今年の大発会で日経平均株価は19,594円16銭(+479円79銭)の大幅上昇となり、幸先の良いスタートとなりました。大発会で大幅安となった昨年と違って、今年の株価の力強い上昇を期待する声も聞かれます。一年の計は元旦にあり、とはいいますが、株式市場においても一年の計は大発会にあるのでしょうか?そこで本稿では過去の大発会の株式市場の様子を振り返るとともに、その後の株価がどうなっていたかを検証してみました。
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過去の大発会の相場概況
以下は2006年から2016年までの大発会の日経平均株価終値と相場概況、そして各年の大納会の日経平均株価終値です。当時の大発会の様子が多少なりとも分かるかと思います。ちなみに2009年まで大発会の取引所の取引時間は午前11時まででした。いわゆる半ドンです。2010年から半ドンはなくなりました。
2006年1月4日(水)大発会:日経平均株価終値16,361円54銭(+250円11銭)
<当時の相場概況>
株式市場は前場取引のみ。新日鉱ホールディングス(現JXホールディングス)、住友金属工業(現新日鐵住金)などが高い。
<同年大納会>
日経平均株価終値17,225円83銭(前年大納会より+1,114円40銭)
2007年1月4日(木)大発会:日経平均株価終値17,353円67銭(+127円84銭)
<当時の相場概況>
3月限国債先物が急落。ユーロは3日の高値から急落。日本電信電話、日立などが高い。
<同年大納会>
日経平均株価終値15,307円78銭(前年大納会より-1,918円05銭)
2008年1月4日(金)大発会:日経平均株価終値14,691円41銭(-616円37銭)
<当時の相場概況>
米ドル対円相場は年末水準から大きく円高となった。日産自動車やアサヒビール(現アサヒグループホールディングス)、新日本石油(現JXホールディングス)など下落。
<同年大納会>
日経平均株価終値8,859円56銭(前年大納会より-6,448円22銭)
2009年1月5日(月)大発会:日経平均株価終値9,043円12銭(+183円56銭)
<当時の相場概況>
2日の米国株高を好感して日経平均も上昇、9,000円台に乗せる。主要通貨に対して円全面安。エルピーダメモリ(2012年に上場廃止)、太平洋金属など上昇。
<同年大納会>
日経平均株価終値10,546円44銭(前年大納会より+1,686円88銭)
2010年1月4日(月)大発会:日経平均株価終値10,654円79銭(+108円35銭)
<当時の相場概況>
主要通貨に対して円安が進んだことを好感。米国株は大幅上昇。
<同年大納会>
日経平均株価終値10,228円92銭(前年大納会より-317円52銭)
2011年1月4日(火)大発会:日経平均株価終値10,398円10銭(+169円18銭)
<当時の相場概況>
ニコンや日産自動車、ハンセン指数など上昇。ユーロ、英ポンド上昇。米国株は一時下げるも戻す。
<同年大納会>
日経平均株価終値8,455円35銭(前年大納会より-1,773円57銭)
2012年1月4日(水)大発会:日経平均株価終値8,560円11銭(+104円76銭)
<当時の相場概況>
年末年始に欧州信用不安が深刻化しなかったことに加え、3日の欧米主要株式市場が大幅上昇したため、朝方から買いが優勢となり、日経平均は8,500円台を回復。自動車株や大手銀行株を中心に買い進まれた。
<同年大納会>
日経平均株価終値10,395円18銭(前年大納会より+1,939円83銭)
2013年1月4日(金)大発会:日経平均株価終値10,688円11銭(+292円93銭)
<当時の相場概況>
1月1日に米国の「財政の崖」問題を巡る回避策が米議会にて可決されたことから米ドル高円安、米国株高が進行。日経平均は昨年末比292円高となり東日本大震災前の水準を上回った。円安を好感して輸出関連銘柄が買われたほか、金融緩和期待を背景に金融株が軒並み上昇。
<同年大納会>
日経平均株価終値16,291円31銭(前年大納会より+5,896円13銭)
2014年1月6日(月)大発会:日経平均株価終値15,908円88銭(-382円43銭)
<当時の相場概況>
連休中に欧米株市場が下落した影響で、利益を確定させる動きが強まった。
<同年大納会>
日経平均株価終値17,450円77銭(前年大納会より+1,159円46銭)
2015年1月5日(月)大発会:日経平均株価終値17,408円71銭(-42円06銭)
<当時の相場概況>
年末年始の休場中にギリシャ政局などの外部環境の不透明さを原因として米株が下落し、日経平均は安く始まる。後場に中国株上昇を受けて急反発して前日終値を上回る場面もみられたものの、大引けにかけて再び売り圧力が強まった。
<同年大納会>
日経平均株価終値19,033円71銭(前年大納会より+1,582円94銭)
2016年1月4日(月)大発会:日経平均株価終値18,450円98銭(-582円73銭)
<当時の相場概況>
年末の米国株下落に加えて、中国PMIが市場予想を下回ったことや中東の地政学リスクの上昇が下げを加速させたとみられる。米ドルは一時118円台まで下落。米国株は下落。
<同年大納会>
日経平均株価終値19,114円37銭(前年大納会より+80円66銭)
2017年1月4日(水)大発会:日経平均株価終値19,594円16銭(+479円79銭)
<当時の相場概況>
日経平均は米ドル対円相場が118円台と円安が進んだことと、前日の米国株上昇を受けて全面高。
過去を振り返ると2009年と2013年の大発会は2%を超える上昇となっており、これらの年の年間変動率は2009年が+19.0%、2013年は+56.7%となっていました。2009年は前年に発生したリーマンショック後の反発局面であり、2013年は政権交代により量的緩和の拡大が期待された年でした。2017年の大発会は2.5%となり、トランプ新政権に対する期待が表れているものと考えられます。
<ご参考>eワラントの日々の取引概況「eワラント Daily Watch」はこちら!
一年の計は大発会にあるのか?
2017年は2009年や2013年を再現する年となる、という予想もできそうな一方で、2007年や2011年は大発会で株価は上昇したものの、年間では大きなマイナスとなっています。一年の計は大発会にあるのか、これを調べるにはもっと長い期間で検証する必要がありそうです。
図1は1967年から2016年の日経平均株価について、大発会の変動率を横軸に、その年の年間の変動率を縦軸に並べて関係性を見たものです。この図を見る限り、大発会の変動率がプラスであれば年間の変動率もプラス、というわけではなさそうです。1992年、1996年、2002年は大発会の変動率が3%を超える上昇でしたが、年間では冴えない結果となっています。一方で、1975年、1999年、2010年は大発会の変動率が3%を超える下落でしたが、年間の変動率はプラスでした。また、1972年は大発会の変動率はほぼ0%でしたが、年間では約92%という上昇率を記録しています。
図1:日経平均株価の大発会の変動率と年間の変動率の関係
出所:ロイターよりeワラント証券投資情報室作成
図1の左上には横軸と縦軸の関係式も載せていますが、Rの二乗で表示されている決定係数という数値を見ると極めてゼロに近い数値となっています。決定係数とは横軸と縦軸の関係をどれだけこの式で説明できるかを示すものです。ゼロに近いということはこの関係式に説明力がゼロに近いということであり、横軸と縦軸に関係性はほぼ見られない、という結論になります。つまり、日経平均株価に関しては、一年の計は大発会にあり、というのは統計的にはあまり根拠のないことで、大発会が大幅上昇だから今年の相場は安泰であるとか、大発会が大幅下落だから今年の相場は先行き暗い、ということはなさそうです。
とはいえ、時価総額の比較的大きな個別株やセクターに関しては物色の流れが続く可能性があり、大発会に上昇した銘柄やセクターについては注目しておきたいところです。大発会に上昇し、18日時点でも前年比プラスとなっているのはKDDI(9433)、ソフトバンクグループ(9984)といった通信株、東日本旅客鉄道(9020)などの鉄道株、ソニー(6758)、セブン&アイ・ホールディングス(3382)、信越化学工業(4063)、日本電産(6594)などです。なお、これらの銘柄にもeワラントで代替的に投資が可能です(一部の銘柄を除きます)。投資してみたいけれども買付資金が足りない、という場合に1万円程度もあれば投資が可能なeワラントのコール型で代替してみるのも一考でしょう。
(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎(おのだ まこと)
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