。今月下旬以降は3月・9月決算企業の決算発表が増えてくるため、それらを控えて業績観測記事が増えやすい季節になってきます。当面は、株式市場が注目する主要テーマが「企業業績」であると言っても差し支えないと思います。
そこで、今回の「日本株投資戦略」でも、決算発表シーズンの本格化に備えたいと思います。今回は、2月・8月決算銘柄について、好業績で株価上昇を期待できる銘柄を探ってみたいと思います。
以下の条件をすべて満たした銘柄を2020/3〜8期の営業増益率(前期比)が大きい順に並べたものが表1です。
(1)東証に上場する時価総額1,000億円以上の銘柄であること。
(2)2月または8月を本決算期末とする銘柄であること。
(3)10/8(木)までに決算発表を終えた銘柄であること。
(4)2020/3〜8期の営業利益が事前の市場予想を上回っている銘柄であること。
(5)2020/3〜5期よりも2020/3〜8期の営業増益率(前期比)が大きい銘柄であること。
(6)通期(2021/2期)の会社予想営業利益が増益見通しの銘柄であること。
表1は2月・8月決算銘柄を対象に見たとき、好業績で株価上昇を期待できる銘柄であると考えられます。
なお、2月決算銘柄と8月決算銘柄を比べた時、前者の方が企業数が多いこともありますが、結果的に抽出されたのはすべてが2月決算銘柄になりました。そこで、表の最右列の「2021/2期」は「今期(通期)」を意味しています。表に掲げた銘柄の中には、今回の決算発表以前に業績予想上方修正を発表した銘柄もあります。
3月・9月決算企業の決算発表が接近または本格化してくると、業績修正等のリスクを回避すべく、決算発表が終了したばかりの2月・8月決算銘柄が物色されやすいという側面があります。したがって、2月・8月決算銘柄で決算発表後、一時的に株価が上昇した銘柄であっても、再度物色される可能性は十分残っていると考えられます。ちなみに、レポート作成日の関係で、安川電機(6506)は分析対象外となっていますので、ご容赦ください。
表1 2月・8月決算銘柄、好業績で株価上昇を期待できるのは?
取引 | チャート | ポート フォリオ |
コード | 銘柄 | 株価 10/9(金) |
営業増益率(前年同期比) | 2021/2期予想 | |
2020/3〜5期 | 2020/3〜8期 | 営業増益率 | ||||||
3050 | 3050 | 3050 | 3050 | DCMホールディングス | 1,442 | 70.4% | 75.9% | 44.5% |
9843 | 9843 | 9843 | 9843 | ニトリホールディングス | 21,665 | 22.3% | 45.0% | 23.7% |
3141 | 3141 | 3141 | 3141 | ウエルシアホールディングス | 4,290 | 29.4% | 44.0% | 14.5% |
7649 | 7649 | 7649 | 7649 | スギホールディングス | 7,260 | 20.8% | 25.2% | 0.8% |
6183 | 6183 | 6183 | 6183 | ベルシステム24ホールディングス | 1,691 | 4.5% | 12.6% | 3.6% |
8227 | 8227 | 8227 | 8227 | しまむら | 10,530 | 赤字転落 | 11.3% | 34.4% |
- ※会社公表データをもとにSBI証券が作成。
- ※2021/2期予想営業利益は会社予想ベース。
前項でご説明したのは、10/8(木)までに決算発表を終えた銘柄で、実績や現状での業績見通しをベースに抽出銘柄の検討を行いました。ただ、2月・8月決算銘柄の決算発表は終了した訳ではなく、10月第2週(10/12〜10/16)に発表を予定する銘柄もあります。表2はそうした銘柄のうち、時価総額1,000億円以上の銘柄をご紹介しています。
なお、決算発表日は変更される場合もあります。また、決算発表を前に、業績観測記事や業績予想修正により、株価が変動する場合もありますので、ご注意ください。
表3は、10月第2週(10/12〜10/16)に決算発表を予定する銘柄のうち、好業績が期待される銘柄を示しています。基本的には、2020/3〜5期の営業利益が大幅増益となっている銘柄です。
アークス(9948)は2020/3〜5期が前年同期比131.7%増益で、通期予想の増益率(8.9%)も大きく、最終的には上方修正も可能とみられます。ベイカレント・コンサルティング(6532) も同様ですが、通期会社予想営業利益の公表がありません。ただし、市場コンセンサスや主要メディアの予想は増益率がもっとも高いものでも30%台であり、2020/3〜5期の営業増益率が82%の同社の業績は好調であるとみられます。
なお、ウエストホールディングス(1407)はすでに、通期業績予想の上方修正を発表しているため、市場の関心は次期業績予想に移るとみられます。
表2 10月第2週(10/12〜10/16)に決算発表を予定の2月・8月決算銘柄
発表予定日 | 2月決算銘柄 | 8月決算銘柄 | ||
コード | 銘柄名 | コード | 銘柄名 | |
10/12(月) | 7516 | コーナン商事 | - | - |
10/13(火) | 3678 | メディアドゥ | - | - |
9602 | 東宝 | |||
8273 | イズミ | |||
8233 | 高島屋 | |||
9948 | アークス | |||
3086 | J.フロント リテイリング | |||
10/14(水) | 2337 | いちご | 7581 | サイゼリヤ |
3387 | クリエイト・レストランツ・ホールディングス | |||
10/15(木) | 6532 | ベイカレント・コンサルティング | 9983 | ファーストリテイリング |
9601 | 松竹 | 2484 | 出前館 | |
1407 | ウエストホールディングス |
- ※Bloombergデータ、当社決算発表予定日データをもとに、SBI証券が作成。調査主体の数値に相違がある場合は当社データを優先しています。
表3 10月第2週(10/12〜10/16)に好決算発表が期待される銘柄は?
取引 | チャート | ポート フォリオ |
コード | 銘柄 | 株価 10/9(金) |
営業増益率(前年同期比) | 決算発表 | |
2020/3〜5期 | 通期予想 | 予定日 | ||||||
9948 | 9948 | 9948 | 9948 | アークス(2) | 2,535 | 131.7% | 8.9% | 10/13(火) |
6532 | 6532 | 6532 | 6532 | ベイカレント・コンサルティング(2) | 14,800 | 82.0% | - | 10/15(木) |
1407 | 1407 | 1407 | 1407 | ウエストホールディングス(8) | 3,210 | 25.7% | 22.5% | 10/15(木) |
- ※会社公表データをもとにSBI証券が作成。
- ※銘柄名横のカッコ月数値は決算月。
- ※ウエストホールディングス(1407)は10/6(火)付で業績予想上方修正を発表し、表記のような予想営業増益率になっています。決算発表でのサプライズは生じにくくなっていますので、ご注意ください。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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