昨年夏の人民元ショック以来、アップダウンの激しい相場模様となり、年初からは大荒れのジェットコースター相場となっています。一般に、市場全体が大きく下げると短期的なリバウンド狙いの買いが増えますが、その戦略がいつも成功する訳ではありません。
そこで、2000年1月から2016年3月末までの日経平均の騰落率を調べてみたところ、「急落の翌日も日中安値は大きなマイナスとなることも多い」、「大荒れの年だと3−4%程度日経平均が動いても翌日に逆に動くとはいえない」、「急騰時より急落時の方が短期逆張りが上手く行きそう」、ということが分かりました。
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急騰・急落が多発する時期は集中する
図1は2000年1月から2016年3月までの期間で、日経平均終値の前日比が上下に3%または5%を超えて動いた日数を示したものです。これを見ると、サブプライムバブル崩壊で世界金融危機となった2007年から2008年が急騰・急落とも出現日数が突出して多いことが分かります。特に5%超の急落(図中赤グラフ)や5%超の急騰(図中青グラフ)はその他の年にはほとんど無い一方、2008年には頻発しています。
それに続いて、ITバブルが崩壊し、日本の金融不安が再燃した2000年〜2003年も日経平均の急騰・急落が多い年でした。
一方、それ以外の“普通の年”では3%や5%を超えるような急騰・急落は散見される程度でした。つまり、相場が大きく変動するジェットコースター相場であれば、上下どちらの方向にもリスクと同時にチャンスも大きくなるといえそうです。
図1:日経平均の急騰・急落日数 (前日比、2000.1-2016.3)
※ロイターデータよりeワラント証券が作成
急騰・急落時の翌日に日経平均はどう動いていた?
ある日の日経平均がどの程度動いた時に、その翌日の日経平均のパフォーマンスがどうなっていたのか調べた結果が図2です。例えば横軸の7%とは日経平均終値の前日比がプラス7%台であり、その翌日の終値ベースの前日比(図中紫グラフ)は平均して+6.10%と続伸していたことになります。翌日の最高値(図中きみどりグラフ)は+6.10%と終値と同値なので“高値引け”(その日の終値が最高値となること)だったことが分かります。一方、翌日の最安値の前日終値比(赤斜線)は+1.34%と、プラスではあるものの終値と比べるとかなり低い水準であったといえます。同時に7%も日経平均が上昇した翌日に大きく続伸していたことになるので、翌日の大幅反落を狙ってショート(空売り)ポジションを採っていたら大損していたと言えます。
逆に急落した場合は、-6%台を除き、終値ベースなら翌日に反発上昇している(終値の紫グラフがプラス圏にある)ようです。ここで注意が必要なのが、最安値/終値で見ると-6%、-7%、-9%と日経平均が極めて大きく下落した日でも、翌日の最安値は平均して大幅続落となっていたことです。つまり、結果として終値ベースでは上昇に転じていたとしても、急落翌日は日中の値幅が極めて大きく、最安値は前日よりもさらに下落する場合があるといえるでしょう。
図2:当日の前日比と翌日の価格変化率 (平均値、2000.1-2016.3)
※ロイターデータよりeワラント証券が作成
大荒れの年には3%や4%は急騰・急落にあらず?
図1で3%超や5%超の日経平均の値動きがある日は特定の時期に集中していることが分かったので、その2001年、2002年、2007年と2008年の4年間についてだけ、日経平均の騰落率とその翌日の終値・最高値・最安値の前日終値比を表したのが図3です。
まず、新聞報道等では大きな変化とされる3%や4%台の値動き(日経平均16000円とすると、480円から800円程度)では、翌日の終値にあまり影響を与えない(リバウンドが無い)といえます。また、一般的な認識通りの「急騰翌日の大幅反落」(オレンジ色吹き出し)や、「急落翌日の大幅反騰」(図中黄色吹き出し)がある一方、「急騰翌日の大幅高(続伸)」(赤ピンク色吹き出し)と、“大はずれ”となってしまうこともあります。
ただし、終値ベースで見るなら-5%を超えて日経平均が下落したら、翌日には平均して1%から3% 程度は反騰していたとは言えそうです。なお、大荒れの年だけの場合も、終値ベースでは急落の翌日に反転上昇していたとしても、日中の最安値では大きく下げる可能性がある点には注意が必要です。
図3:大荒れの年の翌日の価格変化率 (平均値、2001-2002、2008-2009)
※ロイターデータよりeワラント証券が作成
投資に活かすには
リバウンド狙いは言うほど簡単ではなく、「急騰・急落したら翌日は半値戻し」という投資アイデアは直近15年の日本株にはあまり当てはまっていないようです。特に2008年や2009年のような“大荒れ相場”では、日経平均が3%や4%程度下落したところで翌日の値動きが逆になっていたとはいえません。それらを考慮した上で、上手く行く可能性が相対的に高そうな投資手法を考えるなら、以下のようなものがありそうです。
・2016年は大荒れの年となる可能性が例年よりも高そうなので、急騰時ではなく急落時を狙う
・日経平均の終値前日比が-5%を超える急落となったらリバウンド狙いの買いを考える
・翌日の日中高値で売り抜けられるように、日経平均が2%程度戻す水準に手仕舞い売りの指値注文をいれておく
・日経平均コールや日経平均ミニ先物などの短期向きのレバレッジ投資商品を1日だけのスイングトレードに使う(結果に関わらず手仕舞う)
(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 チーフ・オペレーティング・オフィサー 土居雅紹(どい まさつぐ)
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