株式相場の先行きを予想するにあたり、世界経済を牽引している米国経済の動向について注意しておくのは役に立つと思われます。毎月公表されている住宅関連のデータは米国経済の動向を考える上で参考になるでしょう。今週は23日に米国の景気の先行指標とされる新規一戸建て住宅販売件数が公表される予定です。
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新規一戸建て住宅販売件数の動向
図1にあるように直近24ヵ月の米国の新築一戸建て住宅販売件数は2016年7月にピークをつけているものの、同月の数値はやや飛び抜けた数値となっている印象があり、これだけを見てトレンドが転換したと考えるよりも、同月は何かしらの異常値、ノイズと見たほうが良いかもしれません。大きなトレンドとしては2015年の夏ごろから増加トレンドにあるので、このトレンドが続いているのか23日発表の数値に注目です。
図1:米国新築一戸建て住宅販売件数(月次、直近24ヵ月、万件、季節調整済み年率換算)
出所:ロイターよりeワラント証券投資情報室作成
図2でより長い期間で見ると、水準は違いますが、新築一戸建て住宅販売件数と株価の動く方向は似ていると言えそうです。とくに2007年には新規一戸建て住宅販売指数がピークアウトした後で株価の下落が生じていることから、株価の先行指標として見ることもできそうです。もっとも、2007年の株価下落はサブプライムバブル崩壊の過程を含んでいるため、現在よりも住宅販売や住宅ローンの貸し出しに勢いがあったことは考慮に入れておく必要はあるでしょう。
図2:米国新築一戸建て住宅販売件数(月次、89年12月以降、万件、季節調整済み年率換算)
出所:ロイターよりeワラント証券投資情報室作成
eワラント投資戦略
新築一戸建て住宅販売件数は米国経済の中長期的な動向を探る一つの指標なので、指標発表後の短期時間の相場の上下変動を狙うイベント投資というより、中長期的な相場の方向性に乗る投資と言えます。したがって、指標発表後のタイミングからでも遅くはないでしょう。
23日発表の新築一戸建て住宅販売件数が前回の1月分(55.5万件)より多い場合や、市場予想(55.9万件)を上回る場合は米国経済の堅調さが確認されることとなり、米国株や米ドルにとっては好材料となるでしょう。eワラント投資戦略として、中長期的な米国株安や米ドル高を想定する場合は、満期までの期間が長めの銘柄、権利行使価格がなるべく低いコール型eワラントを選択することになります。参考銘柄は次の通りです。
ダウ・ジョーンズ工業株価平均 コール 344回(権利行使価格:19,000米ドル、満期日:2017年11月8日)
米ドルコール 719回(権利行使価格:93円、満期日:2017年9月13日)
株式市場に強気の見方をしているものの高値警戒感から急な下落には備えておきたいという場合は、満期までの期間が短めの銘柄、権利行使価格がなるべく低いコール型eワラントを選択するのも一手です。一般的に投資において利食いや損切りという売りのタイミングを考えるのは難しいとされます。満期までの期間が短い銘柄は満期到来で銘柄が自動的に償還されるので、売りのタイミングを考える必要がなくなるのがメリットです。参考銘柄は次の通りです。満期日前後でその時点で満期までの期間が短い銘柄に乗り換えていきます。
ダウ・ジョーンズ工業株価平均 コール 322回(権利行使価格:17,000米ドル、満期日:2017年5月10日)
米ドルコール 762回(権利行使価格:102円、満期日:2017年4月12日)
一方で、発表される数値が前回の1月分(55.5万件)より少ない場合や、市場予想(55.9万件)を下回る場合は米国経済への懸念が生じるため、米国株安や米ドル安が想定されます。とはいえ急落ということは考えにくいので、eワラント投資戦略としては、中長期的な米国株安や米ドル安を想定し、満期までの期間が長めの銘柄、権利行使価格がなるべく高いプット型eワラントを選択することになります。参考銘柄は次の通りです。
ダウ・ジョーンズ工業株価平均 プット 304回(権利行使価格:20,500米ドル、満期日:2017年11月8日)
米ドルプット 700回(権利行使価格:122円、満期日:2017年11月8日)
(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎(おのだ まこと)
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