2月第4週(2/21〜2/25)の東京株式市場では、日経平均株価(週足)が一時、前週末比5.0%以上下げるなど、続落となりました。ウクライナ情勢については、ロシアが同国への軍事衝突に踏み切る中、西側諸国が経済制裁で対抗するなど、混迷の度合いを強めています。ただ、日米株式市場では、大きく下げてきたハイテク株等に押し目買いが入るなど、相場の底入れを先取りする動きも出始めています。
そうした中、東京株式市場では2/25(金)から受け渡しベースで「3月相場」に突入しました。多くの企業が決算期末を3月としているので、3月に配当の権利を確定する銘柄が多くあります。ウクライナ情勢は何かと「不安の種」になりやすいですが、株安の中での「配当取り」となれば、中長期的なパフォーマンス向上につながる面もありそうです。
そこで、今回の「日本株投資戦略」では、3月決算銘柄を主な対象とし、「好配当利回り」が狙える銘柄を抽出してみました。
当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。ぜひ、ご視聴ください。
日本株投資戦略※YouTubeに遷移します。
■執筆者のプロフィール
SBI証券 投資情報部長 鈴木 英之
・出身 東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味 ハロプロ(牧野真莉愛推し)の応援と旅行(乗り鉄)
・特技 どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物 サイゼリヤのごはん
・よくいくところ 京都
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。
株式投資の目的とは何でしょうか。一般的には、預貯金に並ぶ資産運用の手段のひとつと言えるでしょう。元金が減ってしまう可能性もありますが、うまく運用することができれば、預貯金よりも資産を増やすことが可能です。
応援する気持ちで、中長期的に成長しそうな企業をみつけ、ある程度長い期間保有することで、安定した運用を行うこともできます。その際、単に値上がり益の獲得だけを狙うのではなく、定期的に配当を獲得しながら、トータルの収益を引き上げることが重要となります。
そこで重要となるのが、配当利回りです。株価に対し、1株当たりの配当が何%かを示す指標で、一般的にはその年度の予想1株配当をベースに考えます。今回の「日本株投資戦略」では、3月決算銘柄を中心に、予想配当利回りの高い銘柄を選んでみました。
図表1は、主要銘柄の中から、予想配当利回りの高い順に10銘柄を抽出したものです。抽出条件は以下の通りです。
(1)東証1部上場銘柄であること。
(2)時価総額1千億円以上であること。
(3)業績予想を公表しているアナリストが2名以上いる銘柄であること。
(4)証券商品先物業の銘柄を除く。
東証1部の主力銘柄について、予想配当利回り(Bloomberg集計の市場コンセンサス)の高い銘柄を10銘柄並べた形になっています。
海運や鉄鋼など、業種的に重複している銘柄もあれば、3月決算以外の銘柄もあります。
図表2の銘柄は、上記全条件に加え、以下の条件を加えて抽出した銘柄になっています。
(1)3月決算銘柄であること。
(2)業種の重複は除くこと。
(3)最低投資単位(100株)での投資金額が20万円未満であること。
(4)予想PER(Bloombergベースの市場コンセンサス)が15倍以下の銘柄であること。
(5)今期予想PBR(同)が1.0倍以下の銘柄であること。
図表2の銘柄は、これらの条件をすべて満たし、予想配当利回り(Bloombergベースの市場コンセンサス)の高い順に10銘柄並べたものです。
予想配当利回りは、あくまでも年間にもらえる予定の1株配当を株価で割ったものです。
東証1部企業の7割弱は3月末が本決算です。東証1部の平均予想配当利回りは2.25%(2/24現在)ですから、第10位の銘柄でも、予想配当利回り4%台というのは平均をかなり上回っています。
しかし、株式投資である以上、業績や株価が変動し、最悪の場合は配当が予想から減ってしまう時もあります。このランキングでは、(3)の条件があるため、仮に2022/2/24(木)の終値ベースで計算すると、投資金額120万円弱で、図表2の10銘柄すべてに分散投資をすることが可能となり、リスク分散も可能であると考えます。
なお、SBI証券では単元株未満でのお取引を可能とする「S株」のサービスも提供しています。「S株」でも配当を受けとることはできます。株式投資初心者の方であれば、「S株」で保有し、配当を受け取りながら「株主ライフ」のスタートを切られてはいかがでしょうか。
図表1 好配当利回り銘柄(東証1部・時価総額1,000億円以上他)
取引 | チャート | ポートフォリオ | コード | 銘柄 | 株価(2/24) | 予想配当利回り | 予想1株配当金(円) |
9104 | 商船三井 | 8,760 | 10.81% | 947.03 | |||
9101 | 日本郵船 | 9,800 | 10.12% | 991.54 | |||
5411 | ジェイ エフ イー ホールディングス | 1,671 | 8.14% | 136.00 | |||
5401 | 日本製鉄 | 2,020 | 6.98% | 140.91 | |||
2914 | 日本たばこ産業(12) | 2,191.5 | 6.92% | 151.67 | |||
4902 | コニカミノルタ | 475 | 6.24% | 29.64 | |||
1820 | 西松建設 | 3,825 | 5.89% | 225.17 | |||
2121 | ミクシィ | 2,237 | 5.74% | 128.33 | |||
8304 | あおぞら銀行 | 2,635 | 5.55% | 146.16 | |||
9504 | 中国電力 | 892 | 5.61% | 50.00 |
- BloombergデータをもとにSBI証券が作成。銘柄名右に(12)とある銘柄は12月決算銘柄。
図表2 20万円未満で買える好配当利回り銘柄(東証1部、時価総額1,000億円以上、低PER・低PBR)
取引 | チャート | ポートフォリオ | コード | 銘柄 | 株価(2/24) | 予想配当利回り | 予想1株配当金(円) | 予想PER | 予想PBR |
5411 | ジェイ エフ イー ホールディングス | 1,671 | 8.14% | 136.00 | 3.65 | 0.52 | |||
6178 | 日本郵政 | 941.2 | 5.31% | 50.00 | 7.78 | 0.26 | |||
8411 | みずほフィナンシャルグループ | 1,566 | 5.13% | 80.39 | 6.86 | 0.42 | |||
5020 | ENEOSホールディングス | 453.7 | 4.95% | 22.44 | 4.53 | 0.56 | |||
8053 | 住友商事 | 1,829 | 4.99% | 91.25 | 5.75 | 0.81 | |||
1808 | 長谷工コーポレーション | 1,458 | 4.80% | 70.00 | 7.28 | 0.94 | |||
5105 | TOYO TIRE | 1,529 | 4.58% | 70.00 | 6.45 | 0.84 | |||
4005 | 住友化学 | 554 | 4.33% | 24.00 | 6.18 | 0.80 | |||
8593 | 三菱HCキャピタル | 595 | 4.44% | 26.40 | 8.62 | 0.67 | |||
9503 | 関西電力 | 1,179 | 4.24% | 50.00 | 15.00 | 0.61 |
- BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
ジェイ エフ イー ホールディングス(5411)〜予想配当利回りは8%台、インフレ・金利上昇にも強いバリュー銘柄
- 期間:2021/8/31〜2022/2/25 13:00時点(日足)
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
■国内第2位の高炉メーカー
当社は、粗鋼生産量で国内第2位の高炉メーカーです。鉄鉱石を原料に、鉄鋼製品を生産する「鉄鋼事業」が主事業です。鉄鉱石や原料炭の価格などが上昇傾向ですが、大口需要家向け長期契約に関する「ヒモ付き価格」の引き上げや早期価格転嫁の交渉を進めたことで利幅が拡大し、業績は改善傾向です。
経常利益は2022/3期・上半期で1,932億円(前年同期から3,139億円の増加)でしたが、第3四半期(10〜12月期)も1,106億円(同2.2倍)と改善傾向を維持しています。これを受け、会社側は2/8(火)付で、上半期の1株60円に続き、下半期に同80円、通期で140円とする配当計画を発表。予想配当利回りは会社計画でも8%を超える見込みとなっています。
■「インフレ」「金利上昇」へも強い?
時価総額を「親会社所有者に帰属する持分」で割ったPBRは約0.6倍(第3四半期末・実績)で、会社予想EPSに対するPERも約4倍にとどまっており、典型的なバリュー銘柄と見受けられます。このため、今後金利が全般的に上昇し、バリュー銘柄優位の投資環境になった場合、相対的に有利な投資環境が長期化するかもしれません。
東証33業種の中で「鉄鋼」は、CRB商品先物指数との相関係数も0.393(2022/2/24までの10年間・月足ベース)と、上位から5番目で、インフレ圧力にも強い銘柄と考えられます。
住友商事(8053)〜大手総合商社の中では予想配当利回りが高め
- 期間:2021/8/31〜2022/2/18 14:00時点(日足)
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
- ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
■今期最高益を更新へ
1919年に「住友総本店」を中心に、「大阪北港」として設立しました。その後、1952年に社名を現社名へ変更しました。現在は住友グループの総合商社となっています。
売上構成比(前期)は資源・化学品が24%、生活・不動産が24%、金属が20%、輸送機・建機が15%となっています。歴史的には、北米鋼管事業に強みをもっています。
業績は好調です。2/4(金)に今期業績予想が上方修正され、予想純利益は従来予想から800億円上方修正され、4,600億円(前期比6,130億円増加)と最高益を更新する見込みです。上方修正後の年間配当は1株110円を見込みます。
■予想配当利回りは大手総合商社の中で最高見通し
大手総合商社5社(伊藤忠、丸紅、住友商事、三井物産、三菱商事)の予想配当利回り(会社予想)は平均(2022/2/25時点)で4%を超えた程度です。そうした中、当社の予想配当利回り(同)は、5%台と平均を大きく超え、総合商社の中ではもっとも高くなっています。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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