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マーケット > レポート > eワラントを極める! > 「月の10日にモノ買うな、月の20日にモノ売るな」を検証してみた 「月の10日にモノ買うな、月の20日にモノ売るな」を検証してみた更新 : 15/2/16 10:00(毎週第1営業日10:00頃更新) 「月の中旬は株価が軟調になり、下旬には株価が上昇するような気がする」と感じている方もいるようです。これを「月の10日に株買うな、月の20日に株売るな」あるいは「月の10日にモノ買うな、月の20日にモノ売るな」という投資格言とする声もあるようなので、検証してみました。 結果は、「ちょっと違うけど、コンセプトは意外に使えるかも」というものでした。 各月の応答日毎のリターンをみたら...法則がありそう? まず、1985年1月から2015年1月までの期間で、毎月の応答日別リターンを集計してみました(図1、配当を除く)。平均値で判断するなら、毎月7日〜13日に下げやすく、25日以降が堅調といえそうです。すると「月の10日に株買うな」は当てはまるものの、「月の20日」は疑問で、それよりもうちょっと後の月末に上げやすいことになります。 図1:日経平均の応答日別のリターン(1985.1-2015.1)(出所:ロイター) 1985年から30年間計測するとデータ数が増えるという良い面もあるものの、さすがに古すぎて、現在とは世界情勢と日本経済の立ち居地がまったく異なり、参考にし難いかもしれません。1964年の東京五輪、1972年のミュンヘン五輪や1988年のソウル五輪の運営ノウハウなどが2020年の東京五輪にあまり使えそうもないということと似たようなものです。 そこで、2004年1月から2015年1月までの期間で同様の分析をしたものが図2です。 図2:日経平均の応答日別リターン(2004.1-2015.1)(出所:ロイター) 最近の10年ほどの期間でも、「月上旬の10日近辺は株価が軟調」ということと「月下旬はなんとなく堅調そう」ということが見て取れます。 「7日から13日」、「25日〜月末」は統計的にも意味がある? とはいえ、「なんとなく大丈夫そうかも」というだけで投資戦略をたて、資金を投下するのは無謀です。そこで「毎月10日、毎月20日のリターンに意味はあるのか?」、「毎月の7日〜13日、17日〜23日、25日〜月末のリターンに意味のある差があるか?」、「半年効果のアノマリーと7日〜13日、17日〜23日、25日〜月末の組み合わせで有効性は高まるのか?」について図2と同期間(2004年1月から2015年1月までで重回帰分析とF検定、t検定を行いました。 ◎毎月10日、毎月20日のリターンに意味はあるのか? 結果)統計的な有意性は認められませんでした。「毎月10日に下げ、毎月20日に上げる」とピンポイントに考えることはできない、といえます。 ◎毎月の「7日から13日」、「17日〜23日」、「25日〜月末」のリターンに差があるか? 結果)「7日から13日」、「17日〜23日」、「25日〜月末」だけで日経平均の値動きを説明することはできませんでした。しかしながら、「7日から13日」の期間は1日当たり0.14%程度(現在の日経平均なら26円程度)のマイナスリターン(95%有意)となる傾向が認められました。「17日〜23日」のリターンは統計的には意味が無いようです。「25日〜月末」は、チャートの印象どおりで、1日当たり0.12%(現在の日経平均なら22円程度)のプラスリターン(90%有意)となっていました。原因としては、主要統計や各国中央銀行の会合の日程、先物のSQ、投資家の行動パターンなどがありそうですが、よく分かりません。ある種のアノマリーといえそうです。 ◎半年効果のアノマリーと「7日から13日」、「17日〜23日」、「25日〜月末」の組み合わせ 結果)最近の一部の海外ファンドで、アノマリーを組み合わせて投資戦略の有効性を高める手法が注目されています。例えば11月から4月まで株価が堅調となる半年効果(ハロウィン効果)に米大統領選挙の前年と選挙年、米中間選挙の年などを組み合わせるといったものです。 そこで、半年効果で株価が堅調となりやすい11月から4月と軟調になりやすい5月から10月までの期間に分け、それぞれで「7日から13日」、「17日〜23日」、「25日〜月末」のパフォーマンスを調べました。 結果は、やはりこれらだけで日経平均の値動きを説明することはできませんでした。しかしながら、堅調な「11月から4月」と堅調な「25日〜月末」の組み合わせは0.24%のプラス(日経平均18000円なら44円/日、99%有意)、軟調な「5月から10月」と軟調な「7日から13日」の組み合わせはマイナス0.14%(日経平均18000円なら25円/日、90%有意)と分かりました。他の組み合わせには有意な差は認められませんでした。 もし「月の10日前後売り・月末買い戦略」を使っていたらビックリのハイリターン!? 分析結果をもとに、2004年1月5日を100として、日経平均、「7日から13日ショート・25日〜月末ロング」(以下「月の10日前後売り・月末買い戦略」)、半年投資+「月の10日前後売り・月末買い戦略」の3つの累積リターンを試算してみました(図3、配当・税金・売買手数料を考慮せず)。 図3:「月の10日前後売り・月末買い戦略」のパフォーマンス試算(出所:ロイター、eワラント証券) 結果を見ると、この期間に日経平均(紫実線)は1.6倍になっています。一方、「月の10日前後売り・月末買い戦略」で、黙々と7日〜13日にショート(6日大引けでショートし、13日大引けで買い戻す)し、25日〜月末ロング(24日大引けで買い、月末最終日大引けで手仕舞う)を繰り返していたら、過去11年で約4.5倍!にもなっていました(図中トルコブルーの実線)。ただしこの手法は売買回数が多いので、仮に売買の度に0.1%手数料を支払っていたら、0.1%×2回×2(手法)×12ヶ月×11年=52.8%にもなっていました。実際には複利でパフォーマンスが下がるので、手数料考慮後のリターンは2.6倍弱に落ちてしまいます(株価指数ETFではなく、相対的に手数料が安くなるミニ先物などのデリバティブを上手に使うといった工夫の余地があります)。 また、「月の10日前後売り・月末買い戦略」を半年効果のアノマリーと組み合わせた戦略(図中オレンジ色の実線)も好結果でした。この手法では、「11月から4月の25日〜月末だけロング」し、「5月から10月の7日から13日だけショート」し、11年間で2.9倍にもなっていました。なお、この場合も、仮に売買の度に0.1%の手数料を支払っていたら2.2倍までパフォーマンスは下がります。この戦略は統計的な有意性が高いだけあって、パフォーマンスが極めて安定的でした。このアノマリーの組み合わせ戦略の方が、単純な「月の10日前後売り・月末買い戦略」よりも多くの方に好まれることも考えられます。 こういったアノマリーが今後も継続すると考えるなら、この戦略を実践しなくても、通常の売買タイミングの参考になりそうです。 (念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。) eワラント証券 チーフ・オペレーティング・オフィサー 土居雅紹(どい まさつぐ) ご注意事項
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